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親族会議
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アルテの誕生日の一週間前。
両家の間で一旦婚約発表は白紙となった。
当人たちも予想しているのか
アルテは泣きそうになるし、家から出てこないブルーノは多分泣いている。
セインとクリス、両家の親で決めることにした。
「アルテ、ギリアム家との婚約がなくなったという話は社交界にすぐに伝わると思う。他家から縁談が来ると思うがどうする?」
アルテは黙り込んだ。
しばらく結婚の事なんて考えたくない。
かといって、結婚したくないわけではない。
将来は旦那様と子供と一緒に何かをしているような想像をしたこともある。
幸せな家庭をぼんやりと思い描くとき、横にいるのは黒髪の少し意地悪な、
「ブルーノ……」
アルテが小声で漏らした。
両家が顔を見合わせる。
アルテに気づかれないように目配せをした。
「ブルーノが結婚したあとでいいです、私の事は」
アルテはそう言っているけれど両家当主はそれぞれ思い悩んだ。
アルテの父は床を見て額に手をやる。
ブルーノの父は腕組みをして目をつむり、天井を向いた。
どうしたものか。
「私たちはもう少し話し合うので、セインはもう帰りなさい」
当主の決定が気になったが、クリスに送られセインは部屋を出た。
「父さんたちもここまできて破談になるなんて思ってなかったんだろうね」
「アルテの気が変わるか、ブルーノが謝りに来ると思うだろ、普通」
クリスはセインを睨む。
「クリスは最近フェルミーナ嬢と一緒にいるらしいけど、どうなの」
「ああ、多分もうすぐ婚約が整いそうだ」
「順調でよかった。」
「でもアルテがあんなままで俺の発表を先にするわけにいかないだろ。それに向こうの家にも、周りにも色々と根回しとか……」
「自由恋愛はそういう段取りとかで皆迷うらしいね。政略結婚なら楽だと思うんだけど……はは、うちはレアケースとして」
「そうだよな……普通、婚約してから歩み寄る……
あれ、あいつらそれでよくないか」
本人の気持ちを考慮するから拗れている。
しかも隠してるつもりだろうけど周囲にはバレている。
「ブルーノも婚約したらアルテに優しくするって言ってたし」
「それは子供の頃の、反抗期の時の話だから今もそんなバカみたいに信じてないと思うけどね」
二人は引き返して当主たちに提案した。
セインは帰宅してすぐにブルーノの部屋に行った。
今日の話し合いのことをブルーノも気にしていたから。
部屋のなかで、ピリピリした態度のブルーノは座って本を読んでいた。
「悪い知らせと言い知らせがあるけど、悪いほうから言うね」
分かりやすく身体を強ばらせる弟に、ゆっくりと話す
「父さんたちの話し合いで、ギリアム家とフィッチ家の婚約自体をやめようかという話で決まりかけた。……待て、布団に逃げ込むな」
「聞きたくない」
「最後まで聞け。
そう決まりかけたんだが、あとでお前たちのわだかまりが誤解だったとわかっても、その時にお互い婚約者がいたら困るだろう。」
「どうせ俺は嫌われたから関係ない」
「でもアルテが他の男と結婚するのをただ見ているつもりか?あ、見るのが嫌だから辺境に逃げるって言ってたっけ」
「逆撫でしてくるなよ兄貴」
「どうせならもっと顔も見たくなくなるくらいフラれたほうが、お互い未練もないんじゃないかって話になって」
怪訝な顔をする
ブルーノだが、少し目に光が戻った。
「どうせ政略結婚なんだから、婚約させてみようということになった」
「だれが」
「アルテ」
「アルテと?」
「お前」
喜ぶかと思ったら青い顔でぶんぶんと横に振っている。
「そんなの可哀想だろ」
「自分で言うか。そこは何とかしろ」
いや、
だって
そんな
ぶつぶつ呟きながらだんだんと紅潮していく
「お前、婚約したらアルテのことを好きになってちゃんと優しくするって言ってたらしいな」
「……クリスが喋ったのか」
「ああ。だから婚約して優しくしたら良いじゃないか」
「そんな簡単に優しくできたら苦労してない」
「そうだよな、ここまで拗れてないよね」
ブルーノがチェストの引き出しをあける。
大きさがバラバラの箱。プレゼントなのか包装紙とリボンのつけられたものばかり
「アルテに渡しそびれたものがこんなにあるんだぞ!性格を簡単にかえられる気がしない」
「えっと、それはどういう?誕生日とかは渡していただろ?」
「街に行った時とか、合宿訓練とか、アルテに似合いそうなものをつい買ってしまうんだよ!癖で!」
そんなに好きならちゃんと優しくしろよ
「ドレスもじろじろ見たら怪しまれるからガラスや鏡に映ったのをガン見してるし」
それアルテから顔背けてるよね
そんなに好きなら
「今さらどんな顔して会えば良いんだよ」
そんなに好きなら
「もっと粉々になるまでがんばれよ。どうせ政略結婚なんだから」
ブルーノは、握り込んだ拳をかんだ。
「わかった!俺、がんばる」
おう、がんばれ弟よ
「これ全部今から渡してくる!」
それはやめておけ
両家の間で一旦婚約発表は白紙となった。
当人たちも予想しているのか
アルテは泣きそうになるし、家から出てこないブルーノは多分泣いている。
セインとクリス、両家の親で決めることにした。
「アルテ、ギリアム家との婚約がなくなったという話は社交界にすぐに伝わると思う。他家から縁談が来ると思うがどうする?」
アルテは黙り込んだ。
しばらく結婚の事なんて考えたくない。
かといって、結婚したくないわけではない。
将来は旦那様と子供と一緒に何かをしているような想像をしたこともある。
幸せな家庭をぼんやりと思い描くとき、横にいるのは黒髪の少し意地悪な、
「ブルーノ……」
アルテが小声で漏らした。
両家が顔を見合わせる。
アルテに気づかれないように目配せをした。
「ブルーノが結婚したあとでいいです、私の事は」
アルテはそう言っているけれど両家当主はそれぞれ思い悩んだ。
アルテの父は床を見て額に手をやる。
ブルーノの父は腕組みをして目をつむり、天井を向いた。
どうしたものか。
「私たちはもう少し話し合うので、セインはもう帰りなさい」
当主の決定が気になったが、クリスに送られセインは部屋を出た。
「父さんたちもここまできて破談になるなんて思ってなかったんだろうね」
「アルテの気が変わるか、ブルーノが謝りに来ると思うだろ、普通」
クリスはセインを睨む。
「クリスは最近フェルミーナ嬢と一緒にいるらしいけど、どうなの」
「ああ、多分もうすぐ婚約が整いそうだ」
「順調でよかった。」
「でもアルテがあんなままで俺の発表を先にするわけにいかないだろ。それに向こうの家にも、周りにも色々と根回しとか……」
「自由恋愛はそういう段取りとかで皆迷うらしいね。政略結婚なら楽だと思うんだけど……はは、うちはレアケースとして」
「そうだよな……普通、婚約してから歩み寄る……
あれ、あいつらそれでよくないか」
本人の気持ちを考慮するから拗れている。
しかも隠してるつもりだろうけど周囲にはバレている。
「ブルーノも婚約したらアルテに優しくするって言ってたし」
「それは子供の頃の、反抗期の時の話だから今もそんなバカみたいに信じてないと思うけどね」
二人は引き返して当主たちに提案した。
セインは帰宅してすぐにブルーノの部屋に行った。
今日の話し合いのことをブルーノも気にしていたから。
部屋のなかで、ピリピリした態度のブルーノは座って本を読んでいた。
「悪い知らせと言い知らせがあるけど、悪いほうから言うね」
分かりやすく身体を強ばらせる弟に、ゆっくりと話す
「父さんたちの話し合いで、ギリアム家とフィッチ家の婚約自体をやめようかという話で決まりかけた。……待て、布団に逃げ込むな」
「聞きたくない」
「最後まで聞け。
そう決まりかけたんだが、あとでお前たちのわだかまりが誤解だったとわかっても、その時にお互い婚約者がいたら困るだろう。」
「どうせ俺は嫌われたから関係ない」
「でもアルテが他の男と結婚するのをただ見ているつもりか?あ、見るのが嫌だから辺境に逃げるって言ってたっけ」
「逆撫でしてくるなよ兄貴」
「どうせならもっと顔も見たくなくなるくらいフラれたほうが、お互い未練もないんじゃないかって話になって」
怪訝な顔をする
ブルーノだが、少し目に光が戻った。
「どうせ政略結婚なんだから、婚約させてみようということになった」
「だれが」
「アルテ」
「アルテと?」
「お前」
喜ぶかと思ったら青い顔でぶんぶんと横に振っている。
「そんなの可哀想だろ」
「自分で言うか。そこは何とかしろ」
いや、
だって
そんな
ぶつぶつ呟きながらだんだんと紅潮していく
「お前、婚約したらアルテのことを好きになってちゃんと優しくするって言ってたらしいな」
「……クリスが喋ったのか」
「ああ。だから婚約して優しくしたら良いじゃないか」
「そんな簡単に優しくできたら苦労してない」
「そうだよな、ここまで拗れてないよね」
ブルーノがチェストの引き出しをあける。
大きさがバラバラの箱。プレゼントなのか包装紙とリボンのつけられたものばかり
「アルテに渡しそびれたものがこんなにあるんだぞ!性格を簡単にかえられる気がしない」
「えっと、それはどういう?誕生日とかは渡していただろ?」
「街に行った時とか、合宿訓練とか、アルテに似合いそうなものをつい買ってしまうんだよ!癖で!」
そんなに好きならちゃんと優しくしろよ
「ドレスもじろじろ見たら怪しまれるからガラスや鏡に映ったのをガン見してるし」
それアルテから顔背けてるよね
そんなに好きなら
「今さらどんな顔して会えば良いんだよ」
そんなに好きなら
「もっと粉々になるまでがんばれよ。どうせ政略結婚なんだから」
ブルーノは、握り込んだ拳をかんだ。
「わかった!俺、がんばる」
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