【R18】この度、配信者と結婚しまして〜大型犬系後輩君と秘密のレッスン〜

透弥

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第5章

炎上?真摯な思いを伝えます

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 会社裏手の非常階段。ざらついたコンクリートの壁にもたれかかり、亮は俯いて携帯を握り締めていた。
 やがて、階下から上がってくるヒールの音が聞こえた。

「……亮君」

 由紀だった。表情を消そうとしていたが、その目元には明らかな疲労と焦りが滲んでいた。誰にも見られない場所で、ようやく2人の視線が交わる。

「……ごめんなさい、私のせいで」
「違います。俺が悪いんです。……あの場で感情的になって、配慮が足りませんでした」

 亮は額に手を当て、小さく息を吐いた。由紀がそっと彼の隣に並ぶ。冬の乾いた風が、階段の隙間から吹き抜けた。

「もう、大分噂になってると思う。……私たちのこと」

 亮は黙って頷いた。その時、社内放送が流れた。
 
「高橋亮さん、藤木由紀さん。第一会議室までお願いします」

 2人は軽く頷き、背筋を伸ばして階段を降りた。満足に言葉を交わせなかった事に、不安を残しながら。

 ***

 第一会議室。大きなガラス窓越しに、冬の陽がじんわりと差し込んでいた。正面には、専務と部長、そして法務担当の課長が並ぶ。中でも専務は、睨みつけるように2人を見据えていた。
 机の上には、件のFAXと、配信アカウントのスクリーンショット。

「……さて」

 部長の低い声が、重く落ちた。

「これは……事実か?」

 亮が一歩踏み出そうとしたところ、先に前に出たのは由紀だった。小さく息を吸い込むと、まっすぐに正面を見据えた。

「はい。……事実です」

 その声には迷いがなかった。部屋の空気がぴんと張り詰める。

「私と高橋さんは、結婚を前提に、お付き合いしています。プライベートな関係ではありますが、業務には一切影響を及ぼしておりません」

 非常に凛とした姿だった。由紀を見つめる亮の目には、熱いものが灯っていた。
 一方で、場は空気が凍りついたように静寂が落ちる。
 その緊張を破るように、専務が椅子の背にぐっと身を預け、腕を組んだ。

「交際自体は……個人の自由だ。問題は、社内での事実上の情報漏洩。君たちが交際していることだけでなく、“シンシオン”と名乗るVチューバーが、社内の人間であると外部に知られた可能性がある、という事だ」

 隣にいた法務課長が、FAXを指差す。

「文面から察するに、藤木さん当ての攻撃であって、高橋さんが社内の人間である事は把握できていない可能性もありますが……」

 そこで課長はため息混じりに眼鏡を上げた。

「どちらにせよ、このFAXは出所不明ながら、社内複数箇所に送られている。非常に悪質です。犯人に心当たりは?」
「……思い当たる人物が1人います」

 その人物は紛れもなく、昨日会った由紀の元カレの健であろう。
 亮が前に一歩進み出る。

「Vチューバーの活動に関してですが。副業としての申請はしておりませんが、配信において会社名、職務内容等の明言は一切していません。コンプライアンスに抵触するような発言や行動もなく、創作活動の一環として行っていました」
「だが、問題は今こうして社内に波紋を呼んでいることだ」

 部長が静かに言った。怒鳴るわけでもなく、ただ淡々と現実を突きつける。

「……その責任は、私が取ります」

 由紀が深く頭を下げた。だが、すぐにそれを止めるように、亮も頭を下げた。

「いいえ。全ての発端は、俺にあります。どんな処分でも受けます」
「処分を下すかは、今すぐには決めらない。だが、内部的には事実関係の精査と、今後の対応を協議する」

 専務は指を組み静かに告げた。

「なお、“情報漏洩”に関しては、外部からの送信である以上、法務部が調査に入る。個人情報の不正取得や晒し行為であれば、こちらから法的措置も視野に入れることになる」

 その言葉に、由紀と亮は顔を上げた。専務は淡々と続ける。
 
「……退室していい。あとは社内的対応を進める」
「ありがとうございます」

 2人は深く頭を下げ、部屋を後にした。

 ドアが閉まる音が背後で響いた後、由紀と亮は無言で廊下を歩いた。冬の陽が窓から差し込み、白い床に影を落としている。非常階段へ戻ると、再びあのざらついたコンクリートの隅に腰を下ろした。

 しばらくは、言葉が出なかった。

 ようやく、由紀がぽつりと口を開いた。

「……怖かった?」
「少しだけ。でも──」

 亮が横目で由紀を見る。

「結婚を前提に付き合ってると言ってもらえて。めちゃくちゃ嬉しくて。やっぱり由紀さんってかっこいいなって」

 由紀の頬がわずかに赤くなる。

「……そんな事ないよ」
「そんな事あります」
 
 小さくなって笑い合う。ふたりの間に落ちていた不安が、ゆっくりと、少しずつ解けていくような静けさがあった。
 しかし、本当の騒動はこれからだった。

 ***

 夜の電車の中で、俯き気味に由紀は何となくニュースサイトを眺めていた。そしてある見出しが目に飛び込んできた。

『シンシオンの素顔が流出!?ゆきんことリアルでも恋人?』

「……なに、これ」

 思わず声が漏れてしまった。手足が冷たくなっていく。画面をスクロールしていくと、数日前の授賞式の後で由紀と亮が並んで話していた瞬間の写真が、由紀だけモザイク付きで掲載されていた。亮は素顔のままだ。

 “彼女はゆきんこ本人なのか、それとも別人か──”

 恐る恐る匿名掲示板を確認すれば、そんな議論が飛び交っていた。確認すると、亮や由紀の本名や、同じ会社で働いていることまでは流出していないようだった。

 それでも、その後の数時間は、まるで地震のようだった。

 Vチューバーシンシオンの「素顔流出」、そして「ゆきんことのリアル交際」が拡散されたことで、SNSは騒然となった。切り取られた画像、盗撮に近いシルエット。
 これまでネタとして捉えられていた関係が、実際もそうだった。ファン、アンチ、部外者──誰もが勝手に言葉を投げつけ、真偽を測り、そして“物語”をつくりはじめた。

────
「え、シンくんってこんな顔だったの!? ガチでイケメンやん」
「嘘でしょ……ゆきんことリアルでも付き合ってたって、どういうこと?」
「てかネット上で結婚してんだから別にいいじゃんリアルでも」
「単純に彼女いたのショック。騙された気分」
────

 亮は、自室の配信環境から離れ、携帯を伏せて机に肘をついたまま、無言で椅子にもたれていた。
 SNSの通知は止めた。検索もかけない。けれど、それでも視界の隅には“数字”が見える。動画のコメント欄、登録者数の減少、匿名掲示板の引用。
 黒々とした波が、自分という存在を、呑み込もうとしていた。

「……想定してたより、ずっと早かったな」

 天井を見上げながら、ぽつりと呟く。その目線には殺気がこもっていた。
 ふと、携帯が鳴った。表示された名前に、安堵の息をつく。

「もしもし、由紀さん」
「亮君、大丈夫?」

 彼女もまた“ゆきんこ”として、間接的に攻撃されていた。

「こうなるんじゃないかってある程度覚悟していたんで。それより由紀さんの方こそ、本当にごめんなさい、俺のせいで」
「ううん、私は平気。スマホ見ないようにしてるから」

 携帯越しの由紀の声は優しくも、心強かった。その気丈さに、胸打たれ顔が歪む。

「俺とっては、由紀さんとの関係が何よりも大切です。……だけれど、シンシオンとしての自分も、かけがえない存在なんだって気づきました」
「……うん」
「だから、どれだけ叩かれても、俺、配信をやめるつもりはありません」
 
 ネットの渦の中で、愛を選ぶことは時に狂気にも似ている。だが彼は、その炎の中に飛び込んでもいいと覚悟していた。自分の“好き”を、嘘にしたくなかった。
 
「……うん。私は亮君も、シンさんも、大好きだから」
「由紀さん。……ありがとう。俺も由紀さんも、ゆきんこさんも大好き」
 
 2人して愛を伝え、笑い合う。
 もう怖いものは何もなかった。
 
 ***

 翌日の夜、その配信は予告なしに始まった。
 コメント欄は騒然としていた。

 ────
「え、ガチでシン本人?」
「自分から素顔バレしちゃってるじゃん」
「辞めないの?」
「泣きそう」
 ────
 
 モニターの向こうシンシオンこと、高橋亮は、いつもと同じ部屋、同じ機材の前にいた。けれど画面には、アバターではなく“本当の姿”があった。
 白いシャツ。緊張を隠すように、手元で組まれた指。表情は固かったが、目の奥には確かな覚悟の光があった。

「こんばんは、シンシオンです。……今日は、どうしても自分の言葉で、皆さんに伝えたいことがあります」

 静かな口調だった。だが、その一語一語に、感情がにじんでいた。

「今、SNSをはじめ、色んな場所で僕の“素顔”や、プライベートに関する話が出回っています。その中には真実もあれば、そうでないことも含まれていて……正直、戸惑いもあります」

 数秒、言葉を区切った。コメント欄には沈黙と期待が流れる。

「ですが、僕の口から、事実としてお伝えしたいことがあります」

 亮は一度、深く息を吸った。

「僕には、大切な人がいます。……皆さんが“ゆきんこ”として親しんでくださった、その人です」

 コメントが一気に溢れた。

────
「え、マジ……?」
「やっぱリアルでもそうだったの!?」
「泣きそうなんだけど」
────
 
 それらを一瞥し、亮は静かにうなずいた。

「最初はお互い、顔も名前も知らないまま、同じゲームで意気投合してパートナーになりました。
そして、実際でも彼女の優しさや不器用さに触れて。この人と現実でも将来を共に生きたいと思ったんです」

 声が、ほんの少しだけ震えた。

「これは、隠すつもりでいたわけじゃありません。ただ、現実ことは静かに、誠実に育てようとしていました」

 画面の向こうで、何人ものファンが涙を流していた。

「でも、こうして世の中に出てしまった以上、僕はちゃんと伝えたい。僕は、実際にも彼女と結婚を前提に、真剣に交際しています。それは、これからも変わりません」

 少し目を伏せた亮は、再び顔を上げてカメラをまっすぐに見据えた。

「……応援してくれていた皆さんの気持ちを、裏切るような形になってしまったなら、本当に申し訳ありません」

 頭を深く下げた。その静けさの中、コメント欄に少しずつ、変化が現れ始めた。

 ────
「ちゃんと話してくれてありがとう」
「シンくんが幸せなら、応援したい」
「胸が苦しいけど……真っ直ぐなとこ、やっぱ好きだよ」
「おめでとう……泣けるけど」
「これからもシンとゆきんこ夫婦推してく」
 ────
 
 彼は真摯に言葉を重ねた。

「これからも活動は続けます。シンシオンして、皆さんと繋がっていたい。……それが許されるなら、僕は、またここで声を届けたいです」

 そして最後に、短く、けれど心からの笑顔で言った。

「これからも、どうかよろしくお願いします」

 そして配信は、静かに終了した。
 様々な意見が飛び交う中、“シンありがとう”のハッシュタグがトレンド入りした。

 ***

 配信を終えると、室内の空気が少し重たく感じた。
 静まり返った部屋の中、モニターの明かりだけがぼんやりと亮の顔を照らしている。椅子に身を沈め、彼は数秒その場から動けずにいた。全身の神経を使い果たしたかのような疲労感。それでも、とても清々しい気分でいた。
 2回、ドアをノックする音が響く。
 
「亮君……入っていい?」
「もちろんです」

 扉が静かに開き、由紀がそっと顔を覗かせる。照明の落とされた部屋の中、彼女の影がふわりと揺れた。
 彼女の目は少し腫れていた。
 それでも優しい笑顔を浮かべて静かに歩み寄り、そっと彼の肩に手を置く。

「見てたよ、最後まで」

 亮は椅子から立ち上がり、由紀と正面から向き合う。

「どう、でした……?」

 聞くのが少し怖かった。声が震える。
 そんな彼を慰めるように、由紀は両手でその顔を優しく包み込んだ。

「すごく、格好よかった」

 その一言に、心の奥がじわっと温まっていく。目の奥が熱くなりかけたが、涙にする前に微笑む。

「ありがとう。……正直、めちゃくちゃ怖かった。でも、嘘つかないで良かったって、今、思ってる」
「……うん」

 由紀の手が、亮の胸元にそっと触れる。心臓の鼓動が、手のひらに伝わった。

「ねえ……」

 由紀は亮を見上げた。
 
「大切な人だっていってもらえて、今日、すごく嬉しかったの」
「由紀さん……」
「だから、私も。隠れたり、怯えたりしないよ。あなたが好きだから」
「俺も、同じ気持ちです。だから……」
 
 まっすぐで、決意に満ちた瞳。胸がぎゅっと締め付けられる。
 亮は由紀の手を取ると、その場に膝をついた。

「……え?」
 
 彼がポケットから取り出したのは、小さな箱だった。
 中には、ダイアモンドの指輪が煌めいていた。

「俺と結婚、してください」

 由紀は驚きに目を見開いた。そして、唇を震わせる。

「……ほんとに?」
「はい。順番が色々逆になっちゃったけど。ずっと。ずっと言いたかった」

 由紀はその言葉を噛みしめるように聞き、そっと指輪を指に受け取った。指先が、震える。

「……私で、いいの?」
「俺は由紀さんじゃなきゃ、だめなんです」
 
 潤んだ青い瞳で訴えられれば、大粒の涙が出ては頬を伝った。思わず、しがみつくように彼に抱きつく。
 亮は優しく、けれど強く彼女を抱きしめた。

「はい……。はい、喜んで……!」

 静かに、心地よい沈黙が満ちていった。
 誰に見られなくても、誰にも知られなくても。
 この世界で一番大切な約束が、交わされた瞬間だった。
 
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