縛り合いから始まる・・・

國村城太郎

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2.邂逅

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 約束の月曜日。僕は名刺にある住所の場所に向かって、スマホを頼りに歩いていた。
 住所にあるビルに着く。飲み屋さんなどが入った繁華街の雑居ビル。402みどりとだけ書いた小さな看板が見つかった。
 開店時間迄まだ少しあるので、ビルの前で少し待っていると、SNSにまたメッセージが届いた。
 
 モコ:「ねぇ、場所わかんないよ。私地図とか苦手で・・・」
 
 トモ:「何か周りに目印がある?」
 
 迎えに行って、ビルまで戻ってくると、もうとっくに開店時間を過ぎていた。僕達はそのままビルに入り、二人でエレベータに乗ると、4階まで上がる。
 みどりとだけ書いてあるシンプルな表札を見て、扉に手をかけるが、鍵がかかっているようである。呼び鈴を押してみると、ドアの中から「はーい」と声がして、扉がガチャっと開き、抄妓しょうこさんが顔を出す。
 
「いらっしゃーい、本当に来てくれたのね、嬉しいわ」
 
 にこやかに、僕たちを迎え入れてくれる。知っている顔があると言うのは安心感がある。そうでなければ、こんなところに来る勇気、きっとなかっただろうな。そんなことを考えていると、中に案内された。
 料金はそんなに高くない。大学生でもはられえなくない値段。男女で値段が違って、男性の方が少し高かった。飲み物は、ソフトドリンクは飲み放題、お酒は君たちはまだダメだけど別料金と説明があった。
 茶菓子みたいなものが置いてあって、これは自由に食べて良いらしい。
 
 お店には抄妓しょうこさんともう一人、美華さんという女性のスタッフさんがいた。
 
「こんにちは、初めまして、美華っていうの、一応縛られるのが好き、縛るのは勉強中です」と挨拶をしてくれた。
 
 こういう店では、来たお客さん同士が同意して縛ったり、していいらしい。あと手が空いてればスタッフの人が縛ってくれたりもするらしい。
 
「二人はそれぞれが相手の縄を受ける予定なのよね?このあと城先生が来たら、私と城先生でそれぞれを同時に縛ってあげようか?」
 
「それ、良いですね」とモコが返事をする。
 あ、こういうお店では偽名みたいなものでみんな呼び合うらしいのだが、僕たちは違う呼び方もお互い変えるのも面倒だなという事で、トモとモコで呼んでもらう事にした。
 
 それぞれ同時に・・・どっちがどっちを縛るんだろう、抄妓しょうこさんに縛ってもらうのはちょっとドキドキする、でもモコが別の男の人に縛られるのを想像すると、何だか胸が痛くなる気がした。
 
 暫くして、城先生がやってきた。別に巨匠みたいな感じも芸術家ぽくもなくて、普通にスーツの会社員のおじさんしかみえない。
 
「意外に普通の人でしょ?こちらが、国村城クニムラジョウ先生」と抄妓しょうこさんが紹介してくれる。
 
「そりゃ、昼間はただの会社員だからね。さて、話に聞いてたのはこの二人かい。縄を習いたいって聞いているよ。私に教わるなら月一、日曜日の午後にやってる講習会に来てくれるのが手っ取り早いね。後は都合の合う日、時間なら個人レッスンもやってるよ。でもこちらは少しお金が高くなるね。ともかく、二人ともまだ写真で見ただけと聞いてるから、まず体験してみると良いかな?」と気さくに話しかけてくれた。
 
「それでね、良かったら先生と私と同時に胸縄してみたらどうかと思うんだけど、先生はどうです?」
 
「なるほど、面白いね、じゃどちらがどちらを縛る?希望はあるかな?」
 
「こういう所は女子ファーストだから、モコちゃんが男性に縛られるのが嫌なら私が縛るし、大丈夫なら、上手な先生にお願いするといいわよ、どうする?」と抄妓《しょうこ》さんは、モコに決定権を委ねてくれる。
 モコはどちらを選ぶんだろう?とドキドキしながら答えを待つ。
 モコは私をチラチラみてくる。僕は僕以外の男から縛られて欲しくない。そう伝えたいと思いながら、でも何も言えず。モコを見つめる事しかできなかった。モコは、やっと決めて返事をする。
 
「じゃ、じゃあ、私は抄妓しょうこさんにお願いします。男性はいきなりじゃ少し怖いし」
 
「わかったわ、まかせてね」抄妓しょうこさんは、イタズラっぽい表情をしながら、僕とモコを見渡しながら、笑いかけて言っている。
  
 そうして、僕は必然的に城先生に縛られる事になった。僕はとてもホッとしていたのだ。
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