魔術師の先輩が言うことには

仙桜可律

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「集中して」

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エリーは、知っていたけれど私に言えなかった。今思うと、二人で楽しく料理をしたりお酒を飲んだりしていたときに、ふとエリーが口ごもることがあった。
どうしたの?と聞いても笑ってごまかしていたような。
申し訳なさそうに、
『アリスにもいつか本当に好きな人ができて、結ばれますように』って言ってくれた。
それは、黙ってここを出ていく罪悪感なのかもしれないと思ったけれど、もしかしたら思い違いをしていたのかもしれない。
私に近づく危険を、教えられないことを申し訳ないと思っていたの?

「集中して、アリス」

ヒュー先輩が手を触ってきた。
魔術について教えてもらっているところだった。
重なったところから熱が伝わってくる。魔力を流してくれている。

「うまく感じ取れるといいけど」

「じんわり温かいのはわかります。これを魔術師の方は個人が特定できたりするんですよね、すごいなあ。」
「そのまま集中して俺のことだけ気配を追ってくれる?」

目をつむって集中しようとする。
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