【R18】【完結】うっかり者の娼婦見習いは眠れる龍を起こす

仙冬可律

文字の大きさ
6 / 12

※心得6 「客に惚れてはいけない」

しおりを挟む
腕を持ち上げられて揉まれている。
目を開けると。
カイが笑っていた。
「お前、寝すぎ」

「す、すみません!」

お客様を放っておいて熟睡するなんて

「大丈夫、身体は冷めてないから」

腰の辺りをさすられて声が出る。
「え、なんで」

「あちこち揉んでたからちゃんと身体は覚えてる」

軽く触られる度に身体が泡立つように快感が生まれる。
頭を抱えられて深いキスをされて、もう思考が溶けていく。
「もうそろそろ俺も我慢しないから」

そこからはまた喘がされて、リナは翻弄されても何度も腕を首に回して抱きついた。

「お前これ好きか」

うん、と頷くと頭を撫でられる。
「でも一回離してな」

リナを寝かせて舌で身体をとろとろに溶かしていく。
ぐったりしたリナの様子を見ながら、身体を繋げようと蜜を擦り付けた。

それまでよりも高い声でリナが求めて、カイも煽られる。

そのまま進みたいくらいだが、もう一度身体の力が抜けるようにいかせようと思った。

少し呼吸が落ち着いたから、
次は良いだろうと進めたら、

リナが泣いていた。

「どうした?」

キスをして聞くと、顔を覆って泣いている。
やりすぎたか、今になって怖いとかないだろう。

手をどけて顔を見ると子供のようにグスグスと泣いている

「どうしたんだ」

熱はほどけて、さっきまでの雰囲気はない。 

「嫌になったか?気持ちよくなかったか?」

首を横にふる。

「なあ、怒らないから言えって。」

肩を抱いたらビクッと身体を震わす。こんなに仕上がって快感を拾うくらいになってるのに。

「だって、……こんな、……なっちゃう、無理」

小さい声で、リナは泣きながら言った。

「……お姐さんみたいに、なれない、私なんかちゃんとした娼婦になれない」

ぼろぼろ泣いている。
カイは、リナが何も知らないからやり過ぎたと思った。長く時間をかけすぎた。
でも反応も悪くないしお前は多分客もついて人気もでるだろうから大丈夫、

って言って宥めてやろうとしたら、イラッとした。

もう一度ドロドロにして明日も明後日もずっと客を取れないようにして、痕が消えないうちにずっと指名して他の客が取れないようにしてやろうか。

浮かんだそのドス黒い妄想の方が、まだしっくりきた。

でも目の前で泣かれている。

宥めるのも抱くのも、こいつにとって最適解ではない。

頬に手をおいて、視線を合わせると、怯えている。

とりあえず布団をかけてやる。
鼻をすすり上げるリナは、目も赤い。

「ごめんなさ、い、ごめんなさい。
だって、こんなの、ぜったい」
布団越しに肩を抱いて、背中をさすってやる。

また泣き出した。

なんでだよ

これ以上どうしろっていうんだ

「だって、こんなの絶対、好きになっちゃう、から、無理……」

泣きじゃくるリナを見て、

ぴしっと固まったあと、さっきの思考がまたぐるぐると始まって、またドス黒い衝動が沸き上がったが、押さえこんだ。

なんだこれ。

恐怖に近い。
なんだよこの女。
油断してた、
ちくしょう、そうきたか、いやマジでなんやねんこいつ、

今までにないことだった。

とりあえず、離れよう。

ふらふらと寝台から出て、服を着た。
水を飲む。

リナが怒らせたかと怯えた目で見てくる。

「怒ってない。ちょっと落ち着きたい」

「でも」

「怒ってたら続けてる。わかったら服着ろ」

渡してやると、布団の中でもぞもぞしていた。

「下りて、30分したら来るように旦那に言え。」

「はい」

「歩けるな?もう連れていかないぞ。」

「はい」

また泣きそうになっている
頭をポンポンとしてやる。
それだけで、またからだを身体を熱くして息も変わるくせに。

「もう行け。抱けねえ女に触れる気はない。今日はもう見ない。温かくして休め」

「は、い」

またグスグスと泣く。

戸に手を掛けたときに、背中に向かって言った。

「お前、やっぱり娼婦向いてへんわ」

戸が閉まって、リナは居なくなった。

気配が完全になくなり、一人きりになると、虚しさと疲れが押し寄せた。

髪をほどいてグシャグシャとかきむしり、床に寝た。

「はーっ、なんやねんこれ」

とりあえず身体を拭いて服をきちんと着る。

旦那と女将がやってきた。

「カイ様、リナではご満足いただけませんでしたか」

「あいつの代金を明後日まで払うから、ゆっくり休ませてやってくれ
別に不快な思いをしたわけじゃない」

女将がお金をつき戻した。

「これはいただけません」

旦那が女将を止めようとする

「抱けない女に情けは不要です。お金は必要なときに必要な使い方をなさいませ」

きっぱりと言う姿は、さすがにこの世界の女だ。

「そうか。しばらくはここには俺は来ない方がいいと思う。また、ほとぼりが冷めたら」

来るかもしれない、とは言えない。
「いつでもお待ちしています」

ーーーーーーー

リナが泣きながら部屋に戻るのを他の娼婦たちが囲む。
「大丈夫?お風呂いこ」

「辛かったんだね、おいで」

抱きしめて、湯の用意ができるまで交替でついていてやる。

「あたし、リナをこんなにして、カイ様に言ってくる!」

止める間もなく一人が走って言ってしまう。

「やめなよ」

追いかける者もいる。


ーーーーーー

カイは、墨の間を出て玄関に降りるところだった。

「カイ様、リナに何をしたんですか」

振り向くと、女に睨まれている。
後ろから止めている二、三人が見えた。

「あいつ、向いてない。さっさと田舎に帰してやる方がいんじゃないか」


「あの子に帰るところなんか無いわよ」

「どういうことだ」

「あの子にはここしかないの。」

女将が間に入る

「退きなさい。お客様に無礼は許しませんよ」

「女将、どういうことだ、あいつはここしかないって」

「どの娘にも事情があります。お客様には関係のないことです。もしあの子が娼婦になれなくても、使い道はありますのでご心配なく」

にっこりと笑って追い出された。

ここ以外に行くところがないのか、あいつ。だから必死に一人前になろうとして

しばらく来ないであろう場所を振り返り見上げた。



ーーーーー
リナは、窓からカイを見ていた。
ぼろぼろ泣いて窓枠にすがり付いていた。

誰も、そっとしておくことしか出来なかった。

「どうだった?」

戻ってきた女たちに聞く。

「女将さんがさっさと追い返したわ。
カイ様、悲しそうな顔をしていたから、何も言えなかったわ」

「リナも、ずっとこの調子よ。何があったのかしら」

















しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

義姉の身代わりで変態侯爵に嫁ぐはずが囚われました〜助けた人は騎士団長で溺愛してきます〜

涙乃(るの)
恋愛
「お姉さまが死んだ……?」 「なくなったというのがきこえなかったのか!お前は耳までグズだな!」 母が亡くなり、後妻としてやってきたメアリー夫人と連れ子のステラによって、執拗に嫌がらせをされて育ったルーナ。 ある日ハワード伯爵は、もうすぐ50になる嗜虐趣味のあるイエール侯爵にステラの身代わりにルーナを嫁がせようとしていた。 結婚が嫌で逃亡したステラのことを誤魔化すように、なくなったと伝えるようにと強要して。 足枷をされていて逃げることのできないルーナは、嫁ぐことを決意する。 最後の日に行き倒れている老人を助けたのだが、その人物はじつは……。 不遇なルーナが溺愛さるまで ゆるっとサクッとショートストーリー ムーンライトノベルズ様にも投稿しています

男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~

花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。  だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。  エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。  そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。 「やっと、あなたに復讐できる」 歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。  彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。 過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。 ※ムーンライトノベルにも掲載しております。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

契約妻に「愛さない」と言い放った冷酷騎士、一分後に彼女の健気さが性癖に刺さって理性が崩壊した件

水月
恋愛
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件の旦那様視点短編となります。 「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。

処理中です...