花壇担当ですが獣人将軍に愛されてます

園芸を学ぶ

セイはサーラと離れたくなくて、言ってしまった

「この国の園芸について教えてくれないか」
「園芸……ですか？将軍さまが」

有能な侍女がススーッと近づいてきた。
「ホホホ、将軍は争いの度に森や、農地までやむなく傷つけてしまったことを悔いてらっしゃいました。平和になったら緑豊かな邸でのんびり癒されたいとお考えなのです、よね？」
笑顔でセイに圧をかける

「そうだ」
「まあ！素晴らしいですわ！私で宜しければぜひ」

そんな約束を取り付けたのだった。

約束の日。
公爵家にサーラを迎えに馬車が発ったあとも、セイは落ち着かなかった。

どの服を着ようかとソワソワしているセイのもとに侍女がやってきた。

「将軍、それ王に謁見するときの軍服ですよ」

「おかしいか？」

「あり得ません。」

「あ！確かに忘れていた。」

引き出しを探す。

「勲章を付け……」

「いりません」

「なっ、番へのプロポーズは正装だろう！」

「おかしいのは服装じゃなかった！根底が丸々おかしい！……いいですか
まず、いきなりのプロポーズは止めましょう。
それから、服装ももっとシンプルに。
一緒に花を植えるんですよね。
汚れてもいい服装が良いでしょう。サラ嬢も汚れてもいいように着替えを用意しておきましょう」

「……汚してもいい、と言ったか？」

「たぶんものすごく危ない想像をしていると思いますが、今日は健全な目的で会うんですからね？庭で少しでも不埒なことをしようものなら部下に斬られますよ」
渋々といった様子で正装を脱ぐ。
選んだのはシンプルなシャツとズボンだ。

「プロポーズはまだダメなのか。いつになったらいいんだ。何回出会ったらいい？」

こんなのが国を背負う将軍だなんてちょっと嫌だな、と侍女は思った。

訪れたサラ嬢はシャツとタイツ、膝丈のパンツという少年のような格好だった。それにエプロンをつけると、まるでタイツの上にエプロンしか付けていないように見える。

「将軍、鼻血が！」

「暑いですからねー、何でもないですからね。
サラ様、先に花壇へご案内します」
サラの視界から将軍を消した。

「……このように、指で良く解すと柔らかくなります。いきなり掘り進めてもうまくいかないのです。それから種を散らして撒いたら良いようです」

「なるほど、いきなり進めずにまずは指で……
それから種を撒き散らしたらイイんだな」

将軍が赤い顔で口許を押さえながら聞いている。