モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)

優摘

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第1章 悪役令嬢は目立ちたくない

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「私、2年生からのチームでは絶対アリアナ様と一緒になりたいです。」

食後のデザートを食べている時、ジョージアが言い出した。

「チーム?」

(はて?)

「はい、ご存じないですか?2年になると、成績順にクラス分けされるのですが、クラスの中でも5つぐらいにグループ分けされるんです。座学だけでなく実技や野外学習なども、チームで行われてチームごとの成績が出るのです。」

(そ、そんな設定あったっけ?)

そういえば、2年になってから、ヒロインはほとんど同じ人達と行動してたよね?だいたいは攻略対象の人達で、後は仲良くなれた生徒とか・・・?。

(それがチーム?)

「私もアリアナ様と同じチームになりたいですわ。できればこのメンバーで!。」

ミリアも頷きながらそう言った。

「チームは自分達では決められませんの?」

「同じクラスでしたら、適正を考えながら、ある程度は要望を聞いて貰えるみたいですよ。」

「なるほど・・・。」

私の疑問にミリアが答えてくれた。

でも、そうなると・・・

「私は、皆さんと同じチームになれそうもないです・・・。」
「私は、同じチームになれないかもしれませんわ・・・。」

(ん?)

私とレティシアの声がほとんど重なり、お互い顔を見合わせる事となった。

「レ、レティ!?」

レティシアの目には涙が浮かんでいた。レティシアはきれいな手でハンカチを取り出し、目に当てた。

「だって、私は皆みたいに、成績が良くないんですもの・・・。一番上のクラスには入れませんわ。」

「それを言うなら、私は魔力がゼロなんですもの。もっと無理だと思いますよ・・・。」

「アリアナ様ぁ・・・。」

「レティ・・・。」

本格的に泣いているレティシアと私は思わず両手をがっしり握り合った。

ミリアが溜息をつき、腰に手を当てると人差し指を立てて横に振った。

「アリアナ様!、アリアナ様は大丈夫だと思いますよ。魔術の実技の成績が悪くても、テストの成績上位者は上のクラスに組み込まれていたはずです。」

「えっ?本当?」

「ええ、確かトップ3までは、上位クラスに入ってたって、兄が申してましたわ。アリアナ様の成績なら文句なしです。それに、レティもきっと大丈夫よ。あなたは他の人より魔力が強いし、魔術にも長けているから。きっと実技で盛り返せるわよ。」

ミリアの言葉にレティシアはまだ半信半疑そうだ。

「そうかしら・・・?でもミリーにはいつも敵わないじゃない・・・?」

「あのねぇ、ミリーと比べたって仕方ないわよ。魔術のエキスパートの家系なんだから。でもレティだって、氷魔法に関しては、同学年で敵う人なんていないと思うわよ。」

ジョーは呆れた顔で、お菓子をパクついている。口をもぐもぐさせつつ、

「それに、2年までまだ時間があるわ。それまで一緒に勉強すれば、きっと成績だって上がるわよ。」

レティシアの背中を叩いて励ました。力が強かったのか、レティシアが前につんのめる。

(う~ん、ジョーはホントに前向きよね。レティは少し繊細でネガティブ。でもとっても優しい。)

「私も2年生には皆さんと同じクラスになりたいです。だから私も頑張ります。」

「リリーは大丈夫!絶対上位クラスよ。だって光の魔術を持ってるんですもの。」

ミリアの言葉に私はうんうんと頷いた。

(そうそう、しかも聖女候補になっちゃうしね。・・・ん?・・・待って・・・?)

上位クラスに入るってことは、リリーはもちろん、ディーンや他の攻略者達とも同じクラスになるって事じゃないの?!?

(いやいや、それって面倒な事にならない?ミリー達とは一緒のクラスにはなりたいけど、奴らと一緒になるっていうのは・・・。テスト成績上位は狙ってはいたけど、ちょっと手を抜いたほうが良かったか・・・?いやいや、でも3位以内でしょ?さすがに、そこまで上には入ってないかも?。)

そして一週間後、テストの順位表が貼りだされた。

1年、1位 3組 アリアナ・コールリッジ  700点/700点

「マジデスカ?」



私は、今までの方針を変えざるを得なくなっていた。

自室のベッドで反省と共にノートに書き記す。

「まずは・・・。」

1、勉強以外で目立たない!

これはもう不可能になった・・・。何故ならこの前ピクニックで湖に落ちて気絶した事で、一年生の全生徒の注目を浴びてしまったからだ。その上、暴れ馬にいたずらした犯人を見つけたのは私だと言う噂も出回っているらしい。いや、確かにそうかもしれんが、

「いったい、誰が流したのよっ?!そんな噂!それに・・・、あああ、勉強でも目立ち過ぎた!くそっ。でも私には無理だっ!テストで手を抜くなんて。それに正直1位になって、めっちゃ嬉しかった。」

ちなみに馬をけしかけた女生徒達は退学になる所だったが、私が先生に掛け合ったおかげで1カ月の停学で済んだ。
なぜそんな事をしたかと言うと、逆恨みされてもつまらないからだ。公爵家の威光は素晴らしく効いた。


2、なるべくヒロインに近づかない!

これに関しては、完璧に自分から潰してしまった・・・。

「私から友達になろうって言ったもんね・・・はは。だってヒロイン可愛いし、いい子だし・・・ううう。」


3、目指せクラーク×リリー

「唯一望みがあるのはこれだけかもしれん。」

兄の為にも頑張りたい!。リリーと友達になったおかげで、接点を作るのは難しくないのよ。



こうなると一番の問題は・・・

4、ディーンと円満婚約解消!

「・・・もうどうして良いのか分からないいいいいっ!」

私は頭を掻きむしった。

「婚約解消の話を持ち出すだけで、下手したら息の根が止まるわっ。どんだけディーンが好きなのよぉ、アリアナ!?」

(でもまてよ!?)

私はハタと気づく。

(リリーとは友達になったんだし、ディーンにはもう、私を断罪するネタは無いんじゃ・・・?。)

「そうよ、そうよ!それさえ無ければ、1年の終わりに勝手に婚約解消される事は無いわよね?それに、この間の彼の様子を見るに、そこまでアリアナに悪感情を抱いてるようでは無かったのよねぇ。」

私の中の「アリアナ」の妨害?があるから、こっちからは婚約解消の事は言えない。でも、もしこの先ディーンが婚約解消したいのであれば、円満にできるかもしれない。

(ちょっとその時のアリアナの反応は怖いけど・・・。)

「よし!方針を立て直すわよ!」

とりあえず、最新バージョンとしては

1、これ以上目立たない

「これ以上、どう目立ったら良いのかわからんが・・・。」

2、こうなったらヒロインと超仲良くなる。

「元々は乙女ゲームのヒロイン大好きなんだもん。もう大親友になってやるわっ。」

3、もっと目指せクラーク×リリー

「兄よ、頑張るからね。」

4,ディーンに弱みを与えない!

「逆に弱みを握りたい。いっそこっちが断罪してやろうか?」

あっ、なんかそれ気分良いかも?

よし、これで行こう!



そう張り切っていたけれど、その後そんな方針が吹っ飛ぶような出来事が起きるなんて、その時の私は知る由も無かったのだ・・・。


第1章 終 
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