4 / 13
ミラは夢を見る
しおりを挟む
ワイアットの邸につく数時間前。
ギリムは転移魔法でワイアットの邸に行こうとしていた。
それをミラが止めた。
「せめて王都の景色を見てみたいんです!お願いします!」
「えー、めんどくさい。じゃあ王都の中央から少しだけ馬車に乗るか」
「ありがとうございます!」
ギリムが急ぐのには理由がある。
「あいつ、土壇場でやっぱり無理!って、逃げそうなんだよな」
ワイアットと長い付き合いだからこそ、行動をよんでいた。
実際その通りになった。
「師匠!見てください!美味しそうなパン屋さんが」
「師匠、あんなに可愛い犬が!」
「師匠、キレイな宝石の看板があります!」
ギリムは腕組みをして寝ている。
「師匠、王都にはあんなにスタイルの良いお姉さんが!」
「どこ!?」
窓に張り付くように飛び起きたギリムに、ミラーさの冷たい視線が刺さる。
「師匠のそういうところ、本当にどうかと思います」
「ふっ、お子さまにはわからないだろうが、俺は恋愛のエネルギーで上手く魔力を調整してるんだよ」
絶対に嘘だ、とミラは思った。
ワイアットの邸に着いたときに、使用人たちが青ざめていた。
奥から出てきたのは若い男性だった。
黒髪で目が鋭い。
怖い人かな?と思ったけど話し方が丁寧で優しかった。
カインさん、というワイアット様の弟子は邸のことを任されているようで、使用人の人も執事もカインさんに相談していた。
師匠がすぐに帰るとわかったときに、私よりカインさんのほうが慌てていた。
私が心細いから師匠も泊まっていったらどうかと勧めてくれていた。
心細いどころか師匠がいたら落ち着かない。
師匠が早く王都に来たかった理由は、女の人と約束をしているからだ。しかも複数。
なので、居ない方が落ち着く。
まあそんな汚れた師匠の事情をカインさんに言うわけにはいかない。これでも弟子なので恩がある。最低限の尊厳は守らないと。
師匠が帰ってから部屋に案内された。
侍女さん?で良いのだろうか。おばあちゃんと呼びたいくらいの優しそうな女性。
ワイアット様がとても優しいし優秀な方だということを教えてくれた。
部屋は白を基調とした感じで落ち着いている。客間なので、あまり物がない。
荷物を整理しないといけないけれど、特に急ぐものもない。
あ、王都で服を買いなさいと師匠からお金をもらっていた。
明日にでも王都の中心街で買いたい。
出かけることを言っておけば自由に過ごして良いと言われた。
あとで
カインさんに……
「ミラさん?」
ぱち、と目を開けるとカインさんがいた。
かなりの近くで
「ああ良かった。部屋の前で何度か声をかけたんですが……ソファで突っ伏しているから心配しました。」
「あ、すみません……」
初日から心配をかけてしまった。
「この部屋は殺風景でしょう。あなたの好みがわからなかったので、とりあえず客間のままにしてます。
よかったら、近いうちに必要なものを買いに行きましょう。」
「いいんですか?」
「好きなものを選んだ方が快適に過ごせるでしょう」
「ありがとうございます!」
カインさん親切!
「お菓子ここに置いてます。夕飯は呼びに来ます」
「カインさんも一緒に食べてくれるんですか」
「あ、いや、私は……一緒の方が良いですか?」
「はい」
すると、カインは一瞬苦い顔をした。
「わかりました。なるべくそうします。では、ゆっくりしてください。」
カインが出ていったあと、ミラはベッドに潜り込んだ。
ふわふわで、気持ちいい。
迎える準備をしてくれたこの邸の人とワイアット様に感謝をした。
ギリムは転移魔法でワイアットの邸に行こうとしていた。
それをミラが止めた。
「せめて王都の景色を見てみたいんです!お願いします!」
「えー、めんどくさい。じゃあ王都の中央から少しだけ馬車に乗るか」
「ありがとうございます!」
ギリムが急ぐのには理由がある。
「あいつ、土壇場でやっぱり無理!って、逃げそうなんだよな」
ワイアットと長い付き合いだからこそ、行動をよんでいた。
実際その通りになった。
「師匠!見てください!美味しそうなパン屋さんが」
「師匠、あんなに可愛い犬が!」
「師匠、キレイな宝石の看板があります!」
ギリムは腕組みをして寝ている。
「師匠、王都にはあんなにスタイルの良いお姉さんが!」
「どこ!?」
窓に張り付くように飛び起きたギリムに、ミラーさの冷たい視線が刺さる。
「師匠のそういうところ、本当にどうかと思います」
「ふっ、お子さまにはわからないだろうが、俺は恋愛のエネルギーで上手く魔力を調整してるんだよ」
絶対に嘘だ、とミラは思った。
ワイアットの邸に着いたときに、使用人たちが青ざめていた。
奥から出てきたのは若い男性だった。
黒髪で目が鋭い。
怖い人かな?と思ったけど話し方が丁寧で優しかった。
カインさん、というワイアット様の弟子は邸のことを任されているようで、使用人の人も執事もカインさんに相談していた。
師匠がすぐに帰るとわかったときに、私よりカインさんのほうが慌てていた。
私が心細いから師匠も泊まっていったらどうかと勧めてくれていた。
心細いどころか師匠がいたら落ち着かない。
師匠が早く王都に来たかった理由は、女の人と約束をしているからだ。しかも複数。
なので、居ない方が落ち着く。
まあそんな汚れた師匠の事情をカインさんに言うわけにはいかない。これでも弟子なので恩がある。最低限の尊厳は守らないと。
師匠が帰ってから部屋に案内された。
侍女さん?で良いのだろうか。おばあちゃんと呼びたいくらいの優しそうな女性。
ワイアット様がとても優しいし優秀な方だということを教えてくれた。
部屋は白を基調とした感じで落ち着いている。客間なので、あまり物がない。
荷物を整理しないといけないけれど、特に急ぐものもない。
あ、王都で服を買いなさいと師匠からお金をもらっていた。
明日にでも王都の中心街で買いたい。
出かけることを言っておけば自由に過ごして良いと言われた。
あとで
カインさんに……
「ミラさん?」
ぱち、と目を開けるとカインさんがいた。
かなりの近くで
「ああ良かった。部屋の前で何度か声をかけたんですが……ソファで突っ伏しているから心配しました。」
「あ、すみません……」
初日から心配をかけてしまった。
「この部屋は殺風景でしょう。あなたの好みがわからなかったので、とりあえず客間のままにしてます。
よかったら、近いうちに必要なものを買いに行きましょう。」
「いいんですか?」
「好きなものを選んだ方が快適に過ごせるでしょう」
「ありがとうございます!」
カインさん親切!
「お菓子ここに置いてます。夕飯は呼びに来ます」
「カインさんも一緒に食べてくれるんですか」
「あ、いや、私は……一緒の方が良いですか?」
「はい」
すると、カインは一瞬苦い顔をした。
「わかりました。なるべくそうします。では、ゆっくりしてください。」
カインが出ていったあと、ミラはベッドに潜り込んだ。
ふわふわで、気持ちいい。
迎える準備をしてくれたこの邸の人とワイアット様に感謝をした。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子に鉄槌を
ましろ
恋愛
私がサフィア王子と婚約したのは7歳のとき。彼は13歳だった。
……あれ、変態?
そう、ただいま走馬灯がかけ巡っておりました。だって人生最大のピンチだったから。
「愛しいアリアネル。君が他の男を見つめるなんて許せない」
そう。殿下がヤンデレ……いえ、病んでる発言をして部屋に鍵を掛け、私をベッドに押し倒したから!
「君は僕だけのものだ」
いやいやいやいや。私は私のものですよ!
何とか救いを求めて脳内がフル稼働したらどうやら現世だけでは足りずに前世まで漁くってしまったみたいです。
逃げられるか、私っ!
✻基本ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました
雨宮羽那
恋愛
結婚して5年。リディアは悩んでいた。
夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。
ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。
どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜
【完結】小さなマリーは僕の物
miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。
しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。
※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた
小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。
7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。
ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。
※よくある話で設定はゆるいです。
誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました
3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」
男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。
初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。
その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。
しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。
社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。
一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる