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17 ジェイの企み
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*ジェイside
何もかもミリアのせいだ。
あいつは生意気で、いつも俺に楯突く。
湖で蹴り落としたことをミリアが大袈裟に騒いだせいで、伯爵家が金を渡さなくなったらしい。
母さんもおばあさまも、侯爵家(俺の家)に対して失礼だって言っていた。
屋敷で俺に仕えていたメイドも、今では一人になったし、学園へ通う馬車もしょぼくなった。
みんないつもイライラしているし、俺の小遣いも当分もらえないって。本当に腹が立つ。
それに何より、一番むかつくのはイーライだ。
あいつはクラスメイトで、大公の孫らしい。
身分は高いかもしれないけれど、いつも偉そうにしていて鬱陶しい。
優等生で、教師からの評判がいいのもむかつく。
「くそっ……!なにが低位貴族令息を虐めているだ……」
イーライは同じ学園に通う貴族の令息に、俺が嫌がらせをしているとチクりやがった。
だいたい爵位の低い男爵や子爵の令息なんて、虐められて当然だろう。
そもそも大袈裟だ。遊んでるだけだし、別に大したことはしてない。
学年が上の王子たちまで味方につけて、今度何かしたら退学になる覚悟をしろと言いやがった。
それに、ミリアの件をちゃんと調べるだって?
『遊んでいて、ミリアが自分からふざけて湖に飛び込んだんだ』
『泳げないミリアが飛び込むはずはない』
『見てないくせに、わかるわけないだろ!』
ミリアが俺に落とされたと言っているらしい。
だけど、調査なんて無理に決まってる。ミリアはまだ五歳だし、あいつの言うことなんて信用されるはずがない。
俺が少し睨めば、ミリアは怖がって何も言えなくなるだろう。
「だいたい、ケガしたわけでもないし生きてるし、何の問題があるんだよ。馬鹿々々しい」
イーライは父親の仕事の関係で、ルノー伯爵家へよく行くらしい。
ミリアとも友だちだって言ってたけど、あんな幼児と遊んでも面白くないだろう。
「虐めて楽しむくらいならできるかもしれないが」
俺はふっと鼻で笑った。
学校でも家でも、ミリアと何があったのか何度も聞かれた。
しつこくミリアのことで責められるのに、いい加減うんざりしていた。
そんな矢先、俺のコレクションの「紋章入りサファイアのカフス」と「アレキサンドライトのタイピン」と「ドラゴンを模したオパールのブローチ」が勝手に売られた。
宝物だったのに、大事にしていたのに。
まさか子どものものまで売りに出されるなんて、信じられなかった。
そんなに金に困っているのか?それもこれも、すべてミリアのせいだ。
伯爵家に金があるからって、俺を見下すのか?
ふざけるな。
金で俺を辱めたこと、後悔させてやる。
俺の怒りは、静かに燃える炎だ。
誰にも気づかれずに、すべてを焼き尽くす。
思い知らせてやる。
俺を侮った代償が、どれほど重いかをな。
***
ミリアside
あれから、母と祖父それに親戚たちは、父の実家であるクレメンツ侯爵家を追い込んでいた。
直接私には詳細は話してくれなかったが、「お父様はいらないわ」と言う私の言葉をしっかり受け止めてくれたようだ。
この世界では、私は生きている。
けれど、原作では違った。私は死んだ。
すべては、父の浅はかで無責任な行動のせいだった。
何も考えず、何も守らず、ただエリザベスとジェイの言葉を信じて行動した。
その結果、私は命を落とした。
原作の父は、私の死を前に泣き崩れ、母に何度も謝罪した。後悔し、懺悔し、許しを乞うた。
けれど、母はその手を取らなかった。
当たり前だ。私だって、許さない。
たとえこの世界で生き延びていたとしても、あの過去は消えない。
「自業自得よ。離婚されて当然だし、侯爵家の『人のふんどしで相撲を取る』的な、その浅ましさ。そんな考え方は、早いうちに修正してあげた方がいいわ」
もっとも、もう手遅れかもしれないけれど……
そっと小さな声で呟いた。
私は今、美しく整えられた自分の部屋で、美味しいクッキーを口に入れながら、温かい紅茶を口に運んでいる。
「お嬢様、お砂糖を入れなくていいのですか?ミルクはいつもたっぷり入れてましたのに……」
専属メイドのリラが不思議そうにこっちを見ている。
「んーと、甘いクッキーを食べているから。お砂糖は我慢するわ。ちょっと大人の真似をしているの」
「ふふふ、立派なレディーですね」
優しく可愛らしいメイドのリラ。
まだ十六歳だという。
前世の私は日本人で二十六歳。十も年下のメイドに甘やかされて、至極幸せな気分だった。
「子どもって、最高だわ」
そのとき、ドアがノックされて使用人が入ってきた。
手紙が来ていると言われ受け取った。
そこには「大事な話があるから、少し裏庭に出てこれないか」と書いてあった。
「イーライからだわ」
「そう言えば、今日はこちらにいらっしゃっていますね」
ちょうどその日は、イーライが父親のアズルと共に伯爵邸へ来ていた。
だからなにも疑わず、私は裏庭に行ってしまった。
もちろん侍女と一緒に行動していた。
なんの問題もないと思っていた。
***
*他side
「なんだと!」
すぐに伯爵のもとへ知らせが届いた。
ミリアが何者かに連れ去られたというのだ。
同行していたメイドは、背後から頭を殴られ、気を失っていた。
「イーライ様から手紙を受け取りました。それで……お嬢様は……ううっ……」
だが、イーライはそんな手紙など書いていない。筆跡も、彼のものとは明らかに違っていた。
ちょうど伯爵邸にアズルとイーライが来ていた。
ルノー伯爵と香辛料の専売権に関する仕事の話をしていたときだった。
誰かがイーライを騙り、ミリアを誘拐したのだ。
「僕は……手紙など知らない……」
青ざめるイーライ。
メイドは犯人の顔を見ていないと泣き崩れる。すべては一瞬の出来事だった。
「直ちに捜索を開始しろ!」
伯爵の声に、屋敷中が騒然となった。
ティナは青ざめ、動揺のあまり言葉を失った。
彼女の胸の奥からこみ上げる不安が、全身を締めつける。
まるで世界が急に傾いたかのように、足元はぐらついていた。
「王城に使いを出して、騎士団を動員しよう」
アズルがそう言ったが、彼の側近の従者がそれを止めた。
「待ってください!クレメンツ侯爵家の者ではないでしょうか?」
部屋の空気が一瞬で、固まった。
どう考えても、一番怪しいのはブライアンだ。
皆がそう考えた。
「ブライアンか……くそっ!」
「だが、決まったわけではない」
「とりあえず、近隣の森や街道を捜索する」
伯爵は怒りと焦燥に顔を歪め、拳を握りしめていた。
「ならば、私が侯爵家へ向かいます!」
ティナが叫んだ。
「彼らがやったという証拠はない」
「きっと、支援金を止めた腹いせにミリア様を連れ去ったのではないでしょうか?」
「それなら、ミリアを傷つける心配はないだろうが……」
父親が連れて行ったのなら、危害は加えないだろう。だが、そうでないのなら、貴族の子どもの誘拐。
ほとんどが身代金目当てのものだ。
「話し合いに応じない私に腹を立てて、ブライアンは強硬手段に出たのかもしれないわ」
「だが、そんな無茶なことをするだろうか?」
「今、誰かを侯爵家へ使いを出しても、すぐには戻れないだろう。ティナとわしが、直接侯爵家へ向かおう」
伯爵の声は低く、怒りに満ちていた。
「万が一、身代金目的の誘拐だった可能性を考えて、伯爵はこの屋敷にいたほうが良いでしょう。私が同行しよう」
アズルが申し出た。
「ミリア……必ず、取り戻すわ」
不安、怒り、恐怖。
それらが一度に押し寄せて、母であるティナの心を呑み込んでいく。
ミリアの笑顔が彼女の脳裏に浮かぶ。
「お願い……無事でいて……」
祈るような思いで、ティナは窓の外を見つめた。
***
ティナがクレメンツ侯爵邸に到着したその瞬間、早馬が彼女のもとへ駆け着けてきた。
息を切らしながら従者が差し出したのは、一通の手紙だった。
そこには、こう記されていた。
《ティナ・ルノー》
娘は預かった。
命が惜しければ、三千万ゴールドの身代金を用意しろ。
子どもの命が惜しいなら、誰にも知らせるな。
身代金の受け渡し方法は、追って知らせる。
それは、犯人からの脅迫状だった。
何もかもミリアのせいだ。
あいつは生意気で、いつも俺に楯突く。
湖で蹴り落としたことをミリアが大袈裟に騒いだせいで、伯爵家が金を渡さなくなったらしい。
母さんもおばあさまも、侯爵家(俺の家)に対して失礼だって言っていた。
屋敷で俺に仕えていたメイドも、今では一人になったし、学園へ通う馬車もしょぼくなった。
みんないつもイライラしているし、俺の小遣いも当分もらえないって。本当に腹が立つ。
それに何より、一番むかつくのはイーライだ。
あいつはクラスメイトで、大公の孫らしい。
身分は高いかもしれないけれど、いつも偉そうにしていて鬱陶しい。
優等生で、教師からの評判がいいのもむかつく。
「くそっ……!なにが低位貴族令息を虐めているだ……」
イーライは同じ学園に通う貴族の令息に、俺が嫌がらせをしているとチクりやがった。
だいたい爵位の低い男爵や子爵の令息なんて、虐められて当然だろう。
そもそも大袈裟だ。遊んでるだけだし、別に大したことはしてない。
学年が上の王子たちまで味方につけて、今度何かしたら退学になる覚悟をしろと言いやがった。
それに、ミリアの件をちゃんと調べるだって?
『遊んでいて、ミリアが自分からふざけて湖に飛び込んだんだ』
『泳げないミリアが飛び込むはずはない』
『見てないくせに、わかるわけないだろ!』
ミリアが俺に落とされたと言っているらしい。
だけど、調査なんて無理に決まってる。ミリアはまだ五歳だし、あいつの言うことなんて信用されるはずがない。
俺が少し睨めば、ミリアは怖がって何も言えなくなるだろう。
「だいたい、ケガしたわけでもないし生きてるし、何の問題があるんだよ。馬鹿々々しい」
イーライは父親の仕事の関係で、ルノー伯爵家へよく行くらしい。
ミリアとも友だちだって言ってたけど、あんな幼児と遊んでも面白くないだろう。
「虐めて楽しむくらいならできるかもしれないが」
俺はふっと鼻で笑った。
学校でも家でも、ミリアと何があったのか何度も聞かれた。
しつこくミリアのことで責められるのに、いい加減うんざりしていた。
そんな矢先、俺のコレクションの「紋章入りサファイアのカフス」と「アレキサンドライトのタイピン」と「ドラゴンを模したオパールのブローチ」が勝手に売られた。
宝物だったのに、大事にしていたのに。
まさか子どものものまで売りに出されるなんて、信じられなかった。
そんなに金に困っているのか?それもこれも、すべてミリアのせいだ。
伯爵家に金があるからって、俺を見下すのか?
ふざけるな。
金で俺を辱めたこと、後悔させてやる。
俺の怒りは、静かに燃える炎だ。
誰にも気づかれずに、すべてを焼き尽くす。
思い知らせてやる。
俺を侮った代償が、どれほど重いかをな。
***
ミリアside
あれから、母と祖父それに親戚たちは、父の実家であるクレメンツ侯爵家を追い込んでいた。
直接私には詳細は話してくれなかったが、「お父様はいらないわ」と言う私の言葉をしっかり受け止めてくれたようだ。
この世界では、私は生きている。
けれど、原作では違った。私は死んだ。
すべては、父の浅はかで無責任な行動のせいだった。
何も考えず、何も守らず、ただエリザベスとジェイの言葉を信じて行動した。
その結果、私は命を落とした。
原作の父は、私の死を前に泣き崩れ、母に何度も謝罪した。後悔し、懺悔し、許しを乞うた。
けれど、母はその手を取らなかった。
当たり前だ。私だって、許さない。
たとえこの世界で生き延びていたとしても、あの過去は消えない。
「自業自得よ。離婚されて当然だし、侯爵家の『人のふんどしで相撲を取る』的な、その浅ましさ。そんな考え方は、早いうちに修正してあげた方がいいわ」
もっとも、もう手遅れかもしれないけれど……
そっと小さな声で呟いた。
私は今、美しく整えられた自分の部屋で、美味しいクッキーを口に入れながら、温かい紅茶を口に運んでいる。
「お嬢様、お砂糖を入れなくていいのですか?ミルクはいつもたっぷり入れてましたのに……」
専属メイドのリラが不思議そうにこっちを見ている。
「んーと、甘いクッキーを食べているから。お砂糖は我慢するわ。ちょっと大人の真似をしているの」
「ふふふ、立派なレディーですね」
優しく可愛らしいメイドのリラ。
まだ十六歳だという。
前世の私は日本人で二十六歳。十も年下のメイドに甘やかされて、至極幸せな気分だった。
「子どもって、最高だわ」
そのとき、ドアがノックされて使用人が入ってきた。
手紙が来ていると言われ受け取った。
そこには「大事な話があるから、少し裏庭に出てこれないか」と書いてあった。
「イーライからだわ」
「そう言えば、今日はこちらにいらっしゃっていますね」
ちょうどその日は、イーライが父親のアズルと共に伯爵邸へ来ていた。
だからなにも疑わず、私は裏庭に行ってしまった。
もちろん侍女と一緒に行動していた。
なんの問題もないと思っていた。
***
*他side
「なんだと!」
すぐに伯爵のもとへ知らせが届いた。
ミリアが何者かに連れ去られたというのだ。
同行していたメイドは、背後から頭を殴られ、気を失っていた。
「イーライ様から手紙を受け取りました。それで……お嬢様は……ううっ……」
だが、イーライはそんな手紙など書いていない。筆跡も、彼のものとは明らかに違っていた。
ちょうど伯爵邸にアズルとイーライが来ていた。
ルノー伯爵と香辛料の専売権に関する仕事の話をしていたときだった。
誰かがイーライを騙り、ミリアを誘拐したのだ。
「僕は……手紙など知らない……」
青ざめるイーライ。
メイドは犯人の顔を見ていないと泣き崩れる。すべては一瞬の出来事だった。
「直ちに捜索を開始しろ!」
伯爵の声に、屋敷中が騒然となった。
ティナは青ざめ、動揺のあまり言葉を失った。
彼女の胸の奥からこみ上げる不安が、全身を締めつける。
まるで世界が急に傾いたかのように、足元はぐらついていた。
「王城に使いを出して、騎士団を動員しよう」
アズルがそう言ったが、彼の側近の従者がそれを止めた。
「待ってください!クレメンツ侯爵家の者ではないでしょうか?」
部屋の空気が一瞬で、固まった。
どう考えても、一番怪しいのはブライアンだ。
皆がそう考えた。
「ブライアンか……くそっ!」
「だが、決まったわけではない」
「とりあえず、近隣の森や街道を捜索する」
伯爵は怒りと焦燥に顔を歪め、拳を握りしめていた。
「ならば、私が侯爵家へ向かいます!」
ティナが叫んだ。
「彼らがやったという証拠はない」
「きっと、支援金を止めた腹いせにミリア様を連れ去ったのではないでしょうか?」
「それなら、ミリアを傷つける心配はないだろうが……」
父親が連れて行ったのなら、危害は加えないだろう。だが、そうでないのなら、貴族の子どもの誘拐。
ほとんどが身代金目当てのものだ。
「話し合いに応じない私に腹を立てて、ブライアンは強硬手段に出たのかもしれないわ」
「だが、そんな無茶なことをするだろうか?」
「今、誰かを侯爵家へ使いを出しても、すぐには戻れないだろう。ティナとわしが、直接侯爵家へ向かおう」
伯爵の声は低く、怒りに満ちていた。
「万が一、身代金目的の誘拐だった可能性を考えて、伯爵はこの屋敷にいたほうが良いでしょう。私が同行しよう」
アズルが申し出た。
「ミリア……必ず、取り戻すわ」
不安、怒り、恐怖。
それらが一度に押し寄せて、母であるティナの心を呑み込んでいく。
ミリアの笑顔が彼女の脳裏に浮かぶ。
「お願い……無事でいて……」
祈るような思いで、ティナは窓の外を見つめた。
***
ティナがクレメンツ侯爵邸に到着したその瞬間、早馬が彼女のもとへ駆け着けてきた。
息を切らしながら従者が差し出したのは、一通の手紙だった。
そこには、こう記されていた。
《ティナ・ルノー》
娘は預かった。
命が惜しければ、三千万ゴールドの身代金を用意しろ。
子どもの命が惜しいなら、誰にも知らせるな。
身代金の受け渡し方法は、追って知らせる。
それは、犯人からの脅迫状だった。
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