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いつつ命のいとぐるま
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振り返ると、天狗がいた。目元は黒い仮面で覆っている。くちばしがある。黒い羽が生えている。
ヤツデの葉っぱを持っている。
赤い顔でもないし、鼻も突き出ていないけれど、天狗だとわかった。
「人間の娘がこんなところにいるとは、食っていいってことだな」
ニヤリと笑って寄ってくる
「ひっ、私は」
「ここに誰が連れてきたのか知らぬが、裸の女を置いて離れるなど雄のすることとも思えぬ。味見してやろう」
そう言って腕を掴んで温泉からあげようとする
「困ります」
「まあまあ、任せておけ。」
そういって岩に座らせて葉っぱで扇いだ。温かい風が乾かしていく。
そうしながら、首もとに唇を寄せられた。
「うん?お前まだ抱かれてないな」
つつ、と首筋を指でなぞられる。ぞわっとした。
「やめてください」
「非力な人の子など、術で縛って抱くことも容易いが、わりと抵抗されるのも良いものだ」
着物の襟を落とされて肩が出る。
「助けて」
(黒竜、早く来て)
でも、気が変わったのかも知れない。私は本当の花嫁でもないし、さっきも嫌がったから。それでも、こんなことになるんなら黒竜にされるほうが良かった、
じわ、と涙が浮かぶ。
惜しくもないと思っていた命だけど、黒竜にまだお礼を言っていない
「そいつを放せ」
竜がしっぽで地面を叩いた。
土煙がたつ。
天狗がミヤから離れる。
「お前、竜の番だったのか?」
「番?」
「いや違うか。番なら離れるわけがない。まあ少々厄介な相手というわけか」
「そいつに何をした」
「なにもしてない。抱いてないのは匂いでわかるであろう」
「触っただろう」
「ふん、竜は幼体でも一人前に嫉妬深い。
そんな小娘など要らぬわ」
天狗が飛び立って、黒竜は人の形になってミヤのそばに来た。座り込んだミヤを抱き止めた。
「すまない。一人にするべきじゃなかった。怖かっただろう」
ミヤは黒竜に抱きついて、子供のように泣いた。
背中をとんとんとあやしながら、黒竜は山の上の建物を見た。
神の旅籠街がある。
こいつには誰もいないんだよな。
だったら、もう人じゃなくなっても良いだろうか。
ヤツデの葉っぱを持っている。
赤い顔でもないし、鼻も突き出ていないけれど、天狗だとわかった。
「人間の娘がこんなところにいるとは、食っていいってことだな」
ニヤリと笑って寄ってくる
「ひっ、私は」
「ここに誰が連れてきたのか知らぬが、裸の女を置いて離れるなど雄のすることとも思えぬ。味見してやろう」
そう言って腕を掴んで温泉からあげようとする
「困ります」
「まあまあ、任せておけ。」
そういって岩に座らせて葉っぱで扇いだ。温かい風が乾かしていく。
そうしながら、首もとに唇を寄せられた。
「うん?お前まだ抱かれてないな」
つつ、と首筋を指でなぞられる。ぞわっとした。
「やめてください」
「非力な人の子など、術で縛って抱くことも容易いが、わりと抵抗されるのも良いものだ」
着物の襟を落とされて肩が出る。
「助けて」
(黒竜、早く来て)
でも、気が変わったのかも知れない。私は本当の花嫁でもないし、さっきも嫌がったから。それでも、こんなことになるんなら黒竜にされるほうが良かった、
じわ、と涙が浮かぶ。
惜しくもないと思っていた命だけど、黒竜にまだお礼を言っていない
「そいつを放せ」
竜がしっぽで地面を叩いた。
土煙がたつ。
天狗がミヤから離れる。
「お前、竜の番だったのか?」
「番?」
「いや違うか。番なら離れるわけがない。まあ少々厄介な相手というわけか」
「そいつに何をした」
「なにもしてない。抱いてないのは匂いでわかるであろう」
「触っただろう」
「ふん、竜は幼体でも一人前に嫉妬深い。
そんな小娘など要らぬわ」
天狗が飛び立って、黒竜は人の形になってミヤのそばに来た。座り込んだミヤを抱き止めた。
「すまない。一人にするべきじゃなかった。怖かっただろう」
ミヤは黒竜に抱きついて、子供のように泣いた。
背中をとんとんとあやしながら、黒竜は山の上の建物を見た。
神の旅籠街がある。
こいつには誰もいないんだよな。
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