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第7章 悪役令嬢は目覚めたくない
5(グローシア、レティシア)
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<グローシア>
(・・・私はここで何をしているんだ)
ベッドに横たわる我が主の姿を、あほうの様にただ見ている自分。
守れなかった・・・、守れなかった、守れなかった、守れなかった!。
(何が騎士だ!一生守ると誓ったのに!)
私は唇を噛みしめた。口の中に少し血の味が広がった。
「イーサン・・・」
クラーク様が呟いた。
「イーサンなら、アリアナの解術も出来るはずですよね・・・エメライン王女の時みたいに」
トラヴィス殿下が眉を寄せた。
「ああ、だが・・・」
「彼を探さないと・・・」
クラーク様が立ち上がろうとするところを、トラヴィス殿下が止める。
「待て、クラーク。どこをどう探すつもりだ。彼の居場所が分かればこっちだって苦労はしない。それにイーサンは闇の組織ともつながっている。こちらの味方とは言えないぞ。」
「でも、少なくともアリアナの事は助けてくれました。」
そうだ、クラーク様の言う通りだ。
一昨日、エメライン王女がアリアナ様を襲った時、アリアナ様を助けたのは闇の魔術師のイーサンだと聞いた。
(あの時も私はおそばに居れなかった・・・そばにいれば、この身を盾にしてもアリアナ様をお守りしたのに・・・)
学生の身分が恨めしかった。
「だとしても、どこにいるかも分からない奴を闇雲に探すわけにもいかないだろう?・・・イーサンを探す手立ては私が考える。お前は・・・アリアナのそばを離れない方が良い。」
トラヴィス殿下の言葉に、クラーク様は苦し気に顔をしかめた。そしてゆっくりとアリアナ様の横に跪くと彼女の手を両手で握って自分の額を近づけた。
(クラーク様・・・昨日から寝ていらっしゃらない・・・。)
クラーク様まで倒れてしまわないか心配だった。なのに、弱い自分は言葉をかける事が出来なかった。
トントン
再び静かになった部屋にノックの音が響いた。
「お医者様がみえられました・・・。」
<レティシア>
(まるで、息をしていないみたい・・・)
自分が一瞬考えた事にゾッとした。
眠っているアリアナ様は、まるでそっくりに作られた人形のよう・・・。いつもの内から発せられる輝きのような存在感が、灯りを全て落としたかのように感じられなかった。
私は横たわるアリアナ様の姿を見た時から・・・とても大切な何かを奪われた気分で、涙が止まらなかった。
(どうしよう・・・)
トントン
部屋がノックされ、ミリアが扉を開けた。メイドのステラが立っている。
「お医者様がみえられました・・・。」
「分かった。・・・ミリア、頼めるか?」
クラーク様の代わりにトラヴィス殿下が答えた。ミリアが頷いて、医者を玄関まで迎えに行く。
簡単な診察をした後、医者は大きく息を吐いて、
「今のところ、気になる症状はありませんが、このまま目を醒まさないとなると体力面での消耗が心配です・・・やはり、早急に魔術の解術が必要かと・・・」
眉間にしわを寄せてそう言った。
「解術の手立てが見つからないのだ。他の方法を考えられないか?」
「・・・難しいですね。医術よりも魔術省にご相談された方がよろしいかと・・・」
「そうか・・・」
トラヴィス殿下が溜息をついた。
クラーク様がアリアナ様の額をそっとなでた。
「アリアナ・・・目を醒ましてくれ。皆、心配しているんだ・・・」
(どうしよう・・・私は・・・)
アリアナ様が心配で・・・もしこのまま目覚めなかったら・・・?
(ああ、どうしよう・・・私は何てことをしていたんだろう)
いくら先生に頼まれたからって、あんな事引き受けなきゃよかったのだ。
(・・・私はここで何をしているんだ)
ベッドに横たわる我が主の姿を、あほうの様にただ見ている自分。
守れなかった・・・、守れなかった、守れなかった、守れなかった!。
(何が騎士だ!一生守ると誓ったのに!)
私は唇を噛みしめた。口の中に少し血の味が広がった。
「イーサン・・・」
クラーク様が呟いた。
「イーサンなら、アリアナの解術も出来るはずですよね・・・エメライン王女の時みたいに」
トラヴィス殿下が眉を寄せた。
「ああ、だが・・・」
「彼を探さないと・・・」
クラーク様が立ち上がろうとするところを、トラヴィス殿下が止める。
「待て、クラーク。どこをどう探すつもりだ。彼の居場所が分かればこっちだって苦労はしない。それにイーサンは闇の組織ともつながっている。こちらの味方とは言えないぞ。」
「でも、少なくともアリアナの事は助けてくれました。」
そうだ、クラーク様の言う通りだ。
一昨日、エメライン王女がアリアナ様を襲った時、アリアナ様を助けたのは闇の魔術師のイーサンだと聞いた。
(あの時も私はおそばに居れなかった・・・そばにいれば、この身を盾にしてもアリアナ様をお守りしたのに・・・)
学生の身分が恨めしかった。
「だとしても、どこにいるかも分からない奴を闇雲に探すわけにもいかないだろう?・・・イーサンを探す手立ては私が考える。お前は・・・アリアナのそばを離れない方が良い。」
トラヴィス殿下の言葉に、クラーク様は苦し気に顔をしかめた。そしてゆっくりとアリアナ様の横に跪くと彼女の手を両手で握って自分の額を近づけた。
(クラーク様・・・昨日から寝ていらっしゃらない・・・。)
クラーク様まで倒れてしまわないか心配だった。なのに、弱い自分は言葉をかける事が出来なかった。
トントン
再び静かになった部屋にノックの音が響いた。
「お医者様がみえられました・・・。」
<レティシア>
(まるで、息をしていないみたい・・・)
自分が一瞬考えた事にゾッとした。
眠っているアリアナ様は、まるでそっくりに作られた人形のよう・・・。いつもの内から発せられる輝きのような存在感が、灯りを全て落としたかのように感じられなかった。
私は横たわるアリアナ様の姿を見た時から・・・とても大切な何かを奪われた気分で、涙が止まらなかった。
(どうしよう・・・)
トントン
部屋がノックされ、ミリアが扉を開けた。メイドのステラが立っている。
「お医者様がみえられました・・・。」
「分かった。・・・ミリア、頼めるか?」
クラーク様の代わりにトラヴィス殿下が答えた。ミリアが頷いて、医者を玄関まで迎えに行く。
簡単な診察をした後、医者は大きく息を吐いて、
「今のところ、気になる症状はありませんが、このまま目を醒まさないとなると体力面での消耗が心配です・・・やはり、早急に魔術の解術が必要かと・・・」
眉間にしわを寄せてそう言った。
「解術の手立てが見つからないのだ。他の方法を考えられないか?」
「・・・難しいですね。医術よりも魔術省にご相談された方がよろしいかと・・・」
「そうか・・・」
トラヴィス殿下が溜息をついた。
クラーク様がアリアナ様の額をそっとなでた。
「アリアナ・・・目を醒ましてくれ。皆、心配しているんだ・・・」
(どうしよう・・・私は・・・)
アリアナ様が心配で・・・もしこのまま目覚めなかったら・・・?
(ああ、どうしよう・・・私は何てことをしていたんだろう)
いくら先生に頼まれたからって、あんな事引き受けなきゃよかったのだ。
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