この世界の思い、始まりは変わらない 少年がゲームの世界で音楽無双?!音楽で人々も友達も、ヒロインもみんな笑顔にしてみせます!!!

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第35話 翔……暴走

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「はぁ……」
俺は1人ベットに横になっていた。花宮さんに告白されたこと、若葉さん達に言われたこと、それらがずっと頭の中をぐるぐると巡っていたから。
「俺は…どうすればいいんだろう……人を好きになることが分からない俺には……」
それに、このことだけを考えてられない。翔のことをどうにかしないといけない。
「あいつ……バッドエンドになった時の顔をしていた。ゲームの時、めっちゃ怖かったから覚えてたけれど、これは、まずいな……」
どうにかして翔を元に戻してやらないといけない。じゃないと…
「あいつ、犯罪に手を染めないだろうな?もうすでに、俺の首を絞めてきたから、手遅れの可能性あるけれど…」
闇堕ちしたゲームの中での翔は、数々の犯罪に手を染めてしまっていた。だから、そうなる前に止めなければ…
「このゲームの世界から主人公が退場してしまう!そうなったら……未来で苦しむヒロイン達を救えない……」
何としても止めなければ……
そう思う自分と共に、止めれるのか?と不安になる自分がいた。
何せ、翔が苦しんでいるのは自分のせいだから…
「あああああ!!!もう!どうしたらいいんだよ!!」
すると……
『何だ…うるさいな』
「!!!神城!」
俺の中にいた神城が目を覚ました。
『全く…お前は人のことを考えすぎだろう』
「だって……苦しんでほしくねーもん、誰にも…」
『はぁ…お人好しなのは変わらないんだな』
呆れたようにいう神城。
「そういう君だって、お人好しじゃないか!俺の声を聞いて、自分から出てくるなんてさ」
『ふん!お前がうるさかったからだ!』
神城のツンツンした感じが俺の心を少し軽くしてくれた。

『……なるほどな』
翔とのことを神城に話すと、少し悩んだ様子を見せた。そして…
『心の底から話し合ったらどうだ?』
「え?」
『だって、お前のこと、俺のこと、話してないだろ?過去にあったことも』
「うん……」
『なら、話してみたらどうだ?お前が今、花宮さんに対しての想いとかさ』
「でも、俺のことを話すのはいいけれど、お前のことを話すのは…」
『ふんっ!もう、古い話だ。まあ、お前が話さないならそれでもいいが……』
「………」
神城に言われて、俺はどう話せばいいか、考えた。

次の日…学校でちょっとした噂が流れていた。
何でも、翔が怖そうな人とどこかに行っているのを見たって人がいるらしい。
それで、若葉さんと神楽坂さんに聞いてみたのだが……
「私たちにも分からないのよ…」
「連絡しても返信が返ってこなくて…」
「そうか……」
2人とも不安そうな表情をしていた。
(まさか、バッドエンドに入ったんじゃないだろうな?……そうだったらまずい!)
焦りと不安が心の中で渦巻いていた。

俺からも連絡を入れた。俺に対して怒りを持っている翔なら連絡に反応するような気がするから……
(せめて返信だけでも返ってきてくれ!)
すると…ピコン!!
「!!!!」
スマホが鳴った。見ると……
「翔…!!」
翔からのメッセージだった。そこにはたった一言……

「公園に来い」

「公園?って言ったら、あそこだけか…」
俺と翔が共通で知っている公園がある。そこのことだと思うが……
「行くか…」
俺は覚悟を持って公園に向かうことにした。

「ここでいいよな?」
公園のベンチに座った俺は、翔が来るのを待った。
数分後……誰かが公園に来る気配がした。
顔を上げると、翔だった。
「翔……」
「………」
怒りがあるのか、悲しみがあるのか、よく分からない顔をしていた。
静かに横に座った翔…何を話せばいいのか…分からなかった。
やがて、翔が口を開いた。
「……お前さ」
「ん?」
「花宮さんと付き合うのか?」
「………」
どう言えばいいのか考えに考えた。そして…
「付き合わないと思う…」
「!!……なんで…」
「俺は……誰かを幸せにとか、誰かを笑顔にとか出来ない……全然、出来ないんだ!」
「………」
「花宮さんを傷つける選択をしているのは分かってる…でも、俺と付き合ったら、もっと傷つける…もう、友達も家族も誰にも傷ついてほしくないから……」
「…………」
翔は黙ったまま、俺の顔を見ていた。
「……翔のために止めようとしてるわけじゃないから」
「………」
前を向いた翔。
「そっか……」
それだけ言うと、翔は立ち上がった。
「翔?」
すると、翔は振り返ってそして……

ガンッ!!!

「ぶっ…!!!」
ドサッ!!
翔に殴られたのだ。ほっぺたがジンジンと痛んだ。
「お前…やっぱりうざい!」
「!!!」
「うぜーんだよ!!クソなんだよ!!なんで……なんでお前なんだよ!!」
翔が俺の上に乗って、顔を何度も何度も殴ってきた。
「お前さえ……お前さえいなかったら……俺は……くっ!」
歯を食いしばって、辛そうな目で俺を見つめてきた。
「か…ける……」
「お前が!!俺を……俺を苦しめたんだ!!お前……さえ……ぐすっ……いなかった…ら」
苦しくて辛くて仕方がないような表情をしていた。
そこで思った。神城が言っていたことを。
(俺がちゃんと伝えてなかったから……こうなったんだな……)
俺は、翔の拳を手で受け止めると起き上がって、翔を押し倒した。
そして……
ガッ!!
「ぐっ……!!」
翔を殴った。
「……ボカスカ殴りやがって……俺は、お前の気持ちなんか知らねぇ!!花宮さんに選ばれなかったからってこっちに八つ当たりしてくんな!!」
「くっ……!!」
「はぁ…はぁ…俺は、お前が羨ましかったさ、友達と楽しそうに話すお前が!花宮さんに対して真っ直ぐなお前が!!」
「……」
「なのに!今のお前は、ただワガママを言ってる子供みたいだ!!お前、花宮さんを思いすぎて周りが見えてなさすぎなんだよ!」
「周りをだと?」
「お前、若葉さん達がどんな思いでお前を見てたと思ってるんだよ!!」
「!!!!」
「心配してたし、苦しんでたし、辛そうだったんだぞ!!お前が…俺の首を絞めようとしてた時だって!!」
「………」
「お前だけが辛いんじゃない!若葉さん達だって辛いんだ!!……だから、俺に対してムカつくとかイラつくって言ったっていい、でも、若葉さん達を悲しませるような行動はするなよ!!」
「……黙れ!」
ガッ!!
「ぐふっ!!」
腹を殴られた。
「そういう、お前だって、花見やさんのこと分かってねーじゃねーか!!」
泣きそうな表情でそう言ってきた。
「花宮さん……ずっと、お前のことを見てたよ…俺のことなんか見てくれてなかった……分かってんだよ!!お前のことを好きなのは……だから、俺の方を見てもらおうと頑張ったんだよ!!なのに……なのに!!」
ドコッ!!ガッ!!
「くっ……!!」
何度も殴ってくるから両腕で防ぐしかなかった。
「……くっ…俺は……」
ポロポロと涙を流す翔…ずっと、1人で苦しんでいたんだと分かった。
(俺は、ゲームの中のこいつのことしか知らない……でも、ここは……現実の世界なんだ…ゲームの世界じゃないんだよな……だから、こいつにも…心がある…)
バッドエンドになった時のこいつの心がこんなにも苦しんでいたことを想像できなかった。
(誰にも苦しんでほしくないって言ったくせに、こいつのことを苦しめてしまってたんだな…)
俺はやっとそのことが分かった。だから…
「言いたいこと…言えたか?翔…」
「!!!」
真剣な目で翔を見た。
「お前の中にまだ、怒りがあるなら……もう、全部受け止めるから……」
ニッと笑ってそう言った。
「……ぐすっ……ううう………」
涙がまた、ポロポロと流れ落ちた。

「ぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」

「………」
「………」
思う存分、言い合った俺たちは、ベンチにまた座っていた。
「分かってたんだ……俺に勝ち目がないことは……」
「………」
「それでも…見て欲しかった…」
翔が心の中にあった虚しさ悲しさを吐露した。
俺は黙ったまま翔の言葉を聞いた。
「……でも、やっと諦められるわ」
「……翔」
「俺、もっと強くなるよ…みんなと一緒にいたいから……」
「うん」
涼しい風が俺たちの間を通り抜けた。

「そう言えば、翔」
「ん?」
「お前、最近変な奴らとつるんでる?」
「え?」
学校で広まっている噂を翔に聞いてみたのだが、本人はきょとんとした表情でこっちを見てきた。
「いや、なんか、怖そうな人と一緒にいたところを見たって人がいて……」
「ん?うーーん……」
思い出そうとしてるのか、うーんと唸っていた。
「あ…」
「ん?どうした?」
「いや、怖そうなやつと一緒にいたって言ったよな?」
「ああ…」
「それ、俺の兄貴かも?」
「………え?」
「兄貴と歩いてる時かも…俺の兄貴、ヤクザの組員だから…」
「あっ……なるほど」
家族だったのかって安心と共に……

「え?ヤクザ?!」

驚く俺だった。

「玲は花宮さんと付き合わないんだよな?」
「ああ…付き合う予定はない」
「それで……いいのか?」
「俺的にはそれで納得している…ただ、花宮さんを傷つけるのは確定だから……心苦しいのは確かだな…」
「……そっか」
翔は空を見上げた。
「……何で?って聞かないのか?」
「まあ、お前が誰かを好きになることができないからって……風香から聞いたんだ…」
「!!!若葉さんから?」
(それってあの帰り道の時のことか……)
俺がついポロッと言ってしまった話を若葉さんは翔に伝えたらしい。
「だから、その理由は知りたいけれど……でも、それはお前がまだ、話したくないってことだろ?なら、聞かねえ」
「……翔」
「まあ、お前が花宮さんと付き合わないなら、俺のチャンスはまだあるってことだし!」
バッと立ち上がると…
「……殴って悪かった」
頭を下げてきた。
「いやいや、俺の方こそ殴ってしまってごめん!」
俺も頭を下げた。
2人でお互いの顔を見合わせると…
「「あははは!!」」
2人で笑ってしまった。

やっと…翔との関係も何とかなったみたいだった。これから、俺たちはもっといい仲になるような……そんな気がした。

※あとがき
翔と玲の喧嘩でしたー!
いやー男子同士の喧嘩ってなんか熱いものがあるようなそんな気がします。

さて、次回は?

姉の決意
お楽しみにー!
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