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第6章 悪役令嬢は利用されたくない
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モーガン先生が闇の組織の者だとしたら、イーサンとは仲間じゃないのか!?。
「俺は闇の組織には入ってない。仕方なく関わってるだけだ。」
「関わってたら、一緒でしょうが!。モーガン先生にしろ、あんたにしろ、なんで、私にかまうのよ!?。」
イーサンは面白い事があったように、暗闇の中目を細めた。
「分からないのか?。クラーク・コールリッジ、ディーン・ギャロウェイ、クリフ・ウォーレン、リリー・ハート。お前の周りにいる奴らは、将来、皇国の中心にいるであろう奴らばかりだ。そんな奴らの中心にいる者に、興味が沸くのは当たり前だろう?。」
「はぁ!?。別に私は、皆とは友達なだけで、中心に居る訳じゃないし。それに家柄以外は何も持ってないよ。」
全く意味が分からない。私の周りが凄いのは認めるけど、私はただのモブなんだから。
けれど、イーサンは「くっくっくっ」とおかしそうに笑うと、
「持ってるだろう?。お前、前よりも、もっと混ざってるな。」
「え?」
どきりと胸が鳴った。
「もう一つの命と、溶け合ってる。ふふ・・・、どういう気持ちだ?。」
頭がぐらりと揺らいだ気がした。溶け合ってる・・・アリアナと・・・。
返事の出来ない私に、イーサンは目を覗きこむようにして言葉を続けた。
「面白い・・・、溶け合い、交じり合っているのに、個として存在しているのか。お前はどういう風に感じている?。」
興味深そうに聞いて来るが、私はそんなのに答える余裕は無かった。
(や、やっぱり、アリアナの魂と私が混ざってきてるのか・・・。そうなると、私はどうなる?。アリアナは?。私の気持ちは、私のもの?。それともアリアナの?。それよりも、このまま混じって行くと、アリアナは消えてしまうの?。)
駄目だ、考えが全くまとまらない。ぐらぐらする頭を落ち着けようと、私は目を瞑って息を吐いた。とにかく冷静にならなくっちゃ・・・。
「おい、こういう状況で目を閉じるとは、良い度胸だな。」
「へ?」
イーサンに問われて、私は目を開けた。
「今、お前がどういう目に遭ってるか、気付いて無いのか?」
そう言われて、私は自分の今の状態をゆっくり考えた。
(真夜中)
(ランプだけの灯り)
(ベッドの上)
(イーサンは私の上にまたがってて)
(イーサンの両手は私の顔の横で・・・)
(顔は額が付きそうなぐらい近くて・・・)
(・・・っ!?!)
「うううううわぁぁぁぁ!!!」
私は慌てて、両手でイーサンの胸を押し、ベッドの上を寝たまま後ずさる様にして、彼から逃れた。けれど、
「わっ、きゃあ!」
ドサッ。
勢い余って、端からベッドの下に転げ落ちてしまった。
「あっはっはっはっは・・・・」
イーサンの馬鹿笑いする声に、腹が立って、私は急いで立ち上がった。イーサンはベッドの上に胡坐をかいて、お腹を抱える様にして大笑いしている。それを見て、私の頭が沸騰した。
「あ、あ、あんたねぇ!。この前と言い、今と言い、じょ、女性に対して、なんて態度なのよ!?。いい加減にしなさいよっ!。」
両手の拳を握って、叫ぶ様に抗議すると、
「この前?。なんの話だ?。」
「滝の所で!。私の頬に、キ、キ・・・」
い、言えない・・・くっ・・・。
「ああ、キスした事か。」
あっさり言われて、顔にボッと火が点いたように熱くなる。
「なんだ?。もう一度して欲しいのか?。」
頭をガンッと殴られた様な衝撃が走る。な、何を言っとるんだ、こいつは!?。
「ば、馬鹿じゃ無いの!?、あんたって、も、もしかして、ロリコンなのっ!?。」
パニックで、ついそんな風に言ってしまった。
イーサンは一瞬、キョトンとした顔をしたのち、「ぶっ!」と吹き出して、お腹を押さえてベッドにうつ伏せに倒れた。身体を震わせて、声も出ないくらい笑っている。まるで、笑い上戸の発作が起きた時のクリフみたいだ。
(・・・酷い・・・。)
なんて奴だ・・・。なんかもう、色々許せない。
私はベッドの横で腕を組んで、見下ろす様に睨みながら、イーサンが笑い終わるのを待った。
「はっはっは・・・あー、はは・・・うっ、ごほっ、げほっ。・・・はぁ・・・。」
笑い過ぎて、咳込んでやがる。
涙目でやっとこっちを向いたイーサンを、思いっきり冷たい目で見てやった。
「くっく・・・、睨むなって。ああ、こんな笑ったのは、久しぶりだな。」
そう言って笑った顔は、なんだかちょっと可愛くて、そして普通の少年の様だった。
(なんだ、こんな顔もできるんだ、こいつ。)
そう思ったが、
(いや、そんなんじゃ騙されるか!。)
「俺は闇の組織には入ってない。仕方なく関わってるだけだ。」
「関わってたら、一緒でしょうが!。モーガン先生にしろ、あんたにしろ、なんで、私にかまうのよ!?。」
イーサンは面白い事があったように、暗闇の中目を細めた。
「分からないのか?。クラーク・コールリッジ、ディーン・ギャロウェイ、クリフ・ウォーレン、リリー・ハート。お前の周りにいる奴らは、将来、皇国の中心にいるであろう奴らばかりだ。そんな奴らの中心にいる者に、興味が沸くのは当たり前だろう?。」
「はぁ!?。別に私は、皆とは友達なだけで、中心に居る訳じゃないし。それに家柄以外は何も持ってないよ。」
全く意味が分からない。私の周りが凄いのは認めるけど、私はただのモブなんだから。
けれど、イーサンは「くっくっくっ」とおかしそうに笑うと、
「持ってるだろう?。お前、前よりも、もっと混ざってるな。」
「え?」
どきりと胸が鳴った。
「もう一つの命と、溶け合ってる。ふふ・・・、どういう気持ちだ?。」
頭がぐらりと揺らいだ気がした。溶け合ってる・・・アリアナと・・・。
返事の出来ない私に、イーサンは目を覗きこむようにして言葉を続けた。
「面白い・・・、溶け合い、交じり合っているのに、個として存在しているのか。お前はどういう風に感じている?。」
興味深そうに聞いて来るが、私はそんなのに答える余裕は無かった。
(や、やっぱり、アリアナの魂と私が混ざってきてるのか・・・。そうなると、私はどうなる?。アリアナは?。私の気持ちは、私のもの?。それともアリアナの?。それよりも、このまま混じって行くと、アリアナは消えてしまうの?。)
駄目だ、考えが全くまとまらない。ぐらぐらする頭を落ち着けようと、私は目を瞑って息を吐いた。とにかく冷静にならなくっちゃ・・・。
「おい、こういう状況で目を閉じるとは、良い度胸だな。」
「へ?」
イーサンに問われて、私は目を開けた。
「今、お前がどういう目に遭ってるか、気付いて無いのか?」
そう言われて、私は自分の今の状態をゆっくり考えた。
(真夜中)
(ランプだけの灯り)
(ベッドの上)
(イーサンは私の上にまたがってて)
(イーサンの両手は私の顔の横で・・・)
(顔は額が付きそうなぐらい近くて・・・)
(・・・っ!?!)
「うううううわぁぁぁぁ!!!」
私は慌てて、両手でイーサンの胸を押し、ベッドの上を寝たまま後ずさる様にして、彼から逃れた。けれど、
「わっ、きゃあ!」
ドサッ。
勢い余って、端からベッドの下に転げ落ちてしまった。
「あっはっはっはっは・・・・」
イーサンの馬鹿笑いする声に、腹が立って、私は急いで立ち上がった。イーサンはベッドの上に胡坐をかいて、お腹を抱える様にして大笑いしている。それを見て、私の頭が沸騰した。
「あ、あ、あんたねぇ!。この前と言い、今と言い、じょ、女性に対して、なんて態度なのよ!?。いい加減にしなさいよっ!。」
両手の拳を握って、叫ぶ様に抗議すると、
「この前?。なんの話だ?。」
「滝の所で!。私の頬に、キ、キ・・・」
い、言えない・・・くっ・・・。
「ああ、キスした事か。」
あっさり言われて、顔にボッと火が点いたように熱くなる。
「なんだ?。もう一度して欲しいのか?。」
頭をガンッと殴られた様な衝撃が走る。な、何を言っとるんだ、こいつは!?。
「ば、馬鹿じゃ無いの!?、あんたって、も、もしかして、ロリコンなのっ!?。」
パニックで、ついそんな風に言ってしまった。
イーサンは一瞬、キョトンとした顔をしたのち、「ぶっ!」と吹き出して、お腹を押さえてベッドにうつ伏せに倒れた。身体を震わせて、声も出ないくらい笑っている。まるで、笑い上戸の発作が起きた時のクリフみたいだ。
(・・・酷い・・・。)
なんて奴だ・・・。なんかもう、色々許せない。
私はベッドの横で腕を組んで、見下ろす様に睨みながら、イーサンが笑い終わるのを待った。
「はっはっは・・・あー、はは・・・うっ、ごほっ、げほっ。・・・はぁ・・・。」
笑い過ぎて、咳込んでやがる。
涙目でやっとこっちを向いたイーサンを、思いっきり冷たい目で見てやった。
「くっく・・・、睨むなって。ああ、こんな笑ったのは、久しぶりだな。」
そう言って笑った顔は、なんだかちょっと可愛くて、そして普通の少年の様だった。
(なんだ、こんな顔もできるんだ、こいつ。)
そう思ったが、
(いや、そんなんじゃ騙されるか!。)
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