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第5章 悪役令嬢は絡まれたくない
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「では、私も普通クラスに行きます!」
ミリアが次に立ち上がった。
「上級クラスで学びたいとは思いますが、アリアナ様がいる所の方が、高度な学びができそうですので。」
ミリアはマーリンをギッっと睨みつけた。
「私も、アリアナ様と一緒に参ります。」
リリーが私に笑みを向ける。
「ほいじゃ、私も。」
「わ、わたくしも!」
ジョーとレティも立ち上がった。
「みんな・・・。」
マーリンのせいで、もやもやしていた心が、ほわっと温かくなる。
(うわぁ、もう友情最高!。なんて良い友達なのよ!みんなって。)
そして、ずっと冷静に私とマーリンとの攻防を見ていたディーンも、溜息をついて立ち上がった。
「マリオット先生、私も通常クラスに行きます。」
「ディーンが行くなら、僕も行こうかな?」
興味無さそうに外を見ていた、パーシヴァルまで立ち上がった。
1年の上位成績者のほぼ全てと、第二皇子まで立ち上がったので、クラスメート達の混乱はますます増した。「えっ?クリフ様やディーン様まで?」、「おい、リリー嬢が移動するって言ってるぞ。」、「パーシヴァル殿下まで・・・。ちょっと、どうしてこんな事になったの!?」と段々と皆の声も大きくなってくる。そして、一人の男子が手を上げた。
「先生。僕はアリアナ嬢と去年同じクラスでしたが、彼女は確かにクラス一の秀才でしたよ。彼女の成績に不正など考えられません。」
「そうですわ。私もそうですが、クラスで誰も解けない問題を解かれてましたわ。」
1年生の時のクラスメートだった人達だ。一緒に授業を受けてた人は、皆分かっているのだ。
そうなると、最初は私の不正について不審そうな目を向けていた生徒達の矛先が変わった。今度は口々にマーリンに対する不満が出て来る。
「ねぇ、マーリンさんが違うクラスに行けば良いのじゃ無くて?」、
「そうだよ。この学園で不正なんてあるわけないよ。」
「マーリンさん、聖女候補になってからって、少し調子に乗ってるんじゃない?」
(えっ!?)
生徒達の声の中に聞こえた言葉に私は驚いた。
(聖女候補!?マーリンが!?・・・マーリンって・・・もしかして!)
私はどうして彼女に見覚えがあったのか、やっと思い出した。
(分かった・・・。思い出した。この子の正体・・・。この子ってば、『リン』だ!)
『リン』はゲーム内2部での主要人物の一人であり、リリーの親友となる少女なのだ。
(説明書にフルネームが無かったから、気づかなかった・・・。)
彼女とリリーの出会いは、2年生で同じ上級クラスに入ったところから始まる。それまでアリアナのせいで友人の居なかったリリーと彼女は親友になる。正義感が強く、頼りになるリンは、ゲーム内でも色々と助言をくれ、ゲームの進行を助けてくれる。
そして彼女は光の魔力を持つもう一人の聖女候補でもあるのだ!
(今朝の始業式で言ってたっけ?。周りの声が大きくてあまり聞こえなかったのよね・・・。それにしても、リンってゲームではこんな子じゃ無かったよ。明るくて、優しい子だったのに。)
最終的にリリーが聖女になった時も、笑って祝福してくれるような子だったのだ。
(・・・なんで?。あの『リン』に、私がこんなに敵意を持たれなきゃいけないの?)
これも、私が悪役やってこなかったからなのだろうか・・・?。もしかして、色んな所でバグみたいな現象が起きてるの?。ダンスパーティの断罪の時みたいに・・・。
クラスの中はもう喧騒状態だ。あまりにも騒がしいからか、隣のクラスの先生も様子を見に来たぐらいだ。
いつの間にか孤立無援になったマーリンは、青ざめて顔を引きつらせている。
「み、皆さん、ちょっと!。待ってください。落ち着いて!。クラスの選定はもう決まった事です!そんな簡単に移動はできません。」
さすがに優しいマリオット先生も、厳しい顔を見せた。
「座ってください!。さぁ、アリアナさんも。そしてマーリンさん、授業の後で話があります。放課後残る様に。」
マーリンは青い顔で悔しそうに唇を噛みしめながら、「・・・はい。」と言って椅子に腰を下ろした。
その後の授業は、全然頭に入ってこなかった。そして、昼休み時間になり、皆は私の元に集まってくれたのだけど、それぞれ呼び出されてしまったのだ。心配そうに教室を出て行く皆に、私は笑って手を振った。
そうして今、ボッチ飯を堪能している訳なのだけど・・・。
私はリン・・・マーリンのゲーム内でのエピソードを思い出していた。
(彼女は、アリアナのイジメを受けていたリリーに、最初に出来た女友達だった。二人は同じ聖女候補で、卒業まで助け合ったり、励まし合ったり、理想の親友同士だったのよね。)
ゲーム内で、エメラインからの嫌がらせを庇ってくれるのもリンだ。
(そう言えば、2年生になっても、たまに憎まれ口を叩いてくるアリアナからも、リンは守ってくれてたっけ。)
正義感の強いリンは、傲慢で高飛車なアリアナを心底嫌っていた。
でも、今は私はリリーを虐めてない。だから、アリアナを嫌うのには他に理由がある。多分、彼女は前のアリアナ知っているのだ。きっとこの学園に入る前に彼女に、会ったことがあるのだろう。それに、アリアナが成績で不正をしたと思い込んでいたのなら、彼女の性格なら、ますます私が許せなかったはずだ。
でも、私はリンが私を嫌う理由に、もう一つ心当たりがあった。
ミリアが次に立ち上がった。
「上級クラスで学びたいとは思いますが、アリアナ様がいる所の方が、高度な学びができそうですので。」
ミリアはマーリンをギッっと睨みつけた。
「私も、アリアナ様と一緒に参ります。」
リリーが私に笑みを向ける。
「ほいじゃ、私も。」
「わ、わたくしも!」
ジョーとレティも立ち上がった。
「みんな・・・。」
マーリンのせいで、もやもやしていた心が、ほわっと温かくなる。
(うわぁ、もう友情最高!。なんて良い友達なのよ!みんなって。)
そして、ずっと冷静に私とマーリンとの攻防を見ていたディーンも、溜息をついて立ち上がった。
「マリオット先生、私も通常クラスに行きます。」
「ディーンが行くなら、僕も行こうかな?」
興味無さそうに外を見ていた、パーシヴァルまで立ち上がった。
1年の上位成績者のほぼ全てと、第二皇子まで立ち上がったので、クラスメート達の混乱はますます増した。「えっ?クリフ様やディーン様まで?」、「おい、リリー嬢が移動するって言ってるぞ。」、「パーシヴァル殿下まで・・・。ちょっと、どうしてこんな事になったの!?」と段々と皆の声も大きくなってくる。そして、一人の男子が手を上げた。
「先生。僕はアリアナ嬢と去年同じクラスでしたが、彼女は確かにクラス一の秀才でしたよ。彼女の成績に不正など考えられません。」
「そうですわ。私もそうですが、クラスで誰も解けない問題を解かれてましたわ。」
1年生の時のクラスメートだった人達だ。一緒に授業を受けてた人は、皆分かっているのだ。
そうなると、最初は私の不正について不審そうな目を向けていた生徒達の矛先が変わった。今度は口々にマーリンに対する不満が出て来る。
「ねぇ、マーリンさんが違うクラスに行けば良いのじゃ無くて?」、
「そうだよ。この学園で不正なんてあるわけないよ。」
「マーリンさん、聖女候補になってからって、少し調子に乗ってるんじゃない?」
(えっ!?)
生徒達の声の中に聞こえた言葉に私は驚いた。
(聖女候補!?マーリンが!?・・・マーリンって・・・もしかして!)
私はどうして彼女に見覚えがあったのか、やっと思い出した。
(分かった・・・。思い出した。この子の正体・・・。この子ってば、『リン』だ!)
『リン』はゲーム内2部での主要人物の一人であり、リリーの親友となる少女なのだ。
(説明書にフルネームが無かったから、気づかなかった・・・。)
彼女とリリーの出会いは、2年生で同じ上級クラスに入ったところから始まる。それまでアリアナのせいで友人の居なかったリリーと彼女は親友になる。正義感が強く、頼りになるリンは、ゲーム内でも色々と助言をくれ、ゲームの進行を助けてくれる。
そして彼女は光の魔力を持つもう一人の聖女候補でもあるのだ!
(今朝の始業式で言ってたっけ?。周りの声が大きくてあまり聞こえなかったのよね・・・。それにしても、リンってゲームではこんな子じゃ無かったよ。明るくて、優しい子だったのに。)
最終的にリリーが聖女になった時も、笑って祝福してくれるような子だったのだ。
(・・・なんで?。あの『リン』に、私がこんなに敵意を持たれなきゃいけないの?)
これも、私が悪役やってこなかったからなのだろうか・・・?。もしかして、色んな所でバグみたいな現象が起きてるの?。ダンスパーティの断罪の時みたいに・・・。
クラスの中はもう喧騒状態だ。あまりにも騒がしいからか、隣のクラスの先生も様子を見に来たぐらいだ。
いつの間にか孤立無援になったマーリンは、青ざめて顔を引きつらせている。
「み、皆さん、ちょっと!。待ってください。落ち着いて!。クラスの選定はもう決まった事です!そんな簡単に移動はできません。」
さすがに優しいマリオット先生も、厳しい顔を見せた。
「座ってください!。さぁ、アリアナさんも。そしてマーリンさん、授業の後で話があります。放課後残る様に。」
マーリンは青い顔で悔しそうに唇を噛みしめながら、「・・・はい。」と言って椅子に腰を下ろした。
その後の授業は、全然頭に入ってこなかった。そして、昼休み時間になり、皆は私の元に集まってくれたのだけど、それぞれ呼び出されてしまったのだ。心配そうに教室を出て行く皆に、私は笑って手を振った。
そうして今、ボッチ飯を堪能している訳なのだけど・・・。
私はリン・・・マーリンのゲーム内でのエピソードを思い出していた。
(彼女は、アリアナのイジメを受けていたリリーに、最初に出来た女友達だった。二人は同じ聖女候補で、卒業まで助け合ったり、励まし合ったり、理想の親友同士だったのよね。)
ゲーム内で、エメラインからの嫌がらせを庇ってくれるのもリンだ。
(そう言えば、2年生になっても、たまに憎まれ口を叩いてくるアリアナからも、リンは守ってくれてたっけ。)
正義感の強いリンは、傲慢で高飛車なアリアナを心底嫌っていた。
でも、今は私はリリーを虐めてない。だから、アリアナを嫌うのには他に理由がある。多分、彼女は前のアリアナ知っているのだ。きっとこの学園に入る前に彼女に、会ったことがあるのだろう。それに、アリアナが成績で不正をしたと思い込んでいたのなら、彼女の性格なら、ますます私が許せなかったはずだ。
でも、私はリンが私を嫌う理由に、もう一つ心当たりがあった。
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