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15 いらない
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*ブライアンside
俺の顔は青ざめ、呼吸が荒くなり、肩が上下していた。
「ミリアは……俺の娘だ……」
あのとき俺は、ジェイを優先してしまった。
だが、それは彼が重傷だと思い込んでいたからだ。
泣き叫ぶジェイの姿を見て、深刻な怪我だと判断したのだ。
ティナたちのことを思い出したのは、確かに侯爵邸へ戻ってからずいぶん時間が経ってからだった。
三時間は経っていたと思う。
だから、彼女たちは、誰かが迎えに行っただろうと思った。
まさか、誰も行かなかったなど思ってもみなかった。
けれど、彼女たちは助かり、今は問題なく元気だ。
それに……
「ミリアは、父親が大好きだ。ミリアに会わせてくれ」
その場が静まり返った。
ティナが「えっ」と小さく声を漏らした。
彼女はぎょっとしたように目を見開いて俺を見た。
……どんなにひどい状況であっても俺はミリアの父親だ。
娘に会うのは当然の行為だ。
「ミリアは、父親に会いたがっているはずだ。俺がいなくなることなんて想像していないだろう?それに……ティナ!俺は、君を愛している」
「何を、貴様……」
義父が震えながら拳を握る。また俺に殴りかかってきそうだ。
だが、暴力に訴えるなどあってはならない。伯爵である以上、貴族ならば話し合いで場を収めるべきだ。
俺はティナの腕を優しく取った。
彼女は、その手を振り払った。
「ティナ、俺たちは夫婦としてうまくやっていたはずだ。君は俺を尊重してくれていたし、俺も君を大切にしてきた。互いに愛情を持っていたと思っている。なのに、どうして突然離婚なんて話になるんだ?」
必死に彼女に分かってもらおうとした。
今は、彼らは怒りで頭がいっぱいの状態だと思う。
ここで、流されて離婚届にサインをしてしまっては大変なことになる。
それだけは、はっきりとわかった。
「ブライアン……何を、言っているの?」
ティナは口元を引きつらせ、表情がこわばっている。
「確かに、俺はひどい間違いを犯した。君に、ミリアにとんでもないことをしてしまった。本当に申し訳ない。けれど……」
俺は言葉を切って、呼吸を整えた。
「……君は俺を愛しているはずだ」
その場の全員が息を呑んだように静止した。
「どうか、もう一度だけチャンスが欲しい。許してくれとは言わない。償う機会を与えてほしいんだ……」
しばらく、沈黙が続いた。
「ふ、ふ、ふざけないで!もう愛なんてあるはずないでしょう!」
ティナが叫んだ。
――愛して……いない?
俺の胸に、雷に打たれたような衝撃が走った。
「あなた……正気なの?」
その瞬間、視界がぐらりと揺れた。
足元が崩れ落ちるような錯覚に襲われ、思わず壁に手をつく。
背筋に冷たいものが走る。
「……それは……どういう意味だ?」
なんとか言葉を絞り出す。
「ミリアはもうお父様なんて必要ないって言ってるのよ!」
彼女の言葉は、容赦のない拒絶だった。
まるで俺の存在に、何の価値もないと言われたようだった。
そんなはずはない……
あり得ない……
俺は、何度も何度も心の中で否定した。
「俺が……いらない……?」
心臓が止まったような気がした。
何も聞こえない。何も見えない。
ただ、「いらない」という言葉だけが頭の中で何度も響いていた。
ミリアの笑顔が、遠く霞んでいく。
俺は、もう父親はいらないのか……?
***
馬車は速度を上げ、夕暮れの街道を突き進んでいた。
俺は伯爵家を追い出された。
「もう二度と足を踏み入れるな」と言われて。
娘にも会わせてもらえなかった。自分の子だというのに……
手に持っていたミリアのクッキーが、馬車の床に落ちた。
それは、乾いた音を立てて、情けないほど寂しく響いた。
ミリアに会えるチャンスを、あなたは無駄にしたと言う、彼女の言葉の意味。
それを理解するまで、少し時間がかかった。
「そうか……ティナが侯爵家へ来た日だ……」
ミリアが熱を出したと知らせに来たあの日、俺は「大げさだ」と言って彼女を追い返してしまった。
エリザベスはティナの身だしなみを非難し、母も「いい加減にしろ」と彼女を叱責した。
そして俺は……「明日は帰ってきてほしい」と願った妻の頼みを、聞き入れなかった。
どうすればよかった…… どうすれば、よかったんだ。
娘との幸せだった時間が、走馬灯のように浮かび上がる。
初めて「パパ」と呼ばれた日。
誕生日に贈ったぬいぐるみを抱いて眠る姿。
あの子は、俺と一緒にピクニックに行けることを、心から喜んでいた。
伯爵家に帰るたび、会えない時間を埋めるように、俺のそばから離れなかった。
ちょっとした出来事に、いつも目を輝かせていた。
初めて覚えた詩を、誇らしげに暗唱してくれた。
俺の顔を絵に描いてくれた……
生まれてからずっと、愛する娘だった。
ミリアも俺のことが、大好きだったじゃないか……
***
侯爵家に着くなり、息を整える余裕もなく執務室へ駆け込んだ。
扉を乱暴に押し開けるや否や、声が勝手に張り上がった。
「帳簿を出せ!!」
執事たちが互いに顔を見合わせ、明らかな動揺を浮かべる。
伯爵の「借金をきちんと返済しろ」という声が、頭の中で何度もこだまする。
クリフの「いつまでも甘えられると思うな」という冷たい言葉も、耳にこびりついて離れない。
離婚だけは避けなければならない。
そのためには、まず俺が動かなければ。誠意を示さなければ。
ずさんだと言われる侯爵家の経営を立て直し、ティナにもミリアにも、胸を張れる父でいなければならない。
金を作らなければ、ミリアに会うことすら許されないかもしれない。
それどころか、この屋敷まで取り上げられる。
悪い想像が次々とのしかかる中、俺は独り言のように呻きながら、震える指で帳簿をめくった。
数字が、脈打つ鼓動の速さに合わせてぐらりと揺れる。
余裕があるはずの金が、どこかへ消えている?
「ブライアン様……何があったのですか?」
「伯爵が……ケジメとして、借金を全部清算しろと言ってきたんだ」
「なっ……な、何を突然!そんなの、無茶です!」
「俺は……離婚されたら、本当に全部が終わるんだ!!」
支出を削り、取引業者からの入金を待てばまだ間に合う。
そう思った、その瞬間。
背後から鋭い叫びが落ちた。
「何をしてるの、ブライアン!」
振り返るまでもなく、その声が誰のものか分かった。
母だった。
***
「ちゃんとルノー伯爵に、今月分の支援金を振り込むように伝えたの?」
母の声が、執務室の空気を叩くように飛んできた。
入金?支援金?
「そんなものはもうない!」
「ブライアン!あなた、何をしに伯爵家までわざわざ行ってきたの!あの人たちの言いなりになったんじゃないでしょうね?」
母は事の重大さを分かっていない。
「母さん!まだ支払いが済んでない物は全部、返品してくれ!支援金は……受け取れなかったんだ。今は一刻でも早く金を用意しないと……!」
「ブライアン、伯爵家ごときに、大きな顔をされてどうするの!」
母の目が大きく見開かれ、眉間に刻まれた皺が怒りで震えていた。
彼女はなにも分かっていない。
「身分や爵位は関係ない。金の問題なんだ!」
支払い請求書が山と出てきた。
母とエリザベスが買い漁った贅沢品の請求書だ。
桁外れの金額が、容赦なく財政を圧迫していた。
「こ……こんなに散財していたら……っ!」
ページをめくる手が、長年見過ごしてきた帳簿のずさんさに震えた。
母は、見返りのない投資に金を注ぎ込み続けていた。
エリザベスは、遊興費として毎月のように旅行へ出かけ、その費用はすべて屋敷の必要経費として処理されていた。
どれも、家計を圧迫するだけで何の利益も生まない支出だった。
俺が必死に帳簿を見直しても、数字は冷酷にその事実を突きつけてくる。
胸の奥で、不安がじわじわと広がっていく。
このままでは、屋敷を失う。
そんな最悪の未来が、すぐそこまで迫っていた。
俺の顔は青ざめ、呼吸が荒くなり、肩が上下していた。
「ミリアは……俺の娘だ……」
あのとき俺は、ジェイを優先してしまった。
だが、それは彼が重傷だと思い込んでいたからだ。
泣き叫ぶジェイの姿を見て、深刻な怪我だと判断したのだ。
ティナたちのことを思い出したのは、確かに侯爵邸へ戻ってからずいぶん時間が経ってからだった。
三時間は経っていたと思う。
だから、彼女たちは、誰かが迎えに行っただろうと思った。
まさか、誰も行かなかったなど思ってもみなかった。
けれど、彼女たちは助かり、今は問題なく元気だ。
それに……
「ミリアは、父親が大好きだ。ミリアに会わせてくれ」
その場が静まり返った。
ティナが「えっ」と小さく声を漏らした。
彼女はぎょっとしたように目を見開いて俺を見た。
……どんなにひどい状況であっても俺はミリアの父親だ。
娘に会うのは当然の行為だ。
「ミリアは、父親に会いたがっているはずだ。俺がいなくなることなんて想像していないだろう?それに……ティナ!俺は、君を愛している」
「何を、貴様……」
義父が震えながら拳を握る。また俺に殴りかかってきそうだ。
だが、暴力に訴えるなどあってはならない。伯爵である以上、貴族ならば話し合いで場を収めるべきだ。
俺はティナの腕を優しく取った。
彼女は、その手を振り払った。
「ティナ、俺たちは夫婦としてうまくやっていたはずだ。君は俺を尊重してくれていたし、俺も君を大切にしてきた。互いに愛情を持っていたと思っている。なのに、どうして突然離婚なんて話になるんだ?」
必死に彼女に分かってもらおうとした。
今は、彼らは怒りで頭がいっぱいの状態だと思う。
ここで、流されて離婚届にサインをしてしまっては大変なことになる。
それだけは、はっきりとわかった。
「ブライアン……何を、言っているの?」
ティナは口元を引きつらせ、表情がこわばっている。
「確かに、俺はひどい間違いを犯した。君に、ミリアにとんでもないことをしてしまった。本当に申し訳ない。けれど……」
俺は言葉を切って、呼吸を整えた。
「……君は俺を愛しているはずだ」
その場の全員が息を呑んだように静止した。
「どうか、もう一度だけチャンスが欲しい。許してくれとは言わない。償う機会を与えてほしいんだ……」
しばらく、沈黙が続いた。
「ふ、ふ、ふざけないで!もう愛なんてあるはずないでしょう!」
ティナが叫んだ。
――愛して……いない?
俺の胸に、雷に打たれたような衝撃が走った。
「あなた……正気なの?」
その瞬間、視界がぐらりと揺れた。
足元が崩れ落ちるような錯覚に襲われ、思わず壁に手をつく。
背筋に冷たいものが走る。
「……それは……どういう意味だ?」
なんとか言葉を絞り出す。
「ミリアはもうお父様なんて必要ないって言ってるのよ!」
彼女の言葉は、容赦のない拒絶だった。
まるで俺の存在に、何の価値もないと言われたようだった。
そんなはずはない……
あり得ない……
俺は、何度も何度も心の中で否定した。
「俺が……いらない……?」
心臓が止まったような気がした。
何も聞こえない。何も見えない。
ただ、「いらない」という言葉だけが頭の中で何度も響いていた。
ミリアの笑顔が、遠く霞んでいく。
俺は、もう父親はいらないのか……?
***
馬車は速度を上げ、夕暮れの街道を突き進んでいた。
俺は伯爵家を追い出された。
「もう二度と足を踏み入れるな」と言われて。
娘にも会わせてもらえなかった。自分の子だというのに……
手に持っていたミリアのクッキーが、馬車の床に落ちた。
それは、乾いた音を立てて、情けないほど寂しく響いた。
ミリアに会えるチャンスを、あなたは無駄にしたと言う、彼女の言葉の意味。
それを理解するまで、少し時間がかかった。
「そうか……ティナが侯爵家へ来た日だ……」
ミリアが熱を出したと知らせに来たあの日、俺は「大げさだ」と言って彼女を追い返してしまった。
エリザベスはティナの身だしなみを非難し、母も「いい加減にしろ」と彼女を叱責した。
そして俺は……「明日は帰ってきてほしい」と願った妻の頼みを、聞き入れなかった。
どうすればよかった…… どうすれば、よかったんだ。
娘との幸せだった時間が、走馬灯のように浮かび上がる。
初めて「パパ」と呼ばれた日。
誕生日に贈ったぬいぐるみを抱いて眠る姿。
あの子は、俺と一緒にピクニックに行けることを、心から喜んでいた。
伯爵家に帰るたび、会えない時間を埋めるように、俺のそばから離れなかった。
ちょっとした出来事に、いつも目を輝かせていた。
初めて覚えた詩を、誇らしげに暗唱してくれた。
俺の顔を絵に描いてくれた……
生まれてからずっと、愛する娘だった。
ミリアも俺のことが、大好きだったじゃないか……
***
侯爵家に着くなり、息を整える余裕もなく執務室へ駆け込んだ。
扉を乱暴に押し開けるや否や、声が勝手に張り上がった。
「帳簿を出せ!!」
執事たちが互いに顔を見合わせ、明らかな動揺を浮かべる。
伯爵の「借金をきちんと返済しろ」という声が、頭の中で何度もこだまする。
クリフの「いつまでも甘えられると思うな」という冷たい言葉も、耳にこびりついて離れない。
離婚だけは避けなければならない。
そのためには、まず俺が動かなければ。誠意を示さなければ。
ずさんだと言われる侯爵家の経営を立て直し、ティナにもミリアにも、胸を張れる父でいなければならない。
金を作らなければ、ミリアに会うことすら許されないかもしれない。
それどころか、この屋敷まで取り上げられる。
悪い想像が次々とのしかかる中、俺は独り言のように呻きながら、震える指で帳簿をめくった。
数字が、脈打つ鼓動の速さに合わせてぐらりと揺れる。
余裕があるはずの金が、どこかへ消えている?
「ブライアン様……何があったのですか?」
「伯爵が……ケジメとして、借金を全部清算しろと言ってきたんだ」
「なっ……な、何を突然!そんなの、無茶です!」
「俺は……離婚されたら、本当に全部が終わるんだ!!」
支出を削り、取引業者からの入金を待てばまだ間に合う。
そう思った、その瞬間。
背後から鋭い叫びが落ちた。
「何をしてるの、ブライアン!」
振り返るまでもなく、その声が誰のものか分かった。
母だった。
***
「ちゃんとルノー伯爵に、今月分の支援金を振り込むように伝えたの?」
母の声が、執務室の空気を叩くように飛んできた。
入金?支援金?
「そんなものはもうない!」
「ブライアン!あなた、何をしに伯爵家までわざわざ行ってきたの!あの人たちの言いなりになったんじゃないでしょうね?」
母は事の重大さを分かっていない。
「母さん!まだ支払いが済んでない物は全部、返品してくれ!支援金は……受け取れなかったんだ。今は一刻でも早く金を用意しないと……!」
「ブライアン、伯爵家ごときに、大きな顔をされてどうするの!」
母の目が大きく見開かれ、眉間に刻まれた皺が怒りで震えていた。
彼女はなにも分かっていない。
「身分や爵位は関係ない。金の問題なんだ!」
支払い請求書が山と出てきた。
母とエリザベスが買い漁った贅沢品の請求書だ。
桁外れの金額が、容赦なく財政を圧迫していた。
「こ……こんなに散財していたら……っ!」
ページをめくる手が、長年見過ごしてきた帳簿のずさんさに震えた。
母は、見返りのない投資に金を注ぎ込み続けていた。
エリザベスは、遊興費として毎月のように旅行へ出かけ、その費用はすべて屋敷の必要経費として処理されていた。
どれも、家計を圧迫するだけで何の利益も生まない支出だった。
俺が必死に帳簿を見直しても、数字は冷酷にその事実を突きつけてくる。
胸の奥で、不安がじわじわと広がっていく。
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そんな最悪の未来が、すぐそこまで迫っていた。
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