ブンボル王国の恋事情

森田金太郎

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41甘:報告と自粛

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アルヴェードは、ベルカイザ号に乗船していた政府高官など関係者と共に、王マーディルに謁見した。王の傍らには、側近であるギャスバーや数人の王宮関係者もいた。そんな中、ギャスバーは落ち着かない様子だった。マーディルが口を開く。

「まずは、無事の帰国、何よりであった。このような遅い時間の呼び出しに応じた事、褒めてつかわす」

 ベルカイザ号関係者は、揃って頭を下げる。それを確認すると、マーディルは言葉を続けた。

「では、聴取は側近が行う。偽りのない証言を」
「はい」

 アルヴェードは、関係者たちと声を揃え、返事をした。すると、ギャスバーが最初の問いを投げかけた。

「単刀直入に訊こう。ベルカイザ号は何故レト共和国に、拿捕されたのだ?」

 ベルカイザ号関係者は一斉に動揺の表情になる。彼らの頭の中には「拿捕などされていない」という共通の考えが浮かんでいた。アルヴェードは、改めて関係者と同じ考えが浮かんでいたが、エリザータから聞かされていた為、比較的冷静に返答が出来た。

「拿捕などされてはおりません。ワイカル国船籍と思われる海賊船に囲まれていた所を、レト共和国からの救援をいただきました。その後天候悪化に伴い、しばらくレトの港に停泊せざるを得なかっただけです。逆に疑問です。何故そのような事が伝わったのかが」
「レトの近隣諸国からの通達であった。拿捕されたようだとな」
「もしかしたら、海賊船とレトの海軍の戦闘があった中、避難としてベルカイザ号がレトの港に避難した光景が、拿捕に見えたのかもしれません」
「なら、いいが。しかし、その一連のレトとの接触で、レトと何か話したか?」

 政府高官が、それに返した。

「はい、クルセイン首相と短い会談の時間がありました。そこで、国交回復の要請がありました。救援や補給の便宜を図っていただいたので、個人的には前向きに検討をお願いしたいと思っています」
「それを飲めと?」

 ギャスバーが手をわなわなさせつつ、返すと、マーディルがこう言った。

「拒否、受諾どちらに転ぶかわからぬが、検討しよう」
「陛下!暴動を起こした国民の子孫と手を取り合えと?」
「検討する、と言っただけだ、ギャスバー」
「は、はい」

 アルヴェードは、そんなやり取りを傍観しているうちに、ギャスバーがエウル一族の当主という事を思い出す。そして、心の中で呟いた。「あの事実が本当で、このギャスバーが知っているのであれば、この慌てぶりにも合点がいく。裏を取ったほうがいいかもしれない」と。そして、口を開いた。

「陛下、申し訳ありませんが、我々は長旅にて疲労が溜まっております。正常な答弁が出来ない可能性があります。日を改めてレト共和国であった事を詳しく報告いたしますので、本日はここまでにしていただけないでしょうか?」
「許す」
「ありがとうございます」

 ギャスバーは、何か言いたげだったが、無言で引き下がった。そして、ベルカイザ号の関係者は、次々と退出して行った。マーディルは呟くように言った。

「ギャスバー、やはり帰国すぐの事情聴取は、無理があったではないか」
「は。申し訳ありません。しかし、早期の状況把握が必要だと思いまして」
「それも一理あるな。しかし、レトとの国交回復か。前向きに検討しよう」

 一方、アルヴェードは政府高官にこう言われていた。

「我々の疲労に配慮してもらったのはいいが、陛下の御前で恥を晒したではないか」
「すみません。しかし、貴方も聞いたでしょう?ブンボルとレトの歴史認識に齟齬があった話を。折しも、それに関連するエウル一族の当主、ギャスバーがあの場にいました。何もなければいいのですが、ギャスバーが不審な動きをしていたので、危険から今日は逃げました。恥ずかしい話ですが」
「なるほど。わかった」
「後日、ある程度『武装』をしてから対応します。その際は、また皆さんにご負担をかけるかと。申し訳ありませんが、ご協力をお願いします」

 政府高官ら関係者はそれに同意した。それを見届けながら、アルヴェードは心の中で言った。「ちょうど家にはシュク一族のミルフォンソがいる。話を聞こう」と。
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