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第25話 ヒロインの努力
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静寂に包まれていた。
若葉さんが1人佇んでいた。
俺たちが近づくと、彼女は気づいて振り返ってきた。その目は涙で赤くなっていた。
「風香……」
「梓ちゃん……白鳥くん……私…」
「うん…」
「ちゃんと…後悔…しない……ようにって……白鳥くんの…言葉を聞いて…ちゃんと……伝えようって…そう……思って………伝えたよ………頑張って……伝えた……ううう……で…でも……やっぱり……」
「風香!!」
神楽坂さんが走って、若葉さんを抱きしめた。
「やっぱり!!………ダメだったよ~~!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
若葉さんが神楽坂さんにしがみ付いたまま泣きじゃくった。顔がぐちゃぐちゃになるほど…
「うん……うん……頑張ったね…風香!!」
神楽坂さんも泣きながら若葉さんを抱きしめていた。
それからどれほど時間が経っただろう……
若葉さんが泣き止んで、俺たちは近くのベンチに座った。
「落ち着いた?風香…」
「うん…ありがとう…梓ちゃん、白鳥くん」
泣いたせいか目が真っ赤に染まっていた若葉さん。でも、どこかスッキリしているような表情だった。
「そういえば…他の…みんなは?」
若葉さんが周りを見渡しながら、そう言った。
「新崎と国光、花宮さんは帰ってもらった。知られるとそれはそれでまずいかと思ってさ。」
「そっか…なら、どうして、梓ちゃんが?」
「私、気づいていたから、風香の気持ち…それで、白鳥くんが近くまで行くって言ったから…私も心配で……」
「そっか……ありがとう2人とも…」
無理して笑顔を作っているのが分かった。
「梓ちゃんはどうするの?」
「わ、私?」
「うん…梓ちゃんが私の気持ち気づくのと同じように、私だって梓ちゃんの気持ち分かるよ」
「!!……そうね…私は……言わないよ」
「どうして?」
「…分かってるから、翔の気持ち、誰に向いてるのか…私じゃないことはすぐに分かったし、だから、伝えるつもりはないわ」
「それでいいのか?」
俺は思わず口を挟んでしまった。
「白鳥くん……ええ」
「後悔…しないか?」
「大丈夫よ…自分の中でもう整理したから」
「……そうか」
「さて、あの翔が私達を振るんだもの、花宮さんといい感じにならなきゃ、怒るわ」
「だね!」
「とりあえず、帰ろうか」
「そうだね」
「ええ」
俺たちは帰り道を少し冷たい風に当たりながら歩いて行った。
◾️翔 視点
(びっくりしたー、まさか…風香が…)
俺は帰り道を歩きながら、さっきの出来事を思い出していた。
風香に突然、告白された。どうすればいいのか分からなくて…でも、俺の気持ちがそこではっきりした。だから…
「ごめん、風香とは付き合えない…」
俺は風香の告白を断った。
これでよかったのか分からないが、風香の気持ちを自分に向けさせ続けたら傷つけ続ける、そう思って断った。新しい恋に行ってほしくて。
(俺も、花宮さんに伝えよう!この気持ちを!)
俺は花宮さんと付き合えることを夢見て、家に帰った。
◾️玲 視点
(これで良かったのかな?でもなー)
俺はベットに寝転がりながら、そう思った。
実は、翔が幼馴染2人を好きにならなかった場合、早めに告白をして、振られなければならない。そうしなければ、若葉さんも神楽坂さんも翔のことを思いすぎて、心が病み、翔に告白した時に振られたショックで自殺してしまうのだ。だから、もし、翔が2人を好きにならなかった場合、辛いが2人が告白して振られるようにしなければならないのだ。
(やっぱりきついよなーヒロインがあんなにも泣いて悲しんでるのを見ると……でも、2人を守らないとな)
俺は自分がやったことの罪悪感を抱えながら、眠りについた。
次の日…夏休みが終わり、始業式の日…
学校の校門前で若葉さんが立っていた。
「おはよう!若葉さん」
「あ、白鳥くん!おはようございます!」
元気に挨拶してきた。無理しているのでは?と思ったのだが…
「私、吹っ切ることにしました!翔くん以上にいい人探します!」
「そっかー、なら、良かったよ、まあ、完全にとはいかないかもだけれど、何かあったら力になるから、いつでも相談してよ」
「ふふ…ありがとうございます。なら、今度梓ちゃんと一緒にカフェに行きませんか?」
「カフェ?」
「はい!あの後、梓ちゃんと話して、やけ食いしよう!ってなりましてーそれで、白鳥くんもどうかな?って」
「なるほどね…いいよ!行こうか!」
「!!!本当ですか?!やったーー!!」
若葉さんがすごく嬉しそうにぴょんぴょん跳ねながら、歩いて行った。
(まあ、甘党ですから、付き合いますよーお二人さん!)
俺は急いで教室に向かった。
教室では、翔が花宮さんに話しかけていた。
(もしかして、若葉さんの告白であいつ火がついたのか?)
積極的になっている翔を見て、なんとか繋がってほしいなーと思っていた。すると…
「めっちゃ近づいてるねーあれー」
「あんなに積極的で大丈夫かしら?」
「若葉さんっ…!神楽坂さんっ…!」
2人がいてびっくりした。
「白鳥くんはどう思う?男子として」
若葉さんが何ともない表情で聞いてきた。
「どうだろうなー多分必死なんだと思うけれど、あの感じは…」
「だよねーでも、積極的すぎたら、嫌がらないかな?」
「どうかしらねー花宮さんがどう思っているか私には分からないから」
「なんか、2人とも翔と花宮さんのこと観察しまくってるけれど、辛くないの?」
俺は気になっていたことを聞いた。
2人とも俺を見て、少しフリーズした後…
「辛くないわけないじゃん?まだ、私達好きだし……でもさ、改めて考えたんだよねー翔を好きで居続けたとして、自分は幸せになれるのか?ってさ……ならないんだよねー幸せになんて…だから!吹っ切るために2人を見続けるの!!幸せそうな2人を見ていれば、きっと消え去ると思うから、この気持ちが!」
若葉さんが力強くそう言った。
「まあ、好きな人が幸せになってくれることを願っているから。ただそれだけよ」
2人とも清々しそうな表情で、優しい目つきで翔を見ていた。
(すごいな2人とも……強い子だな)
俺は2人と同じように翔達を見ていた。
放課後……
「わぁー!凄く綺麗ー」
「オシャレなお店ね」
「すごいなー、あ!木のいい香りがー」
俺たちは若葉さんが行きたがっていたカフェに来た。
木のログハウスみたいな建物で、なんでも、パスタが有名らしい。あと、スイーツも種類が豊富で、どれも美味しいんだそう。
「んーどれ食べようかなー?」
「……これ、美味しそう」
「このパスタいいなーあ!でも、こっちのも…悩むなー」
席に案内してもらった俺たちはメニューと睨めっこしていた。
たらこパスタやカルボナーラ、イカ墨パスタにきのこの醤油パスタなど、種類がいっぱいあった。
「決まったか?」
「うん!私、たらこパスタにするー梓ちゃんは?」
「私は、ボロネーゼにするわ」
「なら、俺はカルボナーラにしようかな?飲み物は?」
「私、オレンジジュースで、梓ちゃんー」
「私、コーヒーで」
「俺、コーラにいようかな」
「よし!じゃあ注文しちゃおー、すみませんー」
店員さんが俺たちの注文を聞いてくれた。
「ふぅー、絶対美味しいよね?ここのパスタ」
「そうね、口コミとか評価が良かったから、多分美味しいわよ」
「これで美味しくなかったら困るぞ」
「あははは!確かにー」
2人とも嬉しそうな顔をしていた。
「んんんーー美味しい!!」
「ええ、麺がもちもちしているわ」
「クリームが濃厚で、美味いな」
俺たちは黙々とパスタを食べて行った。
「そういえば、翔くんってさ、ちょっとだらしないところあると思わない?」
「確かにそうね、白鳥くんが翔に勝負を挑まなかったら、ずっと私たちが起こしに行くことになっていたから、そこがねー」
突然、若葉さんが話し出したと思ったら、翔へのダメ出しだった。
「あと、寝癖とかあのままで行こうとするんだよ?!ダメだと思うんだよーあれは」
「そうね、もっと身だしなみとかね」
「そうそう…全然気にしてない感じだしー」
「それに、無意識に私達を意識させるようなことしてくるのよねーほんと、あれはダメだと思う。気がないなら意識させてくるなって話よ!」
「そうだそうだー」
2人がヒートアップしていた。
(じょ、女子ってこえー)
俺は静かに2人の話を聞いていた。話したら俺の方にも飛んできそうだったから……
「さてさて、デザートもいただこうかなー」
「まだ、食べるの?風香」
「当然!言ったでしょ?やけ食いだってー」
「はぁ…良いけれど……太るわよ?」
「なっ……!!そ、それは……で、でも、明日から頑張るし!!」
「絶対やらないパターンよ?それ」
「や、やるもん!すみませんー」
若葉さんは神楽坂さんの言葉に刺さりながらも、スイーツを食べるらしい。
「ショートケーキとチョコケーキ…あとはーチーズケーキをください!……梓ちゃんは?」
「………モンブランを」
「いや、頼むんかい!」
俺は思わずつっこんでしまった。
「い、いいでしょ?!風香が頼んでいるのを見たら、食べたくなっちゃうんだから!」
「え!私のせい?!」
2人がワイワイギャアギャア言いながら、スイーツを注文していた。
「白鳥くんは?」
「……なら、プリンで…」
「いーや、白鳥くんも頼んでんじゃん!」
若葉さんのツッコミが炸裂した。
「若葉さんが、頼むからー」
神楽坂さんと同じように行ってみた。
「いや、私のせいかい!」
「んんんー甘くて美味しいー」
「栗のいい匂いと優しい味ね」
「プリンもうま!キャラメルと合うし」
俺たちはスイーツを頬張っていった。
「ふぅー幸せー」
「ええ、美味しかったわ」
「満腹!」
俺たちはホッと息をついた。
「2人はこれからどうするんだ?」
俺は2人を見ながら、そう聞いた。
「うーん、自分の気持ちがまだ整理できていないから、それをやらないといけないと思ってるよー、吹っ切れたらいいんだけれど…」
「私も、気持ちを落ち着かせるつもりよ、その先でどうなるかは分からないけれど…」
2人とも前をちゃんと見ていた。
(この様子なら大丈夫かな?)
俺は少しホッとした。俺が仕向けたことだが、2人がそれでさらに苦しむことになると、俺自身も困るからだ。あと、ヒロインがそんな風になってはいけないと思っていたから。
「白鳥くんもありがとうね?」
「え?俺、何もしてないよ?」
「ううん、私に勇気をくれたよ?私、言わなかったら、白鳥くんが言ったように、後悔していたと思うから、だから、ありがとう!」
「!!い、いや、えっと…俺はただ、幸せになってもらいたくて、そうしただけで……」
「幸せかー…ふっふっふ…ならば、白鳥くんには責任を取ってもらわないとねー」
「え?」
「ふふふ…これからも私たちと仲良くしてね?友達としてさ?」
上目遣いでそう言ってきた。
(く、くそ!可愛い……)
俺はすぐに目を逸らすと…
「分かったよー、話し相手にはなると思うから…」
「やったー!!」
若葉さんは嬉しそうな顔をしていた。
「……風香の策略にはまったわね」
「………返す言葉もない……」
神楽坂さんに呆れられながら、俺たちは話し続けた。
カフェの帰り道……
「さぁ!明日から学校を頑張りますかー」
「ええ、そうね!」
「授業めんどくさー」
各々学校について考えながら帰宅した。
数日後……
「さて、みんな集まったなーそれじゃあ、これから、参加する種目を男子と女子で別に選んでもらう!話し合いでしっかり決めろよー」
先生が俺たちに言ってきた。
話し合いとは、球技大会まであと1ヶ月程度だから、その種目についてだった。
そう!あと1ヶ月である。
(この球技大会で、なんとか、翔達をくっつけてやりたい!上手くいけるか分からないが……)
俺は心の中でそう決意した。
※あとがき
風香ちゃん、告白失敗……
でも、きっと次があるはず!
次回、球技大会
お楽しみにー
若葉さんが1人佇んでいた。
俺たちが近づくと、彼女は気づいて振り返ってきた。その目は涙で赤くなっていた。
「風香……」
「梓ちゃん……白鳥くん……私…」
「うん…」
「ちゃんと…後悔…しない……ようにって……白鳥くんの…言葉を聞いて…ちゃんと……伝えようって…そう……思って………伝えたよ………頑張って……伝えた……ううう……で…でも……やっぱり……」
「風香!!」
神楽坂さんが走って、若葉さんを抱きしめた。
「やっぱり!!………ダメだったよ~~!!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
若葉さんが神楽坂さんにしがみ付いたまま泣きじゃくった。顔がぐちゃぐちゃになるほど…
「うん……うん……頑張ったね…風香!!」
神楽坂さんも泣きながら若葉さんを抱きしめていた。
それからどれほど時間が経っただろう……
若葉さんが泣き止んで、俺たちは近くのベンチに座った。
「落ち着いた?風香…」
「うん…ありがとう…梓ちゃん、白鳥くん」
泣いたせいか目が真っ赤に染まっていた若葉さん。でも、どこかスッキリしているような表情だった。
「そういえば…他の…みんなは?」
若葉さんが周りを見渡しながら、そう言った。
「新崎と国光、花宮さんは帰ってもらった。知られるとそれはそれでまずいかと思ってさ。」
「そっか…なら、どうして、梓ちゃんが?」
「私、気づいていたから、風香の気持ち…それで、白鳥くんが近くまで行くって言ったから…私も心配で……」
「そっか……ありがとう2人とも…」
無理して笑顔を作っているのが分かった。
「梓ちゃんはどうするの?」
「わ、私?」
「うん…梓ちゃんが私の気持ち気づくのと同じように、私だって梓ちゃんの気持ち分かるよ」
「!!……そうね…私は……言わないよ」
「どうして?」
「…分かってるから、翔の気持ち、誰に向いてるのか…私じゃないことはすぐに分かったし、だから、伝えるつもりはないわ」
「それでいいのか?」
俺は思わず口を挟んでしまった。
「白鳥くん……ええ」
「後悔…しないか?」
「大丈夫よ…自分の中でもう整理したから」
「……そうか」
「さて、あの翔が私達を振るんだもの、花宮さんといい感じにならなきゃ、怒るわ」
「だね!」
「とりあえず、帰ろうか」
「そうだね」
「ええ」
俺たちは帰り道を少し冷たい風に当たりながら歩いて行った。
◾️翔 視点
(びっくりしたー、まさか…風香が…)
俺は帰り道を歩きながら、さっきの出来事を思い出していた。
風香に突然、告白された。どうすればいいのか分からなくて…でも、俺の気持ちがそこではっきりした。だから…
「ごめん、風香とは付き合えない…」
俺は風香の告白を断った。
これでよかったのか分からないが、風香の気持ちを自分に向けさせ続けたら傷つけ続ける、そう思って断った。新しい恋に行ってほしくて。
(俺も、花宮さんに伝えよう!この気持ちを!)
俺は花宮さんと付き合えることを夢見て、家に帰った。
◾️玲 視点
(これで良かったのかな?でもなー)
俺はベットに寝転がりながら、そう思った。
実は、翔が幼馴染2人を好きにならなかった場合、早めに告白をして、振られなければならない。そうしなければ、若葉さんも神楽坂さんも翔のことを思いすぎて、心が病み、翔に告白した時に振られたショックで自殺してしまうのだ。だから、もし、翔が2人を好きにならなかった場合、辛いが2人が告白して振られるようにしなければならないのだ。
(やっぱりきついよなーヒロインがあんなにも泣いて悲しんでるのを見ると……でも、2人を守らないとな)
俺は自分がやったことの罪悪感を抱えながら、眠りについた。
次の日…夏休みが終わり、始業式の日…
学校の校門前で若葉さんが立っていた。
「おはよう!若葉さん」
「あ、白鳥くん!おはようございます!」
元気に挨拶してきた。無理しているのでは?と思ったのだが…
「私、吹っ切ることにしました!翔くん以上にいい人探します!」
「そっかー、なら、良かったよ、まあ、完全にとはいかないかもだけれど、何かあったら力になるから、いつでも相談してよ」
「ふふ…ありがとうございます。なら、今度梓ちゃんと一緒にカフェに行きませんか?」
「カフェ?」
「はい!あの後、梓ちゃんと話して、やけ食いしよう!ってなりましてーそれで、白鳥くんもどうかな?って」
「なるほどね…いいよ!行こうか!」
「!!!本当ですか?!やったーー!!」
若葉さんがすごく嬉しそうにぴょんぴょん跳ねながら、歩いて行った。
(まあ、甘党ですから、付き合いますよーお二人さん!)
俺は急いで教室に向かった。
教室では、翔が花宮さんに話しかけていた。
(もしかして、若葉さんの告白であいつ火がついたのか?)
積極的になっている翔を見て、なんとか繋がってほしいなーと思っていた。すると…
「めっちゃ近づいてるねーあれー」
「あんなに積極的で大丈夫かしら?」
「若葉さんっ…!神楽坂さんっ…!」
2人がいてびっくりした。
「白鳥くんはどう思う?男子として」
若葉さんが何ともない表情で聞いてきた。
「どうだろうなー多分必死なんだと思うけれど、あの感じは…」
「だよねーでも、積極的すぎたら、嫌がらないかな?」
「どうかしらねー花宮さんがどう思っているか私には分からないから」
「なんか、2人とも翔と花宮さんのこと観察しまくってるけれど、辛くないの?」
俺は気になっていたことを聞いた。
2人とも俺を見て、少しフリーズした後…
「辛くないわけないじゃん?まだ、私達好きだし……でもさ、改めて考えたんだよねー翔を好きで居続けたとして、自分は幸せになれるのか?ってさ……ならないんだよねー幸せになんて…だから!吹っ切るために2人を見続けるの!!幸せそうな2人を見ていれば、きっと消え去ると思うから、この気持ちが!」
若葉さんが力強くそう言った。
「まあ、好きな人が幸せになってくれることを願っているから。ただそれだけよ」
2人とも清々しそうな表情で、優しい目つきで翔を見ていた。
(すごいな2人とも……強い子だな)
俺は2人と同じように翔達を見ていた。
放課後……
「わぁー!凄く綺麗ー」
「オシャレなお店ね」
「すごいなー、あ!木のいい香りがー」
俺たちは若葉さんが行きたがっていたカフェに来た。
木のログハウスみたいな建物で、なんでも、パスタが有名らしい。あと、スイーツも種類が豊富で、どれも美味しいんだそう。
「んーどれ食べようかなー?」
「……これ、美味しそう」
「このパスタいいなーあ!でも、こっちのも…悩むなー」
席に案内してもらった俺たちはメニューと睨めっこしていた。
たらこパスタやカルボナーラ、イカ墨パスタにきのこの醤油パスタなど、種類がいっぱいあった。
「決まったか?」
「うん!私、たらこパスタにするー梓ちゃんは?」
「私は、ボロネーゼにするわ」
「なら、俺はカルボナーラにしようかな?飲み物は?」
「私、オレンジジュースで、梓ちゃんー」
「私、コーヒーで」
「俺、コーラにいようかな」
「よし!じゃあ注文しちゃおー、すみませんー」
店員さんが俺たちの注文を聞いてくれた。
「ふぅー、絶対美味しいよね?ここのパスタ」
「そうね、口コミとか評価が良かったから、多分美味しいわよ」
「これで美味しくなかったら困るぞ」
「あははは!確かにー」
2人とも嬉しそうな顔をしていた。
「んんんーー美味しい!!」
「ええ、麺がもちもちしているわ」
「クリームが濃厚で、美味いな」
俺たちは黙々とパスタを食べて行った。
「そういえば、翔くんってさ、ちょっとだらしないところあると思わない?」
「確かにそうね、白鳥くんが翔に勝負を挑まなかったら、ずっと私たちが起こしに行くことになっていたから、そこがねー」
突然、若葉さんが話し出したと思ったら、翔へのダメ出しだった。
「あと、寝癖とかあのままで行こうとするんだよ?!ダメだと思うんだよーあれは」
「そうね、もっと身だしなみとかね」
「そうそう…全然気にしてない感じだしー」
「それに、無意識に私達を意識させるようなことしてくるのよねーほんと、あれはダメだと思う。気がないなら意識させてくるなって話よ!」
「そうだそうだー」
2人がヒートアップしていた。
(じょ、女子ってこえー)
俺は静かに2人の話を聞いていた。話したら俺の方にも飛んできそうだったから……
「さてさて、デザートもいただこうかなー」
「まだ、食べるの?風香」
「当然!言ったでしょ?やけ食いだってー」
「はぁ…良いけれど……太るわよ?」
「なっ……!!そ、それは……で、でも、明日から頑張るし!!」
「絶対やらないパターンよ?それ」
「や、やるもん!すみませんー」
若葉さんは神楽坂さんの言葉に刺さりながらも、スイーツを食べるらしい。
「ショートケーキとチョコケーキ…あとはーチーズケーキをください!……梓ちゃんは?」
「………モンブランを」
「いや、頼むんかい!」
俺は思わずつっこんでしまった。
「い、いいでしょ?!風香が頼んでいるのを見たら、食べたくなっちゃうんだから!」
「え!私のせい?!」
2人がワイワイギャアギャア言いながら、スイーツを注文していた。
「白鳥くんは?」
「……なら、プリンで…」
「いーや、白鳥くんも頼んでんじゃん!」
若葉さんのツッコミが炸裂した。
「若葉さんが、頼むからー」
神楽坂さんと同じように行ってみた。
「いや、私のせいかい!」
「んんんー甘くて美味しいー」
「栗のいい匂いと優しい味ね」
「プリンもうま!キャラメルと合うし」
俺たちはスイーツを頬張っていった。
「ふぅー幸せー」
「ええ、美味しかったわ」
「満腹!」
俺たちはホッと息をついた。
「2人はこれからどうするんだ?」
俺は2人を見ながら、そう聞いた。
「うーん、自分の気持ちがまだ整理できていないから、それをやらないといけないと思ってるよー、吹っ切れたらいいんだけれど…」
「私も、気持ちを落ち着かせるつもりよ、その先でどうなるかは分からないけれど…」
2人とも前をちゃんと見ていた。
(この様子なら大丈夫かな?)
俺は少しホッとした。俺が仕向けたことだが、2人がそれでさらに苦しむことになると、俺自身も困るからだ。あと、ヒロインがそんな風になってはいけないと思っていたから。
「白鳥くんもありがとうね?」
「え?俺、何もしてないよ?」
「ううん、私に勇気をくれたよ?私、言わなかったら、白鳥くんが言ったように、後悔していたと思うから、だから、ありがとう!」
「!!い、いや、えっと…俺はただ、幸せになってもらいたくて、そうしただけで……」
「幸せかー…ふっふっふ…ならば、白鳥くんには責任を取ってもらわないとねー」
「え?」
「ふふふ…これからも私たちと仲良くしてね?友達としてさ?」
上目遣いでそう言ってきた。
(く、くそ!可愛い……)
俺はすぐに目を逸らすと…
「分かったよー、話し相手にはなると思うから…」
「やったー!!」
若葉さんは嬉しそうな顔をしていた。
「……風香の策略にはまったわね」
「………返す言葉もない……」
神楽坂さんに呆れられながら、俺たちは話し続けた。
カフェの帰り道……
「さぁ!明日から学校を頑張りますかー」
「ええ、そうね!」
「授業めんどくさー」
各々学校について考えながら帰宅した。
数日後……
「さて、みんな集まったなーそれじゃあ、これから、参加する種目を男子と女子で別に選んでもらう!話し合いでしっかり決めろよー」
先生が俺たちに言ってきた。
話し合いとは、球技大会まであと1ヶ月程度だから、その種目についてだった。
そう!あと1ヶ月である。
(この球技大会で、なんとか、翔達をくっつけてやりたい!上手くいけるか分からないが……)
俺は心の中でそう決意した。
※あとがき
風香ちゃん、告白失敗……
でも、きっと次があるはず!
次回、球技大会
お楽しみにー
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