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第6章 悪役令嬢は利用されたくない
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私の言葉が終わる前に、イーサンの姿は消えていた。彼が座っていた所のベッドのへこみだけを残して。
私は床に座り込んで、がっくりと両手を付いた。
(疲れた・・・。)
そう言えば、私は病み上がりだった。それなのに、あのイーサンの馬鹿のせいで、余計に体力を消耗してしまった。
ベッドに戻ろうかと思ったが、イーサンが座ってた所に寝るのは、なんとも嫌な気分がした。私は溜息をついて、寝室のソファに横になった。
(ステラ達が起きたら、シーツを変えて貰おう。)
さっきは目が冴えていたけど、何度も怒ったその反動か、私は直ぐに眠ってしまった。
そしてその数日後、事態が色々と急展開している事を、私は知る事となった。
まず、実技の授業の間の、魔力ゼロクラスが無くなった。
もちろん、私がエメラインの策略で、廃寮に閉じ込められた事が、原因である。私が思っていたよりも、学園側はあの一件を重く見たようだ。そして、エメラインとその取り巻き達は、しっかりその処罰を受ける事となったのだ。
最初、エメライン達は、私を無理やり閉じ込めた事を、否定したらしい。そして、いけしゃあしゃあと、私が嘘を言っているのだ言ったそうだ。全く、とんでも無い奴らだと思う。多分、エメラインの魔術で姿を隠していたから、誰にも見られていないと思い、証拠が無いと思ったのだろう。
ところが、私を助けに来たのが、トラヴィスだったと言うのが、彼女達の誤算だった。トラヴィスは、私が閉じ込められていた部屋にかけられていたシールドが、間違いなくエメラインの魔術だったと証言したのだ。
兄から報告を受けた私の父・・・コールリッジ公爵は猛抗議をした。溺愛する娘が、あわや廃寮で骨になるかもしれなかったのだ。当然の事だろう。
結果、エメラインの取り巻き達は全員、無期限の停学処分を受ける事となった。
問題なのはエメラインである。この国の王太子の婚約者であり、隣国の王女である彼女の扱いは難しい。だから、今までどれほど横暴な振る舞いをしていたとしても、周囲は片目を閉じた状態で、見て見ぬ振りをしてきたのだ。
だが、今回の事は犯罪に近い。しかも、被害者は皇国一の公爵家の娘とあっては、いよいよ放っておく事は出来なくなったのだ。
「皇国は隣国セルナクに経緯を説明したうえで、抗議を行う事にしたそうだ。もしかしたら、トラヴィス殿下との婚約は破棄されるかもしれない。」
生徒会室に入ってきた兄が、開口一番そう言った。作業室に居た私達は、流石に『婚約破棄』と言うパワーワードには驚かされ、最初は言葉が出なかった。ちなみにトラヴィスは今は居ない。城に戻っているのだ。
「・・・アリアナ様にした事を考えると、当然の様な気がしますが、あのエメライン王女の性格を考えると、ちょっと心配ですわ。」
ミリアが思案気に、腕を組んだ。
「確かに・・・。私達はしばらくエメライン様のお世話係をしていましたから、あの方の事を知ってるのですわ。政略結婚の為の婚約とは言え、トラヴィス殿下は素晴らしい方でしょ?。エメライン様は殿下にかなり執着していましたわ。それに・・・、凄くプライドの高い方ですから、婚約破棄なんて事になったら、きっと怒り狂いますわ。」
レティシアが自分を抱く様に、両腕を抱えて震えた。
「それに、国同士の仲は確実に悪化するわね。今回、こちらに瑕疵は無いけど、エメライン様が隣国に戻ったら、どうなることやら。でも、よく考えたら、あの方が将来この国の皇妃にならなくて済んで、良かったんじゃない?。皇国を無茶苦茶にされたかもしれないわよ?。」
ジョーは、やっぱりポジティブだった。
だけど私は、自分が関わった事件が、皇国まで巻き込む様になった事に、背筋が冷えた。なぜなら、トラヴィスとエメラインの婚約破棄は、ゲーム上では、展開次第で、隣国との戦争と言うストーリーにも繋がっていたのだ。
(嘘・・・。待ってよ!。私のせいで、そんな事になったら・・・。)
ゲームで廃寮に閉じ込められたのはリリーだ。彼女は平民だったから、私の父の様に抗議するものは居なかった。しかも、彼女は自力で脱出したから、そんなに大事にはならなかったのだ。
それに、トラヴィス、エメラインの婚約破棄は、ゲームではもっと終盤だった筈。エメラインがリリーに聖女の座を奪われてからだったのに・・・。
(話の大筋が、変わってきている・・・。私が、ゲームの通りに動いて無いから?。)
アリアナは2部には関係ない筈なのに・・・。
私は床に座り込んで、がっくりと両手を付いた。
(疲れた・・・。)
そう言えば、私は病み上がりだった。それなのに、あのイーサンの馬鹿のせいで、余計に体力を消耗してしまった。
ベッドに戻ろうかと思ったが、イーサンが座ってた所に寝るのは、なんとも嫌な気分がした。私は溜息をついて、寝室のソファに横になった。
(ステラ達が起きたら、シーツを変えて貰おう。)
さっきは目が冴えていたけど、何度も怒ったその反動か、私は直ぐに眠ってしまった。
そしてその数日後、事態が色々と急展開している事を、私は知る事となった。
まず、実技の授業の間の、魔力ゼロクラスが無くなった。
もちろん、私がエメラインの策略で、廃寮に閉じ込められた事が、原因である。私が思っていたよりも、学園側はあの一件を重く見たようだ。そして、エメラインとその取り巻き達は、しっかりその処罰を受ける事となったのだ。
最初、エメライン達は、私を無理やり閉じ込めた事を、否定したらしい。そして、いけしゃあしゃあと、私が嘘を言っているのだ言ったそうだ。全く、とんでも無い奴らだと思う。多分、エメラインの魔術で姿を隠していたから、誰にも見られていないと思い、証拠が無いと思ったのだろう。
ところが、私を助けに来たのが、トラヴィスだったと言うのが、彼女達の誤算だった。トラヴィスは、私が閉じ込められていた部屋にかけられていたシールドが、間違いなくエメラインの魔術だったと証言したのだ。
兄から報告を受けた私の父・・・コールリッジ公爵は猛抗議をした。溺愛する娘が、あわや廃寮で骨になるかもしれなかったのだ。当然の事だろう。
結果、エメラインの取り巻き達は全員、無期限の停学処分を受ける事となった。
問題なのはエメラインである。この国の王太子の婚約者であり、隣国の王女である彼女の扱いは難しい。だから、今までどれほど横暴な振る舞いをしていたとしても、周囲は片目を閉じた状態で、見て見ぬ振りをしてきたのだ。
だが、今回の事は犯罪に近い。しかも、被害者は皇国一の公爵家の娘とあっては、いよいよ放っておく事は出来なくなったのだ。
「皇国は隣国セルナクに経緯を説明したうえで、抗議を行う事にしたそうだ。もしかしたら、トラヴィス殿下との婚約は破棄されるかもしれない。」
生徒会室に入ってきた兄が、開口一番そう言った。作業室に居た私達は、流石に『婚約破棄』と言うパワーワードには驚かされ、最初は言葉が出なかった。ちなみにトラヴィスは今は居ない。城に戻っているのだ。
「・・・アリアナ様にした事を考えると、当然の様な気がしますが、あのエメライン王女の性格を考えると、ちょっと心配ですわ。」
ミリアが思案気に、腕を組んだ。
「確かに・・・。私達はしばらくエメライン様のお世話係をしていましたから、あの方の事を知ってるのですわ。政略結婚の為の婚約とは言え、トラヴィス殿下は素晴らしい方でしょ?。エメライン様は殿下にかなり執着していましたわ。それに・・・、凄くプライドの高い方ですから、婚約破棄なんて事になったら、きっと怒り狂いますわ。」
レティシアが自分を抱く様に、両腕を抱えて震えた。
「それに、国同士の仲は確実に悪化するわね。今回、こちらに瑕疵は無いけど、エメライン様が隣国に戻ったら、どうなることやら。でも、よく考えたら、あの方が将来この国の皇妃にならなくて済んで、良かったんじゃない?。皇国を無茶苦茶にされたかもしれないわよ?。」
ジョーは、やっぱりポジティブだった。
だけど私は、自分が関わった事件が、皇国まで巻き込む様になった事に、背筋が冷えた。なぜなら、トラヴィスとエメラインの婚約破棄は、ゲーム上では、展開次第で、隣国との戦争と言うストーリーにも繋がっていたのだ。
(嘘・・・。待ってよ!。私のせいで、そんな事になったら・・・。)
ゲームで廃寮に閉じ込められたのはリリーだ。彼女は平民だったから、私の父の様に抗議するものは居なかった。しかも、彼女は自力で脱出したから、そんなに大事にはならなかったのだ。
それに、トラヴィス、エメラインの婚約破棄は、ゲームではもっと終盤だった筈。エメラインがリリーに聖女の座を奪われてからだったのに・・・。
(話の大筋が、変わってきている・・・。私が、ゲームの通りに動いて無いから?。)
アリアナは2部には関係ない筈なのに・・・。
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