戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

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第二章 〜水晶使いの成長〜

第68話  教会②

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「ここは……?」
「ここは『名無しの部屋』。ただ、三賢者が必ず守れ、とおっしゃった、大事な部屋です。覚醒者の方のみ、この部屋に入ることを許されています」

 その部屋は、金色のステンドグラスを通して漏れ出た陽光で輝いており、祈りの間よりよっぽど神秘的だった。

 部屋の構造は円形で、1メートルほどの棒が7本、突き刺さっていた。
 窓はなく、出入り口も見た感じだと、今入って来た扉のみ。

「あの7本の棒は?」
「あれこそ、三賢者の方々が守れとおっしゃった代物です。如何なる武力、魔法でも動かず、傷つかない、まったく見当のつかない物です」

 アーサー王の剣みたいだな。さっきの三賢者の武装よりよっぽど。
 選ばれた存在にしか引き抜けないとか? 

「未だ謎の多い……謎しかない物体です」
「そう……ですね」
「では、これにて終わりとなりますが、どうなされますか? 話に出てきた部屋を見る、という手もありますが」
「いえ、もう大丈夫です。もう帰ろうかと」
「わかりました。ではお出口までお送りしますね」

 この、名も無い部屋。名前だけでなく、他に何もない。

 ……そのはずなのに、何かが気になる。
 どこか後ろ髪を引かれる思いだったが、これ以上考えてもどうにもならなそうだったので、考えるのをやめ、今日はもう帰ることにした。





 時刻は13時。いろいろ見て回ったが、さすがは王都と言うべきか。市場が物資と人で溢れていた。

 昼は、安そうな――本当に安かった――店で一服した。
 人も少なかったし、美味しかった。常連になろうかな、と思った。





 そしてそれは、16時ごろのこと――

 誰かに尾けられている。
 先ほど、近道をしようと路地裏を通ったのだが、後ろに誰かがいる気がしたから、聴力強化を発動したら……これが当たりだった。

 路地裏を抜けても、それは後ろにいた。
 大して離れていない。なら、もう一度路地裏に入って、お出迎えをしないとな。



 近くの路地裏に入り込み、中を進むと、予想通り、そこはちょっとした広場になっていた。
 それと同時にそこは、多くの道が集合していた。自転車の車輪のようになっていた。

「さて……………そこにいるのは誰だ?」
「…………やはりばれていたか」

 知った気配じゃない。だが、この圧は…………

「私は近衛騎士の者で、副騎士団長様の使いだ。伝言を伝えに来た」
「聞かせてください」

 怪しい人について行くなとは習ったが、怪しい人の話は聞くな、とは習っていない。
 一応、近衛騎士の証である軍服を着ているが。

「明日、オリハルコンを受け取り次第、冒険者組合に来い、とのことだ」
「わかりました。1つ、質問を。なぜ、私を尾行していたので?」
「簡単な話だ。貴様のような人間は信用ならん。それだけだ」
「そうですか、ではさようなら」

 漫画でよくある展開だな。
 学園モノの「裏口入学」。あれと同じ扱いだと思っているんだろう。
 そんな面倒なやつとは関わりたくない。

 やれやれ。面倒なことになりそうだぜ……。
 まあ、そいつらに負けないためには、強くなればいい。勝てれば、な。





 翌日。

 オレ専用の武器防具が手に入るってんだから、楽しみだ。

 オーダーメイドだぜ?
 デザインは全部オレがやったんだ……細かい装飾はオレじゃないけど。



 そして、教会。

「よう、坊主!」
「おはようございます、クロさん」
「あ~~、言い忘れてたが……クロってのは本名じゃなくてな。まあ、こんなことは置いといて。できてるぜ」
「ありがとうございます!」

 クロ……くろ……黒? じゃ、他の人はアカとかアオとか?



「え~~っと、ここだな」

 そこは物置みたいな部屋だった。薄暗く、いろんな物で溢れかえっていた。
 だが、よくよく見るとちゃんと整理整頓されているのがわかる。物と物の間隔が狭いだけだ。

「散らかっているように見えたか?」
「一瞬だけ、ですが」

 その中の一角に、布を被った小山の1つ。
 クロさんは、その布を丁寧に取った。 
 
「じゃ、じゃ、じゃじゃ~~~ん!!」

 そこには、多くの大小様々な木箱が置かれていた。

「さてさて、祈りの間で開けようぜ」

 木箱を台車に乗せ、祈りの間まで運ぶ。
 
「じゃあ、開けようぜ」
「そうですね、では早速……」

 木箱を1つ1つ丁寧に開けていく。
 大剣、片手両刃剣、刀、ナイフを3本、棍を1本、棍棒メイス、片手銃を1丁、狙撃銃を1丁。棘の生えた、人の頭ぐらいの大きさの球と、握り拳2つ分の棒、片手斧、ハルバード。
 盾を大小2個ずつ、手甲ガントレット足甲グリーブ胸鎧ブレスプレート、サングラス。

 なぜサングラスがあるのかって?
 目にゴミが入らないように、だったり日差し防止だったり。
 閃光弾なんかも存在する。つまり、光の魔法もあるということ。

 どれもいい仕上がりだ。
 鞘もできてるし、ちゃんと革も張られている。……これ、革か?

「ああ、それは革であって革じゃねえ。オリハルコンに特殊な技術を組み合わせてできる…………早い話、それもオリハルコンだ」

 へえ!!
 錬金術……ではないな。属性が違うし。形状変化ってやつか。
 門外不出の秘伝ってか? かっこいいな。
 なんでか知らんが。

 

 すべての箱をオープンした。
 すべての武器防具との繋がりを感じる……。まるで、オレの一部であるかのような感覚。

「さて、じゃあ、オリハルコンに意識を向けてみな。完全につながってようやく、オリハルコンは武器となるんだ」

 とりあえず、言われた通りにしてみる。すると、オリハルコンが光り輝き、そして

 ――跡形もなく消えた。

「つながったな。これで、これらのオリハルコンはお前の物だ。内側に意識を向け、念じてみな。手始めに、あの棒でも出してみな」

 内側に意識を…………。

 すると、手の中にあの棒が現れた。

「おし、成功だな! これでもう大丈夫だ」
「あとは、2、3日放置すれば、完全にお前の魔力と馴染む。そうすると、色や質感が変化する。すでに変化させた部分は変わんねぇけどな!」
「わかりました! ありがとうございました!」

 手の中の、握りこぶし2つ分ほどの棒を納め、教会を出る。

 次の行き先は、冒険者組合。
 世界の冒険者組合の本部でもある。


 
 冒険者組合にも、様々な種類がある。
 まず、各領にある、一般の冒険者組合。
 通称、組合だ。長は組合長と呼ばれる。

 そして、各国の王都にある冒険者組合。
 人間の国、エルフの国、鬼の国、リザードマンの国、ケモミミの国。通称、支部で、長は支部長。 

 そして、1つしかない冒険者組合――通称、本部。
 人間の国の王都の冒険者組合がそれだ。
 長は本部長。初代本部長はギルドマスターなんて呼ばれていたらしい。 





「ここが本部…………でっかいなぁ……」

 その建物は地上4階建て。
 話によると、地下2階もあるらしい。合計6階。

 1階は組合兼飲食店(定食)。
 依頼を受けたり出したりする場所だ。
 飲食店は、冒険者だけでなく、一般人も利用できる。ただ、冒険者は割引される。

 2階は談話室。
 依頼者との話し合いが行われたり、パーティー内での話し合いやらなんやら。
 ともかく、話し合いに使われる部屋がそろっている。

 3階は資料室。
 様々な魔物に関する資料が置かれている。冒険者のランクを基準にした強さや、過去に出現した特殊ユニークの情報もある。
 どの魔物を取っても、冒険者学校でもらった魔物図鑑よりも詳しく書かれている。

 4階は組合員の部屋。
 大部分は本部長室。
 組合員の部屋と言っても、その実は休憩場。
 組合員専用の談話室や、仮眠室。
 そのため、防音は完璧だ。もちろん、一般の冒険者は原則立ち入り禁止。

 地下1階は組合員や冒険者の個人情報が管理されている階。
 そのため、地下1階には普通の手段では辿り着けない。

 地下2階は訓練場。
 ただし、派手な動きは禁じられている。一回──別の支部だが──覚醒者が訓練場で大暴れして、地上2階までぶち抜いた記録がある。



 本部の前では、副騎士団長がオレを待っていた。

「──来たか、ライン。さて、では冒険者としての登録をしてこい。話はそれからだ」



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