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アルテとクリスとセイン
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セインはフィッチ家を訪れていた。
クリスと話があるのと、アルテのことも心配だったから。
「……悪いな、忙しいのに呼び出して」
「いや、気になってたから」
クリスのほうが二歳下。
クリスはセインとブルーノの間なので、どちらも幼馴染みで兄弟のような親し身を持っていた。妹と結婚したらどちらかは義理の弟になる。
幼い頃から、アルテとブルーノが遊んでいるのを二人は見ていた。
ままごとのような二人がそのまま大きくなって結婚するんだと思っていた。
「……そっちはどうだ」
クリスが聞いた
「ボロボロだ。」
「ブルーノ、馬鹿なのか?」
「普段は冷静に色々こなせる器用な方なんだけど、アルテに関しては全くダメだね」
「アルテが、お前たちとの婚約が無理だと言ってる」
「そうなのか、俺も白紙に戻した方がいいと思ってる。」
「俺はブルーノがアルテを傷つけたことを許してないからな」
「それに関しては同感だ。僕もアルテのことは妹のように可愛いと思ってるよ。ブルーノの自業自得だと思う。でも、」
クリスはため息をついた。
「でも、あー、やっぱり許せないけどな。
アルテ、なんで今日は出てこないと思う?」
「泣いてるのか?」
「いや、お前に会いたくないんだって。」
アルテ……お前もか。
『兄貴の顔は見たくない』
ブルーノと二人ともに言われたらちょっと悲しいじゃないか。
「まあ、お見舞いのお菓子を渡したらお礼を言いたいから降りてくるって言ってたけど」
「いい子だな」
「お前の弟と違って素直だからな、アルテは」
クリスしつこい。
しばらくして、アルテが降りてきた。
「セインさま、ごめんなさい」
「いや、こちらこそ何て言って良いか。ブルーノがすまないな」
うるっ、とアルテの目が潤んだ。涙がこぼれそうだ。
「私っ、ギリアム家との婚約なんて、嫌です。」
「まあそうだよね、僕のことも嫌になっちゃうか」
「そうではなくて、セイン様は昔から優しいし、多分良い旦那様になるでしょうし、穏やかな家庭を持てるかと思うんですが、」
ボロボロ泣き出した。
クリスが肩を抱き寄せて顔を拭いてやる。
「セイン様と結婚したら、ブルーノの結婚式にも出ないといけないでしょ?ブルーノの奥様とも親しくしないといけないでしょ?ブルーノが奥様に優しくしたり子供を抱いたり、私、そんなの!絶対!無理!嫌です!」
クリスが凶悪な顔をしている。
「な?俺はお前の弟を許さない。許さないけど、アルテがこうなんだよ!
俺は許さないけどな!」
「……どうやったらこんなに拗れるんだよ」
ブルーノもアルテもそっくり同じようなことを言ってるのに
すっと婚約して仲良くすればいいのに。
あ、ブルーノのせいか。あいつが素直じゃないから。
アルテが目を冷やすために侍女に連れていかれたあと。
「ブルーノに聞いたことあるんだよ」
クリスが言った。
「なんで昔みたいにアルテと遊ばないんだ?って。あいつが12歳からいかな。
そしたら、『もし近づいて好きになって、兄貴と結婚したら耐えられない。俺と婚約したらちゃんと好きになる』って。」
「馬鹿かよアイツ」
「それでアルテに嫌われて。」
「いま、俺とアルテが結婚したら耐えられないから辺境に数年くらい志願するって言ってるよ……」
「もうそれで良くね?」
いやいや、恨まれるって
クリスと話があるのと、アルテのことも心配だったから。
「……悪いな、忙しいのに呼び出して」
「いや、気になってたから」
クリスのほうが二歳下。
クリスはセインとブルーノの間なので、どちらも幼馴染みで兄弟のような親し身を持っていた。妹と結婚したらどちらかは義理の弟になる。
幼い頃から、アルテとブルーノが遊んでいるのを二人は見ていた。
ままごとのような二人がそのまま大きくなって結婚するんだと思っていた。
「……そっちはどうだ」
クリスが聞いた
「ボロボロだ。」
「ブルーノ、馬鹿なのか?」
「普段は冷静に色々こなせる器用な方なんだけど、アルテに関しては全くダメだね」
「アルテが、お前たちとの婚約が無理だと言ってる」
「そうなのか、俺も白紙に戻した方がいいと思ってる。」
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「それに関しては同感だ。僕もアルテのことは妹のように可愛いと思ってるよ。ブルーノの自業自得だと思う。でも、」
クリスはため息をついた。
「でも、あー、やっぱり許せないけどな。
アルテ、なんで今日は出てこないと思う?」
「泣いてるのか?」
「いや、お前に会いたくないんだって。」
アルテ……お前もか。
『兄貴の顔は見たくない』
ブルーノと二人ともに言われたらちょっと悲しいじゃないか。
「まあ、お見舞いのお菓子を渡したらお礼を言いたいから降りてくるって言ってたけど」
「いい子だな」
「お前の弟と違って素直だからな、アルテは」
クリスしつこい。
しばらくして、アルテが降りてきた。
「セインさま、ごめんなさい」
「いや、こちらこそ何て言って良いか。ブルーノがすまないな」
うるっ、とアルテの目が潤んだ。涙がこぼれそうだ。
「私っ、ギリアム家との婚約なんて、嫌です。」
「まあそうだよね、僕のことも嫌になっちゃうか」
「そうではなくて、セイン様は昔から優しいし、多分良い旦那様になるでしょうし、穏やかな家庭を持てるかと思うんですが、」
ボロボロ泣き出した。
クリスが肩を抱き寄せて顔を拭いてやる。
「セイン様と結婚したら、ブルーノの結婚式にも出ないといけないでしょ?ブルーノの奥様とも親しくしないといけないでしょ?ブルーノが奥様に優しくしたり子供を抱いたり、私、そんなの!絶対!無理!嫌です!」
クリスが凶悪な顔をしている。
「な?俺はお前の弟を許さない。許さないけど、アルテがこうなんだよ!
俺は許さないけどな!」
「……どうやったらこんなに拗れるんだよ」
ブルーノもアルテもそっくり同じようなことを言ってるのに
すっと婚約して仲良くすればいいのに。
あ、ブルーノのせいか。あいつが素直じゃないから。
アルテが目を冷やすために侍女に連れていかれたあと。
「ブルーノに聞いたことあるんだよ」
クリスが言った。
「なんで昔みたいにアルテと遊ばないんだ?って。あいつが12歳からいかな。
そしたら、『もし近づいて好きになって、兄貴と結婚したら耐えられない。俺と婚約したらちゃんと好きになる』って。」
「馬鹿かよアイツ」
「それでアルテに嫌われて。」
「いま、俺とアルテが結婚したら耐えられないから辺境に数年くらい志願するって言ってるよ……」
「もうそれで良くね?」
いやいや、恨まれるって
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