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第17話 友達と大騒ぎ
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「なあ!玲!俺たちと遊ばね?」
「え?」
朝、学校に着いたら、突然、翔に声をかけられ、さらには、遊びに誘われた。
「だーかーらー、遊ぼうぜって言ったんだよー」
「遊ぶって誰と誰が?」
「俺とお前、あと、風香と梓と」
「えっと……それ、俺いっていいのか?」
「え?逆にダメなのか?」
「いや、えっと、俺がいて楽しいのかな?って思って…」
「楽しいに決まってるぞ!それに、2人にはもう許可もらってっから」
「マジか…2人はなんて?」
「『まあ、白鳥くんなら全然大丈夫だよ?』、『彼はいやらしい目で見て来ないから、大丈夫』って言ってたぞ?信頼されてるなー」
(まさかのオッケー?!俺、今日大丈夫かな?)
気まずくなりそうな気がするが、2人が大丈夫だと言ってくれている。ならば……
「分かった、行くよ」
「よっしゃーーー!!!」
俺は3人と遊ぶことになった。
「よっしゃーー!!放課後だーーー!!」
「翔!うるっせ!」
「おいおい!玲ー!テンション低くね?」
「お前が高すぎなんだよ」
俺と翔は教室をすぐに出た。昇降口で靴に履き替え、神楽坂さんと若葉さんを待つことに。
「2人おっせーなー」
「いやいや、俺たちが出るの早すぎたんだよ。2人ともゆっくり来るだろうよ」
「うええええ!!あいつらゆっくり来るのー?早く行きたいってならねえのー?」
「分かんないけれど、ならねえだろ多分」
「そんなーーー……」
なんか知らないが、早く行こうとしない2人に落胆する翔だった。
「お待たせー、遅くなってごめんなさい…」
「遅くなったわっていうか、翔が早すぎるのよ!」
「うえええ!!俺のせい?!」
翔と神楽坂さんの言い合いが始まった。
「2人ともそこまでにしなよーもう、行かないと遊べなくなるぞー」
俺は翔達に声をかけた。
「遊べなくなるのは嫌だーーー」
「なら行くぞー」
「痛い!痛い!痛い!行くってばー!耳!痛いってー!」
そして、翔の耳を引っ張りながら歩いていった。
「うわぁ!広いねー」
「まあ、大型ならこれぐらいでしょ?」
俺たちは今大型ショッピングモールにいる。俺と翔、若葉さんと神楽坂さんでペアとなり、いろんな店を回ろうとしていた。
「最初はどこ行くんだ?」
「そうだなー、あ!げー……」
「ゲームセンターとは言わないよね?」
翔が何か提案しようとしたのと同時に、神楽坂さんが翔に詰め寄っていた。
「い…いやー、言ってないっすよー」
「……本当に?」
「ひ、ひゃい!!」
翔がビビっていた。まるで蛇に睨まれたカエルのように。
「まあまあ、梓ちゃん、翔くんも行きたいとこあるでしょ?私たちばかり行きたいところに行ったら、面白くないと思うの。ね?」
若葉さんが神楽坂さんを抑えようとしていた。
「まあ、は 風香がそう言うなら……」
神楽坂さんが渋々と言った様子で、翔を許していた。
「玲ー!怖かったよーー」
「はいはい、ほんじゃあみんなが行きたいところ全部行こうか」
「うん」
「そうね…」
俺たちは店を回ることにした。
「ねえ!見て!この服ー!めっちゃ可愛い!風香も見てよ!」
「本当だー!可愛い!」
神楽坂さんと若葉さんの2人が、服屋さんで楽しそうにお買い物していた。
俺と翔は、その隣のメンズ服屋に入った。
「おお!いっぱい服があるなーどれにするか悩むー」
「確かに多いな、これは迷う」
「お!玲!これ見てくれ!この黒のTシャツ!めっちゃカッコ良くね?」
「確かにいいな!このTシャツなら、このズボンとかどうだ?」
「おお!いいなー、お!玲!これ、見てみろ!」
「ん?……その帽子どっから持ってきたんだよ」
「にしし!そこの棚にあった。」
「よくそんなの見つけたなー」
「いやーおもろいかと思ってー」
翔はそこの棚からある有名なキャラクターの帽子を持ってきていた。赤色のつばが付いた帽子なのだが、真ん中にMの文字が刻まれていた。
「これかぶって、髭を生やしたらあれになるくね?」
「想像するなーそして、なろうとするなー」
「あははは!!」
俺たちは服屋さんで服を選びながら、ふざけ合っていた。
「2人とも遅いよー何してたのー?」
「おお、わりーわりー、ちょっと服屋で遊びすぎた。」
「何、遊んでんのよ」
「いいだろー?別にー、お前らだって楽しんでたじゃんかよ!俺たちほっといて」
「私たちは着たい服を探してたの!そっちは服で遊んでたじゃん!」
「別にー!俺らも探してたしー」
「じゃあ、何買ったのよ!!」
「おう!見るか?これだーーー!」
翔と神楽坂さんが何やら商品で言い合いをしていた。
側から見ると、喧嘩しているように見えるが、この2人のコミュニケーションはこんな感じだ。ゲームでもこうやってじゃれあっていた。まあ、つまり、仲がいいって事だ。
(本当、楽しそうだなー)
俺が1人で2人のことを微笑ましく見ていると…
「あの……白鳥くんは何を買ったんですか?」
「え?」
振り返ると、若葉さんがいた。
「ああ…服とカバン、あと、靴を買ったかな?前の靴がもう、ボロボロになってきていたから。」
「そうなんですね…」
俺と若葉さんが話すのは、あの音楽室の時以来だった。
(うーむ、翔ほど話せるわけじゃないよなー、俺があんな態度取っちまったから。うう…気まずい…あの2人、早く終わんねーかなー?)
俺は翔に助けを求めて、目を向けると2人ともまだ、言い合いをしていた。
(ああ…ダメだこりゃ)
俺はトホホってなりながら、若葉さんと話す内容を考えた。
(ああー…ダメだ…話すこと思い浮かばない)
俺はずっと何話そうか考えたが、全然分からなかった。
(若葉さんは何の話が好きだったっけ?原作ではー………)
俺は必死に原作の若葉さんを思い出そうとしていた。すると…
「あの……前の音楽室の時のことなんですけれど……」
「へ?」
突然、若葉さんが話しかけてきた。しかも、音楽室の時のことを話すつもりらしい。
「………」
「え、えっと………」
俺が何から切り出せばいいのか悩んでいると…
「あの時は梓ちゃんがすみませんでした。」
「え?」
予想外の言葉だった。
(ど、どうして梓ちゃんのことを謝ったんだろう?)
俺が返答に困っていると…
「梓ちゃん、無理に白鳥くんを先生にしようとしてたでしょ?それについて、謝りたくて」
「…ああ!そういうことか!いや、若葉さんが謝ることではないし、そもそも、俺怒ってないよ?」
若葉さんが謝った意味に気づいた俺は、謝る必要がないと伝えた。
「でも……」
「それに、あれは…俺の方が悪いから…だから、ごめん!若葉さん!」
「ええ!!ど、どうして白鳥くんが謝るんですか?!」
「だって、俺が2人を困らせたし、悲しませたから」
「そんな…そんなことされてませんよ?」
「それでも!気まずくさせたのは俺だから!本当にごめん!」
「!!……分かりました。謝罪を受け入れます。許しますから、もう、謝らないでください!」
「……ありがとう」
俺と若葉さんは仲直り?が多分できたと思う。
「次どこ行くー?」
「さっきから、ゲームセンターの方見て目をキラキラさせてる人がいるから、ゲームセンター行こ」
「あははは!確かにずっと見てる人いるわ」
俺と若葉さん、神楽坂さんの3人が見る方向には、ゲームセンターの前でずっと止まっている翔の姿があった。
「よし、行くかー、おーい!翔ー」
俺は翔の元へ走っていった。
ゲームセンターに入ると多くの人で賑わっていた。
「それぞれやりたいゲームで遊ぼうぜーってことでー玲!あれやろうぜ!」
「それぞれやりたいやつやるんじゃねーのかよ!」
俺は翔に連れ去られていった。
結局、翔のやりたいことに付き合った俺は連続でゲームをしすぎたため、休憩を挟むことにした。その間、翔は他のゲームを行いにいった。
(はぁ、あいつどんだけ体力あるんだよ、ダンスゲームを5回もやるとか、それも、めっちゃ激しいやつ…はぁ、付き合うんじゃなかったかも…喉乾いたな、自販機は…)
俺は自販機で飲み物を買うことにした。
(そういえば、このゲームセンターでなんか、イベントがあったようなー…ん?)
俺がイベントについて思い出そうとしていると、前の方で何やら揉め事を見つけた。
そこにいたのは、翔と神楽坂さん、そして、数人の男達だった。
(あ!そうだった!このゲームセンターでヤンキーっぽい人たちと喧嘩になるんだった。確かその時は……)
俺がどっちが勝ったかを思い出そうとした。その時…
「ぐぇっ!!」
「翔!!なっ!は、離して!翔!!」
男達が翔を殴り飛ばした。そして、翔のそばに走っていった神楽坂さんの腕を男が掴み、連れ去ろうとしていた。
(やばいやばい!あの男達に神楽坂さん連れ去られたら、バッドエンドにいってしまう!!助けねーと!!)
俺は全力で走ると、男に体当たりした。
「ぐはっ!!」
男が数メートル飛んでいった。
「!!白鳥くん!」
「神楽坂さん!翔と若葉さん連れて逃げて!」
俺はまだ、店内にいるだろう若葉さんも連れて行くように神楽坂さんに伝えた。
「で、でも……」
「いいから!早く行け!!」
「わ、分かったわ!」
神楽坂さんが翔を連れて逃げ出した。
(ふぅ…とりあえず、こんな感じで大丈夫そうだなー、さて、こいつらどうしよう……)
俺は男達に向き合った。
「何してくれてんじゃ!クソガキ!ぶっ殺してやる!!」
その時だった、突然、俺の体に力が溢れてきた。そして、なぜか口が勝手に動いた。
「はぁ…めんどくさい」
(え!何で?!)
俺はため息をつくと、構えの姿勢になった。
「あ?…ぐはっ!!」
男が動き出そうとするその数秒前に俺が、男の腹に一発入れてやった。
男は馬鹿みたいに吹き飛んでいった。
「全員で3人かな?なら、あとは、お前だけだな」
「なっ…!はぁーーー?!な、何でみんなやられてんだよ!」
残った1人の男が騒いでいた。
「ちょっとうるせぇから黙ってろ」
「ごはっ……!!」
最後の1人は顔面に一発、腹に二発、足に一発殴って蹴ってやった。
「はい、終了!」
そう言った俺は、力が抜けて行った。
(あ、喋れる!今のは一体?)
俺は不思議に思いながら、男達を店内に寝ころばせて、ゲームセンターを出た。
(良かったー、何とかなってー、叔父さんに格闘技全部習ってて…この世界がゲームの世界だって気づいたのは入学式の時だったけれど…親父達の時みたいに殴られないよう、習おうとしたことが良かったかも。)
俺は安堵しながら、翔達を探した。さっきまでの違和感を見ないようにして。
案外、ゲームセンターの近くに居たらしく、俺はすぐにみんなを見つけることができた。
「白鳥くん!!」
若葉さんがこっちに手を振っていた。
(良かったー!みんな無事だ、若葉さんも逃げてて良かったー)
俺は安心しながら、3人の元へ走っていった。
「ごめんごめん!みんな大丈夫だったか?」
「それはこっちのセリフだよ!男の人達を相手にしたんでしょ?大丈夫?怪我してない?」
「平気平気!なんか酔っ払ってたのか、壁とかにぶつかって気を失ってたよ?まあ、運が良かったと俺は思う!」
「そうだったんだ!それなら、良かったよー」
「翔は?大丈夫なのか?」
「あ、ああ、ちょっと顔が痛いが大丈夫だ」
「そうか、良かった」
「ははは!もうちょい強くならねーとなー」
翔は少し自分の不甲斐なさに落ち込んでいるようだった。
「いやいや、あの男達の前に立ったお前は凄いよ!俺なんか、逃がそうと必死だったから、あそこに入れただけで、普通は行けねぇよ」
「そ、そうか?な、なら頑張ったのかな?俺」
「おう!頑張ったな!翔!」
俺は神楽坂さんの方を見た。すると…
「白鳥くん…ごめんなさい…」
「え?」
突然、神楽坂さんが謝ってきた。
「音楽室で一方的に頼み事をして…全然あなたの気持ち考えてなかった。ごめんなさい…」
音楽室での出来事に対しての謝罪らしい。
「いや、気にしないで!俺が事情を話しておけば良かったのに、話さなかったし、俺が強い口調で言ってしまったから、こっちこそごめん」
「…白鳥くんのせいじゃないでしょ?」
「いや、俺のせいだ!ごめん」
「…………分かったわ、お互いに悪かったってことで」
「うん!……あ!怪我してない?」
「大丈夫よ、逃がそうとしてくれてありがとう」
「!!!」
神楽坂さんが初めて俺に笑ってくれた。
(神楽坂さんが笑った!やっぱり現実だとゲームと違うなー)
俺は少し感激しながら、他の2人の方を見た。
「よし!つぎはどうする?帰るか?それとも、他に行くか?」
「他のとこ行こうぜー!」
「おいおい、大丈夫なのかよ?」
「平気平気!遊ぶと思ったら、元気になった!」
「本当に遊ぶことが好きなんだなー」
俺たちは翔に呆れながら、翔の後をついていった。
「よし!めっちゃ遊んだし!帰ろー」
「そうね」
「うん!私、もうくたくただよー」
翔の言葉で解散することになった。
「翔達はそっちなんだよな?」
「ああ!玲は逆方向か!なら、ここでお別れだな」
「ああ!また、明日なー」
「おう!また明日ー」
「またねー」
「さようなら…」
俺は3人と別れて帰宅した。
(少しはあのヒロイン達と仲良くなれたかな?)
俺はそんなことを思いながら、眠りについた。
※あとがき
ヒロインと主人公の関わりが深くなるエピソードでしたー
いやー、いいなー中学生ー
というわけで次回予告ー
次回、地獄の定期試験
お楽しみにー
「え?」
朝、学校に着いたら、突然、翔に声をかけられ、さらには、遊びに誘われた。
「だーかーらー、遊ぼうぜって言ったんだよー」
「遊ぶって誰と誰が?」
「俺とお前、あと、風香と梓と」
「えっと……それ、俺いっていいのか?」
「え?逆にダメなのか?」
「いや、えっと、俺がいて楽しいのかな?って思って…」
「楽しいに決まってるぞ!それに、2人にはもう許可もらってっから」
「マジか…2人はなんて?」
「『まあ、白鳥くんなら全然大丈夫だよ?』、『彼はいやらしい目で見て来ないから、大丈夫』って言ってたぞ?信頼されてるなー」
(まさかのオッケー?!俺、今日大丈夫かな?)
気まずくなりそうな気がするが、2人が大丈夫だと言ってくれている。ならば……
「分かった、行くよ」
「よっしゃーーー!!!」
俺は3人と遊ぶことになった。
「よっしゃーー!!放課後だーーー!!」
「翔!うるっせ!」
「おいおい!玲ー!テンション低くね?」
「お前が高すぎなんだよ」
俺と翔は教室をすぐに出た。昇降口で靴に履き替え、神楽坂さんと若葉さんを待つことに。
「2人おっせーなー」
「いやいや、俺たちが出るの早すぎたんだよ。2人ともゆっくり来るだろうよ」
「うええええ!!あいつらゆっくり来るのー?早く行きたいってならねえのー?」
「分かんないけれど、ならねえだろ多分」
「そんなーーー……」
なんか知らないが、早く行こうとしない2人に落胆する翔だった。
「お待たせー、遅くなってごめんなさい…」
「遅くなったわっていうか、翔が早すぎるのよ!」
「うえええ!!俺のせい?!」
翔と神楽坂さんの言い合いが始まった。
「2人ともそこまでにしなよーもう、行かないと遊べなくなるぞー」
俺は翔達に声をかけた。
「遊べなくなるのは嫌だーーー」
「なら行くぞー」
「痛い!痛い!痛い!行くってばー!耳!痛いってー!」
そして、翔の耳を引っ張りながら歩いていった。
「うわぁ!広いねー」
「まあ、大型ならこれぐらいでしょ?」
俺たちは今大型ショッピングモールにいる。俺と翔、若葉さんと神楽坂さんでペアとなり、いろんな店を回ろうとしていた。
「最初はどこ行くんだ?」
「そうだなー、あ!げー……」
「ゲームセンターとは言わないよね?」
翔が何か提案しようとしたのと同時に、神楽坂さんが翔に詰め寄っていた。
「い…いやー、言ってないっすよー」
「……本当に?」
「ひ、ひゃい!!」
翔がビビっていた。まるで蛇に睨まれたカエルのように。
「まあまあ、梓ちゃん、翔くんも行きたいとこあるでしょ?私たちばかり行きたいところに行ったら、面白くないと思うの。ね?」
若葉さんが神楽坂さんを抑えようとしていた。
「まあ、は 風香がそう言うなら……」
神楽坂さんが渋々と言った様子で、翔を許していた。
「玲ー!怖かったよーー」
「はいはい、ほんじゃあみんなが行きたいところ全部行こうか」
「うん」
「そうね…」
俺たちは店を回ることにした。
「ねえ!見て!この服ー!めっちゃ可愛い!風香も見てよ!」
「本当だー!可愛い!」
神楽坂さんと若葉さんの2人が、服屋さんで楽しそうにお買い物していた。
俺と翔は、その隣のメンズ服屋に入った。
「おお!いっぱい服があるなーどれにするか悩むー」
「確かに多いな、これは迷う」
「お!玲!これ見てくれ!この黒のTシャツ!めっちゃカッコ良くね?」
「確かにいいな!このTシャツなら、このズボンとかどうだ?」
「おお!いいなー、お!玲!これ、見てみろ!」
「ん?……その帽子どっから持ってきたんだよ」
「にしし!そこの棚にあった。」
「よくそんなの見つけたなー」
「いやーおもろいかと思ってー」
翔はそこの棚からある有名なキャラクターの帽子を持ってきていた。赤色のつばが付いた帽子なのだが、真ん中にMの文字が刻まれていた。
「これかぶって、髭を生やしたらあれになるくね?」
「想像するなーそして、なろうとするなー」
「あははは!!」
俺たちは服屋さんで服を選びながら、ふざけ合っていた。
「2人とも遅いよー何してたのー?」
「おお、わりーわりー、ちょっと服屋で遊びすぎた。」
「何、遊んでんのよ」
「いいだろー?別にー、お前らだって楽しんでたじゃんかよ!俺たちほっといて」
「私たちは着たい服を探してたの!そっちは服で遊んでたじゃん!」
「別にー!俺らも探してたしー」
「じゃあ、何買ったのよ!!」
「おう!見るか?これだーーー!」
翔と神楽坂さんが何やら商品で言い合いをしていた。
側から見ると、喧嘩しているように見えるが、この2人のコミュニケーションはこんな感じだ。ゲームでもこうやってじゃれあっていた。まあ、つまり、仲がいいって事だ。
(本当、楽しそうだなー)
俺が1人で2人のことを微笑ましく見ていると…
「あの……白鳥くんは何を買ったんですか?」
「え?」
振り返ると、若葉さんがいた。
「ああ…服とカバン、あと、靴を買ったかな?前の靴がもう、ボロボロになってきていたから。」
「そうなんですね…」
俺と若葉さんが話すのは、あの音楽室の時以来だった。
(うーむ、翔ほど話せるわけじゃないよなー、俺があんな態度取っちまったから。うう…気まずい…あの2人、早く終わんねーかなー?)
俺は翔に助けを求めて、目を向けると2人ともまだ、言い合いをしていた。
(ああ…ダメだこりゃ)
俺はトホホってなりながら、若葉さんと話す内容を考えた。
(ああー…ダメだ…話すこと思い浮かばない)
俺はずっと何話そうか考えたが、全然分からなかった。
(若葉さんは何の話が好きだったっけ?原作ではー………)
俺は必死に原作の若葉さんを思い出そうとしていた。すると…
「あの……前の音楽室の時のことなんですけれど……」
「へ?」
突然、若葉さんが話しかけてきた。しかも、音楽室の時のことを話すつもりらしい。
「………」
「え、えっと………」
俺が何から切り出せばいいのか悩んでいると…
「あの時は梓ちゃんがすみませんでした。」
「え?」
予想外の言葉だった。
(ど、どうして梓ちゃんのことを謝ったんだろう?)
俺が返答に困っていると…
「梓ちゃん、無理に白鳥くんを先生にしようとしてたでしょ?それについて、謝りたくて」
「…ああ!そういうことか!いや、若葉さんが謝ることではないし、そもそも、俺怒ってないよ?」
若葉さんが謝った意味に気づいた俺は、謝る必要がないと伝えた。
「でも……」
「それに、あれは…俺の方が悪いから…だから、ごめん!若葉さん!」
「ええ!!ど、どうして白鳥くんが謝るんですか?!」
「だって、俺が2人を困らせたし、悲しませたから」
「そんな…そんなことされてませんよ?」
「それでも!気まずくさせたのは俺だから!本当にごめん!」
「!!……分かりました。謝罪を受け入れます。許しますから、もう、謝らないでください!」
「……ありがとう」
俺と若葉さんは仲直り?が多分できたと思う。
「次どこ行くー?」
「さっきから、ゲームセンターの方見て目をキラキラさせてる人がいるから、ゲームセンター行こ」
「あははは!確かにずっと見てる人いるわ」
俺と若葉さん、神楽坂さんの3人が見る方向には、ゲームセンターの前でずっと止まっている翔の姿があった。
「よし、行くかー、おーい!翔ー」
俺は翔の元へ走っていった。
ゲームセンターに入ると多くの人で賑わっていた。
「それぞれやりたいゲームで遊ぼうぜーってことでー玲!あれやろうぜ!」
「それぞれやりたいやつやるんじゃねーのかよ!」
俺は翔に連れ去られていった。
結局、翔のやりたいことに付き合った俺は連続でゲームをしすぎたため、休憩を挟むことにした。その間、翔は他のゲームを行いにいった。
(はぁ、あいつどんだけ体力あるんだよ、ダンスゲームを5回もやるとか、それも、めっちゃ激しいやつ…はぁ、付き合うんじゃなかったかも…喉乾いたな、自販機は…)
俺は自販機で飲み物を買うことにした。
(そういえば、このゲームセンターでなんか、イベントがあったようなー…ん?)
俺がイベントについて思い出そうとしていると、前の方で何やら揉め事を見つけた。
そこにいたのは、翔と神楽坂さん、そして、数人の男達だった。
(あ!そうだった!このゲームセンターでヤンキーっぽい人たちと喧嘩になるんだった。確かその時は……)
俺がどっちが勝ったかを思い出そうとした。その時…
「ぐぇっ!!」
「翔!!なっ!は、離して!翔!!」
男達が翔を殴り飛ばした。そして、翔のそばに走っていった神楽坂さんの腕を男が掴み、連れ去ろうとしていた。
(やばいやばい!あの男達に神楽坂さん連れ去られたら、バッドエンドにいってしまう!!助けねーと!!)
俺は全力で走ると、男に体当たりした。
「ぐはっ!!」
男が数メートル飛んでいった。
「!!白鳥くん!」
「神楽坂さん!翔と若葉さん連れて逃げて!」
俺はまだ、店内にいるだろう若葉さんも連れて行くように神楽坂さんに伝えた。
「で、でも……」
「いいから!早く行け!!」
「わ、分かったわ!」
神楽坂さんが翔を連れて逃げ出した。
(ふぅ…とりあえず、こんな感じで大丈夫そうだなー、さて、こいつらどうしよう……)
俺は男達に向き合った。
「何してくれてんじゃ!クソガキ!ぶっ殺してやる!!」
その時だった、突然、俺の体に力が溢れてきた。そして、なぜか口が勝手に動いた。
「はぁ…めんどくさい」
(え!何で?!)
俺はため息をつくと、構えの姿勢になった。
「あ?…ぐはっ!!」
男が動き出そうとするその数秒前に俺が、男の腹に一発入れてやった。
男は馬鹿みたいに吹き飛んでいった。
「全員で3人かな?なら、あとは、お前だけだな」
「なっ…!はぁーーー?!な、何でみんなやられてんだよ!」
残った1人の男が騒いでいた。
「ちょっとうるせぇから黙ってろ」
「ごはっ……!!」
最後の1人は顔面に一発、腹に二発、足に一発殴って蹴ってやった。
「はい、終了!」
そう言った俺は、力が抜けて行った。
(あ、喋れる!今のは一体?)
俺は不思議に思いながら、男達を店内に寝ころばせて、ゲームセンターを出た。
(良かったー、何とかなってー、叔父さんに格闘技全部習ってて…この世界がゲームの世界だって気づいたのは入学式の時だったけれど…親父達の時みたいに殴られないよう、習おうとしたことが良かったかも。)
俺は安堵しながら、翔達を探した。さっきまでの違和感を見ないようにして。
案外、ゲームセンターの近くに居たらしく、俺はすぐにみんなを見つけることができた。
「白鳥くん!!」
若葉さんがこっちに手を振っていた。
(良かったー!みんな無事だ、若葉さんも逃げてて良かったー)
俺は安心しながら、3人の元へ走っていった。
「ごめんごめん!みんな大丈夫だったか?」
「それはこっちのセリフだよ!男の人達を相手にしたんでしょ?大丈夫?怪我してない?」
「平気平気!なんか酔っ払ってたのか、壁とかにぶつかって気を失ってたよ?まあ、運が良かったと俺は思う!」
「そうだったんだ!それなら、良かったよー」
「翔は?大丈夫なのか?」
「あ、ああ、ちょっと顔が痛いが大丈夫だ」
「そうか、良かった」
「ははは!もうちょい強くならねーとなー」
翔は少し自分の不甲斐なさに落ち込んでいるようだった。
「いやいや、あの男達の前に立ったお前は凄いよ!俺なんか、逃がそうと必死だったから、あそこに入れただけで、普通は行けねぇよ」
「そ、そうか?な、なら頑張ったのかな?俺」
「おう!頑張ったな!翔!」
俺は神楽坂さんの方を見た。すると…
「白鳥くん…ごめんなさい…」
「え?」
突然、神楽坂さんが謝ってきた。
「音楽室で一方的に頼み事をして…全然あなたの気持ち考えてなかった。ごめんなさい…」
音楽室での出来事に対しての謝罪らしい。
「いや、気にしないで!俺が事情を話しておけば良かったのに、話さなかったし、俺が強い口調で言ってしまったから、こっちこそごめん」
「…白鳥くんのせいじゃないでしょ?」
「いや、俺のせいだ!ごめん」
「…………分かったわ、お互いに悪かったってことで」
「うん!……あ!怪我してない?」
「大丈夫よ、逃がそうとしてくれてありがとう」
「!!!」
神楽坂さんが初めて俺に笑ってくれた。
(神楽坂さんが笑った!やっぱり現実だとゲームと違うなー)
俺は少し感激しながら、他の2人の方を見た。
「よし!つぎはどうする?帰るか?それとも、他に行くか?」
「他のとこ行こうぜー!」
「おいおい、大丈夫なのかよ?」
「平気平気!遊ぶと思ったら、元気になった!」
「本当に遊ぶことが好きなんだなー」
俺たちは翔に呆れながら、翔の後をついていった。
「よし!めっちゃ遊んだし!帰ろー」
「そうね」
「うん!私、もうくたくただよー」
翔の言葉で解散することになった。
「翔達はそっちなんだよな?」
「ああ!玲は逆方向か!なら、ここでお別れだな」
「ああ!また、明日なー」
「おう!また明日ー」
「またねー」
「さようなら…」
俺は3人と別れて帰宅した。
(少しはあのヒロイン達と仲良くなれたかな?)
俺はそんなことを思いながら、眠りについた。
※あとがき
ヒロインと主人公の関わりが深くなるエピソードでしたー
いやー、いいなー中学生ー
というわけで次回予告ー
次回、地獄の定期試験
お楽しみにー
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