モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)

優摘

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第2章 悪役令嬢は巻き込まれたくない

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皆が帰る時、私はもう一度一人一人に感謝の言葉を述べた。

今回の事は、ほんとに皆のおかげだ。私を助けてくれるのなんて兄だけだと思っていたのに、ほんとに良い友人に恵まれた。


「悪役令嬢のままだったら、助からなかったわね。」


自室でつぶやくと、なんだか私の中でアリアナが文句を言ってる気がして笑えてきた。

それにしても、問題なのは


「イーサン・・・。」


私は彼の事を知っている。もちろんゲームの中の登場人物としてだ。でも・・・、

私はベッドにドスンと腰を下ろし、頭を掻きむしった。


「攻略サイト見なきゃ、会えやしないキャラなのに、なんで簡単に出てくんのよっ!?」


ライナス・イーサン・ベルフォート

彼は「アンファエルンの光の聖女」の中に出てくる、隠しキャラの一人である。隠しキャラだけに、攻略本にも載っておらず、彼に会うのはかなり難しいのだ。


(一部のコアなファンは夢中になってたけどね。正直私は興味ないのよ、あんなサド野郎!)


イーサンは強い。魔力で言えば、ゲーム内で一番と言っても良い。しかも闇の魔力の持ち主である。

彼は闇の組織に属してはいないが繋がっている。彼に会うには、闇の組織が関係するストーリーに入らなくてはならず、もちろん私は未攻略だ。だから彼についての知ってる情報なんて、ほんの少し。


(今回、クリフの事情に首突っ込んだからなの?。だからって、あんなラスボスレベルのキャラに遭う事ってある?!)


まだ、時間的にはゲームの1部なのだ。


(それに、なんだか私はイーサンに目を付けられた気がする・・・。)


最後に見た彼のにっこり笑った顔が目に浮かび、ゾッとした。


「『また遊ぼうって』・・・いやだ!。もう絶対、二度と会いたくないっ!」


くわばら、くわばら・・・と思っていた時だった。

私の部屋をノックする音が聞こえた。


「は、はい」

「アリアナ様、ご友人がいらっしゃいましたが・・・。」

(ん?さっき皆、帰ったばかりなのに・・・)


このパターンって・・・。そう思いながら玄関ドアに向かうと、なんとそこにはクリフが立っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




次の日、私は夏休み前の最後の授業に出ていた。

教室にクリフは居ない。

ミリア達もノエルも心配そうだったが、私は黙っていた。

お昼休みに、中庭でお茶を飲みながら、レティシアが聞いてきた。


「明日から、夏休みですわね。アリアナ様は領に帰られるんでしょう?。」

「ええ、明後日お兄様と一緒に帰るつもりです。」

「1カ月半もアリアナ様とお会いできないなんて、寂しいですわ・・・。」


ミリアが心底残念そうにため息をつく。


「では、もし良ければ皆でコールリッジ領に遊びに来てくれませんか?私も夏休み中、皆と遊びたいです。」

「良いのですか!?」


ミリア達が、目を輝かせた。


「ええ、もちろんです。きっと兄や両親も喜びます。」

(皆、アリアナに友人が出来るか心配していたからね。)


ジョージアが「やったー」と喜びの声を上げ、ミリアとレティシアは手を取り合って喜んでいた。コールリッジ領は皇国中でも特に美しい場所だ。夏場は避暑地でもある。皆で過ごせばきっと楽しいだろう。


「リリーとグローシアは?。お二人は夏休みはどうされるの?。できたら二人にも遊びに来ていただきたいです。大勢の方が楽しめますもの。」

「私も行って良いのですか?。」

リリーの顔がパッと明るくなる。ああ、やっぱり可愛い!


(設定ではリリーは孤児院で育ってる筈だから、夏休み中帰る場所は無いのよね。だからゲーム内ではずっと寮に居た。まぁそこで色々イベントも発生していたけど・・・。)


でももう、色々すっ飛ばされてるから、この際良いよね。


「もし予定が無かったら、リリーは明後日一緒に私達の馬車で行きませんか?。スペースはありますから。」

(ふふふ、クラーク×リリーを進めるにもちょうど良いしね。)
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