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第二章 〜水晶使いの成長〜
第67話 教会
しおりを挟むさてさて、今日は教会について調べようかね。
9時ピッタリだ。
「おはようございます、ルルクス様。今日は一体どういった御用で?」
「ええ、この教会について知りに来ました」
「わかりました。では、私が詳しく教えしましょう」
「お願いします」
教会。
その役割は、言うなれば、三賢者直属の機関だ。
そのため、神を祭ったりすることはない。
チャペルは、本当にただの休憩場だ。三賢者の誰も、チャペルという単語を思い出せず、祈りの間という名になったのだろう。
「では、中をご案内します」
まずは、祈りの間。
昨日と何も変わらない。そして、そこを横切って、右手に進んだ。
そこには、銅像が3つ、鎮座していた。
すべて、ローブを纏った壮年の男の像だった。
銅像1つ1つが、ミスリル製だ。
銅像の装備している武器に関してはオリハルコン製だ。
「向かって左から、【植物の賢者】オイガル・レートン様、【物質の賢者】ミューラ・ファイ様、【鍛冶の賢者】ユーキラ・へイン様」
【植物の賢者】オイガル・レートン。
二つ名の割に……禿げだ。
だが、海外の怪獣映画の主人公みたいに、ごつい。
顔は、なんとなくダーヴィンを彷彿させる。
覚醒者の証に、額に斜めに線が横切っている。
武器は戦槌。
とはいえ、俺たちの世界の作物をこちらに生やしてくれた人物だ。感謝!
これが主な偉業。
【物質の賢者】ミューラ・ファイ。
細身な体、長髪。覚醒者の証に、右目から頬骨にかけ、線が通っている。
そして、耳が長い。つまり、エルフだ。
武器は鋭いスパイクの生えた手甲だろう。
オリハルコンやミスリルに代表される、様々な鉱石や、それらの組み合わせの発見。
これにより、多くの人の命が救われたといえる。文明レベルの発展を促した代表格だ。
【鍛冶の賢者】ユーキラ・へイン。
中性的な顔立ち。腰まで伸びた長い髪。
性別はどちらかわからない。パッと目に映ったときは男と認識したんだが。
武器は長剣。
覚醒者の証は、鼻の頭を横切っている。
二つ名に鍛冶と入っているが、鍛冶仕事をしていたわけではないらしい。
やったのは、ありとあらゆるレシピの作成。
長い年月を経た今でも、レシピの品を全部作ることはできていないらしい。
その理由は、
「現在、存在していない、存在が知られていない、入手不可能な材料も存在しており、そういったものは文字が読めないのです」
だそうだ。
「とはいえ、三賢者の時代より現在まで、姿を消した物質は確認されていないことから、組み合わせ次第で新たな物資が誕生する可能性もあります。まあ、できなくても支障はない品ばかりですので、研究は遅々と、ではありますが、進んでおります」
作る意味を見出せなければ、そりゃ作らねぇわ。うん。仕方のないことだ。
にしても、未知の素材か……。
心躍るな。
ニホニウムみたいに、自分の名前つけれるかな。魔鉱だったら、アポイタカラとかヒヒイロカネとかにするけど。
それ以外だったら…………ライニウムとか?
「1つ、質問をいいですか?」
「はい」
「なぜ、武器はオリハルコン製なのですか?」
「その理由は、実際に三賢者の方々が使用されていたからです。持ち主である三賢者の方々は、すでにお亡くなりになられましたが、魔力を注ぐことで劣化を防いでいる状態です」
なるほど。持ち主が死んでいれば、第三者が魔力を注ぐことで劣化を防げるのか。
「なるほど、だから異様に含まれている魔力量が多いんですね」
「ええ、そうです。故に、なかなかの一品となっております。悪党の手に渡れば…………そうなることは絶対に避けなくてはなりません」
「そうですね」
武器に含まれる魔力量は、すなわち攻撃力。すなわち破壊力。
これの魔力量は、かなりやばい。上手く扱えなければ意味はないのだが。
「まあ、オリハルコン製の武器は使用者を選ぶと聞きますが……」
「いえ、これまで数多くの人が魔力を注いできました。オリハルコン製の武器が持ち主を選ぶのは、魔力同士が引き合うためです」
「なるほど。いろんな人の魔力を入れられ、その機能が働いていないのですか」
「試していないので確証はありません。ですが、きっと、そうでしょう」
持ち主を選ばない聖剣……か。厄介だな。
速攻処分したい。世界遺産みたいな扱いなんだろうからできないけどさ。
「三賢者の時代は、100年もありません。その理由は、三賢者の方々のご存命期間が、三賢者の時代と言われるためです――」
三賢者の時代は、世界にとって革新的……もはや、革命の時代だった。【魔力の目覚め】、【最強】も共にその時代に生きていた。
【最強】。その言葉が人を指す場合、その言葉が指すのはただ1人。
名前――不明。
種族――不明。
出身地――不明。
年齢――不明。
性別――男という線が強い。
主武器――爪(肉体武器の爪ではない)。
火の魔法を操り、近接戦闘にも長けた人物。常に黒い外套で体を覆い、顔には四六時中仮面を着けていたらしい。
ただ、その強さだけは本物で、三賢者たちが束になっても敵わなかった――むしろ、一太刀も攻撃を受けなかったという噂もある。
ただ、三賢者とはよく一緒にいたらしい。
そんな彼が姿を消したのは、三賢者の1人である【鍛冶の賢者】が、何者かによって殺害されたすぐ後だった。
噂では、【鍛冶の賢者】を殺したためだ、とか、犯人を殺しに行ったなど、理由は様々だ。
ただ、その後すぐに【魔力の目覚め】が起こった。
残った2人の賢者は、一早くこの事態に対処し、生活魔術を世に広めた。
国家間の諍いを解決した三賢者は、各国に絶大な影響力を持っていた。
そのため、生活魔術はすぐに人々の間に受け入れられ始めた。
今日にいたるまで、多くの魔法が開発されてきた。
それらの多くは、この組織――教会によって開発されてきた。
「それも、三賢者の方々より承った役割の一つですから」
そう。三賢者は過去――【魔力の目覚め】以前、旅をしていた。
その旅により、国家間の争いはなくなり、また、多くの植物、物質(特に鉱物)が広まり、【鍛冶の賢者】による錬金書が各地に置かれた。
その旅には、随行者が1人いた。
それが、現在の王族の子孫である。
現在の、という形容詞が付く。
つまり、当時は別の一族が人間の国を支配していたということ。
あまりの暴虐ぶりに、怒り狂った民がクーデターを起こし、王族は根絶やしにされた。
そこで台頭したのが、その従者らしい。
その従者の出生、本名は伝わっていない。
その従者による国造りには、もちろん三賢者も手を加えた。
特に手を加えたのは、国家の武力面だ。
ただ、政治においては、一切口出しはしなかった。国、領の命名を行ったのみ。
もとあった冒険者の(主に採用方法)仕組みの解体、新たな冒険者の設立、冒険者学校の設立、冒険者の階級区分、近衛騎士の誕生。
もともとは、その場でなりたい者がなる、という形式だった冒険者。
ただし、当時の冒険者のほとんどは実のところ、荒くれ集団だった。
中にはまともな者も存在したが、手に負えない者が多かったらしい。
国からの依頼として、民が困っていたため、三賢者はこれらの改革を行った。
そして、組合の本部を人間の王都――現へラリア国王都におき、初代本部長(冒険者組合のトップ)に信頼できる人物をおき、再び旅に出た。
旅に出る前に、自分たち直属の機関――教会を設立。
オリハルコンの貯蔵、魔鉱の精錬など、多くの役割を与えた。
そして何回目かの王都帰国後、【鍛冶の賢者】が何者かによって殺害され、【最強】が姿を消し、その数日後に【魔力の目覚め】が起こった。
「これが、三賢者の物語となります」
「ありがとうございました」
「……実は、他の部屋に資料があり、それに合った話を用意していたのですが…………」
「ここですべて話しちゃった、と」
「申し訳ありません。ただ、この話には出てこなかった部屋が1つあります」
「じゃあ、そこだけ見せてください」
案内されたのは、武器庫の隣の部屋だった。地下への階段があり、一階分だけ降りると、反転し、進んだ。
「こちらの部屋は一般公開はしていない部屋となっております」
そして、通路の先にあった階段を昇り、観音開きの扉を開けると……そこは広間だった。
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