ブンボル王国の恋事情

森田金太郎

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18甘:夫婦の12の過去その4

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ある日、ルルコス銀行の頭取として、エリザータの父親はクルーサム財閥の総帥であるアルヴェードの父親と面会を果たした。そこで、頭取は、エリザータの嫁入りの話を持ちかけた。すると、それを総帥は驚きをもって受け止めた。そして、その話を受け入れ、ルルコス銀行の買収に前向きな姿勢を示した。

 その日の夜。エリザータは縁談がまとまった事を知らされた。

「そう、私、皆の為に、頑張るわ」

 エリザータが空虚な目でそれに反応していたその頃、アルヴェードの元に許婚が決定したという一報が届く。

「遂に、来たか」

 アルヴェードは自室で1人、両手の拳を震わせた。

 後日、アルヴェードとエリザータの対面が果たされる。2人は、両親に付き添われ、レストランで夕食を共にしたのだった。親たちは、世間話に花を咲かせる。しかし、将来の夫婦の間に自己紹介以外の会話はなかった。アルヴェード、エリザータ、共に12歳の出来事だった。

 その後、ビタル学園でもエリザータとアルヴェードはお互いを認知するようになる。廊下で顔を合わせる度に、気まずく会釈をするようになった。

 エリザータもアルヴェードもクラスメイトには、結婚が決まった事は開示しなかった。そんな中でも、アルヴェードは、ティコラセーヌとの密会をエリザータの目を盗みながら続けた。

「ティコラセーヌ、俺は絶望したよ」
「何か、あったの?」
「許婚が決まってしまった」
「え?」

 ティコラセーヌの心の中には、これを機にアルヴェードと別れ、恐怖から解放されたいという気持ちと、アルヴェードとの特別な仲を築いている自分の立場を手放したくない気持ちがせめぎ合った。

「アルヴェード、私とお別れ?」
「いや、俺が愛しているのは、ティコラセーヌだけだ。許婚もおそらくこの話には乗り気ではない。だから、別れないさ。例え、俺が別の女の夫になってもな」
「そ、そう。アルヴェード、ありがとう」

 一方、エリザータは、学業に専念するようになった。

 そうしている間に、エリザータとアルヴェードは中等部へと進級。それに合わせるように、ルルコス銀行をクルーサム財閥が買収するという話が大々的に発表された。

 そんなある日、エリザータは下校中、ふらっとルルコス銀行に寄った。行員は、エリザータの縁談の話を知らされていた為、口々に礼を言ってきた。

「皆、よかったわね?」

 エリザータは、礼を言われる度に空虚な目をして応えた。そして、頭取室には寄らずに帰宅した。

「パパなんか、大嫌い。私より、皆を選んだ」

 けれど、縁談を引き受けたのは自分だ。

「私も、皆の為って思ったんだっけ」

 父親を責めるのは、そこまでにした。

 翌年、ルルコス銀行は、クルーサム財閥の傘下の銀行として再出発した。
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