【番外編小話】魔術師団長と侍女と先輩侍女と元魔術師

仙桜可律

文字の大きさ
2 / 4

侍女たちの集会

しおりを挟む
「さて、今日の議題は」

戸締まりよし、お酒よし、おつまみよし。
侍女たちが夜に集まってお喋りを楽しむ。
月に一度くらいの頻度で続いていた。
「いかにして良縁をモノにするか!」

毎回テーマは同じような気がする。
気のせいだ。

「といってもリーゼは結婚しちゃったし、カトリーヌさんも彼氏が出来てしあわせそうだし」

「それな」

後輩侍女たちが手酌で飲み始める。

「リーゼさんみたいに溺愛にも憧れるけど、カトリーヌさんの彼氏さんってなんか余裕ありそうじゃないですか?
『仕事をしたいなら応援するよ、結婚?いつでもいいよ。カトリーヌのしたいときで』みたいな感じのガツガツしてないのも優しさって感じで」

「えっ、そうなの?」

「いや、全部想像だけど」

「でも確かにカトリーヌさんって、前より余裕がある気がする。優しくなったし」

「愛されてるって感じがするし、肌もキレイだし」

ジオスの好感度が高いのは、侍女仲間にハンドクリームが好評だからだ。

「あれホントに良いよね。しかも、カトリーヌさんのために作ったって聞いたの!
魔術師って、そういう器用で細かい作業も得意なら、結婚相手に良くない?お料理とかもしてくれそう」

「洗濯もしてくれたり」
「掃除も!」
「買い物も物質移動で店から送ってくれたら楽だよね」
「というか店に転移してもらったら」
「……転移するくらいなら
夫ひとりで買い物してきて欲しいわね」

「それ、魔術使わなくても普通に夫が行ったら良いよね」

かなり皆お酒が進んで魔術師への期待値が上がっている。
「カトリーヌさん、キレイになったよね。更に。特別なクリームをもらってるのかしら」

「愛されてる自信が漲ってるよね」

「あとちょっと、エロい」

キャー!
と笑いあっていた。

「やっぱり結婚したーい!でも仕事も頑張りたい~。でも、リーゼさんみたいに一目惚れから溺愛もされたい。

仕事を頑張ろうって思えるような、ご褒美的な男性と出会う方法ないのかな。今すぐ結婚したい訳じゃないんだけど……」

「毎日見てると飽きるから、レア度高めのほうが良いよね」

「うーん、王家とか?」

「それは恐れ多いわ」

「じゃあ隣国からのお客様で高位貴族は?」

「それ最高の目の保養じゃないですか」

そんな他愛もない話をしながら夜は更けていく。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ちょっと読みたい本があるので後宮に行ってきます

仙桜可律
恋愛
梨杏は母譲りの美声と父譲りの学識を持った下級貴族の娘。母は王宮へ推薦する楽士の私塾の講師。父は年に数回は王宮へ招かれる学者。庶民と変わらない暮らしをしていた。 本が何よりも好きで、王宮の書庫が大好き。子供の頃は両親について行ってわざと迷っては書庫に潜り込んだ。 しかし大人になってからは難しく、下女か侍女の募集を狙っていた。 中華風設定です。 色気妖怪と呼ばれる帝弟と書痴娘

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

【完結】俺のかっこいい彼女(付き合ってます)

仙桜可律
恋愛
黒の騎士と呼ばれるヒューゴと、元貴族令嬢のマリアは両思いとなった。平民の暮らしに慣れようとするマリアと、奮闘する彼女を見守るヒューゴ。 その二人を焦れったいと思いながらも応援する周囲の人々。 「私のいとしい騎士様」「俺のゆるせないお嬢様」「私のかわいい騎士さま」の続編です。

戦場跡より愛を込めて

仙桜可律
恋愛
戦争終結の後始末に派遣された騎士団員と戦災孤児の話

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

【完結】王城司書がチャラい作家と出会った話

仙桜可律
恋愛
王城図書館司書のシアは誰からも真面目な女性だと思われていた。自身でもそう思っていた。きっちりとした纏め髪、紺色に白いカフスのワンピース。グレーのスカーフを巻いている。 そんな彼女が見るからに軽い男性に口説かれて髪をほどかれている。 なんでこんなことに……? シアが意識するよりずっと前から狙われていたなんて。彼は流行りの劇作家だという。嘘を本当にしてしまいそうな口振りにシアは翻弄される。 一見チャラい彼は実は策士でした。 劇作家×真面目司書 酔菜亭『エデン』シリーズ

処理中です...