ものすごく不本意そうな顔をしながら兄弟子が溺愛してくる話

仙桜可律

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カインの同級生

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「シーツとクッションとカーテン、文房具、他には衣服でしょうか」

色々と見て回り、休憩のためにカフェに入ろうとしたところで

「カイン!久しぶり!」

一組のカップルと出会った。
女性のほうは満面の笑顔で。男性のほうは申し訳なさそうに。

「……久しぶり」

「もー!珍しいじゃないこんなところで出会うなんて!それもあなたが女の子と一緒だなんて!式はいつ?それともまだこれから?今から私たちもお茶にしようって言ってたから、良かったら一緒にどうかしら。あっちのお店のケーキがオススメなのよー?」


「相変わらずだな」

カインが一言返した。
「すまない、少し前からお前達を見て、俺は止めたんだけどエミリーが興味を持ってしまって。お嬢さんも突然すまない。」

男性が頭を下げた。

「ミラさん、俺の同級生でケレスとエミリー。学園を卒業後に恋人になった。エミリーは女性の友達も多いから恋愛の話をたくさん知っているだろうと思う。ケレスは騎士をしている。怪しいものではない。

この店は確かに男性向けなので、ミラさんの食べたいものはあちらの店のほうがあるかもしれない。行ってもいいか?」

「はい!ぜひ」

「よろしく!ミラちゃんは若いわね!幾つ?」

「15歳です」

「可愛いわあ。カイン、犯罪ギリギリね!」

「おい、待て」

「いいのよ、愛があれば!」

「たぶんエミリーが先走って勘違いをしているな。後で言っておくから。」

ケレスの良識がありがたい。

「しかし学園時代に女子に興味のなかったカインが、まさか……。じっくり成長を待って自分で育てたい願望とかあったとは……」

「待て」

お前も発想が極端なんだが。
ミラはエミリーに腕を組まれて先にカフェに向かっている

「ミラさんは師匠が預かっただけで俺とはそういうことは何もないからな。あまり変なことを吹き込まないでくれ」

「エミリーがもう言ってると思うけど」

カインは走っていった。

「エミリー、ミラさんに余計なことを言ってないよな?」

「そんなに慌てて来なくても。ケーキを選んでいただけだってば」

ミラはケースに並んだケーキを見比べて迷っている。

「どうしよう、カインさん選べません……!」

「何個でも頼めばいい」

「わかってないわねえ。女の子はそんなに一度にたくさん食べられないのよ、
ケレス!お手本!
『選べないわ~!』」

「じゃあ俺のも選んで?シェアしよう。あと、何度でも来ればいいじゃないか。一緒に」

「ケレス大好き!

わかった?これよ!これ!」

ミラはキラキラした目で二人を見ている。

「すごいなお前」
「慣れてるからね。まあ、女子の『迷ってる』は、その時間も楽しんでるんだと思うよ。買い物も時間がかかっただろう?」

「……ああ、そういうことか。ミラはわりと即決だったが……」

「じゃあこれとこれと、」

エミリーが注文している。

ミラの飲み物も選んでくれたらしい。
やはり女性同士は話が合うのだろう。エミリーは悪い奴ではない。ただ好奇心が強いのと学園時代は惚れっぽくて、女生徒の間では揉めていたと聞く。ケレスと付き合ってからは落ち着いているというか、ケレスが甘やかしているようだ。

飲み物とケーキが運ばれてきた。

ミラは美味しそうにケーキを食べている。

エミリーはケレスにケーキを一切れ差し出した。
ケレスも自分のパイを差し出す。

甘い。
空気が。

二人がカインをじっと見ている。

待て。俺は無理だからな。
そんな目で見るな

「ミラさん、これも食べるといい」

「良いんですか?」

皿を差し出すだけで精一杯。
「美味しそうに食べてるから、見てるだけで楽しい」

ケレスとエミリーは、ニヤニヤしている。

ミラはケーキに夢中で気づかなかった。

「このあと、私とミラちゃんで買い物してもいい?」

「いいのか?」 

「女同士じゃないと入れない店もあるのよ。カイン、服や下着の試着までついてこれないでしょ」

確かにそれは難しい。

「では、ケレスとどこか見てくる。帰りは送らせてくれ。馬車で来ているから」

「わあ、嬉しい。じゃあお酒を飲んでてもいいわよ!どうせ夕方までかかるから!」

「おい、あんまりミラさんを疲れさせるなよ」

「はーい」

エミリーはヒラヒラと手を振った。







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