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17甘:夫婦の12の過去その3
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その頃、アルヴェードはティコラセーヌからもたらされる素朴な時間に、心癒されていた。ある日の下校中、アルヴェードはため息混じりに言った。
「ティコラセーヌ、俺は、幸せだ」
「そう?よかった」
ティコラセーヌは、アルヴェードに怯えつつも、上級家庭の男子が恋人という事実に少しだけ優越感を抱くようになっていた。
しかし、その幸せな時間も長くは続かなかった。何故なら、アルヴェードの家族がその仲に反対したからだ。アルヴェードの母親は叱責した。
「アルヴェード?止めなさい。ティコラセーヌみたいな人と仲良くなるのは。貴方は選べない立場なのよ?」
「母さん、私から全ての自由を奪うのですか?」
「そういう伝統よ。貴方の父さんも、おじいさんも、ひいおじいさんも、またその上のおじいさんたちも、そうやってクルーサム財閥を支えてきたの。貴方だけ自由にやる、というのは許されないわ」
「母さん」
アルヴェードは、そこで反論を止めた。しかし、その母親の言葉に従うつもりはなかった。それをきっかけに、アルヴェードは家が用意した車で登下校するようになった。ティコラセーヌとの接触を減らす為に。それ以降のアルヴェードは、学園の中でこそこそティコラセーヌと会う日々を過ごした。
「ごめんな?一緒に帰れなくなって」
「ううん、いいの。アルヴェードとこうして会えるだけで私、幸せ」
しかし、その密会も、家に漏れ、アルヴェードは、叱責を度々受けるようになる。その度に、アルヴェードは、ティコラセーヌを絶対に離さないと心に誓った。
そんな折、ルルコス銀行の行員がその情報を聞きつけた。それは、頭取に報告される。頭取はそれにこう反応した。
「わかった。ご苦労」
頭取は、考えを巡らせた。そして、結論を出し、その日早めの帰宅をした。エリザータは、喜んだ。
「パパ!今日は早かったのね?」
「エリザータ」
エリザータは、父親に抱きついたが、程なくして家族会議が開かれた。
「エリザータ、すまない」
「え?」
「銀行の為に、エリザータを使わせてくれ」
母親は、尋ねた。
「エリザータに何をさせるつもりなの?」
「クルーサム財閥にエリザータをご子息の嫁として差し出す用意があると言うつもりだ」
母親は、愕然とした。そして、反対をしたくなったが、その言葉を飲み込み、再び尋ねる。
「急に、どうして?」
「ご子息は、行員が掴んだ情報によると、問題のある交際をしているようだ。そこにエリザータを送り込む、と言ったら、ルルコス銀行をクルーサム財閥は交渉相手として見てくれる筈だ」
エリザータは、両親の話を脇で聞いて、不安な目をした。そして、短く言った。
「パパ?」
「エリザータ、本当にすまない。銀行の皆の為に、16になったら、すぐにお嫁さんになってくれ」
「え?い、い」
エリザータは、「嫌」と言いたかった。しかし、何度も遊びに行った銀行で温かく迎えてくれる行員の顔を1人1人思い出す。自分がお嫁さんになったら、あの行員たちは幸せになると考えた。そして、言葉を続ける。
「いいよ?」
「ありがとう。エリザータ」
その夜、エリザータはベッドで泣いた。
「私、恋、出来なくなった」
恋をしても、いずれその恋人とは別れねばならない。決まった相手との結婚が待っているから。エリザータは、恋をしたい心に鍵をかけた。
「ティコラセーヌ、俺は、幸せだ」
「そう?よかった」
ティコラセーヌは、アルヴェードに怯えつつも、上級家庭の男子が恋人という事実に少しだけ優越感を抱くようになっていた。
しかし、その幸せな時間も長くは続かなかった。何故なら、アルヴェードの家族がその仲に反対したからだ。アルヴェードの母親は叱責した。
「アルヴェード?止めなさい。ティコラセーヌみたいな人と仲良くなるのは。貴方は選べない立場なのよ?」
「母さん、私から全ての自由を奪うのですか?」
「そういう伝統よ。貴方の父さんも、おじいさんも、ひいおじいさんも、またその上のおじいさんたちも、そうやってクルーサム財閥を支えてきたの。貴方だけ自由にやる、というのは許されないわ」
「母さん」
アルヴェードは、そこで反論を止めた。しかし、その母親の言葉に従うつもりはなかった。それをきっかけに、アルヴェードは家が用意した車で登下校するようになった。ティコラセーヌとの接触を減らす為に。それ以降のアルヴェードは、学園の中でこそこそティコラセーヌと会う日々を過ごした。
「ごめんな?一緒に帰れなくなって」
「ううん、いいの。アルヴェードとこうして会えるだけで私、幸せ」
しかし、その密会も、家に漏れ、アルヴェードは、叱責を度々受けるようになる。その度に、アルヴェードは、ティコラセーヌを絶対に離さないと心に誓った。
そんな折、ルルコス銀行の行員がその情報を聞きつけた。それは、頭取に報告される。頭取はそれにこう反応した。
「わかった。ご苦労」
頭取は、考えを巡らせた。そして、結論を出し、その日早めの帰宅をした。エリザータは、喜んだ。
「パパ!今日は早かったのね?」
「エリザータ」
エリザータは、父親に抱きついたが、程なくして家族会議が開かれた。
「エリザータ、すまない」
「え?」
「銀行の為に、エリザータを使わせてくれ」
母親は、尋ねた。
「エリザータに何をさせるつもりなの?」
「クルーサム財閥にエリザータをご子息の嫁として差し出す用意があると言うつもりだ」
母親は、愕然とした。そして、反対をしたくなったが、その言葉を飲み込み、再び尋ねる。
「急に、どうして?」
「ご子息は、行員が掴んだ情報によると、問題のある交際をしているようだ。そこにエリザータを送り込む、と言ったら、ルルコス銀行をクルーサム財閥は交渉相手として見てくれる筈だ」
エリザータは、両親の話を脇で聞いて、不安な目をした。そして、短く言った。
「パパ?」
「エリザータ、本当にすまない。銀行の皆の為に、16になったら、すぐにお嫁さんになってくれ」
「え?い、い」
エリザータは、「嫌」と言いたかった。しかし、何度も遊びに行った銀行で温かく迎えてくれる行員の顔を1人1人思い出す。自分がお嫁さんになったら、あの行員たちは幸せになると考えた。そして、言葉を続ける。
「いいよ?」
「ありがとう。エリザータ」
その夜、エリザータはベッドで泣いた。
「私、恋、出来なくなった」
恋をしても、いずれその恋人とは別れねばならない。決まった相手との結婚が待っているから。エリザータは、恋をしたい心に鍵をかけた。
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