9 / 85
1章
1章8話 皆が僕を狙ってる……
しおりを挟む「お楽しみいただけていますか、清太様?」
「シャ、シャリアーデさん……」
席を立とうと浮きかけていた腰が止まる。
シャリアーデさんは左手に乗せたトレイから飲み物の入ったグラスをテーブルに置いた。
「お飲み物のお代わりをお持ちいたしました」
「あ、ど、どうも……」
「当クラブはお楽しみいただけていらっしゃいますか?」
シャリアーデさんの視線が僕の股間に向く。
僕に馬乗りになったサリナさんのおまんこが、今にも挿入されそうなくらいの距離で僕のおちんちんに狙いを定めていた。
「あ、あの! 僕、今日はこの辺で……」
「あら、どうかいたしましたか? この穴が何か粗相を? それとも具合がよくありませんでしたでしょうか」
「あ、穴って……」
「よろしければ他の穴を連れてまいりましょうか。五つほど用意いたしますので、軽く数回ほど抽挿していただき、気に入った穴にザーメンを出していただく、というのはいかがでしょう」
な、なに言ってるのこの人!?
無表情でサラッとなんか、と、とんでもないこと言ってる!
「ちょっと? 私まだ入れてないんだけど?」
「あなたの穴はお気に召さないご様子です。サリナさん、控室からゴールドランクのキャストを五名ほど連れてきていただけますか」
「……はいはい。美味しいのはいつも通り上の人たちで楽しめばいいわ」
サリナさんは僕から体を下ろし、見るからに不機嫌そうにテーブルから去っていった。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした清太様。すぐ代わりの穴をご用意いたしますので」
「あ、あの、本当に僕、今日はもう……」
「まだ時間はたくさんございます。もう少しだけ遊んでいかれてはいかがでしょう」
「も、もう十分です! ほんとに!」
「左様でございますか? ですが……」
ちらり、とシャリアーデさんの目線が、僕のガチガチのおちんちんに向けられる。
「うっ……」
思いっきり勃起してるのもそうだけど、今さらながら女の人に自分の丸出しの性器を凝視されていることが無性に恥ずかしくなった。
「清太様のペニスはまだご満足いただけていないご様子」
「で、でももうほんと、十分です! 僕なんかのためにサリナさんも凄くいろいろ……だから……あ、お、お会計お願いします!」
僕は慌てて財布をズボンから取り出すと中身に入っているお金を全て取り出してテーブルの上にばらまいた。
散らばった数枚の硬貨に、千円札が一枚。財布をひっくり返してもそれしか出てこなかった。
「こ、これ、これしか……ご、ごめんなさい……だから、今日はもうこれ以上のサービスは……」
「…………畏まりました。ご安心ください、無理に清太様をお引止めするような真似はいたしません。サービス料も、これ以上ご請求させていただくことは決してございませんので」
シャリアーデさんはそう言ってテーブルの上のお金を手早く集めると、トレイの上に乗せた。
「では清算してまいりますので、こちらのお席で少々お待ちくださいませ」
「は、はい……ありがとうございます」
たおやかに一礼し去っていくシャリアーデさん。
テーブルに一人きりになり、僕はこのクラブに来て初めて安堵の息を吐いた。
「……終わった、のかな」
あんな小銭で料金なんて足りる訳ないけど、シャリアーデさんは決済してくれると言った。
あとはもう波風立てず、そっと帰ろう。
じゃないと……頭がおかしくなりそうだ。
こうして一人になって冷静に思い返してみると、やっぱりこのクラブは異常すぎる。
サービスももちろん……なんというか、僕に対する接客が特別すぎる。
「どうしてサリナさんもシャリアーデさんも、あんなに積極的に……」
ただの熱心な接客では説明できないほど、あの二人の僕への対応は熱烈だった。
何か僕個人への強い執着があるかのように見えたけど……一体僕がなんだっていうんだ?
「プラチナランクがどうとか言ってたような気がするけど……」
シャリアーデさんもサリナさんも、どっちもそのプラチナっていう言葉に反応していたように思えるけど、プラチナって何のことなんだろう?
「――――プラチナ!?」
突如大きな声が僕の席まで届いてきた。
見ると、少し離れた場所でシャリアーデさんと別のキャストらしき人が何かを話していた。
そのもう一人の女性は驚いた表情で僕の方を向いた。ハッキリと目が合った。
「……ぼ、僕のこと、話してる……?」
そう見える。
その人は僕のことをガン見しながらシャリアーデさんの話を聞き、しばらくすると一度大きく頷いた。
その女性は手に持っていたマイクをオンにし、数回マイクチェックを行ったあと声を発し始めた。
『――お客様にご連絡を申し上げます』
フロア中に響き渡る女性の声。
キャストと楽しんでいた他の男性客も何事かと周囲を確認し始める。
『本日は当クラブへご来店いただきまことにありがとうございます。日頃から当クラブをご愛顧くださっている皆様へのささやかな感謝の気持ちとして、本日限定の特別キャンペーンを実施させていただきます』
「……な、なんか」
さっきも似たような話があったような……。
『只今から閉店時間までの間、当クラブでご利用いただける全てのサービスを無料とさせていただきます』
ざわざわ、とフロアが色めき立つ。
『本日に限り、皆様がお楽しみいただいた、いかなるサービス、いかなるプレイにおいても、当クラブが何かしらの対価を請求することは……一切――絶対に――決して――……ございませんので、』
そこで言葉を区切り……その女性は今度こそはっきりと僕の目を見つめながら、
『どうかご遠慮なく、当クラブをご堪能くださいませ』
そう僕に告げて女性はマイクを切った。
歓声に沸くフロア。興奮した男たちが近くにいるキャストに次々と声をかける。
そんな彼らに嬉しそうに対応する女性達。
一層の盛り上がりを見せるクラブの中で……僕の胸中はそれとは真逆。
まるで胃が冷えていくような気持ちを味わっていた。
「……僕だ」
これではっきりした。
――このクラブは僕を狙っている。
理由は分からないけど、とにかく僕にサービスを受けさせたがっている。
「こ、これ以上ここにいちゃだめだ……ここにいたら……!」
きっと、さっきよりももっと凄いことをされて……
「……もっと、凄いこと……」
――じゅぼ♡ じゅぼ♡ ぢゅりゅるるううッ♡
「――うゥッ!?♡」
さっき味わったサリナさんのフェラチオが脳裏をよぎり、それだけでガチガチになっていた僕のおちんちんは射精してしまいそうだった。
「ぐっ……うぅ……♡」
――ここで待っていたらどんなことをされるんだろう?
そんな考えが脳裏をよぎって仕方がなかった。
「五人……連れてくるって言ってた」
上の人たちで楽しめばいい。
サリナさんはそう言っていた。
つまりサリナさん以上の女性が五人……こんな狭い隅っこのテーブルに集まって、なにをするの?
その五人に抽挿して、気に入った人の穴に……って言ってた。
抽挿っていうのは、つまり……。
「そ、そんなの……だめだよ」
ごくり、と喉が鳴る。
何がダメなのかはわからない。
でも僕ははち切れそうなおちんちんの期待……それとは別に、何か本能的な危険を感じている。
この場所は僕にとって、夢のサービスを受けられる場所なんかじゃない。
むしろそれとは逆。
僕は……何故だかわからないけど、彼女たちに狙われている獲物なんだ。
「や、やっぱり帰っ――」
「清太様」
ひい!? 声をあげてしまう。
僕がもたもた悩んでいる間に、シャリアーデさんがテーブルの近くまで来てしまっていた。
「お待たせいたしました。清算の件なのですが」
「あ、そ、そうだお会計! 僕、これで……!」
「その件なのですが、先ほど館内放送でもお知らせさせていただきました通り、本日は全てのサービスの料金が無料となりました。ですので、こちらはお返しさせていただきます」
そう言ってシャリアーデさんはさっきのお金を僕に手渡してきた。
「あ、ありがとうございま……」
「――ということですので、」
僕が財布にお金を仕舞うや否や、シャリアーデさんは、ずい、と静かに身をこちらへ寄せてきた。
そして無表情のまま僕の瞳をじっと見つめて言った。
「せっかくですし、もうしばらく遊んでいかれます……よね?」
2
あなたにおすすめの小説
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる