ブンボル王国の恋事情

森田金太郎

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48甘:別れの気配

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ベルカイザ号関係者たちは、次々に部屋を退出。それを見送ったマーディル以下王宮の面々は、未だ歴史を覆された事に対する動揺が残っていた。しかし、マーディルはそれを振り切り、こう言う。

「有意義な時間であった。さて、これからが大変だ。レトとの国交回復の件は、議会にも話を通さねばならない」

 ランクーナが苦しげな顔をしてそれに返した。

「レトの労働者に殺害された人の子孫が議員にはいますからね。反対に回るかもしれません」
「うぬ」
「父上、母上、しかし、信じましょう。議員を説得出来る日を」

 マーディルとランクーナは頷く。ギャスバーは、肩身が狭く縮こまった。そんなギャスバーを見つつ、ランディレイは思いを馳せ、呟いた。

「アルヴェード。エリザータの夫。あんなに豪胆な人物だったとは。僕も負けていられない」

 一方、ベルカイザ号関係者はお互いに声をかけつつ解散。アルヴェードは仕事へと戻った。

 その夜、アルヴェードは帰宅する。エリザータが迎えた。

「おかえりなさい、今日は、一段と疲れたんじゃない?お疲れ様」
「エリザータ、ただいま」

 アルヴェードは、妻の顔を見ると、みるみる抑えていた感情が溢れ出る。

「エリザータ!」

 アルヴェードは性急にエリザータを抱きしめた。その様は、さすがのエリザータも戸惑う程であった。

「ど、どうしたの?」
「すまない、しばらくこうさせてくれ」

 アルヴェードの脳裏には、振りかざされたギャスバーの短剣への恐怖がよみがえっていた。しかし、じわじわ伝わるエリザータのぬくもりにそれが薄れる。アルヴェードは、エリザータに多少長いキスをした後、妻を解放した。

「何か、あったの?」
「いや、その、煽りすぎたのかもしれない。王の側近に攻撃を加えられる所だった」
「えっ」

 エリザータは一旦震えた。アルヴェードは自嘲しつつもこう返した。

「陛下が、止めてくれた。だから無傷で帰って来られたが、さすがにおそろしくなってな。陛下の言葉がなければ、今頃エリザータの顔は見れていないだろうと思ったら、止められなくなった。お前を抱きしめるのが。恥ずかしいな」
「そんな。恥ずかしくないわよ。無事に戻って来てよかったわ。でも、あまり無茶はしないでね?」
「ああ、そうする」

 もう一度、アルヴェードはエリザータにキスをし、言った。

「王子にも助けられながらだったが、ほぼ俺の思った通りに事は進んだ」
「そうなの!よかったわ!!」
「ああ。エウル一族には罰が与えられる事が決まったし、レトとの国交回復も実現出来る方向だ。そして、一番の成果は、シュク一族が何らかの形で王族に復帰出来るようになった。そこで、王子とミルーネが会えるようになった」

 エリザータは、目を輝かせた。

「本当に?」
「ああ」

 エリザータのため息が漏れる。

「けれど、そうなると王子との仲も、終わりに近いわね」
「そうだな。俺のミルーネとの時間も、そう長くはない」

 不倫ルール第八条、いずれ愛人とは別れるというルールを遵守する時が間もなく来る。一抹のさびしさをエリザータとアルヴェードは抱きながらも、2人は笑顔を交換した。

「ミルーネと、いいお別れしてくるのよ?アルヴェード」
「お前こそ、王子とな?」
「ええ」
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