さびれたレンタル道具屋の転生おっさん、道具の使い方を教えまくる。~客のS級冒険者が俺を歴戦の英雄と勘違いして弟子入りを求めてくるんだが~

遥風 かずら

文字の大きさ
35 / 38
第三章 レンタル道具を指導するおっさん

第35話 アルゾス大統領との面会

しおりを挟む
「むぅっ――! で、でかい国だな……」

 氷の壁の手前でS級の女性冒険者たちと戦いになりそうだった俺たちだが、聖女に対し怖じ気づかない俺が格上に見えたのか、リーダーの女性が俺に忠誠を誓い、仲間の女性たちも俺に膝をついた。

 特に何もしてないのだが、またしても強い味方を得てしまったので、そのまま大所帯でアルゾス共和国へと入国した。

 そんな俺たちを出迎えたのは、共和国の補佐官と呼ばれる側近の男たちだ。

「王都からようこそおいでくださいました。アクセル様と御一行さま」

 低姿勢で挨拶をされたが、

「……この先で大統領がお待ちです。ですが、面会が許されているのはアクセル様と共和国の聖女、そして賢者でございます」

 などと、丁重な案内をしてきたのだが、どういうわけか俺と聖女と猫賢者だけが面会することを許され、残りの彼女たちは補佐官たちによって分けられてしまった。

「……彼女たちも俺の仲間なんだが?」

 シャンテとクレアが文句を言い出す間もなく締め出しているが、

「敵意が分かりやすい者がおりましたので、別室で待機して頂きます」

 と言って、容赦なく扉を閉められた。

 分かりやすい敵意と言われると何とも言えないが、ダークエルフと王女、それとS級冒険者たちとなれば、そう取られても仕方ないか。

 そうして俺とアルマ、リミアの三人で共和国の一番偉い人に会うことになったわけだが――

「――アクセルは畏まらず、そのままでいいぜ? 極力失礼のないようにな!」
「アルマはその言葉遣いが失礼じゃないのか?」
「あたしはいいんだよ!」

 ……などと、相変わらず聖女っぽさを感じずにいる。

「にぁ? どうしてボクも呼ばれているのにぁ?」

 寝ぼけているリミアはなぜ自分が呼ばれたのか分かっていないようで、俺に不安そうな顔を見せている。

 おそらく賢者というだけだと思うのだがどうだろうか。何度か大層な扉を通り、通されたのは大統領室と書かれた部屋。

 そこに座っていたのは意外にも女性の大統領で、しかもどう見ても幼齢な感じの女性だった。

「よく来てくれたのじゃ!」

 幼齢というか幼女なのでは?

「むっ? 失礼な! 余はれっきとした淑女なのだぞ! 全く、これだからおっさんは……」
「へ? まさかと思いますが、心の内を読まれたので?」
「そうじゃが?」
「あ、あ~……それは失礼しました」

 聖女を輩出してる国だし、特別な力を有してる大統領がいても何らおかしくはないか。

 それはそれとして。

「失礼ながら、大統領が俺をこの国に招待したのは何か理由があるからでは?」
「うむ。実はそなたをアルゾスに招いたのは、確認したいことがあるからなのだ」
「何を確かめたいので?」

 他を差し置いて俺を呼び出すくらいだ。何か重そうな理由があってのことだと思うが。

「……ここにたどり着くまで、各地の冒険者や旅人がこぞってそなたが扱っている道具で悪さをしている――という話が聞き広がっているのじゃが、それはまことか?」

 悪さという程でもなかったが、調子に乗っているのは確かだな。どこかで聞いていた極悪冒険者パーティーには全く遭遇してないが。

「数組ほどは出遭っていますよ。ただ、広がっている話ほど大変な事態になっているわけではないと思いましたがね」
「それはそなたが対処出来る程度のものだったからか?」
「まぁ、そうですねぇ」

 聞いていたような冒険者がいたかと思ったら、単なるアライアンスパーティーだったわけだしな。

 明らかに強いS級のパーティーに遭遇したが、それもすぐに俺の配下のようなものになってしまったし噂に聞いていた奴らはいなかったに等しい。

 よく分からんが、アルゾスの大統領が目の前にいる以上笑っていればいいだけだ。

「……聖女よ。こやつは常に物言いか?」
「いんや? そいつの本性は口の悪いおっさんだぜ? なぁ、アクセル!」
「なっ!? アルマ、お前……大統領に向かって何という口の利き方を!」

 こいつ、相手が誰であっても変えられない性格の持ち主か?

「よい。余は堅苦しいのは嫌いじゃ。余も気楽に話す。そうじゃないと、こやつも腹を割って話そうとしないみたいじゃからな。そうじゃろ? リミア」
「そうにぁ。アクセルに遠慮は無用だと思いますにぁ!」

 む? リミアといやに親しげだな。

「一応訊くが、大統領とリミアは知り合いか?」
「アルゾスはボクのお友達なのにぁ。この国に助けられたこともあるにぅ」
「ん? なんじゃ? リミアは何も話しておらんのか?」
「ずっと寝てたから話す機会がなかったにぅ」

 あまり細かい素性までは気にしてなかったが、リミアは賢者だもんな。聖女の国に出入りしていてもおかしくはない話だ。

 大統領と知り合いなら、くだらない噂の真相も含めてさっさと王都に帰りたいものだな。

「そうかそうか。まぁ、そういうことじゃ。リミアとは旧友になるのじゃ。アクセル、お前ともマブダチになってもよいぞ」
「それは遠慮しておく。で、俺のレンタル道具を借りて悪さしてる連中は他にいるのか? あんたがこの国を統べる者なら知ってるはずだ」

 実は噂の出所はアルゾス共和国だったり――しないよな?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。

猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。 もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。 すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。 主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。 ――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました―― 風景が目まぐるしく移り変わる。 天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。 移り変わる景色こそは、 第一天 ヴィロン。 第二天 ラキア。 第三天 シャハクィム。 第四天 ゼブル。 第五天 マオン。 第六天 マコン。 それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。 気付けば明星は、玉座に座っていた。 そこは天の最高位。 第七天 アラボト。 そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。 ――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~

タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。 時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま! 「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」 ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは―― 公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!? おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。 「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」 精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

処理中です...