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アフターストーリー 1
小屋を第二の部屋にするニャ!
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「おいら、これがいいぞ~!」
棚に飾っているものを品定めしていたクウだったが、どうやら狙いを定めたようで目の前に見せてくる。
手にしているのは無属性の植木鉢だ。もちろん、何も植えられていないし土も残っていない空っぽの植木鉢に過ぎない。
鑑定したら無属性と出たが、属性も何もないただの植木鉢だろうし問題は何もないはず。
……ちなみに、今までコムギさんが拾ってきた中では食器類に次いで植木鉢が多かったりする。種もなければ土もないので単純に飾っているだけだった。
「それでいいのかい? でも、種がないと何も育たないよ?」
「いいんだ。おいら、自分の部屋に帰ったら栽培したいって思ってるだけだから」
――栽培!
そうか、ただ飾るだけじゃなくて何かの種を見つけて栽培すれば、売り物になるような物が育つかもしれないんだ。
他の植木鉢はまだ泥をかぶったままで鑑定してないけど、栽培するのはいいかもしれない。せっかくのワンルームを単なる飾り部屋にするのも勿体ないし。
だけど、出来ればこの部屋はコムギさんとのんびり過ごせる部屋のままにしておきたいし、どうしたものだろうか。
「……ムニャ……ニャ? あれれ、トージ? 私、寝ちゃってたかニャ?」
植木鉢の活用を考えていたら、コムギさんが目を覚ました。ちょうどコムギさんに訊こうと思っていたし、ナイスなタイミングだ。
「そうだね、ぐっすり眠ってたよ。大丈夫? 疲れてない?」
そう言いつつ、忘れないようにコムギさんを撫でてあげないと。
「フニャゥ~……問題ないニャ!」
そう言うとコムギさんは後ろ足を思いきり伸ばして、ストレッチを始めた。
「お、起きたな。コムギ! トージに植木鉢、貰った~!」
クウは両手で植木鉢を掲げてコムギさんに自慢しているが、コムギさんは首を傾げて不思議そうにしている。
「ニャ?」
「コムギさんが拾ってきた物の中にいくつか植木鉢があったんだけど、特に使い道がなかったからね。だからクウくんにあげたんだよ」
「ふんふん……いいんじゃないかニャ~」
コムギさんは植木鉢自体に興味がないのか、入念なストレッチを繰り返している。そんな彼女に提案してどんな返事が返ってくるのか。
「コムギさん。植木鉢のことなんだけど……」
「どうしたのニャ?」
「まだ磨いてない物の中からレアな植木鉢が見つかるかもしれないんだけど、そうしたら植木鉢を使って栽培を始めようと思うんだけど、どうかな?」
「食べる物を育てるつもりなのニャ?」
ううむ、どんな種を植えるかによると思うけど、それが出来たら商売にも繋がるだろうし、ダンジョンに出かける時の助けとなる可能性もあるんだよな。
「そうだね。まずは食費の足しになるような物を育てられたらいいかな~。コムギさんはどう思う?」
「トージ。トージは私のご主人様なのニャ。私に聞かなくても、トージがしたいことをすればいいと思うニャ。だけど、聞いてくれるのは嬉しいニャ~」
「――! そうだね、うん。ところでコムギさん――あ」
きちんと相談してくれることが嬉しいのか、コムギさんはすりすりと体をこすりつけてくる。
その反応に俺も頭を軽く撫でてあげた。
「トージ! あの洞窟は行かないのか~?」
「ん? そうだね、急ぐものでもないから家のこととかをやってから行くつもりだよ」
小屋奥のダンジョンはクウがいれば道に迷うことがないとはいえ、冒険者の真似事をするつもりは無いし、自分のペースで進めて行けばいいと思っている。
……コムギさんは俺に危ない目に遭ってほしくないと言ってるし。
あの中で商売で使えそうな物が見つかればいいとは思うものの、まだ奥深くまで行くような段階じゃない。
もっとも、探検猫のクウはここではない別の出口から自分の家に帰ろうとしてるんだろうけど。しかし、俺のスキルがまだ頼りないことを考えるとまだ何とも言えない感じだ。
「そうか~。じゃあ、おいらはトージが行けそうなところまでマーキングしておく~! そしたら次に行く時に楽になるぞ~」
「そうだね、助かるよ」
「それじゃあ行ってくる~! 暗くなっても心配しなくていいぞ~」
「気をつけてね」
クウは猫の姿に戻り、ペットドアから外へと出て行った。
「トージ、さっき何か言いかけてたかニャ?」
コムギさんが甘えてきたから後ででいいかなと思っていたけど、ちゃんと俺が言おうとしてたことを気にしてくれていたみたいだ。
「えっとね、植木鉢の話の続きなんだけど、この部屋で栽培するのも悪くないと思うんだけど、この部屋はやっぱり何というか……」
「ウニャ。トージはこのお部屋が好きなんだニャ~。私も大好きなお部屋ニャ! つまり、ここでは栽培したくないって言いたいんだニャ?」
「そ、そうなんだよ! どこか探さないと厳しいかな?」
とはいえ、漁村の中に空き部屋は無さそうだし、この部屋以外でとなると――。
「簡単ニャ!」
「おつかいの時にどこか見つけたのかな?」
「違うニャ。あの小屋を使えばいいのニャ!」
「え、あの小屋? ダンジョン小屋?」
あそこはかなりガタがきてるうえに腐った板もあるから、小屋全体を直さないと駄目な気がする。
いまいちピンときてない俺に対し、コムギさんは。
「あの小屋を第二の部屋にして、拠点にすればいいと思うニャ! トージのスキルなら、そんなの簡単に出来るはずニャ~」
棚に飾っているものを品定めしていたクウだったが、どうやら狙いを定めたようで目の前に見せてくる。
手にしているのは無属性の植木鉢だ。もちろん、何も植えられていないし土も残っていない空っぽの植木鉢に過ぎない。
鑑定したら無属性と出たが、属性も何もないただの植木鉢だろうし問題は何もないはず。
……ちなみに、今までコムギさんが拾ってきた中では食器類に次いで植木鉢が多かったりする。種もなければ土もないので単純に飾っているだけだった。
「それでいいのかい? でも、種がないと何も育たないよ?」
「いいんだ。おいら、自分の部屋に帰ったら栽培したいって思ってるだけだから」
――栽培!
そうか、ただ飾るだけじゃなくて何かの種を見つけて栽培すれば、売り物になるような物が育つかもしれないんだ。
他の植木鉢はまだ泥をかぶったままで鑑定してないけど、栽培するのはいいかもしれない。せっかくのワンルームを単なる飾り部屋にするのも勿体ないし。
だけど、出来ればこの部屋はコムギさんとのんびり過ごせる部屋のままにしておきたいし、どうしたものだろうか。
「……ムニャ……ニャ? あれれ、トージ? 私、寝ちゃってたかニャ?」
植木鉢の活用を考えていたら、コムギさんが目を覚ました。ちょうどコムギさんに訊こうと思っていたし、ナイスなタイミングだ。
「そうだね、ぐっすり眠ってたよ。大丈夫? 疲れてない?」
そう言いつつ、忘れないようにコムギさんを撫でてあげないと。
「フニャゥ~……問題ないニャ!」
そう言うとコムギさんは後ろ足を思いきり伸ばして、ストレッチを始めた。
「お、起きたな。コムギ! トージに植木鉢、貰った~!」
クウは両手で植木鉢を掲げてコムギさんに自慢しているが、コムギさんは首を傾げて不思議そうにしている。
「ニャ?」
「コムギさんが拾ってきた物の中にいくつか植木鉢があったんだけど、特に使い道がなかったからね。だからクウくんにあげたんだよ」
「ふんふん……いいんじゃないかニャ~」
コムギさんは植木鉢自体に興味がないのか、入念なストレッチを繰り返している。そんな彼女に提案してどんな返事が返ってくるのか。
「コムギさん。植木鉢のことなんだけど……」
「どうしたのニャ?」
「まだ磨いてない物の中からレアな植木鉢が見つかるかもしれないんだけど、そうしたら植木鉢を使って栽培を始めようと思うんだけど、どうかな?」
「食べる物を育てるつもりなのニャ?」
ううむ、どんな種を植えるかによると思うけど、それが出来たら商売にも繋がるだろうし、ダンジョンに出かける時の助けとなる可能性もあるんだよな。
「そうだね。まずは食費の足しになるような物を育てられたらいいかな~。コムギさんはどう思う?」
「トージ。トージは私のご主人様なのニャ。私に聞かなくても、トージがしたいことをすればいいと思うニャ。だけど、聞いてくれるのは嬉しいニャ~」
「――! そうだね、うん。ところでコムギさん――あ」
きちんと相談してくれることが嬉しいのか、コムギさんはすりすりと体をこすりつけてくる。
その反応に俺も頭を軽く撫でてあげた。
「トージ! あの洞窟は行かないのか~?」
「ん? そうだね、急ぐものでもないから家のこととかをやってから行くつもりだよ」
小屋奥のダンジョンはクウがいれば道に迷うことがないとはいえ、冒険者の真似事をするつもりは無いし、自分のペースで進めて行けばいいと思っている。
……コムギさんは俺に危ない目に遭ってほしくないと言ってるし。
あの中で商売で使えそうな物が見つかればいいとは思うものの、まだ奥深くまで行くような段階じゃない。
もっとも、探検猫のクウはここではない別の出口から自分の家に帰ろうとしてるんだろうけど。しかし、俺のスキルがまだ頼りないことを考えるとまだ何とも言えない感じだ。
「そうか~。じゃあ、おいらはトージが行けそうなところまでマーキングしておく~! そしたら次に行く時に楽になるぞ~」
「そうだね、助かるよ」
「それじゃあ行ってくる~! 暗くなっても心配しなくていいぞ~」
「気をつけてね」
クウは猫の姿に戻り、ペットドアから外へと出て行った。
「トージ、さっき何か言いかけてたかニャ?」
コムギさんが甘えてきたから後ででいいかなと思っていたけど、ちゃんと俺が言おうとしてたことを気にしてくれていたみたいだ。
「えっとね、植木鉢の話の続きなんだけど、この部屋で栽培するのも悪くないと思うんだけど、この部屋はやっぱり何というか……」
「ウニャ。トージはこのお部屋が好きなんだニャ~。私も大好きなお部屋ニャ! つまり、ここでは栽培したくないって言いたいんだニャ?」
「そ、そうなんだよ! どこか探さないと厳しいかな?」
とはいえ、漁村の中に空き部屋は無さそうだし、この部屋以外でとなると――。
「簡単ニャ!」
「おつかいの時にどこか見つけたのかな?」
「違うニャ。あの小屋を使えばいいのニャ!」
「え、あの小屋? ダンジョン小屋?」
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いまいちピンときてない俺に対し、コムギさんは。
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