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第4章 悪役令嬢は目を付けられたくない
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「すみません!。私、ディーン様を傷つけましたか?」
「うん・・・、そうだね。・・・少し傷ついたかも。」
(うわっ!やっぱりだ。やらかした!)
「ごめんなさい。私、無神経でした・・・。」
「いや・・・、分かってくれたら良いよ。」
(うう、ディーン、可哀そうに・・・。)
「大丈夫ですよ。女性はリリーだけでは無いです。そりゃ、彼女は最高に素敵ですけど。ディーン様なら、すぐ素晴らしい相手が現れると思います。だから、落ち込まないで下さいね。」
慰める様にそう言うと、急にディーンの目がスッと細められた。
「・・・前言撤回。やっぱり君は分かって無い。」
感情のこもらない声でそう言って、横を向いてしまった。
(え?何?怖っ)
その途端、ダンスの曲が終わり、ディーンは私の手を引っ張って、スタスタと速足で歩き始めた。引きずられるように、私は小走りで付いて行く。
「あ、あの、ディーン様!?どうしたのですか?」
「疲れたから、休憩する。」
どうやら、飲食スペースに向かっているようだ。
だが、ディーンの目的は叶わなかった。ディーンとのダンスを目当てにした令嬢達が、突然、群れとなって突進してきたからだ。
「ディーン様!次は私と」
「いいえ、私と。」
「何よ、あなた。割り込まないで!」
「その次は私と踊ってください!。」
凄い迫力で、私とディーンはあっという間に引き離され、ディーンは群れの中に消えてしまった。これじゃ、誰かと踊らないと、抜け出せないだろう。
(気の毒に・・・。)
見ると、ホールのあちこちで、そのような群れが見えた。その中にちらりとパーシヴァルの姿が見えた気がする。
(あ~、人気のある男子に女子が群がってるわけだ。大変だねぇ・・・。)
どこかで「神セブン~!」と叫ぶ声も聞こえる。グローシアは無事、クラークと踊れただろうか?
仕方ないので、私は一人でテラスの方へ向かった。2曲続けて踊ったせいか。顔がほてっている。
風に当たりながら、テラスから庭を眺めていると、右手の方で声が聞こえた。
「クリフ様、私と踊ってください。」
「あの・・・、できたら私も」
見ると、クリフが数人の女子に囲まれて、熱烈にダンスに誘われている。
(おっ、クリフだ。・・・うん、・・どうやら、もう落ち着いたようだね?。さっきはほんとに、びっくりしたよ。)
先程の様な、ピリピリした雰囲気は感じられなくなっていて、私はホッとした。
(それにしても、さすがだね。中庭まで追いかけられてるのか。モテモテだねぇ。)
だけどクリフは、綺麗な女の子達には、全く興味が無さそうだ。
「ダンスは苦手なんだ。気分も悪いし。すまないが、失礼する。」
まるでセリフを読み上げている様だ。そして、女の子達を振り切る様に、スタスタと歩いて行く。残された女子達からは、嘆く様な悲鳴が上がっていた。
(おいおい、ちょっと!良くないんじゃない?・・・ん?)
とその時、歩いて行くクリフと、ふと目が合った・・・と同時に、クリフはくるっと方向を変えて、小走りに私の方へ向かってくるではないか。
(え?え?、ちょっと!)
クリフは私の隣に来ると、焦ったように
「さっきはごめん。」
そう言って、目を伏せた。
「な、何のことでしょう?」
「助けようと思ったのに、・・・頭に血が上った・・・。」
クリフの顔に申し訳なさそうな表情が浮かぶ。
「い、いえいえ!ちゃんと助けて貰いましたよ!。叩かれそうになったのを止めて頂きました。」
私はクリフに慌ててそう言ったが、正直、意識は他の所にあった。私は横目で庭の方を見る。
(めっちゃ、睨まれてるよ・・・。)
クリフが置いてきた女子達の視線が、突き刺さる様だった。彼女達は怖い顔でひそひそと、何かしゃべり合っている。面倒くさい騒ぎは、先ほどので沢山なのだが、クリフは彼女達の様子など、目に入っていないようだ。
クリフは、片手で口元を隠す様に覆った。少し顔が赤くなっている。
「あの時、ディーンに指摘されたんだ。君が俺を見て怖がってると・・・。」
「えっ!?」
「ディーンが止めてくれなかったら、俺は彼女達に何をしていたか分からなかった。きっと、もっと騒ぎを大きくして君に迷惑をかけていたと思う。・・・本当にごめん・・・。」
彼は自嘲するようにそう言って、テラスの手すりに両肘を乗せて頭を下げる様に俯いた。
クリフのその様子に、私は慌てて両手を振った。
「私、クリフ様を怖がったりはしてませんよ。ちょっと驚いただけですから。あの・・・私の方こそ、巻き込んでしまって、クリフ様に嫌な思いをさせて申し訳ないです。」
「それは、全く君のせいじゃないから・・・。あれから騒ぎは上手く収まった?。ディーンに任せておけば大丈夫だとは思ったけど。」
「ええ、大丈夫だったので安心してください。・・・実は、先生方にも見つかってしまったのですが、ディーン様やリリーやミリア達。皆が助けてくれました。」
「そうか、良かった・・・。」
クリフはホッとしたように、笑みを浮かべた。なんだか随分心配かけていたようだ。自分も嫌な思いしただろうに、申し訳なかったなぁ。
だって正直に言うと、エルドラ達からの断罪なんて、私にとっては何てこと無かったのだ。
(ディーンからのに比べたら、エルドラなんて可愛いもんだったわ。夢とは言え、本当に怖かったんだからね・・・。怒ってるディーンの目で睨まれてごらん?!、もう蛙状態だよ。マジ凍てついてんだって・・・。)
私は今朝の夢を思い出しながら、身震いした。
「うん・・・、そうだね。・・・少し傷ついたかも。」
(うわっ!やっぱりだ。やらかした!)
「ごめんなさい。私、無神経でした・・・。」
「いや・・・、分かってくれたら良いよ。」
(うう、ディーン、可哀そうに・・・。)
「大丈夫ですよ。女性はリリーだけでは無いです。そりゃ、彼女は最高に素敵ですけど。ディーン様なら、すぐ素晴らしい相手が現れると思います。だから、落ち込まないで下さいね。」
慰める様にそう言うと、急にディーンの目がスッと細められた。
「・・・前言撤回。やっぱり君は分かって無い。」
感情のこもらない声でそう言って、横を向いてしまった。
(え?何?怖っ)
その途端、ダンスの曲が終わり、ディーンは私の手を引っ張って、スタスタと速足で歩き始めた。引きずられるように、私は小走りで付いて行く。
「あ、あの、ディーン様!?どうしたのですか?」
「疲れたから、休憩する。」
どうやら、飲食スペースに向かっているようだ。
だが、ディーンの目的は叶わなかった。ディーンとのダンスを目当てにした令嬢達が、突然、群れとなって突進してきたからだ。
「ディーン様!次は私と」
「いいえ、私と。」
「何よ、あなた。割り込まないで!」
「その次は私と踊ってください!。」
凄い迫力で、私とディーンはあっという間に引き離され、ディーンは群れの中に消えてしまった。これじゃ、誰かと踊らないと、抜け出せないだろう。
(気の毒に・・・。)
見ると、ホールのあちこちで、そのような群れが見えた。その中にちらりとパーシヴァルの姿が見えた気がする。
(あ~、人気のある男子に女子が群がってるわけだ。大変だねぇ・・・。)
どこかで「神セブン~!」と叫ぶ声も聞こえる。グローシアは無事、クラークと踊れただろうか?
仕方ないので、私は一人でテラスの方へ向かった。2曲続けて踊ったせいか。顔がほてっている。
風に当たりながら、テラスから庭を眺めていると、右手の方で声が聞こえた。
「クリフ様、私と踊ってください。」
「あの・・・、できたら私も」
見ると、クリフが数人の女子に囲まれて、熱烈にダンスに誘われている。
(おっ、クリフだ。・・・うん、・・どうやら、もう落ち着いたようだね?。さっきはほんとに、びっくりしたよ。)
先程の様な、ピリピリした雰囲気は感じられなくなっていて、私はホッとした。
(それにしても、さすがだね。中庭まで追いかけられてるのか。モテモテだねぇ。)
だけどクリフは、綺麗な女の子達には、全く興味が無さそうだ。
「ダンスは苦手なんだ。気分も悪いし。すまないが、失礼する。」
まるでセリフを読み上げている様だ。そして、女の子達を振り切る様に、スタスタと歩いて行く。残された女子達からは、嘆く様な悲鳴が上がっていた。
(おいおい、ちょっと!良くないんじゃない?・・・ん?)
とその時、歩いて行くクリフと、ふと目が合った・・・と同時に、クリフはくるっと方向を変えて、小走りに私の方へ向かってくるではないか。
(え?え?、ちょっと!)
クリフは私の隣に来ると、焦ったように
「さっきはごめん。」
そう言って、目を伏せた。
「な、何のことでしょう?」
「助けようと思ったのに、・・・頭に血が上った・・・。」
クリフの顔に申し訳なさそうな表情が浮かぶ。
「い、いえいえ!ちゃんと助けて貰いましたよ!。叩かれそうになったのを止めて頂きました。」
私はクリフに慌ててそう言ったが、正直、意識は他の所にあった。私は横目で庭の方を見る。
(めっちゃ、睨まれてるよ・・・。)
クリフが置いてきた女子達の視線が、突き刺さる様だった。彼女達は怖い顔でひそひそと、何かしゃべり合っている。面倒くさい騒ぎは、先ほどので沢山なのだが、クリフは彼女達の様子など、目に入っていないようだ。
クリフは、片手で口元を隠す様に覆った。少し顔が赤くなっている。
「あの時、ディーンに指摘されたんだ。君が俺を見て怖がってると・・・。」
「えっ!?」
「ディーンが止めてくれなかったら、俺は彼女達に何をしていたか分からなかった。きっと、もっと騒ぎを大きくして君に迷惑をかけていたと思う。・・・本当にごめん・・・。」
彼は自嘲するようにそう言って、テラスの手すりに両肘を乗せて頭を下げる様に俯いた。
クリフのその様子に、私は慌てて両手を振った。
「私、クリフ様を怖がったりはしてませんよ。ちょっと驚いただけですから。あの・・・私の方こそ、巻き込んでしまって、クリフ様に嫌な思いをさせて申し訳ないです。」
「それは、全く君のせいじゃないから・・・。あれから騒ぎは上手く収まった?。ディーンに任せておけば大丈夫だとは思ったけど。」
「ええ、大丈夫だったので安心してください。・・・実は、先生方にも見つかってしまったのですが、ディーン様やリリーやミリア達。皆が助けてくれました。」
「そうか、良かった・・・。」
クリフはホッとしたように、笑みを浮かべた。なんだか随分心配かけていたようだ。自分も嫌な思いしただろうに、申し訳なかったなぁ。
だって正直に言うと、エルドラ達からの断罪なんて、私にとっては何てこと無かったのだ。
(ディーンからのに比べたら、エルドラなんて可愛いもんだったわ。夢とは言え、本当に怖かったんだからね・・・。怒ってるディーンの目で睨まれてごらん?!、もう蛙状態だよ。マジ凍てついてんだって・・・。)
私は今朝の夢を思い出しながら、身震いした。
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