100 / 284
第5章 悪役令嬢は絡まれたくない
1
しおりを挟む
新学年、2年生の1年間が始まった。
(あ~、久しぶりだな。この感じ・・・。)
新学年、初日の昼休み。私は中庭で一人、買ってきたサンドイッチを、もしゃもしゃと食べていた。こんな風に一人で食事をするのは、ミリア達と友達になってからは初めてだ。辺りでは、男女それぞれのグループが、楽しそうに、あはは、うふふと談笑しながら、昼食をとっている。
そんな中、どうして私が、ボッチ飯となっているのか?。理由はもちろん、ちゃんとある。
まず、リリーであるが、彼女は予想通り、新学年の始業式で聖女候補に選ばれた。
ゲームの内容と同じで、この国の神官が、この世界の危機を予言したからだ。この危機を救えるのは、光の魔術を使える聖女だけなのだと。
(まんま過ぎて、ちょっと笑っちゃったわ。危機っていったい何なのさ?。ゲームじゃ3部に行かないと分からないのよね。)
聖女候補となれば通常授業に加え、聖女としての修行を兼ねた授業もプラスされるので、昼休みや放課後も補講が入るらしいのだ。
そして、ディーンと、クリフ。彼らは成績優秀で魔力、魔術ともに優れている事から、生徒会からスカウトされたのだ。年度始めという事で、何かと忙しいらしく、昼休みになった途端に呼び出されている。
次にグローシアとノエルであるが、あの二人は成績の関係で、私達とは違うクラスになってしまった。私達は上級クラス。彼らは通常クラスだ。授業のカリキュラムが違うので、休み時間がズレてしまった上に、教室の建物がかなり離れてしまったので、昼休みは挨拶程度にしか会えない。
そして最後にミリア、ジョー、レティの3人であるが・・・、
(あ~あ・・・、まさかこんな事態になるとはね。)
3人は、あろう事か、エメライン王女の、学園内でのお世話係の候補に指名されたのだ。どうも、前のお世話係が、皆卒業するか、学園をやめたらしい。
ミリア達3人はもともと遠い親戚同士らしいのだが、共通の親類がエメライン王女と同郷らしいのだ。その縁で、お世話係にの推薦されたらしいのだが・・・、
(エメライン王女も聖女候補に選ばれた。これはゲームの筋書き通りだ。となると、リリーとはライバル同士になるわけで・・・。)
さすがに、エメラインのお世話係となれば、今までみたいな友人関係を続けるのは難しいだろう。
私は何度目かの溜息をついた。
でも、憂鬱なのは、それだけが理由では無かった。
始業式の後、教室に入った私達は、同じ上級クラスに入れた事を喜び合った。ノエルとグローシアは違うクラスになってしまったが、彼らはそもそも上級クラスを諦めていたようだ。
だが、教室で椅子に座った途端、私はどこからかの視線を感じだ。
(この刺すような視線・・・。)
私には覚えがあった。先月の終業式で、最優秀成績者の表彰中に感じたものと似ていたのだ。
そして、その視線の正体は直ぐに分かった。先生が上級クラスの説明を始めた時だった。後ろの方の席に座っていた一人の女生徒が、手を上げたのだ。そして、
「先生、私、この上級クラスの生徒の選定に疑問があります。」
突然そう言いだしたのだ。
私達のクラスの若い男性の先生は、困ったように眉を下げた。驚いた事に、この先生は、ダンスパーティで私が他の女生徒に絡まれている時に、エライシャ先生と、謎の美人先生と共にやってきたあの男の先生だった。しかも、
(この人が最後の神セブンって訳だ。)
2年生で現れる攻略者の一人、クラス担任の『レナルド・マリオット』なのである。
「どういう事でしょう?。えーっと、マーリン・ファンカムさん。」
マリオット先生は、まだ名前と顔が一致しないのだろう、出席簿を見ながら尋ねた。
マーリン・ファンカムと呼ばれた女生徒は、ミルクティベージュの髪を両肩で結んだ、なかなか可愛らしい容姿をしていた。ヘーゼルナッツ色の瞳も、男子に人気そうだ。
(あれ?。でも、この子。どっかで見たような・・・?)
どこでだっただろう?と思っているうちに、彼女は話を続けた。
「はい、先生!。私、この上級クラスに、魔力を全く持っていない方が入っている事に、不信感を感じています。何か不正があって、このクラスに入っているのではないでしょうか?」
(ん?)
魔力を全く持ってない・・・。てことは魔力ゼロ?!。それって私の事だよね!?。
途端にクラス中がざわざわと、騒然とし始めた。
(あ~、久しぶりだな。この感じ・・・。)
新学年、初日の昼休み。私は中庭で一人、買ってきたサンドイッチを、もしゃもしゃと食べていた。こんな風に一人で食事をするのは、ミリア達と友達になってからは初めてだ。辺りでは、男女それぞれのグループが、楽しそうに、あはは、うふふと談笑しながら、昼食をとっている。
そんな中、どうして私が、ボッチ飯となっているのか?。理由はもちろん、ちゃんとある。
まず、リリーであるが、彼女は予想通り、新学年の始業式で聖女候補に選ばれた。
ゲームの内容と同じで、この国の神官が、この世界の危機を予言したからだ。この危機を救えるのは、光の魔術を使える聖女だけなのだと。
(まんま過ぎて、ちょっと笑っちゃったわ。危機っていったい何なのさ?。ゲームじゃ3部に行かないと分からないのよね。)
聖女候補となれば通常授業に加え、聖女としての修行を兼ねた授業もプラスされるので、昼休みや放課後も補講が入るらしいのだ。
そして、ディーンと、クリフ。彼らは成績優秀で魔力、魔術ともに優れている事から、生徒会からスカウトされたのだ。年度始めという事で、何かと忙しいらしく、昼休みになった途端に呼び出されている。
次にグローシアとノエルであるが、あの二人は成績の関係で、私達とは違うクラスになってしまった。私達は上級クラス。彼らは通常クラスだ。授業のカリキュラムが違うので、休み時間がズレてしまった上に、教室の建物がかなり離れてしまったので、昼休みは挨拶程度にしか会えない。
そして最後にミリア、ジョー、レティの3人であるが・・・、
(あ~あ・・・、まさかこんな事態になるとはね。)
3人は、あろう事か、エメライン王女の、学園内でのお世話係の候補に指名されたのだ。どうも、前のお世話係が、皆卒業するか、学園をやめたらしい。
ミリア達3人はもともと遠い親戚同士らしいのだが、共通の親類がエメライン王女と同郷らしいのだ。その縁で、お世話係にの推薦されたらしいのだが・・・、
(エメライン王女も聖女候補に選ばれた。これはゲームの筋書き通りだ。となると、リリーとはライバル同士になるわけで・・・。)
さすがに、エメラインのお世話係となれば、今までみたいな友人関係を続けるのは難しいだろう。
私は何度目かの溜息をついた。
でも、憂鬱なのは、それだけが理由では無かった。
始業式の後、教室に入った私達は、同じ上級クラスに入れた事を喜び合った。ノエルとグローシアは違うクラスになってしまったが、彼らはそもそも上級クラスを諦めていたようだ。
だが、教室で椅子に座った途端、私はどこからかの視線を感じだ。
(この刺すような視線・・・。)
私には覚えがあった。先月の終業式で、最優秀成績者の表彰中に感じたものと似ていたのだ。
そして、その視線の正体は直ぐに分かった。先生が上級クラスの説明を始めた時だった。後ろの方の席に座っていた一人の女生徒が、手を上げたのだ。そして、
「先生、私、この上級クラスの生徒の選定に疑問があります。」
突然そう言いだしたのだ。
私達のクラスの若い男性の先生は、困ったように眉を下げた。驚いた事に、この先生は、ダンスパーティで私が他の女生徒に絡まれている時に、エライシャ先生と、謎の美人先生と共にやってきたあの男の先生だった。しかも、
(この人が最後の神セブンって訳だ。)
2年生で現れる攻略者の一人、クラス担任の『レナルド・マリオット』なのである。
「どういう事でしょう?。えーっと、マーリン・ファンカムさん。」
マリオット先生は、まだ名前と顔が一致しないのだろう、出席簿を見ながら尋ねた。
マーリン・ファンカムと呼ばれた女生徒は、ミルクティベージュの髪を両肩で結んだ、なかなか可愛らしい容姿をしていた。ヘーゼルナッツ色の瞳も、男子に人気そうだ。
(あれ?。でも、この子。どっかで見たような・・・?)
どこでだっただろう?と思っているうちに、彼女は話を続けた。
「はい、先生!。私、この上級クラスに、魔力を全く持っていない方が入っている事に、不信感を感じています。何か不正があって、このクラスに入っているのではないでしょうか?」
(ん?)
魔力を全く持ってない・・・。てことは魔力ゼロ?!。それって私の事だよね!?。
途端にクラス中がざわざわと、騒然とし始めた。
15
あなたにおすすめの小説
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる