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アルテ16歳
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アルテはため息をついた。
夜会の度に、友人達から気を使われている。
夜会に出席する際に婚約者のいる令嬢は一緒に行く。ドレスを贈られたとか、惚気られてもこちらは気にしないけれど相手が申し訳なさそうにする。
婚約者のいない令嬢は家族や親戚のエスコートで参加して、出会いがあれば縁談に繋がることもある。情報交換が始まったときに、皆がアルテの顔色を窺う。
どこそこの子息が素敵だとか、他愛もない噂なのに、気を使われる。
アルテがどちらのタイプでもないのは知れ渡っている。
婚約者は決まっていない。それでも男性から誘われることはない。
兄にエスコートされることもある。
アルテ自身もエスコートの相手が誰かわからないこともある。
誰か、ではなく正しくは「どちらか」なのか当日に知ることが多い。
アルテ・フィッチはギリアム家の兄弟のどちらかと婚約する。
政略結婚することは決まっているけれど、アルテが17歳の誕生日に希望するほうと婚約する。
孫かわいさのあまり、祖父が結んできた条件つきの縁談だ。
そんなところで僅かな自由なんていらないから、相手も決めてほしかった。そうすれば政略結婚といってもお互いに親密になり愛を育む気になったかもしれない。
ギリアム家の兄弟のうち、兄のセインはアルテより7歳上の24歳。文官として働いている。
弟のブルーノは騎士科に通っている。アルテより一歳上の17歳。
アルテが決めれば、二人は他の令嬢と親しくなり婚約できるのかもしれない。
また、アルテがどちらも嫌だといえば婚約自体がなくなるかもしれない。
アルテも二人も決定的な進展も拒否もないまま、幼馴染みのような関係だった。
あと2ヶ月でアルテは
期限の17歳となる。
どちらかに好きな令嬢でもいたら申し訳ないし、事前に三人で相談したい。
それでも、
「二人のうち私と結婚したいのはどちらですか?私はどちらでもいいので」
という意味にとられかねない。
アルテのほうからは聞けなかった。
二人の恋愛の噂は聞きたくなくても届いてくる。
わざわざ聞かせてくれる人は定期的に現れる。
セインのほうは年も違うので確かめようもないけれど、ブルーノのほうは時々、複数の令嬢と出掛けたりしているらしい。ブルーノのことが好きな令嬢もいるのか、
「ほら、あの子が……」とヒソヒソと言われていたこともあった。
アルテも見たことがある。学校が違うけれど、街で令嬢と並んで歩くブルーノは、アルテのことをからかう意地悪な雰囲気ではなくて自然に笑っていた。
だんだんと縁談に向けて動き出す年頃のなかで、市場価値というものがある。セインもブルーノもアルテも、宙ぶらりんのまま年月だけが過ぎていった。
夜会の度に、友人達から気を使われている。
夜会に出席する際に婚約者のいる令嬢は一緒に行く。ドレスを贈られたとか、惚気られてもこちらは気にしないけれど相手が申し訳なさそうにする。
婚約者のいない令嬢は家族や親戚のエスコートで参加して、出会いがあれば縁談に繋がることもある。情報交換が始まったときに、皆がアルテの顔色を窺う。
どこそこの子息が素敵だとか、他愛もない噂なのに、気を使われる。
アルテがどちらのタイプでもないのは知れ渡っている。
婚約者は決まっていない。それでも男性から誘われることはない。
兄にエスコートされることもある。
アルテ自身もエスコートの相手が誰かわからないこともある。
誰か、ではなく正しくは「どちらか」なのか当日に知ることが多い。
アルテ・フィッチはギリアム家の兄弟のどちらかと婚約する。
政略結婚することは決まっているけれど、アルテが17歳の誕生日に希望するほうと婚約する。
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アルテが決めれば、二人は他の令嬢と親しくなり婚約できるのかもしれない。
また、アルテがどちらも嫌だといえば婚約自体がなくなるかもしれない。
アルテも二人も決定的な進展も拒否もないまま、幼馴染みのような関係だった。
あと2ヶ月でアルテは
期限の17歳となる。
どちらかに好きな令嬢でもいたら申し訳ないし、事前に三人で相談したい。
それでも、
「二人のうち私と結婚したいのはどちらですか?私はどちらでもいいので」
という意味にとられかねない。
アルテのほうからは聞けなかった。
二人の恋愛の噂は聞きたくなくても届いてくる。
わざわざ聞かせてくれる人は定期的に現れる。
セインのほうは年も違うので確かめようもないけれど、ブルーノのほうは時々、複数の令嬢と出掛けたりしているらしい。ブルーノのことが好きな令嬢もいるのか、
「ほら、あの子が……」とヒソヒソと言われていたこともあった。
アルテも見たことがある。学校が違うけれど、街で令嬢と並んで歩くブルーノは、アルテのことをからかう意地悪な雰囲気ではなくて自然に笑っていた。
だんだんと縁談に向けて動き出す年頃のなかで、市場価値というものがある。セインもブルーノもアルテも、宙ぶらりんのまま年月だけが過ぎていった。
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