守ってあげたい女子の学園二位に君臨する脱力系幼馴染が俺の義妹を見た結果、対抗手段を間違ってイケメン女子になった

遥風 かずら

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第二章 新たなライバルで変化!?

第19話 鈴菜と凪の下心的な出会い? 3

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 ……タオルケットをかぶった鈴菜がすぐ隣で寝ているのはいいとして、問題はソファに座って俺の様子を見ている凪だ。

 凪はおそらく俺が寝静まるのを見計らって布団にもぐり込んでくる――という、何となくの気配を感じている。鈴菜は一度寝てしまえば俺が声を思いきりかけてやらないと目を覚ますことはないから何も心配ない。

 タオルケットをかけつつ、なるべく凪が座っているところが見えるように横になっているが、すぐには動かないと予想。

 かくいう俺も、ボリューム感たっぷりのユーモアおにぎりを食べた影響でそう簡単に眠れそうにない。

「(おにーさん~?)」

 鈴菜の寝息が凪に届いていなさそうなのは助かるところだが、凪は懲りずに小声で俺を呼んでくる。

「…………寝てないぞ」
「だよね、ごめん」
「静かにしてくれればそのうち寝るよ……」
「はーい」

 昨日たっぷり学校で寝たし、最悪寝なくてもいいか。あとはこのまま鈴菜を隣に感じながら色々我慢すれば……。

 ……駄目だ、寝れない。

 隣で熟睡してる鈴菜から感じる微かな香りとか肌の柔らかさ――それらが寝返りで俺の体にちょいちょい触れてくるのはあまりにも理性が保てそうにないんだが。

 見たところ凪はちゃんとソファに座って目を閉じているようだし、俺も潔く寝てしまおう。

 ……とはいうものの、数十分くらいで俺はすぐに目を開ける。あれだけの量を食べたことで、トイレに行きたくなってしまったからだ。

 夜間照明で薄暗いので、とりあえず静かに布団から出てそのままトイレに向かうことにする。

 しかしトイレに入った俺はそのまま寝落ちした。

 それからしばらくして――。

「……あれっ? え、寝てたのか?」

 どうやらトイレに座ったままで俺は何時間か眠っていたらしく、朝のスズメのさえずりで起きた。

 早朝の静かな時間帯に聞こえてくるということは、日の出前か?

 俺が布団どころか事務室にいないのが知れたらやばいので、しっかり顔とかを洗って事務室に戻ることにした。

 ※ ※ ※

「ん……すごいかたぁい~……腕~」

 何らかの夢を見ている鈴菜はその腕が貴俊の腕だと思って、寝ぼけながらがっちりと離さず掴んでいる。

 その一方で凪は――

「――貴くんの足って案外細いんだね。それも好きだけど、とりあえず思う存分撫でまわそっかな。あわよくば間違って色んなところを触るかも? ん~細い足がすべすべしてて柔らかくて、何だか女の子っぽい足だけどそのギャップも好き~」

 などと、撫でまわすその足が鈴菜の足だと思うはずもなく、凪は飽きるまで足を撫で続けていた。

 そんなタイミングで鈴菜が寝返りを打ち、貴俊の腕だと信じて思いきり抱きしめ、その勢いでキスをしようとしたところで突然悲鳴が上がる。

「だ、駄目……そんなにキスしてこないでよ!! それに、痛い……痛いってばー!! 」
「はぇ? 貴俊く……んん? あれぇ~? えぇ!? だ、誰~!?」
「そ、そっちこそ誰? おにーさんをどこにやったの?」

 ※ ※ ※

 ううむ、トイレの中ですっかり寝落ちしてしまった。外が明るくなってるし、鈴菜をおこしてやらないと――って。

 あああああああああああ!!!

 鈴菜がすでに起きてるどころか、凪と何か揉めてる!?

「あなたは誰なの? ここは貴俊おにーさんが寝泊まりしてる場所なんですけど!!」
「ふぇぇ? わ、わたしは~貴俊くんの幼馴染で~……いつもここで寝かせてもらってて~……えっと~?」
「幼馴染? ふーん。あなたがそうなんだ? 確か、浅木鈴菜……だよね?」
「せ~かぁ~い! よく知ってるんだ~」 

 あぁぁ、やってしまったな。やはり凪は布団にもぐり込んでいた。しかも俺だと思っていたのがまさかの鈴菜だったとか。

 ここは冷静に……挨拶から入っていくしかない。

「お、おはよう! 鈴菜!」

 まずは鈴菜だけに声をかけて、それからだな。

「あれぇ~? 貴俊くんだ~。どこから出てきたの~?」
「トイレだ」

 トイレから生まれたわけじゃないが、嘘は言ってない。

「そうなんだ~……貴俊くんがトイレから出てきたということは~この子は誰~?」
「そ、その子はだな……」
「うんうん、その子は~?」

 俺の言葉の答えを待つ鈴菜は凪への関心が薄れ、俺だけに視線を集中させている。これなら凪への警戒も解けていくはずだ。

「凪は貴俊おにーさんの妹だけど?」

 そう思っていたら凪が俺の腕にべったりと絡みつきながら、鈴菜に妹アピールを始めていた。

「え、ちょっ――な、何してんの!?」
「おにーさんの腕にくっついてる。だって妹だから」
「妹だからってそれは駄目だって!」

 俺の腕に絡めて離さない凪に注意するも、鈴菜へのアピールなのか全然離れてくれない。

「た、貴俊くん……い、妹なんていたの~? え、でも……えぇ~?」

 あぁ、まいったな。

 鈴菜も凪も俺だと思って布団の中でしたせいで凪はイラついているし、鈴菜は理解が追いついてなくて若干パニくっているし、どうすれば解決出来るんだコレ。

「……おにーさん。凪、帰るね」
「え? 今から家に?」

 どうすればいいのか迷っている俺に、凪はバッグを手にして外に出ようとしている。

「まだ全然間に合う時間だし、今なら余裕だから」
「そ、そうなんだ」
「……だから、またね。

 クスッと笑いながら凪は目の前の裏口から外に出てしまった。

 それにしても、せめておにーさんのまま呼んでくれれば良かったのに何で名前で?

「貴俊く~ん? どういうことか説明して~?」
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