戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月

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第三章 ~戦闘狂の水晶使い~

第80話  リザードマンの国

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 3日間飛び続け、ようやくリザードマンの国――ジュイラス国に到着した。
 ここは、エルフの国を経由して辿り着く。

 ここより更に進むと、結界があるらしい。
 それも、今回の旅の目的だ。

 だが、本題は――

 

 王都に着くや否や、王城へ通された。
 アラブの宮殿みたいだ。なんだっけ…………ああ、アラビアンナイト、千夜一夜物語だ。
 あれに出てくる王宮に似ている。
 王宮にしては低い、2階建て。だが、面積が広い。

 そしてそのまま謁見室まで通された。

「よくぞ来た、【水晶使い】ライン殿」
「は! お初にお目にかかります」
「仮面を使ってくれているようでうれしいぞ」
「このような便利な物をくださり、感謝の言葉しかありません」

 実際、役に立ってるしな。
 ちなみに、謁見の際でも仮面は外さなくていい。

 オレの目の前にいるのは、ジュイラス国国王ギュウ・ジュイラス・エイマンド。
 細身だが、強者特有の圧を感じる。
 国の主は物理的に強くないといけないのか?

「今はどこの国も同じ状況だろう。そのため、今回ライン殿を呼んだのは、敵方をけん制してもらうためと、騎士や冒険者たちの士気を高めてもらうためだ」

 てっきり、隊長級の敵が現れたのかと思ったが。違うのか。
 それに、ライン殿、か…………礼儀正しい『人』だな。

「隊長ほどではないが、かなりの実力を保有する魔物が多く確認されている。今は精鋭部隊を2人、各パーティーに同行させてはいるが、数に限りがある。死者数は少ないが、戦闘も少ない。そこで、だライン殿。お主に、魔物連合を蹴散らしてきてほしい」

 



 陛下直々の命令により、王都を出て森に入ることとなった。

 2人の精鋭が同行してくれている。
 2人とも覚醒アヌースを持っているため、移動が楽だ。トカゲが馬に乗ってる光景はかなりシュールだが。
 ああ、リザードマンと言えど、服は着ている。
 ファンタジーと違い、リザードマンは『人』だ。



 そこでオレたちは高台を見つけ、そこに降り立った。

「ここは良いな。森全体がよく見える」

 視界の9割は森だった。

「おーおー、結構いるなぁ」
「はい、なにぶん、私どもが籠城に近い形をとっているので…………」
「まあいい。ここで一気に数を減らそう」
「ここから……ですか?」
「ああ」

 魔物連合は、なぜか村は襲わない。
 村に限らず、人里は襲わない。

 襲うのは、外に出ている『人』だけだ。

 オリハルコンを狙撃銃に変え、崖から身を乗り出す。
 水晶で固定台を作り、銃を安定させる。

「それは、オブジェでは?」
「ああ。だが、オレは別の有能な使い道ができる。まあ、見た方がいい。お前たちは背後を警戒していてくれ」
「かしこまりました」

 仮面の能力、『千里眼』を使用し、ざっと周辺を見渡す。

 なるほどなるほど。大半はオーガか。進化型ではなさそうだな。進化してても脆いケド! 
 他には、巨大な蛇――ディービービ、巨大なカマキリ――カマキリ(名前そのまま)、ビッグスライム、グレータースライム…………。

 大方の位置を記憶し、『千里眼』を解除する。スライム種は厄介だ。
 魔物連合じゃなければ見逃してもよかったが、赤い2本の痣があった。上位の魔物は大半が連合か。

「それじゃ、狩りましょうかね」

 スコープを除き、銃の中に『晶弾』を生成する。推進力を最大まで上げ、放つ。
 魔力でコーティングしているため、風の影響はない。
 また、火薬は使わない――そもそもない――ため、音もしない。

 放った『晶弾』は迷いなく標的――グレータースライムの核を撃ち抜く。
 他のスライム2体は、何が起きたかわからないまま、続けて発射された『晶弾』に核を撃ち抜かれ、液体となった。

 魔力探知で核が見えるから助かったぜ。

「……グレータースライム3体撃破」

 正直、『晶弾』1発にかかる魔力量が多い。
 まあ、誤差の範囲内か。『晶拳』1発と同じくらい。
 この調子でバンバン(文字通り)狩っていこうかね。

 次は、オーガにしようか。
 見た感じ、進化型でも異形型でもなさそうだ。オーガはヘッドショットでいいか。

 先ほどと同じ流れで狩る。
 4体いたが、混乱に乗じてあっという間に撃破できた。

「……オーガ4体撃破」

 後ろを警戒してもらっているリザードマンにそう伝える。

 魔物に発見されるのを防ぐため、覚醒はさせてないが、この2人は魔力探知が使える。
 魔物が来たらわかるはずだ。
 どんな魔物でも報告するように言ってあるし、大丈夫だろう。



 撃つ。

「……カマキリ3体撃破」



 ただひたすら撃つ、撃ち続ける。

「ディービービ2体撃破」





 気づけば、時間は2時間も経過していた。
 現時点でのノルマは、オーガ13体(ノーマル11体、進化2体)、グレータースライム7体、ビッグスライム17体、ディービービ6体、カマキリ8体。
 魔物連合ではないが、ゴブリンとスライム合わせてを30体ほど。

 進化型オーガは魔術型じゃなかった。じゃあ何型なのかって聞かれたらわからない。

 ディービービは厄介だった。
 くねくね動くから狙いが定まらなかった。ディービービの鱗は硬いらしいが、無視だ。
 先端をバカみたいに鋭くしたからな。

 鋭すぎると本来は狙いがぶれたりするから良くないんだが、プログラミングとコーティングで解決! 
 最初はいつも通りの形で生成し、多めの魔力で包み、発射。着弾寸前で形がさらに鋭く変化。
 コーティングがなければ、弾がぶれ、外れたり、当たっても弾かれるだろうからな。

 だいぶ狩ったな。オレの魔力残量も半分近い。
 自然回復しなければ、すっからかんだろうな。

『――楽しそうだな』

 ――ゾクッ!

 突如現れた大きな気配。
 振り返るとちょうど、両断されたリザードマンが崩れ落ちる瞬間だった。
 手にオリハルコンを握っているのを見るに、気づいたときには手遅れ、か。

「何者だ?」

 改めて襲撃者の姿を見る。
 ぼろぼろの、地面まで伸びたマント。
 フードで顔の部分は隠されている。武器は不明だが、リザードマン2人を見るに、剣系統。
 いかにもって感じだな。

『魔物連合の者だ、【水晶使い】ライン・ルルクス…………。違ったか?』

 オレの名前を知っている。通り名は知られているが、名前まで知られているのか?
 異形蛇は名前を知らなかったが。知っていたが言わなかっただけか?

「さあな」
『まあいい』
「どこの隊だ?」
『我らが盟主の側近だ。故に、隊には所属しない。が、どの隊の長よりも強いぞ?』

 盟主の側近!?
 とんだ大物を引き寄せちまったな…………。

 今のオレでは勝ち目はなさそうだ。
 なら、生きて帰還するのが最善か。

 ――フレイ、崖の下で待機していてくれ。

 フレイが崖下に到着するまで3分ほど。
 その間、余力を持って堪え切れれば、どうにかなるか?

「で、ここには何の用だ?」
『お前を一目見に来た。本来は殺そうと思ったのだが、今のお前では相手にならない』
「そうか」

 こいつの言うことは事実だ。 
 何分、いや、何秒立ってられるか…………。

『まだまだ、だな。お前程度、何人いようが、我と、我らが盟主は倒せやしない。将来の不安の芽は摘んでおくべきなのだろうが、我はこれでも武人でな。自分と同等の敵と戦いのだ』
「なるほどな」
『では、我らは移動するのでな。……次会うまでに強くなれよ。お前は強い』

 そして、姿が掻き消えた。
 残ったのは、両断されたリザードマンの死体が2つ。
 ああ、この2人は精鋭だったな。
 覚醒させてなかったのが裏目に出るとはな……。





 持ち合わせの布で丁寧に死体を包み、王都に戻る。
 途中でリザードマンの近衛騎士騎士団長に報告を済ませた。

 そのおかげで、帰還するころには墓が用意されていた。いや、迎えを寄越さないか……などと突っ込める雰囲気は一切なかった。



 そして、王城。

「ライン殿、今回あったことを報告してくれ」

 この場にはオレ以外に、リザードマンの騎士団長、国王がいる。

 

 オレは今回あったことを報告した。
 謎のマントが放った言葉はニュアンスは変えずに。

「そうか……ご苦労だった。しかし、そのものが言うことが真実であれば、ライン殿にはまだ先があるということ」
「しかし、訓練以外に方法は…………ライン殿の現在の強さを考えるに、近衛騎士隊長級がいいところでしょう」
「更なる強さを得る方法は私にもわかりませんが、とりあえずはこれまで通り各地をめぐるつもりです」
「そうか……して、次の行き先は?」

 王からの質問に、オレはすでに答えを用意してある。
 強くなるという目的とは外れているが、そこにいけば何かあるかもしれない。

「――はい、結界を見ようと思います」

 
 
 
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