13 / 28
13
王宮でバラを鑑賞してお茶を飲む『王妃様主催のお茶会』の日がやって来た。
実際には、王宮より北にある離宮で行われた。バラの離宮と名付けられたこの離宮の庭園は広く、綺麗に管理されていた。
このお茶会に招待されることが、貴族たちには自慢になるようだった。
招待された貴族のご婦人やご令嬢は70名前後だ。
テーブル席も用意されているが、立食スタイルでバラを愛でながら話をするという茶会だった。
王妃が参加する事で、護衛騎士らもたくさんいて、離宮の庭は賑わっていた。
お茶会当日は、やけにサーシャのテンションが高かった。
「サーシャ、いくらメイベルも一緒にいるからと言って、はしゃぎ過ぎてはいけませんよ」
お母様がサーシャを注意した。
「だって、嬉しいんですもの!このお茶会は、たくさんの貴族令嬢たちも参加していますわ。華やかですし、後から騎士科の学生たちも来るらしいです」
若い騎士科の令息たちが参加すれば、それは親を交えた集団お見合いだ。
きっとそういう目的もあるのかもしれないと思った。
一応婚約者がいる状態の私より、サーシャがメインで話しかけられるのかと思いきや、そうではなかった。
あまり社交の場に顔を出さない私が珍しかったのか、いろんな人が声をかけてきた。
年頃の令息を持つ高位貴族の夫人たちからも、たくさん声をかけられた。
私とレインの仲がよくないことを、噂で聞いているのかもしれない。
実際はどうなのかと、話を聞きたそうにしている人たちもたくさんいた。
「お姉様、こちらはチャタール伯爵夫人ですわ!」
「ごきげんよう。チャタール伯爵様の荘園事業は素晴らしいですね」
会話の内容は豊富なつもりだ。
「あ、この方は、メリーナ嬢です」
「ごきげんよう。今年、社交界デビューされましたね」
私は顔を一度見たら忘れないし、貴族年鑑も暗記している。
「この方は……」
「カトレア夫人ですね。初めまして」
そつなく挨拶をこなす。
少なくともサーシャよりは礼儀作法をわきまえて、敬意を持って人と接することができるつもりだ。
王妃様からも声をかけられて、バラに託されたメッセージや花言葉の話を聞いた。
私はバラの神話の話をした。
知っていることはそれくらいだけど、ロマンティックな話に王妃様は興味深く聞き入ってくれた。
しばらくして、騎士科の若い生徒たちがお茶会の様子を見にきた。
その中にいたレインが私たちを見つけると、笑顔で傍までやって来た。
「やぁ、メイベル。今日は素敵なドレスを着ているね」
「まぁ、レイン様!お会いできてよかったですわ」
私に挨拶してきたレインに、サーシャが答えた。
その時……
キャーキャーと門の入り口付近で悲鳴があがった。
何事かと皆が注目する。
それと同時に会場が何だか異様な雰囲気に包まれる。
人々の悲鳴、予期せぬ事態に皆が反応して会場は騒然とする。
ここは離宮の宮殿の庭で、王宮から少し離れた場所にあった。
裏に広大な森があり、野生の動物が生息する。
周囲がざわざわと落ち着かず、不安や緊張が高まっている。
私は皆の視線の先を追った。
なんと!離宮の門から、3頭のヒグマが乱入してきたのだった。
一瞬の出来事だった。婦人たちの叫び声があがり、皆が逃げ惑う。騎士たちが何やら大声でまくし立てている。
王妃様の護衛が、王妃様を急いで宮殿内に誘導した。
とにかく皆、宮殿内に避難しなければならない。
騒ぎが大きくなるにつれ、ヒグマは興奮してきた。
耳は立ち上がり、周囲の音に敏感に反応している。巨大な前脚は地面を引っ掻き、爪の音が響き渡る。
そのうちの一頭が私たちに向かって歩いてきた。
ヒグマは我が国の森林や山地に生息している。
普段は王都にまで下りてくることはない。まさかこんなことが起こるなんて、誰も思ってなかっただろう。
ヒグマは強力で攻撃力が高く、特に驚かされたり威嚇されたりした場合は非常に危険だ。
「サーシャ、危ない!」
レインはサーシャに声をかけた。彼の目にはサーシャしか映っていなかった。
他の令嬢たちも叫びながら、騎士たちのもとへ走って行く。
ヒグマは私たちに向かって一直線に走って来た。
レインは剣を抜いて構えた。
サーシャを片手で抱き寄せるように庇っている。
ヒグマはサーシャではなく私に向かってくる。
まずい……私は丸腰だ。
そう思った時には遅かった。
ヒグマは雄叫びをあげて、私の目の前まで来る。毛に覆われた大きな顔で威嚇し、鋭い爪を持つ前足で、私を払い除けた。
次の瞬間、私の身体は宙を舞った。
全てがスローモーションのように流れていく。
落ちていく視線の先に、サーシャを庇うレインの姿を見た。彼はぎょっと目を見開きおどおどして、構えた剣は何の意味もなさなかった。
数メートル飛ばされて、地面に叩きつけられる瞬間、私は受け身の体勢を取った。
そして、そのまま地面をクルクルと転がりながら、壁の方まで滑って行った。
騎士たちが私の元へ駆け寄る。
「大丈夫か、立て!」
「いや、抱える!」
私は、助け起こそうとする騎士の手を振り払った。
「大丈夫よ!ケガはないわ。剣じゃない、槍を!」
瞬時に身体の状態を確認し、周りを見る。
側にいた騎士が一人だけ槍を持っていた。
ヒグマの大きな巨体と戦うには間合いが必要だ。
「槍を貸して!」
奪うように、騎士から槍を取り上げた。
私は靴を脱ぎ、裸足になりヒグマと対峙した。
3頭のうち2頭は他の騎士たちが応戦している。
残るは1頭。
千鶴は薙刀術の修行を積み、薙刀の名手としても知られていた。
こいつは、私が殺る。
ヒグマの喉から低く唸るような声が漏れ、私を敵だと認識した。
「な、何をしている!危ない下がれ!」
「やめるんだ!」
騎士たちが私を止めようとドレスを掴む。
「邪魔しないで!」
私はヒグマをまっすぐ見据えた。
ヒグマとの凄まじい緊張感の睨み合いに、騎士たちは後ずさる。
両手で槍を握り、肩幅ほどの間隔で足を開いて構える。
ヒグマが動くたびに、槍の先がその方向を追う。
狙うは面、籠手そして首。
私は薙刀の免許皆伝、武器が槍でもなんとかする。
槍は薙刀と違い柄が短い。だがその分、強度がある。
私は槍の柄と刃のバランスを巧みに使い、遠距離からヒグマに攻撃を仕掛けた。
その動きは流れるようでありながらも力強く、相手の隙を狙って鋭く突く方法は敵の意表を突いた。
私の槍での戦いは、非常にエレガントで、洗練されたものだった。
実際には、王宮より北にある離宮で行われた。バラの離宮と名付けられたこの離宮の庭園は広く、綺麗に管理されていた。
このお茶会に招待されることが、貴族たちには自慢になるようだった。
招待された貴族のご婦人やご令嬢は70名前後だ。
テーブル席も用意されているが、立食スタイルでバラを愛でながら話をするという茶会だった。
王妃が参加する事で、護衛騎士らもたくさんいて、離宮の庭は賑わっていた。
お茶会当日は、やけにサーシャのテンションが高かった。
「サーシャ、いくらメイベルも一緒にいるからと言って、はしゃぎ過ぎてはいけませんよ」
お母様がサーシャを注意した。
「だって、嬉しいんですもの!このお茶会は、たくさんの貴族令嬢たちも参加していますわ。華やかですし、後から騎士科の学生たちも来るらしいです」
若い騎士科の令息たちが参加すれば、それは親を交えた集団お見合いだ。
きっとそういう目的もあるのかもしれないと思った。
一応婚約者がいる状態の私より、サーシャがメインで話しかけられるのかと思いきや、そうではなかった。
あまり社交の場に顔を出さない私が珍しかったのか、いろんな人が声をかけてきた。
年頃の令息を持つ高位貴族の夫人たちからも、たくさん声をかけられた。
私とレインの仲がよくないことを、噂で聞いているのかもしれない。
実際はどうなのかと、話を聞きたそうにしている人たちもたくさんいた。
「お姉様、こちらはチャタール伯爵夫人ですわ!」
「ごきげんよう。チャタール伯爵様の荘園事業は素晴らしいですね」
会話の内容は豊富なつもりだ。
「あ、この方は、メリーナ嬢です」
「ごきげんよう。今年、社交界デビューされましたね」
私は顔を一度見たら忘れないし、貴族年鑑も暗記している。
「この方は……」
「カトレア夫人ですね。初めまして」
そつなく挨拶をこなす。
少なくともサーシャよりは礼儀作法をわきまえて、敬意を持って人と接することができるつもりだ。
王妃様からも声をかけられて、バラに託されたメッセージや花言葉の話を聞いた。
私はバラの神話の話をした。
知っていることはそれくらいだけど、ロマンティックな話に王妃様は興味深く聞き入ってくれた。
しばらくして、騎士科の若い生徒たちがお茶会の様子を見にきた。
その中にいたレインが私たちを見つけると、笑顔で傍までやって来た。
「やぁ、メイベル。今日は素敵なドレスを着ているね」
「まぁ、レイン様!お会いできてよかったですわ」
私に挨拶してきたレインに、サーシャが答えた。
その時……
キャーキャーと門の入り口付近で悲鳴があがった。
何事かと皆が注目する。
それと同時に会場が何だか異様な雰囲気に包まれる。
人々の悲鳴、予期せぬ事態に皆が反応して会場は騒然とする。
ここは離宮の宮殿の庭で、王宮から少し離れた場所にあった。
裏に広大な森があり、野生の動物が生息する。
周囲がざわざわと落ち着かず、不安や緊張が高まっている。
私は皆の視線の先を追った。
なんと!離宮の門から、3頭のヒグマが乱入してきたのだった。
一瞬の出来事だった。婦人たちの叫び声があがり、皆が逃げ惑う。騎士たちが何やら大声でまくし立てている。
王妃様の護衛が、王妃様を急いで宮殿内に誘導した。
とにかく皆、宮殿内に避難しなければならない。
騒ぎが大きくなるにつれ、ヒグマは興奮してきた。
耳は立ち上がり、周囲の音に敏感に反応している。巨大な前脚は地面を引っ掻き、爪の音が響き渡る。
そのうちの一頭が私たちに向かって歩いてきた。
ヒグマは我が国の森林や山地に生息している。
普段は王都にまで下りてくることはない。まさかこんなことが起こるなんて、誰も思ってなかっただろう。
ヒグマは強力で攻撃力が高く、特に驚かされたり威嚇されたりした場合は非常に危険だ。
「サーシャ、危ない!」
レインはサーシャに声をかけた。彼の目にはサーシャしか映っていなかった。
他の令嬢たちも叫びながら、騎士たちのもとへ走って行く。
ヒグマは私たちに向かって一直線に走って来た。
レインは剣を抜いて構えた。
サーシャを片手で抱き寄せるように庇っている。
ヒグマはサーシャではなく私に向かってくる。
まずい……私は丸腰だ。
そう思った時には遅かった。
ヒグマは雄叫びをあげて、私の目の前まで来る。毛に覆われた大きな顔で威嚇し、鋭い爪を持つ前足で、私を払い除けた。
次の瞬間、私の身体は宙を舞った。
全てがスローモーションのように流れていく。
落ちていく視線の先に、サーシャを庇うレインの姿を見た。彼はぎょっと目を見開きおどおどして、構えた剣は何の意味もなさなかった。
数メートル飛ばされて、地面に叩きつけられる瞬間、私は受け身の体勢を取った。
そして、そのまま地面をクルクルと転がりながら、壁の方まで滑って行った。
騎士たちが私の元へ駆け寄る。
「大丈夫か、立て!」
「いや、抱える!」
私は、助け起こそうとする騎士の手を振り払った。
「大丈夫よ!ケガはないわ。剣じゃない、槍を!」
瞬時に身体の状態を確認し、周りを見る。
側にいた騎士が一人だけ槍を持っていた。
ヒグマの大きな巨体と戦うには間合いが必要だ。
「槍を貸して!」
奪うように、騎士から槍を取り上げた。
私は靴を脱ぎ、裸足になりヒグマと対峙した。
3頭のうち2頭は他の騎士たちが応戦している。
残るは1頭。
千鶴は薙刀術の修行を積み、薙刀の名手としても知られていた。
こいつは、私が殺る。
ヒグマの喉から低く唸るような声が漏れ、私を敵だと認識した。
「な、何をしている!危ない下がれ!」
「やめるんだ!」
騎士たちが私を止めようとドレスを掴む。
「邪魔しないで!」
私はヒグマをまっすぐ見据えた。
ヒグマとの凄まじい緊張感の睨み合いに、騎士たちは後ずさる。
両手で槍を握り、肩幅ほどの間隔で足を開いて構える。
ヒグマが動くたびに、槍の先がその方向を追う。
狙うは面、籠手そして首。
私は薙刀の免許皆伝、武器が槍でもなんとかする。
槍は薙刀と違い柄が短い。だがその分、強度がある。
私は槍の柄と刃のバランスを巧みに使い、遠距離からヒグマに攻撃を仕掛けた。
その動きは流れるようでありながらも力強く、相手の隙を狙って鋭く突く方法は敵の意表を突いた。
私の槍での戦いは、非常にエレガントで、洗練されたものだった。
あなたにおすすめの小説
お姉様優先な我が家は、このままでは破産です
編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。
だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!
愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理!
姉の結婚までにこの家から逃げたい!
相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
あなたの隣に私は必要ですか?
らんか
恋愛
政略結婚にて、3年前より婚約し、学園卒業と共に嫁ぐ予定であったアリーシア。
しかし、諸事情により結婚式は延期され、次の結婚式の日取りさえなかなか決められない状況であった。
そんなアリーシアの婚約者ルートヴィッヒは、護衛対象である第三王女ミーアの傍を片時も離れようとしない。
月1回の婚約者同士のお茶会もすぐに切り上げてしまい、夜会へのエスコートすらしてもらった事がない。
そんな状況で、アリーシアは思う。
私はあなたの隣に必要でしょうか? あなたが求めているのは別の人ではないのでしょうかと。
* 短編です。4/4に完結します。
ご感想欄は都合により、閉じさせて頂きます。
逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?
魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。
彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。
国外追放の系に処された。
そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。
新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。
しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。
夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。
ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。
そして学校を卒業したら大陸中を巡る!
そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、
鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……?
「君を愛している」
一体なにがどうなってるの!?
巻き込まれて婚約破棄になった私は静かに舞台を去ったはずが、隣国の王太子に溺愛されてしまった!
ユウ
恋愛
伯爵令嬢ジゼルはある騒動に巻き込まれとばっちりに合いそうな下級生を庇って大怪我を負ってしまう。
学園内での大事件となり、体に傷を負った事で婚約者にも捨てられ、学園にも居場所がなくなった事で悲しみに暮れる…。
「好都合だわ。これでお役御免だわ」
――…はずもなかった。
婚約者は他の女性にお熱で、死にかけた婚約者に一切の関心もなく、学園では派閥争いをしており正直どうでも良かった。
大切なのは兄と伯爵家だった。
何かも失ったジゼルだったが隣国の王太子殿下に何故か好意をもたれてしまい波紋を呼んでしまうのだった。
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。