10 / 13
カインの同級生
しおりを挟む
「シーツとクッションとカーテン、文房具、他には衣服でしょうか」
色々と見て回り、休憩のためにカフェに入ろうとしたところで
「カイン!久しぶり!」
一組のカップルと出会った。
女性のほうは満面の笑顔で。男性のほうは申し訳なさそうに。
「……久しぶり」
「もー!珍しいじゃないこんなところで出会うなんて!それもあなたが女の子と一緒だなんて!式はいつ?それともまだこれから?今から私たちもお茶にしようって言ってたから、良かったら一緒にどうかしら。あっちのお店のケーキがオススメなのよー?」
「相変わらずだな」
カインが一言返した。
「すまない、少し前からお前達を見て、俺は止めたんだけどエミリーが興味を持ってしまって。お嬢さんも突然すまない。」
男性が頭を下げた。
「ミラさん、俺の同級生でケレスとエミリー。学園を卒業後に恋人になった。エミリーは女性の友達も多いから恋愛の話をたくさん知っているだろうと思う。ケレスは騎士をしている。怪しいものではない。
この店は確かに男性向けなので、ミラさんの食べたいものはあちらの店のほうがあるかもしれない。行ってもいいか?」
「はい!ぜひ」
「よろしく!ミラちゃんは若いわね!幾つ?」
「15歳です」
「可愛いわあ。カイン、犯罪ギリギリね!」
「おい、待て」
「いいのよ、愛があれば!」
「たぶんエミリーが先走って勘違いをしているな。後で言っておくから。」
ケレスの良識がありがたい。
「しかし学園時代に女子に興味のなかったカインが、まさか……。じっくり成長を待って自分で育てたい願望とかあったとは……」
「待て」
お前も発想が極端なんだが。
ミラはエミリーに腕を組まれて先にカフェに向かっている
「ミラさんは師匠が預かっただけで俺とはそういうことは何もないからな。あまり変なことを吹き込まないでくれ」
「エミリーがもう言ってると思うけど」
カインは走っていった。
「エミリー、ミラさんに余計なことを言ってないよな?」
「そんなに慌てて来なくても。ケーキを選んでいただけだってば」
ミラはケースに並んだケーキを見比べて迷っている。
「どうしよう、カインさん選べません……!」
「何個でも頼めばいい」
「わかってないわねえ。女の子はそんなに一度にたくさん食べられないのよ、
ケレス!お手本!
『選べないわ~!』」
「じゃあ俺のも選んで?シェアしよう。あと、何度でも来ればいいじゃないか。一緒に」
「ケレス大好き!
わかった?これよ!これ!」
ミラはキラキラした目で二人を見ている。
「すごいなお前」
「慣れてるからね。まあ、女子の『迷ってる』は、その時間も楽しんでるんだと思うよ。買い物も時間がかかっただろう?」
「……ああ、そういうことか。ミラはわりと即決だったが……」
「じゃあこれとこれと、」
エミリーが注文している。
ミラの飲み物も選んでくれたらしい。
やはり女性同士は話が合うのだろう。エミリーは悪い奴ではない。ただ好奇心が強いのと学園時代は惚れっぽくて、女生徒の間では揉めていたと聞く。ケレスと付き合ってからは落ち着いているというか、ケレスが甘やかしているようだ。
飲み物とケーキが運ばれてきた。
ミラは美味しそうにケーキを食べている。
エミリーはケレスにケーキを一切れ差し出した。
ケレスも自分のパイを差し出す。
甘い。
空気が。
二人がカインをじっと見ている。
待て。俺は無理だからな。
そんな目で見るな
「ミラさん、これも食べるといい」
「良いんですか?」
皿を差し出すだけで精一杯。
「美味しそうに食べてるから、見てるだけで楽しい」
ケレスとエミリーは、ニヤニヤしている。
ミラはケーキに夢中で気づかなかった。
「このあと、私とミラちゃんで買い物してもいい?」
「いいのか?」
「女同士じゃないと入れない店もあるのよ。カイン、服や下着の試着までついてこれないでしょ」
確かにそれは難しい。
「では、ケレスとどこか見てくる。帰りは送らせてくれ。馬車で来ているから」
「わあ、嬉しい。じゃあお酒を飲んでてもいいわよ!どうせ夕方までかかるから!」
「おい、あんまりミラさんを疲れさせるなよ」
「はーい」
エミリーはヒラヒラと手を振った。
色々と見て回り、休憩のためにカフェに入ろうとしたところで
「カイン!久しぶり!」
一組のカップルと出会った。
女性のほうは満面の笑顔で。男性のほうは申し訳なさそうに。
「……久しぶり」
「もー!珍しいじゃないこんなところで出会うなんて!それもあなたが女の子と一緒だなんて!式はいつ?それともまだこれから?今から私たちもお茶にしようって言ってたから、良かったら一緒にどうかしら。あっちのお店のケーキがオススメなのよー?」
「相変わらずだな」
カインが一言返した。
「すまない、少し前からお前達を見て、俺は止めたんだけどエミリーが興味を持ってしまって。お嬢さんも突然すまない。」
男性が頭を下げた。
「ミラさん、俺の同級生でケレスとエミリー。学園を卒業後に恋人になった。エミリーは女性の友達も多いから恋愛の話をたくさん知っているだろうと思う。ケレスは騎士をしている。怪しいものではない。
この店は確かに男性向けなので、ミラさんの食べたいものはあちらの店のほうがあるかもしれない。行ってもいいか?」
「はい!ぜひ」
「よろしく!ミラちゃんは若いわね!幾つ?」
「15歳です」
「可愛いわあ。カイン、犯罪ギリギリね!」
「おい、待て」
「いいのよ、愛があれば!」
「たぶんエミリーが先走って勘違いをしているな。後で言っておくから。」
ケレスの良識がありがたい。
「しかし学園時代に女子に興味のなかったカインが、まさか……。じっくり成長を待って自分で育てたい願望とかあったとは……」
「待て」
お前も発想が極端なんだが。
ミラはエミリーに腕を組まれて先にカフェに向かっている
「ミラさんは師匠が預かっただけで俺とはそういうことは何もないからな。あまり変なことを吹き込まないでくれ」
「エミリーがもう言ってると思うけど」
カインは走っていった。
「エミリー、ミラさんに余計なことを言ってないよな?」
「そんなに慌てて来なくても。ケーキを選んでいただけだってば」
ミラはケースに並んだケーキを見比べて迷っている。
「どうしよう、カインさん選べません……!」
「何個でも頼めばいい」
「わかってないわねえ。女の子はそんなに一度にたくさん食べられないのよ、
ケレス!お手本!
『選べないわ~!』」
「じゃあ俺のも選んで?シェアしよう。あと、何度でも来ればいいじゃないか。一緒に」
「ケレス大好き!
わかった?これよ!これ!」
ミラはキラキラした目で二人を見ている。
「すごいなお前」
「慣れてるからね。まあ、女子の『迷ってる』は、その時間も楽しんでるんだと思うよ。買い物も時間がかかっただろう?」
「……ああ、そういうことか。ミラはわりと即決だったが……」
「じゃあこれとこれと、」
エミリーが注文している。
ミラの飲み物も選んでくれたらしい。
やはり女性同士は話が合うのだろう。エミリーは悪い奴ではない。ただ好奇心が強いのと学園時代は惚れっぽくて、女生徒の間では揉めていたと聞く。ケレスと付き合ってからは落ち着いているというか、ケレスが甘やかしているようだ。
飲み物とケーキが運ばれてきた。
ミラは美味しそうにケーキを食べている。
エミリーはケレスにケーキを一切れ差し出した。
ケレスも自分のパイを差し出す。
甘い。
空気が。
二人がカインをじっと見ている。
待て。俺は無理だからな。
そんな目で見るな
「ミラさん、これも食べるといい」
「良いんですか?」
皿を差し出すだけで精一杯。
「美味しそうに食べてるから、見てるだけで楽しい」
ケレスとエミリーは、ニヤニヤしている。
ミラはケーキに夢中で気づかなかった。
「このあと、私とミラちゃんで買い物してもいい?」
「いいのか?」
「女同士じゃないと入れない店もあるのよ。カイン、服や下着の試着までついてこれないでしょ」
確かにそれは難しい。
「では、ケレスとどこか見てくる。帰りは送らせてくれ。馬車で来ているから」
「わあ、嬉しい。じゃあお酒を飲んでてもいいわよ!どうせ夕方までかかるから!」
「おい、あんまりミラさんを疲れさせるなよ」
「はーい」
エミリーはヒラヒラと手を振った。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
俺の妻になれと言われたので秒でお断りしてみた
ましろ
恋愛
「俺の妻になれ」
「嫌ですけど」
何かしら、今の台詞は。
思わず脊髄反射的にお断りしてしまいました。
ちなみに『俺』とは皇太子殿下で私は伯爵令嬢。立派に不敬罪なのかもしれません。
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
✻R-15は保険です。
能ある妃は身分を隠す
赤羽夕夜
恋愛
セラス・フィーは異国で勉学に励む為に、学園に通っていた。――がその卒業パーティーの日のことだった。
言われもない罪でコンペーニュ王国第三王子、アレッシオから婚約破棄を大体的に告げられる。
全てにおいて「身に覚えのない」セラスは、反論をするが、大衆を前に恥を掻かせ、利益を得ようとしか思っていないアレッシオにどうするべきかと、考えているとセラスの前に現れたのは――。
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
捨てられた者同士でくっ付いたら最高のパートナーになりました。捨てた奴らは今更よりを戻そうなんて言ってきますが絶対にごめんです。
亜綺羅もも
恋愛
アニエル・コールドマン様にはニコライド・ドルトムルという婚約者がいた。
だがある日のこと、ニコライドはレイチェル・ヴァーマイズという女性を連れて、アニエルに婚約破棄を言いわたす。
婚約破棄をされたアニエル。
だが婚約破棄をされたのはアニエルだけではなかった。
ニコライドが連れて来たレイチェルもまた、婚約破棄をしていたのだ。
その相手とはレオニードヴァイオルード。
好青年で素敵な男性だ。
婚約破棄された同士のアニエルとレオニードは仲を深めていき、そしてお互いが最高のパートナーだということに気づいていく。
一方、ニコライドとレイチェルはお互いに気が強く、衝突ばかりする毎日。
元の婚約者の方が自分たちに合っていると思い、よりを戻そうと考えるが……
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる