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5甘:来たるもの
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それから、数日後。アルヴェードの執事の男性、デストールが声をかけてきた。
「アルヴェード様、ミルフォンソ様からのお電話です」
「わかった」
そして、アルヴェードは電話に出た。
「アルヴェードです」
「アルヴェードさん、妹がもう一度会いたいと言っていましてね。こちらに来ていただきたいのですが、ご多忙でしょう?」
「いいえ、ミルーネさんのためでしたら、何時間でも時間は作れますよ」
少し、電話口のミルフォンソは黙った。しかし、すぐに話し始める。
「無理なさらないでください」
「無理はしませんよ」
アルヴェードは、スケジュール帳を開き、訪問可能な日を探す。
「3日後、夕方伺います。ミルーネさんに、そうお伝えください」
「わかりました。失礼します」
短くミルフォンソは返し、電話は切れた。
その3日後、アルヴェードは、再びミルーネの家を訪ねた。最初の訪問の時のようにミルフォンソが応対した。
「ようこそ」
「お邪魔します」
アルヴェードは、あの暗い部屋へと連れて行かれるのかと思った。しかし、ミルフォンソは別の部屋を案内した。アトリエだ。
「ミルーネさん、お誘いいただきありがとうございます」
アトリエも、分厚いカーテンが引かれていた。そこにいたミルーネは、こう返した。
「来ていただき、ありがとうございます。今日は、私が絵を描く所、見てもらいたかったので、来てもらいました」
「なんと。制作過程を見学させていただけるのですね?光栄です」
「今日は、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ひと通り挨拶が終わったと見たミルフォンソは、一旦カーテンを一部開けた。すると、小さなキャンバスがミルーネの目の前にあった。ミルーネは、キャンバスの位置を再確認しつつ、水彩絵の具をパレットに素早く入れて行った。それが終わると、ミルーネは言った。
「お兄様、ありがとう」
すると、ミルフォンソは開けたばかりのカーテンをしっかり閉めた。キャンドルの光を頼りに、ミルーネは絵を描き始めた。アルヴェードは暗闇の中息を呑んだ。そして、呟く。
「絵を描くには、暗すぎる」
しかし、ミルーネは一切の迷いなく絵の具をキャンバスに乗せていく。そんな様子を見て、アルヴェードは心の中で「まるで、盲目の画家だ」と感嘆の声を漏らした。
1時間程度が経ったであろうか。静かな制作時間は終了する。
「出来た」
それを知らせるミルーネの短い一言だった。アルヴェードは声をかけた。
「お疲れ様でした」
「ありがとうございます。静かに見届けていただいて」
すると、ミルーネは立ち上がり言う。
「お兄様、ごめんなさい、アルヴェードさんと2人きりにして?」
「ミルーネっ、駄目だ」
「お兄様、本当にごめんなさい。出て行かないのなら、お兄様の前で言う」
「ミルーネっ!」
兄と妹の多少険悪なやり取りを聞きつつ、アルヴェードは「ミルーネが言いたいこと」を察した。アルヴェードは心の中で呟いた。「落ちたな」と。ミルーネは、そんなアルヴェードに接近し、話し始めた。
「アルヴェードさん、貴方を、私、好きになってしまいました。今日、描いた絵は、アルヴェードさんのためだけに描かせてもらいました。私の最初の愛として、お持ち帰りください」
アルヴェードは口角を上げつつ、心の中で言った。「あっけなかったな。さて、不倫ルール第二条を遵守しつつ、心を完全に繫げるか」と。
「ミルーネさん、ご存知かもしれませんが、私は、妻がいる身です。しかし、私はもう既に貴女に心奪われています。是非とも、貴女と愛を育みたい。今日という日は、大変光栄な日です」
ミルーネは、暗闇の中、正確にアルヴェードの方向に足を向け、抱きついてきた。それを完全に受け入れたアルヴェードの耳に、ミルフォンソの悔しそうな呟きが届いた。
「ミルーネっ」
アルヴェードは、それを聞きつつ、暗闇の中ミルーネの唇を探す。そして、自らの唇を重ねた。
「アルヴェード様、ミルフォンソ様からのお電話です」
「わかった」
そして、アルヴェードは電話に出た。
「アルヴェードです」
「アルヴェードさん、妹がもう一度会いたいと言っていましてね。こちらに来ていただきたいのですが、ご多忙でしょう?」
「いいえ、ミルーネさんのためでしたら、何時間でも時間は作れますよ」
少し、電話口のミルフォンソは黙った。しかし、すぐに話し始める。
「無理なさらないでください」
「無理はしませんよ」
アルヴェードは、スケジュール帳を開き、訪問可能な日を探す。
「3日後、夕方伺います。ミルーネさんに、そうお伝えください」
「わかりました。失礼します」
短くミルフォンソは返し、電話は切れた。
その3日後、アルヴェードは、再びミルーネの家を訪ねた。最初の訪問の時のようにミルフォンソが応対した。
「ようこそ」
「お邪魔します」
アルヴェードは、あの暗い部屋へと連れて行かれるのかと思った。しかし、ミルフォンソは別の部屋を案内した。アトリエだ。
「ミルーネさん、お誘いいただきありがとうございます」
アトリエも、分厚いカーテンが引かれていた。そこにいたミルーネは、こう返した。
「来ていただき、ありがとうございます。今日は、私が絵を描く所、見てもらいたかったので、来てもらいました」
「なんと。制作過程を見学させていただけるのですね?光栄です」
「今日は、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ひと通り挨拶が終わったと見たミルフォンソは、一旦カーテンを一部開けた。すると、小さなキャンバスがミルーネの目の前にあった。ミルーネは、キャンバスの位置を再確認しつつ、水彩絵の具をパレットに素早く入れて行った。それが終わると、ミルーネは言った。
「お兄様、ありがとう」
すると、ミルフォンソは開けたばかりのカーテンをしっかり閉めた。キャンドルの光を頼りに、ミルーネは絵を描き始めた。アルヴェードは暗闇の中息を呑んだ。そして、呟く。
「絵を描くには、暗すぎる」
しかし、ミルーネは一切の迷いなく絵の具をキャンバスに乗せていく。そんな様子を見て、アルヴェードは心の中で「まるで、盲目の画家だ」と感嘆の声を漏らした。
1時間程度が経ったであろうか。静かな制作時間は終了する。
「出来た」
それを知らせるミルーネの短い一言だった。アルヴェードは声をかけた。
「お疲れ様でした」
「ありがとうございます。静かに見届けていただいて」
すると、ミルーネは立ち上がり言う。
「お兄様、ごめんなさい、アルヴェードさんと2人きりにして?」
「ミルーネっ、駄目だ」
「お兄様、本当にごめんなさい。出て行かないのなら、お兄様の前で言う」
「ミルーネっ!」
兄と妹の多少険悪なやり取りを聞きつつ、アルヴェードは「ミルーネが言いたいこと」を察した。アルヴェードは心の中で呟いた。「落ちたな」と。ミルーネは、そんなアルヴェードに接近し、話し始めた。
「アルヴェードさん、貴方を、私、好きになってしまいました。今日、描いた絵は、アルヴェードさんのためだけに描かせてもらいました。私の最初の愛として、お持ち帰りください」
アルヴェードは口角を上げつつ、心の中で言った。「あっけなかったな。さて、不倫ルール第二条を遵守しつつ、心を完全に繫げるか」と。
「ミルーネさん、ご存知かもしれませんが、私は、妻がいる身です。しかし、私はもう既に貴女に心奪われています。是非とも、貴女と愛を育みたい。今日という日は、大変光栄な日です」
ミルーネは、暗闇の中、正確にアルヴェードの方向に足を向け、抱きついてきた。それを完全に受け入れたアルヴェードの耳に、ミルフォンソの悔しそうな呟きが届いた。
「ミルーネっ」
アルヴェードは、それを聞きつつ、暗闇の中ミルーネの唇を探す。そして、自らの唇を重ねた。
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