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第三章 見えない幼馴染と見られる幼馴染
第37話 鈴菜さん、思いつく限り甘えさせる 2
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鈴菜の取り巻き女子に誘導され学食に着くと、いち早く着いていた鈴菜が手招きポーズで俺を呼んでいたので大人しくその席に座ることに。
取り巻き女子たちは俺から離れ隣のテーブルに座りだしているが、どうやら見守るだけの役割らしい。
「……えっ」
妙に注目を集めているなと感じたのでふと近くのテーブルを見回すと、鈴菜と俺が座っている場所以外、見渡す限り女子しかいない。そこだけ見ればハーレム空間のように見えるが、そんな優しい世界じゃない件。
「貴俊、口開けて」
「あ、あ~……んむっ」
鈴菜は俺を完全に幼い扱いをしているようで、細かく切られたハンバーグを俺の口に運んでくる。
これだけなら別に恥ずかしがることはないのだが、その動き一つ一つを周りの女子たちがじっと見つめているのだから俺としてはなんにも嬉しくないわけで。
鈴菜はそんな女子たちを全く気にしていないみたいだが、俺はそんな簡単に割り切れない。
「きちんと噛んで食べるんだよ?」
「……分かってる」
「じゃあ、もう一口」
「あ~……」
……完全に幼稚プレイにしか思えないが、鈴菜はそう思っているわけではないようで、嬉しそうに俺を見てくる。
おそらく鈴菜の俺への甘やかしは、恋愛的要素が薄いお世話的な知識しかなく、俺がイメージしていた甘やかしには全然達していない。
かといって、それは違うぞとか言える空気でもなければ拒否する立場でもないので、俺としては黙って今の鈴菜のやり方を受け入れるだけなのだが。
しかし、鈴菜もこの行動がおかしいと感じているようで。
「……なんか足りなくない?」
ハンバーグを口にしていると、鈴菜から別の疑問を投げられる。
とりあえずハンバーグは結構腹にきてるので、それに対する返事をしとく。
「ハンバーグだけでもお腹いっぱい」
「そうじゃなくて」
飯の量とかじゃなく、多分何かが間違ってることに気づいた可能性がある。
「鈴菜的に何が足りない?」
「……やっぱり学園の中だと、貴俊を甘やかすレベルには達しないのかもしれないな、と」
「不特定多数に見られてるから仕方ないと思うけど……」
「ん~……」
何も気にしてない感じに見えたが、どうやら周りから沢山の視線が注がれているのは気にしていたみたいだ。
そりゃそうだろとしか思えないくらい、近くのテーブルには女子たちの姿しか見えない。
その視線のほとんどは俺ではなく、鈴菜に注がれている。
「……あぁ、そっか。これって貴俊を甘やかしてるうちに入ってないんだ。だよね?」
「まぁ、そうかも?」
自分で気づいて修正しようとしてる感じか。
「そっか。じゃあ……」
「ん?」
「貴俊くん。わたしにくっついて?」
「くっつく? 隣に座るってこと? でも……」
今の位置は真正面に座っていて、お互いの顔が見える状態だ。それがすぐ隣に行くとなると、周りの女子たちから非難の声が上がる可能性がある。
そんな痛々しい環境に身を置きたくないと思いながら鈴菜の顔色を窺うと、鈴菜は周りに陣取っている女子に向けて睨みを利かせた。
その途端、それまで俺たちの周りに座っていた女子たちが一斉に席を立ち、焦るようにして学食から移動していった。
「へ?」
「邪魔者はいなくなったから、隣に座って?」
「わ、分かった」
鈴菜の中ではあの女子たちは邪魔者扱いだったらしい。というか、女子たちがいなくなったんだから隣に座る必要はないと思うんだが。
くっつくように隣に座らせるということは、多分内緒話をするつもりがあったんだろうし。
とりあえず言われた通り、鈴菜の隣に座り直してなるべく体を密着させるようにして座った。
周りにいた女子たちの姿がいなくなったものの、少し離れたところにはクラスの誰かが学食にいるようで、俺の方をちらちらと見ている。
そんな状況などお構いなしと言わんばかりに、鈴菜は俺の顔をじっと見つめてきた。
「……うん。これで話しやすくなった~! そう思うよね? ね?」
「これだけくっつけばな……」
注がれる視線が無くなったんだからくっつかなくてもいいと思うが。
「貴俊くん」
「ん~?」
人の目が無くなると以前のように呼ぶように決めてるのか、『くん』付けに戻っている。
「貴俊くん。あのさ、やっぱり学校の中だとお互い遠慮しちゃうよね?」
「甘える……の意味で?」
「うん!」
それにしても顔が近い。はたから見たら単なるいちゃつきにしか見えないくらい、密着状態になっている。
それなのに鈴菜は恥ずかしがるそぶりをまるで見せない。むしろ俺だけ照れてるような気が。
「遠慮するのは仕方ないだろ。学園の中じゃ常に誰かが見てるんだし」
「だよね、だよね~。だから考えたんだけどさ、貴俊くん。今日、貴俊くんのお家にお邪魔してもいいかなぁ?」
「……俺の家?」
「うん。駄目……かなぁ?」
あぁ、もう息がかかるし近すぎるし、反則だろこれ。
しかし俺の家というと、現時点では支店の部屋ということになるのだが、そこだとすると間違いなく凪と鉢合わせることになる。
だが本店のある実家であれば、凪と鉢合わせる心配は少なくなると思われるが、実家の方でいいならほぼ誰もいないから何も問題は――
「――家で何をするつもりでしょうか?」
「貴俊くんにいっぱい甘えてもらうのだぁ~!」
「あぁ、うん……」
何となくの想像はつくが、やはり実家の方で俺を甘やかすつもりがあるらしい。
「どうかなぁ?」
甘えまくった先の展開まではおそらく考えてないんだろうが、雨の日以外で今の鈴菜と二人きりになるのも久しぶりな気がするし、この話に乗ることにする。
「鈴菜に思いきり甘えまくっていいんだな?」
学校の中じゃ出来ないことがあったわけだし、俺の家で存分に甘えてやろうじゃないか。
状況次第じゃ鈴菜の本音が分かるかもしれないしな。
……そして俺自身の気持ちも。
「いっぱい甘えさせてあげるから覚悟しろ~!」
取り巻き女子たちは俺から離れ隣のテーブルに座りだしているが、どうやら見守るだけの役割らしい。
「……えっ」
妙に注目を集めているなと感じたのでふと近くのテーブルを見回すと、鈴菜と俺が座っている場所以外、見渡す限り女子しかいない。そこだけ見ればハーレム空間のように見えるが、そんな優しい世界じゃない件。
「貴俊、口開けて」
「あ、あ~……んむっ」
鈴菜は俺を完全に幼い扱いをしているようで、細かく切られたハンバーグを俺の口に運んでくる。
これだけなら別に恥ずかしがることはないのだが、その動き一つ一つを周りの女子たちがじっと見つめているのだから俺としてはなんにも嬉しくないわけで。
鈴菜はそんな女子たちを全く気にしていないみたいだが、俺はそんな簡単に割り切れない。
「きちんと噛んで食べるんだよ?」
「……分かってる」
「じゃあ、もう一口」
「あ~……」
……完全に幼稚プレイにしか思えないが、鈴菜はそう思っているわけではないようで、嬉しそうに俺を見てくる。
おそらく鈴菜の俺への甘やかしは、恋愛的要素が薄いお世話的な知識しかなく、俺がイメージしていた甘やかしには全然達していない。
かといって、それは違うぞとか言える空気でもなければ拒否する立場でもないので、俺としては黙って今の鈴菜のやり方を受け入れるだけなのだが。
しかし、鈴菜もこの行動がおかしいと感じているようで。
「……なんか足りなくない?」
ハンバーグを口にしていると、鈴菜から別の疑問を投げられる。
とりあえずハンバーグは結構腹にきてるので、それに対する返事をしとく。
「ハンバーグだけでもお腹いっぱい」
「そうじゃなくて」
飯の量とかじゃなく、多分何かが間違ってることに気づいた可能性がある。
「鈴菜的に何が足りない?」
「……やっぱり学園の中だと、貴俊を甘やかすレベルには達しないのかもしれないな、と」
「不特定多数に見られてるから仕方ないと思うけど……」
「ん~……」
何も気にしてない感じに見えたが、どうやら周りから沢山の視線が注がれているのは気にしていたみたいだ。
そりゃそうだろとしか思えないくらい、近くのテーブルには女子たちの姿しか見えない。
その視線のほとんどは俺ではなく、鈴菜に注がれている。
「……あぁ、そっか。これって貴俊を甘やかしてるうちに入ってないんだ。だよね?」
「まぁ、そうかも?」
自分で気づいて修正しようとしてる感じか。
「そっか。じゃあ……」
「ん?」
「貴俊くん。わたしにくっついて?」
「くっつく? 隣に座るってこと? でも……」
今の位置は真正面に座っていて、お互いの顔が見える状態だ。それがすぐ隣に行くとなると、周りの女子たちから非難の声が上がる可能性がある。
そんな痛々しい環境に身を置きたくないと思いながら鈴菜の顔色を窺うと、鈴菜は周りに陣取っている女子に向けて睨みを利かせた。
その途端、それまで俺たちの周りに座っていた女子たちが一斉に席を立ち、焦るようにして学食から移動していった。
「へ?」
「邪魔者はいなくなったから、隣に座って?」
「わ、分かった」
鈴菜の中ではあの女子たちは邪魔者扱いだったらしい。というか、女子たちがいなくなったんだから隣に座る必要はないと思うんだが。
くっつくように隣に座らせるということは、多分内緒話をするつもりがあったんだろうし。
とりあえず言われた通り、鈴菜の隣に座り直してなるべく体を密着させるようにして座った。
周りにいた女子たちの姿がいなくなったものの、少し離れたところにはクラスの誰かが学食にいるようで、俺の方をちらちらと見ている。
そんな状況などお構いなしと言わんばかりに、鈴菜は俺の顔をじっと見つめてきた。
「……うん。これで話しやすくなった~! そう思うよね? ね?」
「これだけくっつけばな……」
注がれる視線が無くなったんだからくっつかなくてもいいと思うが。
「貴俊くん」
「ん~?」
人の目が無くなると以前のように呼ぶように決めてるのか、『くん』付けに戻っている。
「貴俊くん。あのさ、やっぱり学校の中だとお互い遠慮しちゃうよね?」
「甘える……の意味で?」
「うん!」
それにしても顔が近い。はたから見たら単なるいちゃつきにしか見えないくらい、密着状態になっている。
それなのに鈴菜は恥ずかしがるそぶりをまるで見せない。むしろ俺だけ照れてるような気が。
「遠慮するのは仕方ないだろ。学園の中じゃ常に誰かが見てるんだし」
「だよね、だよね~。だから考えたんだけどさ、貴俊くん。今日、貴俊くんのお家にお邪魔してもいいかなぁ?」
「……俺の家?」
「うん。駄目……かなぁ?」
あぁ、もう息がかかるし近すぎるし、反則だろこれ。
しかし俺の家というと、現時点では支店の部屋ということになるのだが、そこだとすると間違いなく凪と鉢合わせることになる。
だが本店のある実家であれば、凪と鉢合わせる心配は少なくなると思われるが、実家の方でいいならほぼ誰もいないから何も問題は――
「――家で何をするつもりでしょうか?」
「貴俊くんにいっぱい甘えてもらうのだぁ~!」
「あぁ、うん……」
何となくの想像はつくが、やはり実家の方で俺を甘やかすつもりがあるらしい。
「どうかなぁ?」
甘えまくった先の展開まではおそらく考えてないんだろうが、雨の日以外で今の鈴菜と二人きりになるのも久しぶりな気がするし、この話に乗ることにする。
「鈴菜に思いきり甘えまくっていいんだな?」
学校の中じゃ出来ないことがあったわけだし、俺の家で存分に甘えてやろうじゃないか。
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……そして俺自身の気持ちも。
「いっぱい甘えさせてあげるから覚悟しろ~!」
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