【完結】うっかり者の看板役者は冷たい龍に惚れる

仙桜可律

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龍の女とカイは繋がっていると思った

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西の大陸についたシュラクは、龍の一族について聞き込みを続けていた。

カイのいるという街までの間も龍の女を探していた。
この辺りでは東の大陸出身だとわかるような容姿は少ない。カイという人物が定住していることがありがたかった。すぐに会えそうな場所をいくつか絞り込めた。

騎士団まで面会を申し込めばカイが出てきた。

「こんにちは、少し人探しをしていて。ミクから聞いて来ました」

一応、西の大陸の標準語で話す。
「ああ、ミクの紹介か。で、誰を探している」

愛想もなく用件を聞いてきた。ぶっきらぼうにも思えるが、ミクで慣れている。
下手な腹の探りあいをしない。
カイは勤務中なのか制服を着ていた。ミクのいうようにヒゲもないし、40歳より若く見えた。
線の細い少し神経質そうな男だが、いかにも龍の一族という容姿はシュラクにとって好ましかった。腕組みをして壁にもたれているのも格好いいと思える。
せいぜい30代だろう。ミクの目もアテにならないな。

「西の大陸で、○○地方の△△池で、舟遊びの時に出会ったーーーー」

探している女の特徴を言う。
メモを取っていたカイの手が止まる
「黒髪を下ろしていて、仮面を付けていた。赤い龍の刺繍をしてある服を着ていた。扇を持っていた」

「探してどうするつもりだ」

カイの声が鋭くなった。

「どうするか決めていない。ただ会いたい。忘れられないんだ」

カイはため息をついた。

「ミクからも聞いているかもしれないが、俺たちの一族は身分を隠すこともある。見つからないなら相手が見つけてほしくない場合もある。
ある程度追って満足したら帰れ」

「それは、わかってる」

シュラクも諦めかけていた。

カイの表情をみて、何かあると思った。
龍の女について『知らない』『知っている』よりも先に、どうするつもりかを確かめた。

聞き込みを続けてしばらく様子をみることにした。
噂が集まるのは夜の商売の世界。

そこでも、シュラクは視線を集め、少し色気を出すだけで女が寄ってきた。

「龍の番といわれた女がいる」
「龍に愛された女」
「嫉妬深い龍に隠された女」

そんなことを聞いて、目当ての女に近づいていると実感した。
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