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第1章 悪役令嬢は目立ちたくない
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次の日、やっと登校できた学校で私は頭を抱えた。
(いやでも、マズいじゃないの!?こうなるとディーンとの婚約解消は難しいよ?なにせ、婚約解消を言おうとすると、声がでなくなるんだから。それどころか息の根まで止められそうになるし・・・。やばっ、これってもう、詰んでるんじゃあ・・・いやいや諦めるな!他の逃げ道を考えないと・・・。)
「アリアナ様、どうかなされましたか?」
どうやら、食事が来ても私は考え込んでいたらしい。お昼休みの食堂で、リリーは怪訝そうに私を見ている。
「あ、なんでもありませんわ!。お、美味しそうですわね、今日のランチ。」
いつもはシェフの作ってくれたお弁当を食べているのだけど、今日は皆と学園のカフェテリアに来ていた。テストが終わったお祝いである。
「本当に、美味しいです!テストが終わったから余計に。それにしても、初めてのテストは思ったよりも難しかったと思いませんか?」
ジョージアは一人大盛のランチだ。目線は食事に向け、どんどん口に運びながらも皆と会話するという器用な真似をしている。ジョージアは男の子並みによく食べるのだ。
「私は、あまりできませんでしたわ・・・。過去問が無かったら、太刀打ちできませんでしたわ。」
レティシアが溜息をつきながら顔を曇らせた。
「来年のクラス分けに向けて、1年生の4回のテストは難しく設定されているそうですよ。私も過去問がなかったら、厳しかったですわ。アリアナ様と、リリーさんはどうでした?」
そう言いながらもミリアは結構できたっぽい。試験中も終始落ち着いていた。
「難しかったです。皆さんに過去問の事を教えて頂いて、良かったですわ。」
とはいえ、正直私は過去問が無くてもテストはできてただろう。ガリ勉をなめてはいけないのだ。そして、リリーも結構できたはず。なんてったって、完全無欠のヒロインなんだから。
「私は、皆さんと一緒に勉強させて頂いたおかげで、テスト期間も楽しく過ごせました。」
リリーは頬を染めながら微笑んだ。
(おほっ、可愛い。)
私は顔がデレてしまそうになるのを引き締める。リリーは、そんな私には気づかず、
「皆様、どうか私の事はリリーとお呼びください。敬称はいらないです。」
「あら、でしたら私達の事も、ミリー、ジョー、レティとお呼びくださいな。私達はそう呼び合ってますから。アリアナ様も、ぜひ。」
(あ、良いわね。すごく友達っぽいわ。)
「ではわたくしの事も、アリアナと呼んでください。様抜きで。」
私がそう言うと、はたっと皆の動きが止まった。え?なんで?
「アリアナ様、それは・・・なんだか恐れ多いですわ。」
「そうそう、アリアナ様を呼び捨てにするなんて・・・。」
「身分が違いすぎますし。」
ミリア達、三人が口々にそういって顔を見合わせている
。
(え~~~!?そんな、私だけ様付け?)
だって、皆は愛称で呼んでるのに、自分だけアリアナ様なんて、凄く疎外感感じるんだけど・・・。
(しかも周りから見ると、私が無理やり呼ばせているように見えない?)
思わずリリーの方を見ると、彼女は皆の言葉にうんうんと頷いているじゃないの!。
「そうですよね、アリアナ様はアリアナ様って感じがします。だって・・・とても高潔な雰囲気をお持ちですもの。」
(いや、そんなきらきらした目で見られても・・・。ヒロインで聖女候補の貴方の方がずっと高潔なんだよ?!)
「私もそう思いますわ!。アリアナ様って、私達とは何か違うのです。」
(いや、ミリア。だからそれは私が前世の記憶を持ってるだけで・・・)
「公爵令嬢なのに、働こうだなんて、革新的なお考えをおもちですしねっ!」
(ジョージア、前世じゃ私、多分庶民なんだよ。庶民は働かないと生きてけないんだよ。)
「勉学も、誰よりもお出来になりますし。」
(レティシア、それは私がガリ勉だからだよ。まぁ、勉強には自信はあるんだけどさ・・・。)
「どうか、アリアナ様は私達の事を愛称でおよび下さませ。でも私達はアリアナ様をアリアナ様とお呼びしたいのです。」
「あ・・・はい、・・・わかりました・・・。」
皆の真剣な目に押し切られました・・・。
(いやでも、マズいじゃないの!?こうなるとディーンとの婚約解消は難しいよ?なにせ、婚約解消を言おうとすると、声がでなくなるんだから。それどころか息の根まで止められそうになるし・・・。やばっ、これってもう、詰んでるんじゃあ・・・いやいや諦めるな!他の逃げ道を考えないと・・・。)
「アリアナ様、どうかなされましたか?」
どうやら、食事が来ても私は考え込んでいたらしい。お昼休みの食堂で、リリーは怪訝そうに私を見ている。
「あ、なんでもありませんわ!。お、美味しそうですわね、今日のランチ。」
いつもはシェフの作ってくれたお弁当を食べているのだけど、今日は皆と学園のカフェテリアに来ていた。テストが終わったお祝いである。
「本当に、美味しいです!テストが終わったから余計に。それにしても、初めてのテストは思ったよりも難しかったと思いませんか?」
ジョージアは一人大盛のランチだ。目線は食事に向け、どんどん口に運びながらも皆と会話するという器用な真似をしている。ジョージアは男の子並みによく食べるのだ。
「私は、あまりできませんでしたわ・・・。過去問が無かったら、太刀打ちできませんでしたわ。」
レティシアが溜息をつきながら顔を曇らせた。
「来年のクラス分けに向けて、1年生の4回のテストは難しく設定されているそうですよ。私も過去問がなかったら、厳しかったですわ。アリアナ様と、リリーさんはどうでした?」
そう言いながらもミリアは結構できたっぽい。試験中も終始落ち着いていた。
「難しかったです。皆さんに過去問の事を教えて頂いて、良かったですわ。」
とはいえ、正直私は過去問が無くてもテストはできてただろう。ガリ勉をなめてはいけないのだ。そして、リリーも結構できたはず。なんてったって、完全無欠のヒロインなんだから。
「私は、皆さんと一緒に勉強させて頂いたおかげで、テスト期間も楽しく過ごせました。」
リリーは頬を染めながら微笑んだ。
(おほっ、可愛い。)
私は顔がデレてしまそうになるのを引き締める。リリーは、そんな私には気づかず、
「皆様、どうか私の事はリリーとお呼びください。敬称はいらないです。」
「あら、でしたら私達の事も、ミリー、ジョー、レティとお呼びくださいな。私達はそう呼び合ってますから。アリアナ様も、ぜひ。」
(あ、良いわね。すごく友達っぽいわ。)
「ではわたくしの事も、アリアナと呼んでください。様抜きで。」
私がそう言うと、はたっと皆の動きが止まった。え?なんで?
「アリアナ様、それは・・・なんだか恐れ多いですわ。」
「そうそう、アリアナ様を呼び捨てにするなんて・・・。」
「身分が違いすぎますし。」
ミリア達、三人が口々にそういって顔を見合わせている
。
(え~~~!?そんな、私だけ様付け?)
だって、皆は愛称で呼んでるのに、自分だけアリアナ様なんて、凄く疎外感感じるんだけど・・・。
(しかも周りから見ると、私が無理やり呼ばせているように見えない?)
思わずリリーの方を見ると、彼女は皆の言葉にうんうんと頷いているじゃないの!。
「そうですよね、アリアナ様はアリアナ様って感じがします。だって・・・とても高潔な雰囲気をお持ちですもの。」
(いや、そんなきらきらした目で見られても・・・。ヒロインで聖女候補の貴方の方がずっと高潔なんだよ?!)
「私もそう思いますわ!。アリアナ様って、私達とは何か違うのです。」
(いや、ミリア。だからそれは私が前世の記憶を持ってるだけで・・・)
「公爵令嬢なのに、働こうだなんて、革新的なお考えをおもちですしねっ!」
(ジョージア、前世じゃ私、多分庶民なんだよ。庶民は働かないと生きてけないんだよ。)
「勉学も、誰よりもお出来になりますし。」
(レティシア、それは私がガリ勉だからだよ。まぁ、勉強には自信はあるんだけどさ・・・。)
「どうか、アリアナ様は私達の事を愛称でおよび下さませ。でも私達はアリアナ様をアリアナ様とお呼びしたいのです。」
「あ・・・はい、・・・わかりました・・・。」
皆の真剣な目に押し切られました・・・。
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