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第1章 悪役令嬢は目立ちたくない
第12話 腹をくくるかっ!
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「リリー様、お話とは?」
私がそう聞くと、リリーは涙を拭いながら話し始めた。
「あ、あの・・・私、アリアナ様に先日のお礼を言おうと思って・・・。あれから学校では全然お会いできなかったので・・・。あの、あの時は助けて頂き、ありがとうございました」
緊張した面持ちで頭を下げる。
(律儀な子だなぁ)
そう言えば1組と3組ってなぜか校舎が離れてるのよね。お昼休みは最近ミリア達と外で食べていたし。放課後は私、すぐ寮に帰っちゃうし。
だから待ち合わせでもしないかぎり、ばったり会うのは難しいだろう。
(しかも、私はヒロインやディーンに会うのを避けているしね、はは・・・)
正直今だって、ヤバいフラグが立たないか冷や冷やしてるのだ。私は「んんっ」と一つ咳払いをして、リリーに向き直った。
「お礼を言われるような、大したことはしていませんわ。それにあの時は私も、リリーさんに助けて頂きましたもの」
「え?」
リリーは戸惑ったようにこちらを見た。
「ディーン様から庇ってくれたでしょう?」
私がそう言ってディーンの名前を出すと、ミリアとレティシアが顔を見合わせて怪訝な表情を浮かべた。
「あの、アリアナ様。ディーン様と何があったのですか?。リリーさんに庇って頂いたとは?」
私は「実は・・・」と、先日の経緯を皆に説明した。
リリーが他の女生徒にいじめられていたこと。ディーンに誤解されて詰め寄られたこと。
「リリーさんはディーン様にはっきり説明してくださいましたわ。しかも謝る様に叱って下さったのです。あの時は少し慌てましたけど・・・」
思い返すと少し笑えて来た。
(くっく・・・痛快)
ディーンの呆気に取られた顔と慌てた様子。
「そう言えばリリーさん。最近はどうですか?。他の女生徒から、嫌な目には逢ってませんか?」
私がそう言うとリリーは目を伏せた。
「はい・・・あの・・・。」
(この様子だと、まだ嫌がらせは続いているようだね)
ゲームの中ではアリアナが率先してリリーをイジメていたけれど、それに乗っかって嫌がらせをする者もいた。
名前なんて分からないけど、アリアナが現れる時にはいつも何人かの取り巻きがいたのだ。
(ビジュアル的にミリア達では無いよね。一組の生徒かな?)
あいつらはいったい誰だったんだろう?。アリアナの友達だったんだろうか?。それとも単にリリーを虐める時だけアリアナにくっついていただけ?
ゲームの説明書にはそこまで詳細には書いていない。
(でも、そうか・・・。今はアリアナが先頭に立っていないだけで、リリーは周りから孤立しているのかもしれない)
リリーは平民でこの学園に入学してきた上に、光の魔力というレアな能力を持つ。しかも学園一と言って良い程の美少女で成績だって優秀だ。おまけにイケメン揃いの攻略者達と親しいとなれば、令嬢達の妬みややっかみを買うのは必然だろう。
ゲームでも1年生の時、リリーに友達は一人も居なかった。だからこそ攻略対象との距離も縮まりやすかったのだが・・・
「リリーさん」
「は、はい!」
「リリーさんは今日、誰と一緒に馬車で来られたのでしょうか?」
私がそう聞くと、リリーは困ったように目を伏せながら小さな声で言った。
「・・・あの・・・パーシヴァル様や・・・その・・・ディーン様のグループの馬車に・・・」
「まぁ、貴女!ディーン様はアリアナ様の婚約者ですのよ!。それなのに・・・」
ミリアが少し呆れたように言うと、アリアナは慌てて、
「違うんですっ!他の馬車には・・・女子のグループには入れて貰えなくて・・・。パーシヴァル様が見かねて男子生徒だけのグループに入れてくださったんです。私・・・1組の女生徒の方達に嫌われているみたいで・・・」
恥ずかしそうに俯き、段々声が小さくなる。
「でも、それは貴女が婚約者のいるディーン様や、第二皇子であるパーシヴァル様に馴れ馴れしくしているからだと噂がたっていますけど・・・?」
レティシアが眉間にしわを寄せる。続けてミリアも、
「そうそう!平民出身なのに魔力が強い事を鼻にかけて、他の女生徒を馬鹿にしてるとも伺いましたわ!」
「そ、そんな!。私、そんな事してません」
リリーの目からとうとう涙が一筋零れ落ちた。
(ふーむ、そうか・・・。そういう噂が立っていたから、ミリアもレティシアもリリーに冷たかったわけだ)
だって私の婚約者に色目使ってるって噂なんだもんね。二人とも私に気を使ってくれてたんだ。
私はミリアとレティシアが単にリリーに意地悪なんじゃないと分かってうれしかった。
(それにしても・・・さ)
私はちらりとリリーを見た。
彼女は口元を抑え、一生懸命こらえながらも涙が頬を伝っている。
その横顔・・・。
(まつ毛長いなぁ~・・・)
思わず「ほう」っと溜息が出る。
(さっすがヒロイン!!。泣いてる姿も絵になる~!)
ゲームのヒロイン大好きな私は、小さくガッツポーズする。だけど、いやいや見惚れてる場合じゃない!
設定とは言え、そういう状況はさすがにリリーが可哀そうすぎる。きっと今日のピクニックだって、居場所が無いんだ。
(う~ん、なるべくリリーには関わらない方針だったんだけど・・・。ふん、これは腹をくくるかっ!)
私がそう聞くと、リリーは涙を拭いながら話し始めた。
「あ、あの・・・私、アリアナ様に先日のお礼を言おうと思って・・・。あれから学校では全然お会いできなかったので・・・。あの、あの時は助けて頂き、ありがとうございました」
緊張した面持ちで頭を下げる。
(律儀な子だなぁ)
そう言えば1組と3組ってなぜか校舎が離れてるのよね。お昼休みは最近ミリア達と外で食べていたし。放課後は私、すぐ寮に帰っちゃうし。
だから待ち合わせでもしないかぎり、ばったり会うのは難しいだろう。
(しかも、私はヒロインやディーンに会うのを避けているしね、はは・・・)
正直今だって、ヤバいフラグが立たないか冷や冷やしてるのだ。私は「んんっ」と一つ咳払いをして、リリーに向き直った。
「お礼を言われるような、大したことはしていませんわ。それにあの時は私も、リリーさんに助けて頂きましたもの」
「え?」
リリーは戸惑ったようにこちらを見た。
「ディーン様から庇ってくれたでしょう?」
私がそう言ってディーンの名前を出すと、ミリアとレティシアが顔を見合わせて怪訝な表情を浮かべた。
「あの、アリアナ様。ディーン様と何があったのですか?。リリーさんに庇って頂いたとは?」
私は「実は・・・」と、先日の経緯を皆に説明した。
リリーが他の女生徒にいじめられていたこと。ディーンに誤解されて詰め寄られたこと。
「リリーさんはディーン様にはっきり説明してくださいましたわ。しかも謝る様に叱って下さったのです。あの時は少し慌てましたけど・・・」
思い返すと少し笑えて来た。
(くっく・・・痛快)
ディーンの呆気に取られた顔と慌てた様子。
「そう言えばリリーさん。最近はどうですか?。他の女生徒から、嫌な目には逢ってませんか?」
私がそう言うとリリーは目を伏せた。
「はい・・・あの・・・。」
(この様子だと、まだ嫌がらせは続いているようだね)
ゲームの中ではアリアナが率先してリリーをイジメていたけれど、それに乗っかって嫌がらせをする者もいた。
名前なんて分からないけど、アリアナが現れる時にはいつも何人かの取り巻きがいたのだ。
(ビジュアル的にミリア達では無いよね。一組の生徒かな?)
あいつらはいったい誰だったんだろう?。アリアナの友達だったんだろうか?。それとも単にリリーを虐める時だけアリアナにくっついていただけ?
ゲームの説明書にはそこまで詳細には書いていない。
(でも、そうか・・・。今はアリアナが先頭に立っていないだけで、リリーは周りから孤立しているのかもしれない)
リリーは平民でこの学園に入学してきた上に、光の魔力というレアな能力を持つ。しかも学園一と言って良い程の美少女で成績だって優秀だ。おまけにイケメン揃いの攻略者達と親しいとなれば、令嬢達の妬みややっかみを買うのは必然だろう。
ゲームでも1年生の時、リリーに友達は一人も居なかった。だからこそ攻略対象との距離も縮まりやすかったのだが・・・
「リリーさん」
「は、はい!」
「リリーさんは今日、誰と一緒に馬車で来られたのでしょうか?」
私がそう聞くと、リリーは困ったように目を伏せながら小さな声で言った。
「・・・あの・・・パーシヴァル様や・・・その・・・ディーン様のグループの馬車に・・・」
「まぁ、貴女!ディーン様はアリアナ様の婚約者ですのよ!。それなのに・・・」
ミリアが少し呆れたように言うと、アリアナは慌てて、
「違うんですっ!他の馬車には・・・女子のグループには入れて貰えなくて・・・。パーシヴァル様が見かねて男子生徒だけのグループに入れてくださったんです。私・・・1組の女生徒の方達に嫌われているみたいで・・・」
恥ずかしそうに俯き、段々声が小さくなる。
「でも、それは貴女が婚約者のいるディーン様や、第二皇子であるパーシヴァル様に馴れ馴れしくしているからだと噂がたっていますけど・・・?」
レティシアが眉間にしわを寄せる。続けてミリアも、
「そうそう!平民出身なのに魔力が強い事を鼻にかけて、他の女生徒を馬鹿にしてるとも伺いましたわ!」
「そ、そんな!。私、そんな事してません」
リリーの目からとうとう涙が一筋零れ落ちた。
(ふーむ、そうか・・・。そういう噂が立っていたから、ミリアもレティシアもリリーに冷たかったわけだ)
だって私の婚約者に色目使ってるって噂なんだもんね。二人とも私に気を使ってくれてたんだ。
私はミリアとレティシアが単にリリーに意地悪なんじゃないと分かってうれしかった。
(それにしても・・・さ)
私はちらりとリリーを見た。
彼女は口元を抑え、一生懸命こらえながらも涙が頬を伝っている。
その横顔・・・。
(まつ毛長いなぁ~・・・)
思わず「ほう」っと溜息が出る。
(さっすがヒロイン!!。泣いてる姿も絵になる~!)
ゲームのヒロイン大好きな私は、小さくガッツポーズする。だけど、いやいや見惚れてる場合じゃない!
設定とは言え、そういう状況はさすがにリリーが可哀そうすぎる。きっと今日のピクニックだって、居場所が無いんだ。
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