戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

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第三章 ~戦闘狂の水晶使い~

第79話  魔物連合第三隊②

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 刀を構え、睨み合う。

 相手をよく観察してみる。

 身に纏う魔力量はかなりの物だ。オレよりも多いかもしれない。
 だが、何かが引っかかる。鱗も、なぜか脆く見える。

 それに、指揮官――幹部がのこのこと敵地に出てきて大丈夫なのか? 
 前回の人狼は、威力偵察。
 オレたち『人』の頂きを見るため。

 だが、今回は?

 わからない。

 最初に動いたのは、敵のオーガだった。



 魔法を習得した魔物は、言語を喋る、理解することができない場合、無詠唱を習得する。
 だが、どうしても無詠唱は費用対効果が悪い。だが、そこは持ち前の魔力量でカバーしている。



 無詠唱化された『石砲ロックカノン』が5つ、迫る。

「お前ら、できるな?」

 その答えは、行動を以て返って来た。

「「――『飛撃』!!」」

 こちらに残った近衛騎士はちょうど5人。
 5つの『飛撃』が『石砲ロックカノン』とぶつかり、相殺される。

 そして、『飛撃』から霧が生まれる。
 ここで、オレのターン。

 刀を棍に変え、放つ。

「――『音魔砲ショックキャノン』!!」

 前回使った『音砲ショックキャノン』とは違い、今回の『音魔砲ショックキャノン』は、魔力ダメージを与える。
 それは、魔力に波を起こすからだ。

 とりあえず、いい名前が思い浮かばなかったから、こんな名前。
 もし、オレの予想が合っていたら名前は変わる。──『魔法排除リジェクトマジック』と。

 これの効果で霧が晴れ――『飛撃』は魔力から生み出される。そこから発生する霧もまた然り――、そこには大ダメージを受けた異形蛇がいた。血だらけだ。

 おかしな感じだ。
 まるで、魔力しか入っていない・・・・・・・・・・ような…………。いや、まさかな。うん、この世界で……なぁ?

 ――これが本体じゃなく、人形なんて…………。

 いや、ありえる!!

 構成成分に魔鉱を使っていたとしたら?
 そう、何も自我を持たせる必要はない。プログラミング、もしくは遠隔操作さえできれば…………。

 まあいい。とにかく、こいつを倒すことは決定事項だ。

『やってくれるではないか、人間が!』
「人間でもここまでできるんだ。思い知ったか?」
『――『炎弾ブレイズボール』!』

 右上の手をかざし、詠唱をする。そこから放たれたのは『炎弾ブレイズボール』。

「――『晶拳しょうけん』」

 そういや、最近無意識に詠唱することが増えたな、オレ。なんでだ?

 なんて考えてたら、2つの魔法がぶつかった。

 さっきと結果は同じ、勝つのは水晶。
 そのまま『晶拳』が異形蛇に迫る。もちろん、迎撃される。

『――『風砲ウィンドカノン』! ──『風砲ウィンドカノン』! ──『風砲ウィンドカノン』!!』

 今度は左下の手か。手ごとに属性が違うのか?
 三連続か。うん、耐えられないだろう。
 だが、そこも想定内だ。

 プログラミングの効果により、『晶拳』が爆散する。『風砲ウィンドカノン』を放っていた異形蛇は助かったが、茫然と観戦していたオーガどもに、水晶の破片が容赦なく突き刺さる。

「「――『飛撃』!!」」

 すかさず、オーガに追撃! 『飛撃』だけではない。全員、駆け出している。……ってバカか!!

「戻れ!」
『――『爆炎ボム!!』

 オーガと異形蛇が爆炎魔法を使う。広範囲魔法だ。
 オーガどもが間隔を空けて立っていたのはこういうことだったのか! してやられた!

「お前ら!」
「無事です!」

 そんなに脆くなかったか。
 爆発の衝撃で、こちらまで戻って来た。爆発に合わせ、後ろに身を引いたのか。

 ――ズズン…………

 オーガが一体残らず、糸が切れたマリオネットのように、地面に倒れた。

『な、何が起こった? 何をした! 小僧!』
「何も特別なことはしちゃいない。そいつらの頭をよく見てみろ」

 さっき『爆炎ボム』が使われたとき、魔力を余分に消費して推進力を高めた『晶弾』を発射させていた。
 爆炎で死角になるルートを通して、な。『晶弾』自身に含まれる魔力は少なく、感知されにくい。

 あとは簡単。眉間を撃ち抜くだけ。

『また、仲間を…………』

 お怒り中だが、遠慮なしに距離を詰める。
 そして――抜刀!

「――『飛撃』」

 そのまま足を止めることなく、走る。

『――『爆炎ボム』!』

 視界が遮られる。霧散した『飛撃』と、『爆炎ボム』の副次効果である、黒煙。
 この黒煙が出るということは、魔力返還効率が悪い証拠だ。意図的に出すこともできるらしいが。

 だが、オレにはこの仮面のおかげで意味を成さない! 仮面の常時発動バッシブ効果、空間認知能力。

「――『晶弾・龍』!」

 黒煙と霧に紛れ、木々の背後に隠れようとしていたが、オレにとってそこは(仮面の)能力の範囲内。

 よって、そこは死角ではない。

 木ごと、異形蛇を『晶弾』が貫く。1発だけではない。何発も何発も…………。

 だが、悲鳴は上がらない。隊長人狼だって苦悶の悲鳴を上げたのに。

「ほら、オレは目の前だぞ? 近接型を懐に潜り込ませるとは、魔術師失格だぞ? ん?」
『くっ。──『ミスト』』

 辺りを霧が覆う。効果は視界悪化。

「だから、意味はないと…………『晶壁』!」

 後ろに残したエルフたちと異形蛇の間に『晶壁』を展開する。

『ちっ』
「――『晶棘』!」

 位置はバレバレだからな。そこに、地面から『晶棘』を生やした。
 それも、1つではなく、3つ。

 ――勝負は着いた。勝った。

 『晶棘』は3本とも、異形蛇の体を貫いていた。胸、腹、しっぽの真ん中。

 すると、異形蛇は血を吐くでもなく、何も、そう、ただその場でじっとしていた。

『負けたか。そうか、かすり傷も負わせられなかった。【魔導士】と同じ環境にあるわけだ。こうなったら私自ら…………』

 そう言い残すと、塵になって霧散した。

「勝ちましたか!?」
「ああ。だが、急いで撤退するぞ。おそらく、こいつは本物じゃない」
「わかりました!」

 エルフの亡骸を抱え、エルフの王都まで撤退する。



 そしてオレは、居合わせたエルフ1人と一緒に王城に来ていた。
 そして、ここは謁見室。エルフの国王が座っている。

 国王とは何度か話をしたが、賢者って感じのエルフだった。
 見た目とは裏腹に、どっしりしている感じがする。実際に殴ったら、ポッキリ折れそうなほど弱そうだ。

「報告します! 今回遭遇した敵は魔物連合第三隊隊長、ナーラージャと名乗っておりました。そして、こちらの者が討伐いたしました」
「ほう…………久しいな」
「は! 陛下もお変わりないようで何より……」

 漫画、読んでてよかった……。正解かは知らんが。

「うむ、では本題に入ろう。詳しく聞かせてくれ」
「は! 実は、今回遭遇した敵は隊長であり、隊長でない可能性があります」
「その理由は?」

 理解が速くて助かるぜ。一国を治めるだけあるな。

「前回遭遇した人狼と比べ、魔力量は多く感じましたがただそれだけでした。たしかに、一般近衛騎士ほどの強さは持ち合わせておりました。そして何より、死亡の際……消滅・・しました」

 そう、魔物とは言え、実体はある。
 消滅なんて、ありえない。おまけに、攻撃は致命傷だった。

「消滅、とな?」
「はい、塵となり、霧散したのです」

 



 その後は、オレとエルフ騎士で戦闘の経過を詳しく報告した。

「なるほど、たしかにおかしいな。まず、話を聞く限り、魔物かどうかすら怪しい、か……。なるほど、お主の言った言葉の意味も理解できる」





 その後も、同様の報告エルフ国内で上がった。
 そして、本物と思われる異形蛇は出現しなかった。

 そして、やつは魔術に弱いことが判明した。
 近接攻撃は効きが悪かったが、魔法攻撃だとダメージが大きかったらしい。
 実際、『音魔砲ショックキャノン』は効きがよかったしな。

 らしい、というのは、ここ3日間、王都に縛り付けられてたせいで外に出られなかったからだ。
 近衛騎士たちに稽古をつけてやってくれ、という国王の勅命のせいだ。しゃーない。

 やはり、『音魔砲ショックキャノン』は魔法を打ち消す効果があった。
 相手によっては、威力を弱める効果があった。
 これからは『魔法排除リジェクトマジック』だな。

 騎士共に教えてくれって頼まれたけど、誰も一歩目からできなかった。



 オレがエルフの国を去るときにはすでに異形蛇の攻略法が確立されていた。

 必ず魔術師を連れて歩くことを義務化された。オレには関係ない。



 仮面を被り、旅立つ。
 次の行き先はリザードマンの国。また呼ばれた。


 


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