俺たちの幕間(注:かっこいい人はいません)

仙桜可律

文字の大きさ
12 / 16

マリアの悩み

しおりを挟む
「もうちょっと、て感じなんですよぉー!聞いてます?」

「あ、ハイ」

リナ、はよ帰ってきて。

酔ったマリアを前にカイは困っていた。

リナとマリアがお酒を飲みに行ったのだが遅いので迎えに来た。

そしたらカイにも少し飲んだら?とリナが注文をしに行って、席にマリアと二人残ることになった。

それだけでも気まずいのに。

マリアさん、できあがってます。

こうなったマリア嬢のことは
苦手としている。
自分の嫁は可愛いが、他の女性はだいたい全部面倒くさい。
嫁の友達は気を使うので面倒くさいのが二割増し。
仕事仲間の彼女は気を使うので面倒くさいのが二割増し。
要するにとても苦手。
リナが世話になってる分、余計なこともいえないからひたすら我慢をしている。

愚痴の内容は
「ヒューゴが恋人として一年近くなろうとしているのに、一線を越えてくれない」

ということだ。

そんなん知らんがな

と言いたい。

そんなん知らんし、知りたくもない。
なんなら直接ヒューゴに聞いてくれ

「いい雰囲気になっても、ダメなんです!なんでですか!」

「……前に、マリア嬢に逃げられたのがショックだったんだと思います」

「やっぱり、そうですよねえ……」

付き合う前に、ヒューゴに告白して姿を消したことがあった。
その時のヒューゴは見ていられなかった。

「私のせいですよね」

「あー、いや、そうではなくて。多分あいつも考えてないわけではないんだろうけど」

マリア嬢とのことは真剣に考えている。ちょっと気持ち悪いくらいに準備をしてから手を出そうと思っているみたいだけど、そんなことを言えるわけもない。
他人が口を出すことではない。

リナが帰ってきた。

なんで軽く一杯って言ってたのに瓶を持ってるんだ。

「リナ、飲み過ぎ。」

「だって、マリアちゃんこんなに可愛いのにヒューゴさんひどいよう」

うるうるしている嫁可愛い。

違う、そうやない。

「ヒューはマリア嬢と出会ってから変わったから、時期を見てきちんとするつもりだと思うけど。」

そのあと、マリアを送ってからリナと二人で話した。

というか、リナがヒューゴのことをひどいひどいと責めるように言うので宥めていた。

「庇うわけじゃないけどな、ヒューゴはものすごく慎重にマリアさんのことを考えてるだけで、大切にしてるんだ」

「でも不安にさせてたら意味ないじゃないの」

「まあそうかもしれんが、マリア嬢はなんで焦ってるんだ?貴族令嬢だったんだろ?男女のその、あれこれなんて縁がなかっただろうしヒューゴもそれで、怖がられないかと思ってるんじゃないか」

「逆よ。
貴族は婚約してても家の都合で解消したり、離縁したりも多いらしいよ。昔は初夜で初めて相手の顔を見たりしたこともあったんだって。
もし、マリアちゃんが貴族に戻ったら処女だと他の貴族と婚約しちゃうかもしれないよ?
早く捨てたいの。古い考えの育ちだから守りたい人もいれば服を脱ぐみたいに身軽になりたい人もいるのよ。
マリアちゃんが不安なのはヒューゴさんが気を使ってるのが、貴族育ちだからってところよ。

ほんっと、男ってつまらない!

いつでも、マリアちゃんはヒューゴさんに飛び込んで掴まえていて欲しいのに」

怒って頬を膨らます嫁可愛い。

そうやない。

「まあ俺やリナが口を出すことじゃないのは、わかるな?」

「わかってるから腹が立つの!もう、カイさんリナを子供扱いして!わかってるよ、リナだって」

「ハイハイ。子供じゃないのは知ってるから早く帰って寝よう」

酔っているリナは可愛いので抱き上げて早く人目に触れないように連れかえって閉じ込めなくては。


「まあ、それぞれだからな。俺はお前を我慢できなかったから、あいつの気持ちはわからない」

ものすごく我慢して、辛かったけど離れてみてやっぱり無理で、どんな手を使っても取り戻そうとした。

「カイさん?どうしたの」

小首をかしげて、酔った目で見上げてくる。

「んー、今日はちょっとお仕置きしよかなって。リナ何回もヒューゴの名前呼んだから」

「んっ、それは、仕方ない、だって、」 

何度もキスをしながらじたばたと逃げようとする。

人のことばっかり言う口は塞いでしまおうと思った

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

駄犬の話

毒島醜女
恋愛
駄犬がいた。 不幸な場所から拾って愛情を与えたのに裏切った畜生が。 もう思い出すことはない二匹の事を、令嬢は語る。 ※かわいそうな過去を持った不幸な人間がみんな善人というわけじゃないし、何でも許されるわけじゃねえぞという話。

【完結】俺のかっこいい彼女(付き合ってます)

仙桜可律
恋愛
黒の騎士と呼ばれるヒューゴと、元貴族令嬢のマリアは両思いとなった。平民の暮らしに慣れようとするマリアと、奮闘する彼女を見守るヒューゴ。 その二人を焦れったいと思いながらも応援する周囲の人々。 「私のいとしい騎士様」「俺のゆるせないお嬢様」「私のかわいい騎士さま」の続編です。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

俺の子供が出来ためでたい?あの……婚約者の私は懐妊していないのですが?

仰木 あん
恋愛
ショートショートです

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...