戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

文字の大きさ
67 / 168
第二章 〜水晶使いの成長〜

第66話  準備②

しおりを挟む

 目の前には無精ひげの30手前(多分)のおじさん。
 余計なものを全部そぎ落としたかのような体。

 まるで刑事ドラマの主人公刑事だな。

「おう、坊主がオリハルコンの所持者か。俺はここの工房長だ。ああ、名前はクロ・タリオウスだ。年は29。この中ではかなり若い方だな」
「初めまして、ライン・ルルクスです。年は17です」
「そうか。ライン、ところで、なぜ30手前という若い俺が工房長なのか。わかるか?」

 えーー。そんな、「私っていくつに見える?」みたいに聞かれても……

「単純に……優秀だから、じゃないのですか?」
「くく。ああ、正解だ」

 笑ってらっしゃる。何がおかしかったのだろうか。

「1つ。オリハルコンは、どうやって加工するかわかるか?」
「魔力をこもった道具で加工するのでは?」
「まさか。そんなんやってたら、近衛騎士団は今頃、目も当てられないほど武器が不足しているだろうよ」

 あーー。確かに。
 じゃ、どうやって加工してるんだ?
 さっさと答えを言いやがれ。

「答えは、だな。オリハルコンの所持者が自分自身で加工するんだよ。俺たちはそれの補佐だ。歪みなんかを、専用の道具で直してく」

 え…………まじでか。
 じゃあ、この熱気はなんだ? 音は?

「ちなみに、他のオッサンどもも補佐はできるが、こうやって何もないときはミスリルの加工だ」

 ミスリルは普通の工具、道具でも加工できるからな。だからこんなに熱気があるのか。

「あの緑の塊がミスリルですか?」
「ああ。反対の壁に置かれているのが加工済みのミスリルだな。あれは魔法具の核用。あれは防具の装飾か。まあ、オリハルコンよりも量が多いからな」

 そこには、大小様々なミスリルの塊と、一部にミスリルが埋め込まれた防具があった。

「オリハルコンの武器は自己修復が可能だからな。防具は他の金属と比べても軽い。防具は、精々が手甲《ガントレット》だな。そっちまで割く余裕はないからな」

 じゃあ、オレは防具も作ってもらおうかな。なんか、大量にゲットしたっぽいし。

「さて、長々と話しすぎたな。まあ、正直なところ、これぐらいの年代になるとこうやって工房長をやらされ――」
「――おいおい、クロ。お前、つまんない嘘吐くなって」

 そう言って現れたのは、50前後ぐらいのちっこいおじさんだった。

「こいつはな、わしたちよりも腕がいいんだ。厳密に言えば、オリハルコンとの相性がいいんだ。他の金属はまだまだだが、オリハルコンとなると、もうすべっすべになるんだ」
「師匠…………俺は謙虚にだなぁ……」
「まあいいじゃねえか。春は体調崩して、ろくに近衛騎士の武器を作ってやれなかったんだしよ」
「だから今からやるんだろ!」
「そうかそうか。坊主、運がよかったな。こいつの実力は折り紙付きだ」

 ちっこいおじさんは、わっはっはと笑いながら去って行った。

「さて、早速始めようか。それじゃ一先ずこの机の上にオリハルコンを、全部出してくれ。念じれば出てくるから」
「わかりました」

 体内のオリハルコンに意識を向け、全部を外に出す。形は自由に変えられたので、インゴットにした。



 全部出し終わった。横長の机に、インゴットが大量に積み重ねられた。
 机が縦40(cm)×横150(cm)。
 インゴットは1つ辺り、横10(cm)×縦20弱(cm)で、それが7段ほどある。ちなみに、密度は弄っていない。

「こいっつぁ……」
「こりゃたまげた」
「これは…………」

 なんて声が工房中から聞こえる。
 もちろん、クロさんも例外ではなかった。

「おいおい……まじかよ……」
「クロさん?」
「あ、ああ。さて、何がお望みだ?」

 とりあえず、何がどれだけ作れるか、だよな。

「これだけあれば一体どれだけ作れますか?」
「――わからん! ただ、憶測だが、武器だけなら最低でも10個。防具なら、全身鎧フルプレートアーマーを2つ……いや、3つほどか?」

 うわぁお。すんげぇなぁ。すごすぎてわかんねえや。

「そうですねぇ…………」
「いや、まずは自分の好きなようにやってみな。好きなように作ってくれ。重さも変えれる」
「はい」

 なにがいいか…………。

 まず、棍。ふむ……。
 他には剣か。
 冒険者として活動するなら、ナイフもほしいな。
 手甲ガントレット足甲グリーブ胸鎧ブレスプレートは必須だな。

 とりあえず、形だけでも作っておこう。

 オリハルコンに意識を向け、自分の体に纏わりつかせる。
 余裕あるし、手甲ガントレットは指先から――手のひら、指の内側を除いて――肘まで。手のひら、指の内側には滑り止めの革を貼るからな。
 足甲グリーブは足首の上から膝まで。

「よし、そのまま動くなよ」

 ささっと、形だけ整えられた。
 装飾は後回しらしい。

 こうすることで形を固定させるらしい。
 これをしないと、密度や形が毎回変わってしまうらしい。

 あとは武器か。

「坊主、武器なんだが、今まで……三賢者の作られた武器を見てみるか? あくまで模造品だが。特殊な武器で、説明はあるが使い方がまるでわかっていないものも多いが」
「ぜひ、お願いします」
 
 それならイメージも膨らみそうだぜ。





 一度部屋を出て、今度は祈りの間に一番近い部屋に入った。

 そこは、だだっ広い展示室だった。
 ショーケースに入れられた様々な武器、武器(?)、絶対武器じゃないものまで。

「物の前の札に、名前と軽い説明文が書かれている」

 なるほどなるほど。
 見取り図を見ると、左側が遠距離武器、真ん中が近距離武器、右側手前が中距離武器、右奥がその他。

 



 1時間半後。

「決まったか?」
「はい!」
「よし、それじゃあ戻るぞ!」

 



 更に1時間後

「よし、終わりだ!」
「ありがとうございます!」

 机の上には、様々な武器防具が置かれていた。
 大剣、片手両刃剣、刀、ナイフを3本、棍を1本、棍棒メイス、片手銃を1丁、狙撃銃を1丁。棘の生えた、人の頭ぐらいの大きさの球と、握り拳2つ分の棒、片手斧、ハルバード。
 盾を大小2個ずつ、手甲ガントレット足甲グリーブ胸鎧ブレスプレート、サングラス。

 …………玩具コーナーに銃があった。

 説明文は、なにも書かれていなかった。
 その場合は三賢者が適当に作った物品とのこと。いや、使用用途は知ってるけどね。
 現代人向けだな。 

 大剣、片手両刃剣、刀、ナイフ、棍、棍棒は一般的だ。
 片手銃、狙撃銃は『晶弾しょうだん』と組み合わせる。片手銃は、トカレフだ。

 火薬はないが、その代わりにちょっとした空洞がある。そこに魔力を注ぐと、火薬があるかのように、爆発が起きる。

 …………なんてことはなく。
 自力で発射させないといけない。

 狙撃銃は、スコープに遠視の効果が付与されている。

「さて、これで終わりだな。明後日には出来上がってると思うぜ。……にしても、なかなか特殊なやつを作ったな。使い勝手の悪いと言われる刀、謎の片手銃、狙撃銃」
「狙撃銃はオレの力と相性がいいんですよ。片手銃は、ただ、かっこいいし、余裕もあるから作ろうと思って。これを戦いの場で持ち出したら、未知の武器として少しでも牽制になるかなって」
「なるほどな。まあ、この狙撃銃のこの部分……」

 スコープをコンコンと指で叩き、

「ここには遠視の効果が付与されているからな。だが、それを期待していたなら、少し高いが、望遠鏡とか双眼鏡を買った方がよかったんじゃないか?」
「見た目の問題です!」

 半分本当だ。
 もう一度言う。半分は本当です!!

「まあいい。装飾はこちらで適当にやっておくが」
「ええ、お願いします」
「おまえ、あれだろ? 近衛騎士でもあり、冒険者でもあるやつだろ?」
「…………」

 一応、秘密って言われてるんだよな。

「近衛騎士です」
「任務内容は冒険者と同じ、と。てか、隠しても無駄だぜ? ここをどこだと思ってやがる。俺たちは依頼人の素性がわからねぇと……――仕事は受けねぇぞ……?」
「…………肯定します」
「ん、よろしい。それじゃ、明後日。朝一で取りに来な。任務の内容は、どんな内容だろうと他言無用。それが俺たちの鉄則だ。安心しろ」

 感謝の言葉を告げ、副騎士団長のもとに戻る。
 その日は、王都を一通り案内してもらった。『不可知の書』にメモしておいたから、もう迷うことはないだろう。

  

 最近新たにわかった『不可知の書』の技能。
 それは、念じるだけで見たいページが開くこと。
 そして、拡大もできること。おかげで、地図はとても詳しいものとなった。

 王都の地理を『不可知の書』に叩き込み、その日は1人で近場の定食屋で晩ご飯を食べた。
 明日はフリーだ。明後日は呼び出しをくらったが。

 
  
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...