143 / 168
最終章 ~最強の更に先へ~
第127話 【前鬼後鬼】コラヤンVS【六道】鎌鼬②
しおりを挟むこれから鎌鼬は攻撃へ移る。
鎌鼬は竜巻の中を進み、中へ入った。
自身の魔法なんだもの。これぐらいできる。
「入ってきた? なぜ?」
『さあ、決着を付けようじゃないか。ここで!』
「ここがお前の墓場か……いいだろう」
『ほざけ!』
鎌鼬の痣が濃いく光る。
『ぐ……』
しかしそれに合わせ、鎌鼬は苦しんでいるように見えた。
いや、実際に苦しんでいるのだろう。呻き声を上げているのだから。
『盟主様に……勝利をぉぉ…………我が……君………………我は何を……くっ!』
「はぁあああああ!!」
苦しんでいる鎌鼬などお構いなしに、コラヤン兄妹は鎌鼬に攻撃を仕掛ける。
人道がないように思える言い方だが、ここは最終決戦の戦場。勝ったもの勝ちだ。
「――『秘剣・発火』」
「――『秘剣・流水』」
ヨウファンの大剣に炎が、ヤマルの双頭槍に水が纏わりついた。
『うっ』
ヨウファンの大剣を避け、ヤマルの槍を掴んだ。
そして自身の方へ引っ張り、ヤマルの手から双頭槍を奪った。
『借りるぞ。――『竜巻槍』』
ヤマルの双頭槍に竜巻が纏わりつく。
鎌鼬はそれを……一閃。
それだけで、ヨウファンとヤマルは吹き飛ばされた。
そして竜巻の壁にぶつかり――背中を切り裂かれた。
「ぐあ!」
「うぐっ!」
『返すぞ』
鎌鼬はヤマルの双頭槍をヤマルに向け、投擲した。
しかし、それはヨウファンの大剣によって防がれた。
『――『竜巻拳』』
鎌鼬から2つの竜巻が発生し、それぞれ、コラヤン兄妹に向かって伸びる。が、
『ぐあっ!』
鎌鼬は頭痛に襲われ、魔法はキャンセルされた。
「おい……大丈夫か?」
『何かが……入ってくる感覚が止まなくてな……頭痛が周期的に起こってな』
「その痣が原因――」
『我が君を愚弄する――くそ! ああ、そうだろうな。だが、解除できない』
「……休戦を」
『――無理だ。だが、我個人としては賛成したい。……適度に頼む』
ヨウファンの休戦の提案は食い気味に却下された。
が、代案が鎌鼬直々に提案された。
「適度に、か……難しいな。その命刈り取って、楽にして――」
『――策がある。それが起きるまでの間で頼む』
「……わかった。ヤマルも、それでいいな?」
「うん」
しかし、その瞬間、鎌鼬の痣が禍々しい色に変化し、体中に広がって行った。
『が……あぁあああああ!! …………戦いを放棄するとは愚かな! 戦闘意欲のない者にこの体は勿体ない!』
「誰だ!?」
『【六道】が1つ、鎌鼬…………の体を奪った、シューゲル・ターレイ。我が君、我が主、盟主様に遥か昔よりお遣いしている敬虔なる信徒だ』
鎌鼬は目付きから何もかもが変化していた。
真っすぐこちらを睨むかのような瞳は、世の中のすべての存在がすべて映っていないかのような虚ろな目に。
固く閉ざされた口は、口角が若干上がり、生きとし生ける者すべてを舐めきっているかのような顔に彩る。
「…………狂信者……」
『シドーにも同じことを言われた』
「シドー?」
『……この時代に名は残していないのか? それとも、すでに存在していないのか?』
「「聞いたことない」」
『……そうか。仇討ちはできないのか……残念だ。見ていることしかできなかったことが悔やまれるな』
コラヤン兄妹は自分の世界にトリップした鎌鼬……もとい、シューゲルを横目に、この状況を冷静に判断していた。
鎌鼬の意識が消え、シューゲルが出てきた瞬間に、竜巻の檻は消えていた。
(逃げの一手……非現実的だ)
(攻撃にどう動けば……? ラインなら……)
ヨウファンも、ヤマルも逃げの手は除外していた。
シューゲルは今も自分の世界から戻って来ていない。
『だが、こうして復活を果たすことができた。さて、お前たちは用無しだ。消えろ』
途端、鎌鼬から尋常じゃない威圧が溢れ出した。
(な……)
(押しつぶされそう……!)
ビリビリと、神経が危険を肌に伝える。
『ふむ……なるほどなるほど。勝手がわかるまで、精々耐えてくれ』
そう言うと鎌鼬――否、シューゲルはコラヤン兄妹の方……ではなく、生き残った付き人数人へ向かって行った。
「「ぐぁああああああ!!」」
そして、一瞬で皆殺しにされた。
シューゲルの発した風に切り裂かれ、原型も留めずにバラバラにされた。
『ふむ……魔力効率が悪いな。かなり持ってかれた』
心の声をせき止めるものがないのだろうか。それとも、わざとなのか。
『ふむ……お前たちは耐えてくれよ。ふむ……――『風砲』』
シューゲルの手から2発の『風砲』が放たれる。
それらは人の体の半分ほどの大きさもあり――馬鹿みたいに速かった。
コラヤン兄妹は反応が遅れ、もろ直撃してしまった。
――パアァァアアン!!
甲高い音を立てて、『風砲』が破裂する。
「「……?」」
『ふむ……速さと大きさを重視したのだが……威力が壊滅的に低くなったか……難しいな、魔法というものは。……なあ?』
「さあな」
そして、シューゲルはひたすら『風砲』を放ち続けた。
コラヤン兄妹は時に避け、時に――反応しきれずに――直撃し、時に攻撃を仕掛けた。
『ふむ、大分感覚がわかってきたか』
事実、シューゲルの放つ『風砲』の命中率、威力、速さ、大きさは人並み以上にまでなっていた。
(まずいな……ライン級とまではいかないが、十分脅威だ)
(くっ……しんどい……)
徐々にコラヤン兄妹の体には疲労が蓄積し始めた。
『おや……お疲れのようですね。さて『風砲』はこれでいいとして、他の魔法も試さないと……くっ』
しかし、疲労が蓄積していたのはシューゲルも同様だった。
慣れない魔法を放ち続けたせいで限界、変換効率を理解できなかったのだ。
『仕方ない……近接戦で決着を付けようか……』
「ああ、そうだな」
「お兄ちゃん……」
「ああ、最初から飛ばすぞ!」
3人は持てる最後の力を振り絞った。
「――『秘剣・発火』」
「――『秘剣・吹風』」
『――『風舞』』
ヨウファンの大剣に炎が纏わりつき、ヤマルの槍に風が纏わりつく。
シューゲルは体に風を纏う。
「「――『剛撃』」」
コラヤン兄妹は一撃の威力を向上させる技術を武器に付与した。
『ふむ……それは……体系が違うものか。仕方ない』
2人と1人は、各々立っていた場所から中間地点で刃を交えた。シューゲルは爪だが。
『やはり、爪で受け止めるのはしんどいか』
シューゲルは後退し、受けた衝撃を受け流した。
「逃がさない!」
「やめろヤマル!」
『逃げ……ではないのだが――』
鎌鼬が爪を振り下ろす。
「――!!」
驚きで体が硬直し、防御する時間すら、体を大きく捩ることすらできない。
ヤマルは諦め、その狂爪を受けようと目を瞑った。
しかし、ヤマルを襲ったのは別の衝撃だった。
「ぐあっ!」
「……? ……!」
シューゲルの爪を受けたのはヤマルではなく、ヨウファンの背中だった。
『ほう……限界を突破して動いたのか。愚かな妹を守るとはな。そのまま妹を犠牲にしていたらこの私に攻撃できたのに』
「俺が受けたことで、ヤマルは無事だ。それに俺もそこまでダメージを受けてはいない」
『ふん! くだら――』
突如、シューゲルの脇腹に熱が広がった。
攻撃を加えたのは、ヤマルだった。
「如何なる状況においても冷静さと合理さを失わないのが、妹の武器だ」
『あの【水晶使い】に欠如しているものを……?』
「強さの種類が違うだろう?」
シューゲルはそれを聞き、ため息をついた。そして、
『さて、そろそろ勝利を盟主様に捧げる頃合いか……』
「敗北をあの世で報告するんだな」
『――『台風檻』』
シューゲルは周囲に風を展開し、自身と外界を隔てた。
「な!? 硬い……」
コラヤン兄妹が攻撃を加えても、その檻はびくともしなかった。
その中でシューゲルは魔法の詠唱をする。
『古より伝わりし風の魔王よ。我が命に応え、我が力を依り代に顕現せよ』
「その詠唱は……?」
ヤマルの問いかけすら無視し、シューゲルは詠唱を続ける。
『風の魔王よ、その力を魅せ給え――『風神』』
風の檻が砕け散り、辺りに豪風が吹き荒れる。
一瞬で風は止んだが、その一瞬で地形が変わっていた。
木々は消え去り、地面はめくれ上がり、上空には雨雲ができていた。そして雨が溢れ出した。
『ふむ……まだ息があるのか。だが、すでに満身創痍だな』
ヨウファンもヤマルも身動きできないほどダメージを受けていた。
「ごほっ……」
『兄の方は気絶したようだな。放っておいたら死にそうだな』
ヨウファンは気絶しており、背中から血が溢れ出ていた。
『さあ、最期の一息は吸えたか?』
そして鎌鼬の爪がヤマルの心臓へ――
0
あなたにおすすめの小説
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる