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19甘:夫婦の12の過去その5
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「あと、2年だわ」
「あと、2年か」
エリザータとアルヴェードの呟きが、それぞれの自宅に響く。エリザータは沈み込む気持ちを抑えきれなかった。クラスメイトに心配される程、明るさを失っていく。一方、アルヴェードは相変わらずティコラセーヌを傍に置き、愛を貪っていた。
ルルコス銀行は、財閥の傘下になった事により、劇的に経営が安定。その余裕は、更なる銀行の成長を生み、反対にクルーサム財閥の国一番の勢いを下支えする存在となっていった。
そして、ブンボル王国が制定している婚姻可能年齢となったエリザータとアルヴェードは、自らの意思に依らない婚姻届にて、夫婦となる。16歳の2人の結婚式や結婚披露宴は、豪勢な物となり、世間の話題となった。
そんな式が挙行される前、アルヴェードはエリザータにこんな声をかけた。
「ウエディングベールは美しいのに、その奥のお前の顔は、見れた物じゃないな」
エリザータは、思いきり顔を反らし、言葉を返した。
「無理に見なくていいわよ。私は、貴方の顔を見たくないから」
アルヴェードは無表情でそれを受け止めた。エリザータの心の中では、こんな落胆の声が響いていた。「私のファーストキスが、こんな男に。式のキス、逃げたい」
無情にも、結婚式は一般の流れを辿り、夫婦のキスの時間が来てしまう。エリザータは、一層硬い表情になった。アルヴェードは小声で言った。
「ほら、笑えよ」
エリザータは、一度歯を食いしばり、引きつった笑顔をアルヴェードに見せる。アルヴェードは、苦笑いに近い笑顔で「式でのキス」をエリザータに贈った。アルヴェードのキスは、感情はこもっていなかったが、こなれた物であった。受けたエリザータは違いがわからなかったが、すぐに2人のキスは終了。参列した人々の拍手が沸き起こった。
その後の披露宴も無事に終わり、後日アルヴェードの自宅にて、夫婦の同居が始まる。まだビタル学園の高等部に通う身であるエリザータとアルヴェードは、車での送迎が日常になり、後部座席で並んで登校するようになった。勿論、車中での夫婦の会話は全くなかった。
「いってらっしゃいませ。アルヴェード様、エリザータ様」
「ご苦労様」
「いってきます」
運転手のパウルートと夫婦のこのやり取りのみが車中に響いた。
エリザータは、結婚により家柄が違う物となった為、中流家庭クラスから上級家庭クラスに急遽変わった。アルヴェードとクラスメイトとなった為、教室までの道のりも無言で2人で移動する。席に着くと、やっと別れる事が出来、2人はほっとした。
そんな中で、エリザータはアルヴェードの母親から財閥総帥の夫人としての教育も急ピッチで受けるようになる。
「エリザータさん?貴女、このお花の飾り方、なってないわ」
「ごめんなさい」
エリザータは、もう一度やり直す。それを見ながらアルヴェードの母親は言う。
「しっかり仕事が出来るようになったら、早めに跡取りもお願いするわ」
「跡取り、ですか?は、はい」
その夜、エリザータの頭の中には、「跡取りを儲けるその時」の想像が駆け巡る。エリザータは、ベッドの上で呟いた。
「嫌。そんなの、嫌」
「あと、2年か」
エリザータとアルヴェードの呟きが、それぞれの自宅に響く。エリザータは沈み込む気持ちを抑えきれなかった。クラスメイトに心配される程、明るさを失っていく。一方、アルヴェードは相変わらずティコラセーヌを傍に置き、愛を貪っていた。
ルルコス銀行は、財閥の傘下になった事により、劇的に経営が安定。その余裕は、更なる銀行の成長を生み、反対にクルーサム財閥の国一番の勢いを下支えする存在となっていった。
そして、ブンボル王国が制定している婚姻可能年齢となったエリザータとアルヴェードは、自らの意思に依らない婚姻届にて、夫婦となる。16歳の2人の結婚式や結婚披露宴は、豪勢な物となり、世間の話題となった。
そんな式が挙行される前、アルヴェードはエリザータにこんな声をかけた。
「ウエディングベールは美しいのに、その奥のお前の顔は、見れた物じゃないな」
エリザータは、思いきり顔を反らし、言葉を返した。
「無理に見なくていいわよ。私は、貴方の顔を見たくないから」
アルヴェードは無表情でそれを受け止めた。エリザータの心の中では、こんな落胆の声が響いていた。「私のファーストキスが、こんな男に。式のキス、逃げたい」
無情にも、結婚式は一般の流れを辿り、夫婦のキスの時間が来てしまう。エリザータは、一層硬い表情になった。アルヴェードは小声で言った。
「ほら、笑えよ」
エリザータは、一度歯を食いしばり、引きつった笑顔をアルヴェードに見せる。アルヴェードは、苦笑いに近い笑顔で「式でのキス」をエリザータに贈った。アルヴェードのキスは、感情はこもっていなかったが、こなれた物であった。受けたエリザータは違いがわからなかったが、すぐに2人のキスは終了。参列した人々の拍手が沸き起こった。
その後の披露宴も無事に終わり、後日アルヴェードの自宅にて、夫婦の同居が始まる。まだビタル学園の高等部に通う身であるエリザータとアルヴェードは、車での送迎が日常になり、後部座席で並んで登校するようになった。勿論、車中での夫婦の会話は全くなかった。
「いってらっしゃいませ。アルヴェード様、エリザータ様」
「ご苦労様」
「いってきます」
運転手のパウルートと夫婦のこのやり取りのみが車中に響いた。
エリザータは、結婚により家柄が違う物となった為、中流家庭クラスから上級家庭クラスに急遽変わった。アルヴェードとクラスメイトとなった為、教室までの道のりも無言で2人で移動する。席に着くと、やっと別れる事が出来、2人はほっとした。
そんな中で、エリザータはアルヴェードの母親から財閥総帥の夫人としての教育も急ピッチで受けるようになる。
「エリザータさん?貴女、このお花の飾り方、なってないわ」
「ごめんなさい」
エリザータは、もう一度やり直す。それを見ながらアルヴェードの母親は言う。
「しっかり仕事が出来るようになったら、早めに跡取りもお願いするわ」
「跡取り、ですか?は、はい」
その夜、エリザータの頭の中には、「跡取りを儲けるその時」の想像が駆け巡る。エリザータは、ベッドの上で呟いた。
「嫌。そんなの、嫌」
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