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閑話1 ミリアの野望
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私がアリアナ様を初めて見たのは、学園に入学してから1カ月った日の事だった。
アリアナ・コールリッジ公爵令嬢。
私達の学年では、パーシヴァル第二皇子に続く高い御身分のお方だ。
アンファエルン学園に入学して以来、同じクラスであると言う事だったが、彼女はずっと休んでいた。学園に来る途中に事故に遭われたらしい。運の悪い方だと、その時は思った。
学園に入る前から、アリアナ様の噂は誰もが聞いていた。周りから甘やかされて育った公爵令嬢。我儘で、高慢で、嫉妬深い。
婚約者のディーン様に近づく令嬢は、酷い意地悪をされるとのこと。
実際に私の友人のレティシアも、一度お茶会で泣かされたらしく、震えながら話していたのが印象に残っている。
そして、婚約者であるディーン様も、そんなアリアナ様に辟易されているとか。最近はずっと避けているという話だ。このままでは卒業までにディーン様の方から婚約解消の話が出るのではと、そんな噂まで流れる始末である。
それにディーン様は、今は彼と同じクラスにいる光の魔力を持つ平民の女生徒に夢中であると、1組の友人からも聞いた。
婚約者のいる身で、他の方に懸想するディーン様にも呆れたが、アリアナ様が噂通りの方ならば、それも致し方無い事だろう。
だから、クラスのほとんどの生徒は、アリアナ様がこのクラスに入られることを、快くは思っていなかった。「このまま来なければいいのに」と言う人もいたくらいだ。
でも入学式から1カ月たった日の事、彼女は突然現れた。
先生に連れられて私達の教室に入ってこられた少女を見て、その瞬間クラスの中で波の様なざわめきが起こった。
最初はまるで彼女の周りだけ薄く光がまぶされているような、そんな錯覚に襲われた。
それくらい彼女は可愛らしかった。それも特別に。
(なんという可憐な方なのだろう・・・)
身体は細く、背も小さいので、2学年くらい下に見える。そしてふわふわしたハニーブロンドの髪にぱっちりと大きなエメラルドグリーンの瞳、肌の色は雪の様に白く、おとぎ話に出てくる妖精とはこのような方ではないだろうかと思う程だ。
クラスの皆がその愛らしさに目を奪われていた。
「アリアナ・コールリッジです。宜しくお願いします。」
そんな中、簡素過ぎる挨拶をした後、アリアナ様は先生に促されて自分の席に着かれた。
「なんだか、思ってたのと違ったわ。びっくりするぐらい可愛いじゃない。」
隣の席から耳打ちしてきたジョーの言葉に、私は黙って頷いた。
それからクラスの皆は、アリアナ様の一挙手一投足に注目していた。
しかし、今までの噂と、身分の高さ、そして見た目のあまりの可愛らしさのせいだろう、私も含め主だって話しかけられる者は無かった。
避けているつもりはなかったが、なんとなく遠巻きにしていたのだ。
アリアナ様はその間、休み時間は静かに席で本を読み、昼休みも一人で黙々と食事をされ、残りの時間はまた本を読んでいる。
「ねぇ、レティ。アリアナ様って噂で聞いていたのとは随分違う気がするんだけど・・・。」
「・・・私も、前にお会いした時とは凄く雰囲気が変わってらしてて驚いたの。2年前のお茶会では、ずっと不機嫌で怒ってらしたのよ。」
でも今のアリアナ様からはそう言った感じは全く見受けられない。レティシアも困惑しているようだった。
アリアナ様はいつも静かで、落ち着いてらっしゃった。用事以外では他の生徒に話しかける事も無い。
特に驚いたのは、授業の時に見せる、アリアナ様の知性の高さだった。先生も返答に戸惑う程、鋭い質問をし、出された問題には誰よりも早く正解を出すことができる。私は勉強には結構自信があったのだが、すぐにアリアナ様には敵わないという事が分かった。
先生方の中には、ちょっと骨のある難しい問題を出して、アリアナ様が解けるかどうか試している様子さえ見受けられた。
アリアナ・コールリッジ公爵令嬢。
私達の学年では、パーシヴァル第二皇子に続く高い御身分のお方だ。
アンファエルン学園に入学して以来、同じクラスであると言う事だったが、彼女はずっと休んでいた。学園に来る途中に事故に遭われたらしい。運の悪い方だと、その時は思った。
学園に入る前から、アリアナ様の噂は誰もが聞いていた。周りから甘やかされて育った公爵令嬢。我儘で、高慢で、嫉妬深い。
婚約者のディーン様に近づく令嬢は、酷い意地悪をされるとのこと。
実際に私の友人のレティシアも、一度お茶会で泣かされたらしく、震えながら話していたのが印象に残っている。
そして、婚約者であるディーン様も、そんなアリアナ様に辟易されているとか。最近はずっと避けているという話だ。このままでは卒業までにディーン様の方から婚約解消の話が出るのではと、そんな噂まで流れる始末である。
それにディーン様は、今は彼と同じクラスにいる光の魔力を持つ平民の女生徒に夢中であると、1組の友人からも聞いた。
婚約者のいる身で、他の方に懸想するディーン様にも呆れたが、アリアナ様が噂通りの方ならば、それも致し方無い事だろう。
だから、クラスのほとんどの生徒は、アリアナ様がこのクラスに入られることを、快くは思っていなかった。「このまま来なければいいのに」と言う人もいたくらいだ。
でも入学式から1カ月たった日の事、彼女は突然現れた。
先生に連れられて私達の教室に入ってこられた少女を見て、その瞬間クラスの中で波の様なざわめきが起こった。
最初はまるで彼女の周りだけ薄く光がまぶされているような、そんな錯覚に襲われた。
それくらい彼女は可愛らしかった。それも特別に。
(なんという可憐な方なのだろう・・・)
身体は細く、背も小さいので、2学年くらい下に見える。そしてふわふわしたハニーブロンドの髪にぱっちりと大きなエメラルドグリーンの瞳、肌の色は雪の様に白く、おとぎ話に出てくる妖精とはこのような方ではないだろうかと思う程だ。
クラスの皆がその愛らしさに目を奪われていた。
「アリアナ・コールリッジです。宜しくお願いします。」
そんな中、簡素過ぎる挨拶をした後、アリアナ様は先生に促されて自分の席に着かれた。
「なんだか、思ってたのと違ったわ。びっくりするぐらい可愛いじゃない。」
隣の席から耳打ちしてきたジョーの言葉に、私は黙って頷いた。
それからクラスの皆は、アリアナ様の一挙手一投足に注目していた。
しかし、今までの噂と、身分の高さ、そして見た目のあまりの可愛らしさのせいだろう、私も含め主だって話しかけられる者は無かった。
避けているつもりはなかったが、なんとなく遠巻きにしていたのだ。
アリアナ様はその間、休み時間は静かに席で本を読み、昼休みも一人で黙々と食事をされ、残りの時間はまた本を読んでいる。
「ねぇ、レティ。アリアナ様って噂で聞いていたのとは随分違う気がするんだけど・・・。」
「・・・私も、前にお会いした時とは凄く雰囲気が変わってらしてて驚いたの。2年前のお茶会では、ずっと不機嫌で怒ってらしたのよ。」
でも今のアリアナ様からはそう言った感じは全く見受けられない。レティシアも困惑しているようだった。
アリアナ様はいつも静かで、落ち着いてらっしゃった。用事以外では他の生徒に話しかける事も無い。
特に驚いたのは、授業の時に見せる、アリアナ様の知性の高さだった。先生も返答に戸惑う程、鋭い質問をし、出された問題には誰よりも早く正解を出すことができる。私は勉強には結構自信があったのだが、すぐにアリアナ様には敵わないという事が分かった。
先生方の中には、ちょっと骨のある難しい問題を出して、アリアナ様が解けるかどうか試している様子さえ見受けられた。
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