13 / 15
13
しおりを挟む
「あなたたちは、そこで待ちなさい」
修道女は部屋には入らず、扉の前で待つ様だった。
わたしが大司教に続いて部屋に入ろうとすると、あの修道女が顔を上げた。
何かを訴える様に、わたしを見つめてくる。
気になりながらも、わたしは「後でね」と小さく言い、部屋に入った。
お茶と菓子が運ばれ、メイドが部屋を出ると、わたしは姿勢を正した。
「何度もお聞きして申し訳ないのですが、姉、グレースの事です。
姉の愛する者が誰か分かったのですが、その方は《高貴な方》とは言えず…
姉がどうして、大司教様に《高貴な方》と申したのかが分からなくて…」
「《高貴な方》ではありません、《とても高貴な方》です、
きっと、口に出すのも畏れ多いと思ったのでしょう」
大司教は目を細めて微笑む。
だが、わたしは少し違和感を持った。
《高貴な方》《とても高貴な方》、わたしにはあまり違いが無かったが、
大司教には拘りがある様だ。
それに、《とても高貴な方》ならば、益々誰の事を言っているのか分からない。
「ですが、姉の相手は彼しか考えられません、姉は一途ですから」
「その通りです、グレース様は大変に信仰心が篤く、全てを神に捧げ、
修道女となる事を決心なさっていました___」
「ええ!?」
思わぬ事に、わたしはつい声を上げていた。
「姉がそんな事を!?とても信じられません…」
修道女になれば、ランメルトとの結婚は避けられるが、責任感の強い姉が、
そんな風に全てを放り出すとは思えなかった。
それに、ランメルトと結婚すれば、想いは叶わないまでもクレモンの傍にいられるが、
修道女となり神殿に入るとなれば、会う事も出来なくなる。
姉の様子からは、とても信じられなかった。
「信じられなくとも、神は全てをご存じです。
神に全てを捧げると誓ったものの、迷いが生じたのでしょう、
彼女は神の怒りを買い、遂には正気を失ってしまった…
神よ、憐れなグレースにご加護を___」
大司教は十字を切り、神妙に祈った。
そんな事で神の怒りが?それでは、あまりに厳し過ぎる。
陵辱の話をしても、神の怒りと言うだろうか?
混乱する頭の中を整理する中、わたしは《それ》に気付いた。
「待って下さい、姉が修道女になろうとしていたと言うのであれば、
《とても高貴な方》というのは…」
「神と等しい者の事でしょう」
大司教がゆったりと笑う。
一見、善人にも見えるその笑みだが、わたしはぞっとした。
「姉は、その《とても高貴な方》に、身を捧げたのですか?」
「はい、そう聞いています、彼女は神に純潔を捧げ、
清浄の乙女となられる事を誓ったのです___」
瞬間、頭の中で、バラバラだった欠片が重なった。
「あなたが、お姉様を陵辱したのね!!」
わたしは叫び、立ち上がった。
目の前の大司教は全く動じていない。
「陵辱などではありません、グレース自ら、その美しい体を差し出したのです」
「嘘だわ!!お姉様には愛する人がいたのよ!そんな事をする筈がないわ!!」
酷い!!絶対に許さない___!!
叫んだ時、バン!!と大きく扉が開かれ、ランメルトと数人の衛兵が入って来た。
わたしは驚き、一瞬固まっていた。
だが、大司教は違った、彼はこの機を逃さなかった。
「ああ!!お止め下さい!王子妃様――!!」
長ソファに崩れ落ち、喚き出した。
まるで、わたしが何かをしたかの様に…
「大司教、どうなさったのですか!?王子妃様が何か…」
「王子妃様が、このナイフで私を…」
大司教は、血の付いた小型のナイフをテーブルに投げた。
大司教の左手の甲には、赤い血が一筋走っている。
わたしは状況を察し、青くなった。
「私は神に仕える身、この様な事をなされば、必ずや天罰が下るでしょう!」
皆が疑惑の目でわたしを見た。
「ち…、違います!わたしは何もしていません!
これは、大司教様がご自分でなさった事です…」
わたしは必死で否定し、ランメルトに目で訴えた。
だが、ランメルトは冷ややかに一瞥しただけで、わたしから顔を反らすと、
「王子妃を牢へ連れて行け!」と命じたのだった。
そんな!!
「ランメルト様___!!」
わたしの叫びは無視された。
恰幅の良い衛兵たちに腕を掴まれ、わたしは抵抗も出来ず、
引き摺られる様にして部屋を出されたのだった。
◇
わたしは弁明の機会すら与えられず、地下牢に入れられた。
ランプの灯りはあるものの、薄暗く、酷く静かだ。
王子妃という事で、手荒な真似はされず、十分な食事が運ばれ、寝台も布団もあった。
だが、それが何の慰めになるというのだろう?
わたしは大司教の命を狙った極悪人にされてしまったのだ!
大司教はわたしの事を、「悪魔に取り憑かれている」とか、
「処刑でしか救われない」とか、好き勝手に言っているらしい。
大司教こそ、悪魔であり、極悪人に違いないというのに!!
わたしは自分がどうなろうと構わないが、大司教の罪だけは明らかにしたい___!
強く願いながらも、それをする事は出来ないと気付いた。
大司教を糾弾する事は、姉の不名誉が世間に晒される事でもあるからだ。
そうなれば、姉は二度も辱められるのだ!
それに、愛するクレモンに知られたら…
「お姉様はわたしを許してくれないわ…」
わたしは、ただ、暗殺未遂を否定するしかなかった。
「お姉様…ごめんなさい…」
何も出来ず、大司教に陥れられた自分が不甲斐なかった。
一瞬、確かに、大司教に対し、殺意を持った。
殺してやりたい程に憎かった。
もし、ナイフを持っていたら、そうしていたかもしれない。
いや、こうなるのであれば、そうしていれば良かったのだ___!
「許せる筈がないもの…!!」
愛する姉を陵辱し、幸せを奪ったのだ!!
姉は何も悪い事はしていないのに___
「ランメルト様…」
無意識に、その名を呼んでいた。
彼は信じてくれなかったというのに…
自分でも愚かしいと思う。
それでも、わたしには彼だけだった。
◇◇
地下牢に入って二日目の夜、衛兵たちが現れ、それを告げた。
「王子妃シャルリーヌ!大司教暗殺未遂により、王子妃を剥奪!
ランメルト殿下とは離縁とし、追放とする!」
離縁!?追放!?そんな___!!
わたしは覚悟していた事だというのに、それを前にし、愕然となった。
わたしが立ち尽くしている間にも衛兵たちは動き、
わたしを牢から引っ張り出すと、地下牢から地上へと連れて行った。
外は夜の静寂に包まれている、月や星明かりも普段と変わらない。
直ぐ近くに、王宮のものとは思えない、簡素な馬車が停まっていた。
御者席には衛兵が二人座っている。
「早く乗れ!」
わたしは追い立てられる様にして、馬車に乗った。
これで、最後___!
そう思うと、わたしは堪らなくなり、カーテンを引き、外を見た。
暗い中に聳える宮殿を見ると、想いは溢れた。
ランメルト様___!!
この時になっても、わたしの頭にあるのは、ただ一人、彼の姿だった。
あの頃の優しいランメルト。
姉が転落してからは人が変わってしまったけど、どれだけ冷たく、邪険にされても、
わたしは彼を嫌う事は出来なかった。
姉の代わりでも、抱かれている時は幸せだった。
わたしで達する彼が、愛おしくて…
まさか、こんな風に別れが来るとは思っていなかった。
漸く、少しだが、歩み寄ってくれていたのに、こんな事になるなんて…
もっと、彼の為にしてあげられる事があったのではないか?
もっと、もっと、一緒に居たかった___!
馬車はもう一両の馬車と合流し、王宮を出た。
静まり返った夜の王都を駆ける。
追放先が何処なのか、わたしには見当も付かなかったが、何処でも一緒の様な気がした。
ランメルト様も、家族も、誰もいない場所なんて___
想像していたよりも早くに、馬車が歩みを止めた。
夜も深いからだろうか?
不思議に思い、カーテンの隙間から覗くと、
薄暗いながらも、何処か見覚えのある場所だと気付いた。
扉が開けられ、わたしは馬車を降りる。
そして、目の前に聳える館を見て、わたしは息を飲んだ。
ここは、王室所有の、別邸だ___!
いつか、嘗ての侍女、ジェーンを訪ねて来た事がある。
どうして、別邸に?
夜中だから、かしら?
それなら、朝に出発すれば良かったのにとも思ったが、
朝に王宮を出れば、王都の者たちの見世物になり、噂の的になる事は避けられないだろう。
それを避ける為に強行したのだろうか?
合流した馬車には、わたしの見張りが乗っているのかと思っていたが、
御者をしていた衛兵の一人を置き、他は誰も降りては来ず、
二両の馬車はそのまま敷地の奥へと向かった。
「こちらです」
御者をしていた衛兵が、わたしを館に促した。
王宮を出た時とは違い、物腰が柔らかく、わたしは困惑した。
だが、それだけではなかった…
「シャルリーヌ様、お待ちしておりました」
執事が迎えてくれ、館の中に入ると、使用人たちがズラリと並び、頭を下げていた。
修道女は部屋には入らず、扉の前で待つ様だった。
わたしが大司教に続いて部屋に入ろうとすると、あの修道女が顔を上げた。
何かを訴える様に、わたしを見つめてくる。
気になりながらも、わたしは「後でね」と小さく言い、部屋に入った。
お茶と菓子が運ばれ、メイドが部屋を出ると、わたしは姿勢を正した。
「何度もお聞きして申し訳ないのですが、姉、グレースの事です。
姉の愛する者が誰か分かったのですが、その方は《高貴な方》とは言えず…
姉がどうして、大司教様に《高貴な方》と申したのかが分からなくて…」
「《高貴な方》ではありません、《とても高貴な方》です、
きっと、口に出すのも畏れ多いと思ったのでしょう」
大司教は目を細めて微笑む。
だが、わたしは少し違和感を持った。
《高貴な方》《とても高貴な方》、わたしにはあまり違いが無かったが、
大司教には拘りがある様だ。
それに、《とても高貴な方》ならば、益々誰の事を言っているのか分からない。
「ですが、姉の相手は彼しか考えられません、姉は一途ですから」
「その通りです、グレース様は大変に信仰心が篤く、全てを神に捧げ、
修道女となる事を決心なさっていました___」
「ええ!?」
思わぬ事に、わたしはつい声を上げていた。
「姉がそんな事を!?とても信じられません…」
修道女になれば、ランメルトとの結婚は避けられるが、責任感の強い姉が、
そんな風に全てを放り出すとは思えなかった。
それに、ランメルトと結婚すれば、想いは叶わないまでもクレモンの傍にいられるが、
修道女となり神殿に入るとなれば、会う事も出来なくなる。
姉の様子からは、とても信じられなかった。
「信じられなくとも、神は全てをご存じです。
神に全てを捧げると誓ったものの、迷いが生じたのでしょう、
彼女は神の怒りを買い、遂には正気を失ってしまった…
神よ、憐れなグレースにご加護を___」
大司教は十字を切り、神妙に祈った。
そんな事で神の怒りが?それでは、あまりに厳し過ぎる。
陵辱の話をしても、神の怒りと言うだろうか?
混乱する頭の中を整理する中、わたしは《それ》に気付いた。
「待って下さい、姉が修道女になろうとしていたと言うのであれば、
《とても高貴な方》というのは…」
「神と等しい者の事でしょう」
大司教がゆったりと笑う。
一見、善人にも見えるその笑みだが、わたしはぞっとした。
「姉は、その《とても高貴な方》に、身を捧げたのですか?」
「はい、そう聞いています、彼女は神に純潔を捧げ、
清浄の乙女となられる事を誓ったのです___」
瞬間、頭の中で、バラバラだった欠片が重なった。
「あなたが、お姉様を陵辱したのね!!」
わたしは叫び、立ち上がった。
目の前の大司教は全く動じていない。
「陵辱などではありません、グレース自ら、その美しい体を差し出したのです」
「嘘だわ!!お姉様には愛する人がいたのよ!そんな事をする筈がないわ!!」
酷い!!絶対に許さない___!!
叫んだ時、バン!!と大きく扉が開かれ、ランメルトと数人の衛兵が入って来た。
わたしは驚き、一瞬固まっていた。
だが、大司教は違った、彼はこの機を逃さなかった。
「ああ!!お止め下さい!王子妃様――!!」
長ソファに崩れ落ち、喚き出した。
まるで、わたしが何かをしたかの様に…
「大司教、どうなさったのですか!?王子妃様が何か…」
「王子妃様が、このナイフで私を…」
大司教は、血の付いた小型のナイフをテーブルに投げた。
大司教の左手の甲には、赤い血が一筋走っている。
わたしは状況を察し、青くなった。
「私は神に仕える身、この様な事をなされば、必ずや天罰が下るでしょう!」
皆が疑惑の目でわたしを見た。
「ち…、違います!わたしは何もしていません!
これは、大司教様がご自分でなさった事です…」
わたしは必死で否定し、ランメルトに目で訴えた。
だが、ランメルトは冷ややかに一瞥しただけで、わたしから顔を反らすと、
「王子妃を牢へ連れて行け!」と命じたのだった。
そんな!!
「ランメルト様___!!」
わたしの叫びは無視された。
恰幅の良い衛兵たちに腕を掴まれ、わたしは抵抗も出来ず、
引き摺られる様にして部屋を出されたのだった。
◇
わたしは弁明の機会すら与えられず、地下牢に入れられた。
ランプの灯りはあるものの、薄暗く、酷く静かだ。
王子妃という事で、手荒な真似はされず、十分な食事が運ばれ、寝台も布団もあった。
だが、それが何の慰めになるというのだろう?
わたしは大司教の命を狙った極悪人にされてしまったのだ!
大司教はわたしの事を、「悪魔に取り憑かれている」とか、
「処刑でしか救われない」とか、好き勝手に言っているらしい。
大司教こそ、悪魔であり、極悪人に違いないというのに!!
わたしは自分がどうなろうと構わないが、大司教の罪だけは明らかにしたい___!
強く願いながらも、それをする事は出来ないと気付いた。
大司教を糾弾する事は、姉の不名誉が世間に晒される事でもあるからだ。
そうなれば、姉は二度も辱められるのだ!
それに、愛するクレモンに知られたら…
「お姉様はわたしを許してくれないわ…」
わたしは、ただ、暗殺未遂を否定するしかなかった。
「お姉様…ごめんなさい…」
何も出来ず、大司教に陥れられた自分が不甲斐なかった。
一瞬、確かに、大司教に対し、殺意を持った。
殺してやりたい程に憎かった。
もし、ナイフを持っていたら、そうしていたかもしれない。
いや、こうなるのであれば、そうしていれば良かったのだ___!
「許せる筈がないもの…!!」
愛する姉を陵辱し、幸せを奪ったのだ!!
姉は何も悪い事はしていないのに___
「ランメルト様…」
無意識に、その名を呼んでいた。
彼は信じてくれなかったというのに…
自分でも愚かしいと思う。
それでも、わたしには彼だけだった。
◇◇
地下牢に入って二日目の夜、衛兵たちが現れ、それを告げた。
「王子妃シャルリーヌ!大司教暗殺未遂により、王子妃を剥奪!
ランメルト殿下とは離縁とし、追放とする!」
離縁!?追放!?そんな___!!
わたしは覚悟していた事だというのに、それを前にし、愕然となった。
わたしが立ち尽くしている間にも衛兵たちは動き、
わたしを牢から引っ張り出すと、地下牢から地上へと連れて行った。
外は夜の静寂に包まれている、月や星明かりも普段と変わらない。
直ぐ近くに、王宮のものとは思えない、簡素な馬車が停まっていた。
御者席には衛兵が二人座っている。
「早く乗れ!」
わたしは追い立てられる様にして、馬車に乗った。
これで、最後___!
そう思うと、わたしは堪らなくなり、カーテンを引き、外を見た。
暗い中に聳える宮殿を見ると、想いは溢れた。
ランメルト様___!!
この時になっても、わたしの頭にあるのは、ただ一人、彼の姿だった。
あの頃の優しいランメルト。
姉が転落してからは人が変わってしまったけど、どれだけ冷たく、邪険にされても、
わたしは彼を嫌う事は出来なかった。
姉の代わりでも、抱かれている時は幸せだった。
わたしで達する彼が、愛おしくて…
まさか、こんな風に別れが来るとは思っていなかった。
漸く、少しだが、歩み寄ってくれていたのに、こんな事になるなんて…
もっと、彼の為にしてあげられる事があったのではないか?
もっと、もっと、一緒に居たかった___!
馬車はもう一両の馬車と合流し、王宮を出た。
静まり返った夜の王都を駆ける。
追放先が何処なのか、わたしには見当も付かなかったが、何処でも一緒の様な気がした。
ランメルト様も、家族も、誰もいない場所なんて___
想像していたよりも早くに、馬車が歩みを止めた。
夜も深いからだろうか?
不思議に思い、カーテンの隙間から覗くと、
薄暗いながらも、何処か見覚えのある場所だと気付いた。
扉が開けられ、わたしは馬車を降りる。
そして、目の前に聳える館を見て、わたしは息を飲んだ。
ここは、王室所有の、別邸だ___!
いつか、嘗ての侍女、ジェーンを訪ねて来た事がある。
どうして、別邸に?
夜中だから、かしら?
それなら、朝に出発すれば良かったのにとも思ったが、
朝に王宮を出れば、王都の者たちの見世物になり、噂の的になる事は避けられないだろう。
それを避ける為に強行したのだろうか?
合流した馬車には、わたしの見張りが乗っているのかと思っていたが、
御者をしていた衛兵の一人を置き、他は誰も降りては来ず、
二両の馬車はそのまま敷地の奥へと向かった。
「こちらです」
御者をしていた衛兵が、わたしを館に促した。
王宮を出た時とは違い、物腰が柔らかく、わたしは困惑した。
だが、それだけではなかった…
「シャルリーヌ様、お待ちしておりました」
執事が迎えてくれ、館の中に入ると、使用人たちがズラリと並び、頭を下げていた。
64
あなたにおすすめの小説
冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
いっそあなたに憎まれたい
石河 翠
恋愛
主人公が愛した男には、すでに身分違いの平民の恋人がいた。
貴族の娘であり、正妻であるはずの彼女は、誰も来ない離れの窓から幸せそうな彼らを覗き見ることしかできない。
愛されることもなく、夫婦の営みすらない白い結婚。
三年が過ぎ、義両親からは石女(うまずめ)の烙印を押され、とうとう離縁されることになる。
そして彼女は結婚生活最後の日に、ひとりの神父と過ごすことを選ぶ。
誰にも言えなかった胸の内を、ひっそりと「彼」に明かすために。
これは婚約破棄もできず、悪役令嬢にもドアマットヒロインにもなれなかった、ひとりの愚かな女のお話。
この作品は小説家になろうにも投稿しております。
扉絵は、汐の音様に描いていただきました。ありがとうございます。
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
大好きなあなたが「嫌い」と言うから「私もです」と微笑みました。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
私はずっと、貴方のことが好きなのです。
でも貴方は私を嫌っています。
だから、私は命を懸けて今日も嘘を吐くのです。
貴方が心置きなく私を嫌っていられるように。
貴方を「嫌い」なのだと告げるのです。
愛さないと言うけれど、婚家の跡継ぎは産みます
基本二度寝
恋愛
「君と結婚はするよ。愛することは無理だけどね」
婚約者はミレーユに恋人の存在を告げた。
愛する女は彼女だけとのことらしい。
相手から、侯爵家から望まれた婚約だった。
真面目で誠実な侯爵当主が、息子の嫁にミレーユを是非にと望んだ。
だから、娘を溺愛する父も認めた婚約だった。
「父も知っている。寧ろ好きにしろって言われたからね。でも、ミレーユとの婚姻だけは好きにはできなかった。どうせなら愛する女を妻に持ちたかったのに」
彼はミレーユを愛していない。愛する気もない。
しかし、結婚はするという。
結婚さえすれば、これまで通り好きに生きていいと言われているらしい。
あの侯爵がこんなに息子に甘かったなんて。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる