花壇担当ですが獣人将軍に愛されてます

仙桜可律

文字の大きさ
7 / 7

将軍は決意した

しおりを挟む
「種、種は好きか」

ハアハアと荒い息の将軍に、周囲はヒヤヒヤする。もうダメだ。
変質者にしか見えない。

「そうですね……難しいんですが、芽が出ると可愛いですし、育てあげると愛着がありますね」 

「わ、私の芽も育て上げて欲しい……」

なに言ってるのこの人!
護衛が隙をみて気絶させようかと近づいた。

「まあ、将軍様も何か育ててらっしゃるんですか」
「貴女への想いを毎日育てています。早く貴女の芽を愛でたい」

「……?私の育てている花と交換したいということでしょうか」

「交歓、そう、交歓!愛を交わし共に……」

侍女がサーラにお茶を勧めた。
その隙に護衛が将軍の口にクッキーを詰め込んだ。

「交換より一緒に育てるほうが楽しそうですね」

(一緒に子どもを育てるのが好みなんだな。よし、たくさん作ろう)

モゴモゴ、と口を動かしながら思った。

そのあと、植木を見たり種を植えたり苗を植えたりした。
将軍はずっとサーラの顔を見ていた。

「まあ、手が汚れてしまいましたね。よかったらお湯をお使いください」

侍女が案内したのは風呂。
「少し手を洗うだけならお湯をいただければいいですので」

遠慮するサーラを浴室へ案内した。

着替えは用意してある。

「将軍」

ビクッと廊下で侍女が呼び止めた。
「サーラ様の着ていた服を盗むつもりじゃありませんよね」

「盗むなど!借りるだけだ」

「何をするおつもりで」

「……」
「言えないことをするつもりですね?お返しください。」

「ちょっとだけ」

「人として軽蔑される前に!」

「……では、彼女の使った後の湯船に入らせてくれ」

侍女と護衛は苦虫を噛み潰したような顔をした。

「これでも国の英雄なんですよね……」


そのあと、湯上がりのサーラをみて将軍は倒れた。
「おお、我が国の服がよく似合っているではないか」

姫様が来て、湯上がりの飲み物を一緒に楽しんだ。

見送りの時は、また将軍が手を握って離さないのでサーラは少し困った。

(まさか、これは求愛されているのかしら。
でも、こんな立派な人がまさかね)

「王宮の夜会に私も参加するように言われているのだが、パートナーに、なっていただけないだろうか」

「そんな、私、夜会なんて」

「考えておいてくれ。もしあなたが一緒に居てくれないのなら私は仕事として、護衛として参加するだけだ。」

これは、本当に。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

番が逃げました、ただ今修羅場中〜羊獣人リノの執着と婚約破壊劇〜

く〜いっ
恋愛
「私の本当の番は、 君だ!」 今まさに、 結婚式が始まろうとしていた 静まり返った会場に響くフォン・ガラッド・ミナ公爵令息の宣言。 壇上から真っ直ぐ指差す先にいたのは、わたくしの義弟リノ。 「わたくし、結婚式の直前で振られたの?」 番の勘違いから始まった甘く狂気が混じる物語り。でもギャグ強め。 狼獣人の令嬢クラリーチェは、幼い頃に家族から捨てられた羊獣人の 少年リノを弟として家に連れ帰る。 天然でツンデレなクラリーチェと、こじらせヤンデレなリノ。 夢見がち勘違い男のガラッド(当て馬)が主な登場人物。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...